戦えない私がキヴォトス中の生徒に執着されるまで 作:Zuzuiikb
そのメッセージが届いたのは、昼休みが終わる少し前だった。
『親愛なる補助観測員レナさんへ。
本日十六時四十分、あなたに一つの問いを提示します。
答えを導く鍵は、前回の観測経路、段差、自動ドア、そして糖分摂取地点にあります。
なお、これは極めて高度な知的検証であり、決して単なる呼び出しではありません。
――明星ヒマリ』
レナは端末を見下ろしたまま、しばらく動かなかった。
文章は丁寧だった。
言葉遣いも整っている。
極めて重要そうな単語も並んでいる。
ぱっと見ただけなら、特異現象捜査部からの正式な依頼文に見えなくもない。
でも、最後の一文が全部を台無しにしていた。
決して単なる呼び出しではありません。
わざわざそう書いてある時点で、たぶん単なる呼び出しなのだ。
「……普通に呼ぶの、失敗してる」
小さく呟く。
前、資料棟の窓際で、レナは確かに言った。
普通にまた呼んでくれれば来ますよ、と。
ヒマリさんも確かに言った。
では、普通に呼びます、と。
その結果がこれだった。
暗号だった。
いや、暗号というほど複雑ではないのかもしれない。けれど少なくとも、普通の呼び出しではない。普通の呼び出しは、もう少し短い。たぶん「今日、空いていますか」とか、「カフェに行きませんか」とか、そういう形をしているはずだ。
前の観測経路。
段差。
自動ドア。
糖分摂取地点。
並んでいる単語を見て、レナは少しだけ目を細める。
たぶん、カフェだ。
ヒマリさんが言っていた、ミレニアム内における糖分摂取地点の調査。どう言い換えてもカフェに行きたいだけだったあれ。
つまりこれは、ヒマリさんなりの誘いなのだろう。
ただの誘いではなく、知的検証という名前をつけた、遠回りな誘い。
普通に呼べばいいのに。
そう思う。
でも、普通に呼べないから、こうしたのだとも思う。
レナは端末を鞄にしまい、少しだけ笑った。
ヒマリさんは、すごい人だ。
全知を名乗っても、まあヒマリさんだしな、と思えるくらいには本当に頭がいい。自分で清楚系病弱美少女と言ってしまうくらいには堂々としていて、話しているとすぐに言葉の主導権を持っていかれる。
けれどその一方で、誰かを普通に誘うことだけは、妙に遠回りする。
それが少し面白くて、少しだけ放っておけなかった。
◇
十六時四十分。
レナは前ヒマリさんと通った中央棟西側通路に立っていた。
そこには、白い封筒が一つ置かれていた。
置かれていた、というより、壁に小さなマグネットで留めてある。封筒には綺麗な字で「第一問」と書かれていた。
レナは封筒を外して、中の紙を開く。
『第一問。
全知が最初に物理法則の手強さを認めた地点へ向かいなさい』
「……段差だ」
早い。
答えに辿り着くのが早すぎる。
レナは少しだけ封筒を見つめ、それから通路の先へ歩き出した。
前回越えた小さな段差の前まで行くと、そこにも封筒があった。壁の低い位置に留めてあって、ちょうど車椅子に乗ったヒマリさんが見つけやすそうな高さだった。
そういうところが、少しだけヒマリさんらしい。
『第二問。
世界の分断線を越えた者は、次に風の観測地点へ向かうべきです』
「渡り廊下ですね」
分かりやすい。
というより、たぶん分かりやすくしてくれている。
難しすぎるとレナが困るから。
でも簡単すぎると、ヒマリさんの演出として物足りないから。
その中間を狙った結果、かなり親切な暗号になっている。
レナは思わず笑いそうになりながら、渡り廊下へ向かった。
午後の風は前回より弱かった。窓の外にはミレニアムの校舎と、少し傾き始めた光が見える。通路の手すりの近くに、また封筒が留めてあった。
