ガラガラガラっと勢いよく開かれた引き戸は、まるで昨日の朝の焼き直しのようにレール上を走って行き止まりのストッパーに当たるとやはり反動で跳ね返ってくる。そして、戸を開けたものが入室を済ませる前に再び出入口を塞いでしまった。
そして3秒ほどの間を開けた後に今度はカラカラと控えめに開かれる。
その空いた戸の隙間から気まずそうに顔を覗かせたのは、やはり昨日と同じ人物だった。
彼女は胸に手を当て弾む息と胸を落ち着かせると、その喜びを浮かべた瞳を前へ向ける。
「みんなぁ、おはようっ!」
教室中の全ての生徒へ届けるように元気な挨拶の声を投げかける。
すると――
「水無瀬さんおはよう」
「おはよう水無瀬」
「おはよう!」
「愛苗っちはろぉー!」
「おはよう水無瀬さん」
「よぉーっす水無瀬ー」
「おはよう!」
「ご機嫌よう愛苗さん」
「おはよおおおぉっ‼」
「うおおぉぉぉぉっ‼ 水無瀬さああんうおおおおぉぉっ‼‼」
「おはよー! 愛苗」
「まなちゃんおはよぉ」
「おはよう」
「おはようございます。水無瀬さん」
「ちっ……」
「……おはよう……」
「愛苗ちゃんいそいでぇー」
「おっ、おはよう、水無瀬さん」
「おはよう」
「うーっす」
「おはよー」
「やぁ、水無瀬くん!」
「けほっ、けほっ……おはよぅ……」
弥堂&希咲ショックでおかしな空気になっていた教室内に、連鎖して花が咲いていく。
謎の空気感でも問答無用に明るくしてくれる、水無瀬 愛苗の存在に多くの生徒達が感謝をした。
もたもたと自席へのルートを探していた水無瀬は、その自席の近くに自身の親友の姿を見つけると、ぱぁっと顔を輝かせ一目散に向かっていく。
「ななみちゃああんっ――って、はわーっ⁉」
「あん、もうっ」
だが自身の走る勢いを制御できずに盛大に躓いた。
そしてそんなことは想定済みとばかりに何事もなく希咲に抱き留められる。
そのままギュッと彼女に抱きついたまま顔を見上げ、ふにゃっと表情を和らげた。
「えへへ。ゴメンねぇ」
「あんたホントどんくさいわねぇ。なんで何もないとこで転べるわけ?」
呆れたような希咲の問いにも「えへへ」と曖昧に笑みを返していた水無瀬だったが、突如「あっ!」と声をあげるとパっと希咲から身体を離す。
ツンツンしたことを言っていた割に水無瀬に突然離れられ、希咲は「あっ……」と寂しそうに顔を曇らせた。
「ご、ごめんね、ななみちゃん。私今日はホントに汗かいちゃってるかも……」
「べ、べつにそんなの気にしないのに……」
くっつくのがイヤで身体を離されたわけではないことに安堵しつつも、希咲はもじもじとしながら言葉を返す。
「でもでもっ、今日はすっごいダッシュしちゃったし」
「あんたまた寝坊? もう、しょうがないわね。今日も髪直したげるから。ほらっ、こっちおいで」
呆れたような口調とは裏腹にやたらとウキウキした様子で、希咲はやんわりと水無瀬の手をとり、そのまま彼女の自席へと誘導する。
出会って3秒でイチャつき始めた二人の様子に、多くの生徒さんたちがほっこりとしながらお手てを繋いで仲睦まじく歩く二人の少女を見守った。
自席のすぐ目の前でそんなやりとりをしながら通り過ぎる二人の女の子に、弥堂は一瞬だけ気味の悪いものを視る視線を送るが、すぐに希咲に見咎められては面倒だと目線を切る。
誤魔化すように逆のサイドへと振った目線は先ほど水無瀬がやってきた教室の出入り口を映した。
紅月の周辺も特に何事もなかったように談笑に戻っていたが、紅月の妹がいつの間にか居なくなっているようだ。