『第三問。
優雅なる全知の進路を妨げかけた不届きな自動機構のもとへ』
「自動ドアに恨み持ちすぎじゃないですか」
思わず声に出た。
近くを通ったミレニアムの生徒が少しこちらを見る。
レナは軽く会釈して、何もなかったふりで歩き出した。
自動ドアの前にも、やっぱり封筒があった。今回も丁寧にマグネットで留めてある。誰かに取られないよう、目立ちすぎないけれど見落とさない位置。
ヒマリさんが自分で配置したのか。
それともエイミさんに頼んだのか。
想像すると、少しだけ楽しい。
『第四問。
知性には糖分が必要です。
ただし、糖分を求めることは目的ではありません。
これはあくまで観測です』
「いやもうカフェじゃん」
ここまでくると、ほとんど案内板だった。
レナは封筒を手に、カフェの方へ向かう。途中で少しだけ考える。
これを作るの、たぶん結構手間だったはずだ。
封筒を用意して、文面を書いて、時間前に配置して、レナが分かるくらいの難易度にして。しかも前回の会話をちゃんと拾って、段差、自動ドア、糖分摂取地点まで全部入れている。
普通に呼べばいいのに。
何度目かの同じ感想が出る。
でも、その普通にできないところを、笑ってしまうくらいにはもう知っている。
レナは最後の角を曲がった。
カフェの窓際。
そこにヒマリさんがいた。
車椅子に座り、テーブルの上には紅茶と小さなケーキ。隣には端末。表情はいつも通り、少し得意げで、少し芝居がかっている。
でも、レナが来たことに気づいた瞬間、その目がほんの少し明るくなった。
「よくぞ辿り着きました、レナさん」
「ヒマリさん」
「見事です。全知たる私が構築した高度知的誘導試験を、あなたは無事突破しました」
「すみません、わりと一本道でした」
「難易度調整です」
「すごく親切な難易度でした」
「参加者の理解度に合わせるのも、出題者の品格です」
「つまり、私向けに簡単にしてくれたんですね」
「そこまで率直に言われると、少々趣に欠けますね」
ヒマリさんは紅茶を一口飲んだ。
レナは向かいの席に座る。
椅子を引いて、鞄を横に置き、集めてきた封筒をテーブルに並べた。四枚。白い封筒が、妙にきちんと並んでいる。
「で、これは何の検証だったんですか?」
「記憶、観察力、推理力、移動経路の再現性、そして補助観測員としての応答速度を確認するための総合試験です」
「普通に呼ぶ練習ではなく?」
ヒマリさんの手が止まった。
紅茶の缶が、ほんの少しだけ宙で止まる。
「……あなたは時々、答えに近づく速度が無遠慮ですね」
「当たりですか?」
「外れではありません」
「当たりですね」
「外れではありません」
「ヒマリさん、そういう時だけ言い方増やしますよね」
「知性の防御反応です」
「便利だなぁ」
レナは小さく笑った。
ヒマリさんは少しだけ視線を逸らす。怒ってはいない。むしろ、少しだけ面白がっているようにも見える。
「前回、あなたは言いました」
「はい」
「普通に呼べば来る、と」
「言いました」
「そこで私は考えました。普通とは何か。呼ぶとは何か。来るとは何か。相手に過度な負担をかけず、なおかつ知的満足度を損なわず、全知たる私の品位を保ったまま、あなたをこの場へ導く最適解とは何か」
「考えすぎです」
「そうでしょうか」
「たぶん、普通は“今日カフェ行きませんか”で終わります」
「……それではあまりにも普通すぎます」
「普通に呼ぶって、そういうことでは?」
「盲点ですね」
「全知の盲点、けっこう身近にありますね」
ヒマリさんは少しだけ眉を上げた。
「なかなか言いますね、レナさん」
「ヒマリさん相手だと、言わないと押し切られるので」
「私は押し切ってなどいません。優雅に導いているのです」
「封筒四枚で?」
「演出です」
「手間のかかる演出ですね」
「手間をかける価値はありました」
ヒマリさんは、そこで一度言葉を切った。
レナは少しだけ目を向ける。
「……楽しかったですか? 準備するの」
ヒマリさんはすぐには答えなかった。
端末の画面に指を置き、少しだけ目を伏せる。
「……そうですね」
いつものように長い説明が来るかと思った。
けれど、ヒマリさんの返事は短かった。
「悪くありませんでした」
レナは思わず笑った。
「それ、ヒマリさんの中ではかなり楽しかったって意味ですよね」
「勝手に翻訳しないでください」
「違います?」
「……大きくは違いません」
「やっぱり」
ヒマリさんは小さく咳払いした。
「ただし、これは遊びではありません。あくまで知的検証です」
「遊びじゃないんですか」
「遊びではありません」
「楽しかったのに?」
「知的検証は楽しいものです」
「じゃあ、遊びとどこが違うんですか?」
ヒマリさんは少しだけ黙った。
レナも、それ以上は急かさなかった。
カフェの中は穏やかだった。周囲には数人の生徒がいるだけで、話し声も遠い。紅茶の香りと、甘い焼き菓子の匂いがする。
ヒマリさんは考えているようだった。
全知を名乗る人が、遊びと検証の違いで少しだけ黙っている。
それが、なんだか少し可笑しかった。
「……遊びというものは」
やがてヒマリさんが口を開いた。
「目的が曖昧です。少なくとも、私にとっては。研究、調査、観測、検証。そういう名前があれば、行動の理由が明確になります。しかし遊びは、ただ相手と時間を使うことを目的にしているように見える。そこに意味がないと言うつもりはありませんが、私には少々、扱いづらい概念です」
長い言葉だった。
けれど、いつもの自慢げな説明とは少し違った。
レナは紅茶の缶を両手で持ち、少しだけ考える。
「じゃあ、今日のこれは検証でいいんじゃないですか」
「おや。遊びだと指摘するかと思いました」
「遊びでもあると思いますけど」
「では、矛盾しています」
「してないですよ。検証って名前がある方がヒマリさんが誘いやすいなら、それでいいんじゃないですか。私も謎解きみたいで面白かったですし」
ヒマリさんはレナを見た。
少しだけ、目が細くなる。
「……あなたは、時々とても乱暴に結論を出しますね」
「だめでした?」
「いいえ」
ヒマリさんは静かに笑った。
「悪くありません」
その言い方が、さっきより少しだけ柔らかかった。
レナは缶を置いて、テーブルの上の封筒を並べる。
「でも、次は一枚でいいですよ」
「一枚」
「はい。“カフェにいます”とか」
「それでは問題になりません」
「問題にしなくていいんです」
「……難題ですね」
「それが難題になるんだ」
ヒマリさんは本当に少し悩んでいるようだった。
その顔を見ていると、レナはなんだか笑いたくなる。けれど笑いすぎると拗ねそうなので、紅茶を飲むふりをした。
ヒマリさんは、きっと人を呼べる。
依頼としてなら。
観測としてなら。
検証としてなら。
でも、ただ会いたいから呼ぶ、という形になると、急に言葉が遠回りになるのかもしれない。
それを可哀想だとは思わなかった。
ただ、少し不器用な人だと思った。
「ヒマリさん」
「なんでしょう」
「普通に呼ぶのが難しいなら、最初は普通じゃなくてもいいです」
「はい?」
「暗号でも、観測任務でも、知的検証でも。ヒマリさんが呼びやすい形で呼んでくれれば、私はたぶん来ます」
「たぶん?」
「予定が空いてたら」
「そこは現実的ですね」
「現実も大事なので」
ヒマリさんは小さく笑った。
「では、次回も極めて高度な知的検証としてあなたを呼び出す可能性があります」
「はい」
「封筒は?」