時間も時間だし自分の所属する教室へと帰ったのだろうかと見当を付けていると、自身の左横で人が立ち止まった気配がする。
朝から面倒ごとばかりだとうんざりしつつも潔くそちらへ視線を戻すと、そこに居たのはやはり水無瀬と希咲だった。
水無瀬は弥堂へ向ける瞳を一際強くキラキラとさせると、
「おはよう、弥堂くんっ!」
元気いっぱいに挨拶をしてきた。
水無瀬 愛苗の顏を見上げ、そして視る。
昨日よりずっとその輝きが強く、その存在がより強くなった。
そんな気がする。
とりあえずいつもの様に一回は無視をしてみるかと無駄な抵抗を考えてみるが、水無瀬の傍らからジトっとした視線が送られてきているのを感じてすぐに観念する。
「そうか、そういうものだったな」
「そうよ、そういうもんだっての」
「?」
自身の目の前の男の子と、自身の隣の親友からポソッと呟かれた声に水無瀬は首を傾げるが、すぐに弥堂の顏が自分の方へ向けられたのでよくわからないままニコーっと笑う。
彼女のその笑顔に弥堂は一度溜め息を吐いてから、
「おはよう、水無瀬」
と、挨拶を返した。
「えへへー、おはよー!」
弥堂から挨拶が返ってきたことでさらに笑顔を強めた彼女は、目の前に居るのにも関わらず弥堂の方へ両腕を伸ばし、親愛の情を精いっぱいこめてヒラヒラーっと両の手を振った。
まるで子供番組のお姉さんが小さなお子さんたちにするようなその仕草に、強い屈辱を感じた弥堂はビキっと口の端を吊り上げ思わず拳を握る。
そしてそんな弥堂の仕草を見た希咲は口元を綺麗に伸ばした指で隠し、顔を背けて「ぷっ」と噴き出した。
さらに、そんな3人の様子を見ていた生徒さんたちの何人かはギギギっと悔しげに歯を噛み締める。
ある者は水無瀬 愛苗に希咲 七海といった可愛い女の子に個別に挨拶をしてもらえる弥堂 優輝という男を妬み、またある者はこの2年B組のベストカップルとの呼び声が高い水無瀬×希咲の間に入り込む弥堂という異物を憎んだ。
そんな周囲の様子に不思議そうに首を傾げる水無瀬だったが、間もなくして希咲に「ほらっ、いくわよ」と手を引かれ退場していく。
そうして二人が立ち去った後の弥堂の席に新たに近づく者があった。
普段、自分と水無瀬以外に弥堂に話しかける者など例外を除けばほとんど居ないので、希咲は「あたしたちに用かしら?」と足を止めその様子を窺ったが、どうやら弥堂に用事があるようだ。
入れ替わりで弥堂のもとに現れたのは、クラスメイトの野崎 楓だ。
野崎さんはとても真面目な子でこの2年B組の学級委員を務めている。眼鏡をかけて結った後ろ髪を片方の肩から前へ垂らしている、大人しそうな文学少女といった風体だ。
そんな善良な彼女に対しても、無法が服を着て歩いているような弥堂が何か無茶をするかもしれない。
何かあったら、というか何かある前に自分が飛び出して行って止めなければと希咲は謎の使命感を宿しながら、水無瀬のおさげを解きつつ慎重に二人の様子を監視する。
「弥堂君。今、大丈夫かしら?」
「む? 野崎さんか。構わない」
(ん?)
「♪」
野崎さんは特に弥堂に対して怯える様子もなく自然に話しかけ、弥堂もごく自然に応対をする。
その様子に希咲は違和感を感じ眉をピクリと動かした。
それらには気付かず水無瀬はお母さんに髪を結ってもらう幼女のようにルンルンとしている。
「朝から慌ただしくしてしまってごめんなさい。HRの件なのだけど、これを……」
「あぁ、ありがとう」
(んん?)