「二枚までなら」
「三枚では?」
「内容によります」
「なかなか厳しい」
「四枚は多いです」
「今回の努力が」
「努力は認めます」
「では及第点ですね」
「私が採点する側なんですか?」
「今日はあなたが解答者でしたから」
「なるほど」
会話がまた、いつもの調子に戻る。
レナはそれに少し安心した。
ヒマリさんと話していると、時々とても回りくどい。けれど、その回りくどさの奥に、たぶん少しだけ不器用なものが隠れている。
誰かを普通に誘うこと。
ただ会いたいから呼ぶこと。
そういうことに、ヒマリさんは名前を必要とする。
でも、名前があるなら来られるのなら。
レナは、しばらくそれに付き合ってもいいと思った。
「レナさん」
「はい」
「一つ確認しておきます」
ヒマリさんは紅茶を置き、少しだけ真面目な顔になった。
「今日の検証は、あなたにとって退屈ではありませんでしたか?」
レナはすぐには答えなかった。
封筒を見て、カフェを見て、ヒマリさんを見る。
「退屈だったら、ここまで来ないです」
「それは合理的な回答ですね」
「あと」
「あと?」
「ヒマリさんがこういうこと考えてる時間、ちょっと想像できて面白かったです」
言ってから、少しだけしまったと思った。
ヒマリさんが一瞬、きょとんとした顔をしたからだ。
けれどすぐに、いつもの笑みが戻る。
「……なるほど。では、次回はあなたの想像力も試験項目に加えましょう」
「増やさなくていいです」
「却下します」
「早い」
「全知ですから」
「ほんとうに便利だなぁ、全知」
ヒマリさんは満足そうに紅茶を飲んだ。
その横顔が、少しだけ嬉しそうに見えた。
レナは何も言わなかった。
たぶん、言うとまた難しい言葉で返される。
それも楽しいけれど、今は少しだけ黙っていてもいい気がした。
テーブルの上には四枚の封筒。
どれも、普通に呼べなかったヒマリさんの遠回りな招待状だった。
レナはそれを一枚だけ手に取って、鞄にしまう。
「持って帰るのですか?」
「記念に」
「観測資料の無断持ち出しですね」
「だめですか?」
「……いえ」
ヒマリさんは少しだけ目を逸らした。
「許可します」
「ありがとうございます」
「ただし、保管状態には注意してください。全知の筆跡ですので」
「はいはい」
「はいは一回です」
「はい」
二人で小さく笑った。
その後、ヒマリさんは端末を開いた。
画面には、今日の検証記録らしき項目が並んでいた。
第一地点到達時刻。
第二地点到達時刻。
推理速度。
反応。
発言傾向。
封筒保管希望。
最後の項目を見て、レナは目を細める。
「封筒保管希望って何ですか」
「重要な観測結果です」
「観測しなくていいところまで観測してる」
「あなたが記念に持ち帰ると言ったので」
「それを書くんですか」
「書きます」
「なんで」
「嬉しかったので」
あまりにも普通に言われて、レナは少しだけ返事に詰まった。
ヒマリさんは端末から目を逸らさない。
その横顔は涼しい。
けれど、言葉だけが思ったより素直だった。
「……なら、書いていいです」
「許可を得ました」
「でも変な分析はしないでくださいね」
「変な分析とは?」
「封筒を持ち帰ったことから心理傾向をどうこうとか」
「それはもうしました」
「早い」
「全知ですから」
「便利だけど困るなぁ」
レナは少しだけ肩を落とした。
ヒマリさんは楽しそうに笑う。
その笑い方が、前より少し近く感じた。
近いと言っても、距離の話ではない。
テーブルを挟んでいるし、触れてもいない。ただ、会話の置き方が少しだけ変わった気がした。
ヒマリさんが何かを隠して、レナがそれを拾う。
レナが軽く返して、ヒマリさんが少し回り道して返す。