「?」
まるで秘書のように淀みのない動作で胸元に抱えていた書類の中から一枚の紙を弥堂へ差し出し、弥堂はそれに柔らかく礼を述べてから受け取って文面に目を通していく。
それにもやはり違和感を覚えた希咲は、何がおかしいのだろうと思案しながら無意識に指で摘まんでいた水無瀬の解いた髪をクルクルと指に巻き付ける。
水無瀬はそんな彼女を不思議そうに見上げた。
「あ、やだ、私ったら」
「どうした? 野崎さん」
すると、野崎さんは何か自分の手落ちに気付いたといった風に声をあげる。弥堂は書面から目を上げそんな彼女を窺った。
希咲は怪訝そうな目で引き続き二人を監視する。
そして水無瀬はそんな希咲をじーっと見る。
「ふふふ。自分の用件ばっかりで挨拶するのを忘れていたわ。おはよう弥堂君」
「あぁ、おはよう。野崎さん」
「はぁっ⁉」
「あいたぁーっ⁉」
ふふふ、と気安く笑みを浮かべる野崎さんに弥堂が自然に挨拶を返したのを見て、希咲はガーンっとショックを受ける。
反射的に水無瀬の髪を少し引っ張ってしまい彼女がびっくり仰天するがそんなことには気付かない。
そのまま茫然と弥堂たちのやりとりを見ていると、書類に目を通し終わった弥堂が野崎さんへと紙を返した。
「そうだな。この内容なら俺から全体へ伝えた方がいいだろう。任せて欲しい」
「……いいの? いつも貴方にばかり嫌われ役をさせているみたいで心苦しいわ」
「気にするな。俺は生徒を抑えつける。キミは生徒の声を拾う。適材適所だ。それに俺は身体は頑丈だが細かいことは得意ではない。こちらこそキミの心配りにはいつも助けられている」
「ふふ、そう言ってもらえると気持ちが軽くなるわ。ありがとう」
「なななななななっ――⁉」
「いたいいたいっ! ななみちゃん⁉ どうしたの⁉」
問題ないと、野崎さんへ向けて肩を竦めてみせる弥堂へ信じられないようなものを見る目を向けながら、どこか納得がいかない希咲は思わず胸の前で拳を握った。
当然髪を引っ張られる形になる水無瀬は、痛みから逃れるため椅子からお尻を浮かせて髪を握る希咲の手に頭を近づける。
すると、無意識なのか反射なのか、水無瀬の髪からパっと手を離して自身の胸に近づいてきた彼女の頭をギュッと抱き寄せた。
「ぴぃっ――⁉」
頭皮の痛みがなくなった代わりに今度は何やら硬いフレームのようなものを頬骨に押し当てられて、未知の痛みに水無瀬は呻く。
「な、ん、な、の、よっ、あれっ‼‼」
「いたいいたいっ! ゴリって! なんかゴリってしてるっ!」
「おい、うるさいぞお前ら」
すると、騒ぎを見咎められ弥堂から注意を受けた。
「うるさいじゃないわよ! ふざけんな、ぼけぇっ!」
「何を怒ってるんだお前は」
「ふふふ。二人とも今日も仲がいいのね」
すかさず弥堂へ怒鳴り散らすと、彼からは呆れた声が、野崎さんからは穏やかな声が返ってくる。
「はぁ⁉ こんな奴と仲いいわけないでしょ!」
「んー……こっちじゃなくって、そっち……かな?」
「え?」
ビシッと左手で弥堂を指差して野崎さんに否定をすると、彼女は困ったような笑顔を浮かべ希咲の胸元を指差す。
その指の指し示す方へ視線を下ろすと――
「う、うえぇぇぇ……いたいよぉ……」
自身の胸にほっぺを押し付けられながら、すっかりとベソをかいた水無瀬がいた。
「あああぁぁぁぁっ⁉ ご、ごめん愛苗っ!」
「いたかったのぉ……」
ようやく彼女の苦境に気が付き慌てて解放する。
完全に泣きが入った水無瀬は自身の赤くなったほっぺを指差して痛みを主張する。