その繰り返しが、前より自然だった。
「レナさん」
「はい」
「あなたは、こういう回り道を嫌がらないのですね」
「封筒四枚はちょっと多かったですけど」
「そこは覚えています」
「でも、嫌ではなかったです。ヒマリさんらしいなって思いましたし」
「私らしい」
「はい。普通に呼ぶより、なんか面倒で、言い方が大げさで、ちょっと楽しそうで、でもちゃんと私でも分かるようにしてあって」
レナはそこで一度言葉を切った。
ヒマリさんがじっと見ている。
少しだけ言い過ぎたかなと思ったけれど、もう遅い。
「そういうところ、ヒマリさんっぽいです」
ヒマリさんは、何も言わなかった。
いつものようにすぐ褒めるでも、全知の私ですからと胸を張るでもなく、ほんの少しだけ目を伏せる。
「……そうですか」
「はい」
「それは、良い意味ですか?」
「悪い意味で封筒四枚は持って帰らないです」
「なるほど」
ヒマリさんは、指先で端末の端を軽く撫でた。
「では、良い意味として受け取っておきます」
「そうしてください」
レナは紅茶を飲む。
少し冷めていた。
けれど、さっきより飲みやすかった。
しばらくして、ヒマリさんが小さく口を開いた。
「普通に呼ぶ、というのは」
「はい」
「おそらく、私にはまだ少し難しいです」
「はい」
「ですが、あなたがこういう回り道を許容するのであれば、私はしばらく、それに甘えることができます」
レナは少しだけ目を向けた。
ヒマリさんは真面目な顔をしていた。
自慢げでもなく、ふざけてもいない。
甘える、という言葉がヒマリさんの口から出たことに、少しだけ驚いた。
「……いいですよ」
レナは言った。
「でも、たまには短めでお願いします」
「努力しましょう」
「そこは約束じゃないんですね」
「約束は慎重に扱うべきです」
「ヒマリさんらしい」
「ええ」
ヒマリさんは少し笑った。
「私は慎重で、全知で、清楚系病弱美少女ですから」
「最後のは言いたかっただけですよね」
「ええ」
「認めるんだ」
また、二人で笑う。
カフェの窓の外では、夕方の光が少しずつ濃くなっている。
知的検証に偽装した誘いは、たぶん成功だった。
少なくとも、レナが次の封筒を少しだけ楽しみにしてしまうくらいには。
帰り際、ヒマリさんはレナを見上げた。
「次回の検証計画が完成したら、また連絡します」
「はい」
「今度は、封筒の枚数を減らします」
「ありがとうございます」
「ただし、難易度は上がるかもしれません」
「そこ上げるんだ」
「全知の名にかけて、同じ形式を繰り返すわけにはいきませんから」
「ヒマリさん、そういうところ本当に面倒ですね」
「褒め言葉として受け取ります」
「褒めてはいないです」
「では、褒めてください」
「またそれ」
レナは笑いながら、鞄の中の封筒に触れた。
白い紙の角が、指先に当たる。
普通ではない呼び出し。
遠回りな招待状。
それでも、ちゃんとレナに届いたもの。
「……今日のは、楽しかったです」
レナがそう言うと、ヒマリさんは少しだけ黙った。
それから、いつものように優雅に微笑んだ。
「では、次回はさらに楽しくしましょう」
「普通に言えましたね」
「……今のは普通でしたか?」
「はい。たぶん」
「たぶん」
「私基準では」
「なるほど。では、良い進歩です」
ヒマリさんは満足そうに頷いた。
レナも頷く。
「はい。良い進歩です」
ヒマリさんはまた少し笑った。
夕方のカフェで、テーブルの上に残った三枚の封筒が、光を受けて白く見えていた。
次の呼び出しが普通かどうかは、まだ分からない。
でもたぶん、普通ではなくてもいい。
ヒマリさんがヒマリさんらしい形で呼んでくれるなら。
レナはきっと、また少し笑いながらその暗号を解くのだと思った。