「あぁ⁉ 跡になっちゃってる。ごめんねっ」
希咲はすかさず彼女の頭をよしよししながら、何か曲線を描くワイヤーのような物の跡がついてしまったほっぺたをふーふーしてなでなでする。当然そんなことをしても何も意味はない。
「ふふ。ね? 仲がいいわよね?」
その様子を見てほっこりした野崎さんが弥堂に同意を求めるが、彼は適当に肩を竦めるだけに留めた。
「うぅ…………ゴリって……なんかゴリってしたのぉ……」
「うぅ……ほんとゴメン……あたし気付かなくて…………」
「…………重装備が祟ったな」
「はぁ⁉ あんた今なんか言った⁉」
「いや、なにも」
おめめをウルウルさせて訴えてくる水無瀬に、希咲もおめめをウルウルさせて謝罪をしていたが、背後からボソッと低い声で呟かれた言葉をバッチリ聞き咎め、ギロっとそちらを睨みつけると適当に肩を竦めて流された。
「……うん。やっぱりこっちも仲がいい……?」
一歩引いた位置でそのやりとりを見ていた野崎さんが、唇の端に指を当てそっと呟いたが、それは誰にも聴き咎められることはなかった。
「じゃあ、私は席に戻るわね。そろそろ先生も来る頃だから、3人ともほどほどに、ね?」
懸命に水無瀬をあやす希咲を尻目に、「じゃあ弥堂君、HRの件よろしくお願いします」と綺麗なお辞儀をしてサッと立ち去っていく。そんな野崎さんを見て、弥堂は見事な引き際だと感心をした。
きちんとメリハリをつけて行動をする彼女に比べて、いつまでもガキのようにギャーギャーピーピーと喚いている隣の座席の二人へ侮蔑の視線を送る。
すると、希咲がカーディガンのポケットから何やら香水の小瓶のような物を取り出しそれをハンカチに振りかけて、自らの装備品である補強ワイヤーの跡がついた水無瀬のほっぺにそのハンカチをチョンチョンっとしていた。
「お前、そんなことしたってどうにもならんだろ」
「うっさいわね。カンケーないでしょ、黙ってなさいよっ」
「そりゃそうだ」
確かに彼女の言うとおりであると、弥堂は特に裏もなく言葉通り彼女の意見に同意をしたのだが、希咲にはそれは厭味にしか聞こえなかった。
というか、いくら強い呆れを感じたからといって何故余計な口をきいてしまったのだろうと、彼女らから目を逸らし弥堂は自分自身への疑心に眉を歪め、希咲は彼からの皮肉に――彼女は受け取った――やはり眉を歪めた。
それまでずっとメソメソしていた水無瀬はいつの間にか泣き止み、ぱちぱちと瞬きをするとそんな二人の顔をキョトンと見比べた。
水無瀬が自身の顏をじーっと見上げていることに気が付くと、希咲は不機嫌な顔を一転させ眉をふにゃっと下げる。
「愛苗ぁ……ホントにごめんねぇ……ゆるしてくれる……?」
今度は逆に希咲が不安そうな顔で目尻に涙を浮かべているのを見て、水無瀬は彼女を安心させるようにニコーっと笑う。
そして希咲の頬っぺたを指先で優しく摘まむと僅かに力をこめてから、その摘まんだ箇所をふにふにと軽く上下に動かした。
「うぇっ――⁉」
突然のことに希咲は驚き素っ頓狂な声をあげる。
すると水無瀬はすぐに摘まんでいた指を離し、今しがた掴んでいた希咲の頬に掌をあててじっと真っ直ぐに彼女の瞳を覗き込んだ。
「えっ……? えっ…………⁉」
事態についていけない希咲が言葉を失っていると、水無瀬はさらに彼女へ向ける笑みを深めてあげる。
「これで『おあいこ』だよ? ななみちゃん」
「えっ…………? あっ――」
「だから許すとか許さないとか、そんなこと心配しなくていいから……私怒ったりしてないからね」
「う、うん……」
「大丈夫だよ……? 私はななみちゃんのこと大好きだから……ね?」
「う、うん……あたしも…………すき…………」
周囲に白いお花がぶわっと咲き乱れキラキラと輝いたようにクラス中に錯覚をさせ多くの者がほわぁとする。
隣の席に座っていた弥堂はその大ぶりな花に顔面を押し退けられたような気分になり彼女らに迷惑そうな眼を向けた。
水無瀬が労わるように希咲のほっぺたをすりすりし、希咲がその手に自らの手を重ねてうっとりと水無瀬を見つめていると、朝のHR開始を報せる時計塔の鐘が何時もどおりの大音量で鳴り始める。
少女たちはその音に二人揃ってハッとなり、続いてお互い苦笑いを浮かべながら顔を見合わせる。
「髪……途中になっちゃったわね……」
「だいじょぶだよ! とりあえず適当に縛っておくし!」
「HR終わったらチャチャっと直したげる」
「ほんと? えへへ……やったぁ……!」
「じゃ、あたし一回戻るわ。またあとでね」
「うんっ。ばいばいっ」
そう約束して彼女たちは別れる。といっても同じ教室内だが。
振り返ってすぐに希咲は歩き出さず、水無瀬の隣の席の弥堂をキッと睨みつける。
「まだ何かあるのか?」
「あんたが悪いんだからねっ!」
「なんでだよ……」
「うっさい! やっぱあんた嫌いっ!」
ビシッと指差してそう宣言するとフンッと鼻を鳴らしてズカズカと彼女は歩き出した。
足早に自席へ向かう彼女が通り過ぎた後で、「ヤキモチ?」「ヤキモチ」「ヤキモチか」「ヤキモチなん?」と囁き声が聴こえてくる。
揶揄うようなその声たちにカチンときた希咲はグルンっと勢いよく振り返ると両手を突き上げ――
「うるさああああいっ――‼‼」
教室中に響き渡るような大声で癇癪を起したように喚く。
奇しくも、彼女のその絶叫とほぼ同タイミングで規定回数を消化した鐘の音が鳴りやみ、さらに同時にガラっと教室の戸が開かれる。
現れたのはこの2年B組の担任教師である木ノ下 遥香だ。
まだ社会に出て二年目である若い担任教師は異例とも云える早さで今期から担任を任されていたが、新学年が始まり1週間も過ぎた頃には自分は任されたのではなく押し付けられたのだということに気が付いていた。
問題児ばかりを集めて纏めたのでは、と職員室内で噂のこの2年B組の素敵な生徒達と日々触れ合うことで社会で自立して生きていくことの難しさに打ちひしがれ、彼女はすっかりと自身を失くし弱気になっていた。
そんな彼女が、「金曜だし今日さえ乗り切れば休みだ!」と己を鼓舞して自らの預かる教室に入るなり、ハーレムとかいう正気を疑うようなコミュニティを取り仕切るギャル系JKに出合い頭に大声で怒鳴られてしまった恰好だ。
木ノ下先生はビクっと大袈裟に怯える仕草を見せた。
「あ、あの…………希咲さんごめんなさい……先生そんなに乱暴に開けたつもりはなかったんだけど…………うるさかったよね……? ごめんね……?」
「ちっ、ちがうんですうぅぅぅっ!」
恐る恐る顔色を窺いながら謝罪をしてくる自らの担任に希咲は慌てて釈明をする。
結局、怯える担任教師を宥めすかしてどうにか誤解を解き、衆人環視の中で誠心誠意謝罪をした後、彼女は耳を紅くしながら最後列の自席へと戻っていった。
弥堂は後方から恨みがましい視線を感じた気がしたが、当然気がしただけなら気のせいなので気が付かないフリをした。
こうして本日の2年B組の朝のHRは数分遅れで開始された。