アチェとリキュ 2人のCuriosity 作:LUCIOLE
今回は夢で見た面白いと思った話を小説にしてみようと思ったのですが、夢って整合性がめちゃくちゃでも何故か不思議に思わないのですよね。
で、整合性が取れる様に色々改変していくと、夢とは違う話に・・・お陰で思ったより時間が掛かりました。
夢ではテレビの企画で無人になった島に侵入して、物品を3つ回収。その価値の高さで順位を競うという番組収録中、謎の敵に襲われるって話でした。
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全9話です。
オチは有ります。ちゃんと落ちてるかは分かりませんがw
寒い季節がそろそろ終わりを告げる頃、潮騒が騒がしいここは北九州のとある島の海岸に近い巨大団地。
L字に建てられたこの団地は嘗て300世帯を超える住人が暮らしていた。
突如その300世帯以上の人達は日本政府の援助の下、自分で持てるだけの荷物を持って慌しく追われる様に退去して、もう1年以上が経っている。
それはこの団地だけでなく、この島全体と近海の島も同様だったが1年が経ち大島以外の近海の島には少しづつ島民が戻りつつあった。ただ大島が見える場所は未だ立ち入り禁止となったままだが・・・。
その大島は一部観測機器用に電力は通しているが、基本インフラすら止まったこの島の島民は勿論政府関係者でも上陸出来ず島全体が廃墟となっていた。
そんな状態だったので、この団地には沢山の物が当時のまま残されている。
「と、それらに興味を持って私達も忍び込んだ訳なんだけど・・・」
「まさか、他にも居るとはね~あはは~」
私達がここに来て散策をしていると、突然海から船でやってきた集団が居た。
するすると接岸してきた船団は6隻で上陸した人間は約100名。大半は一般人ぽいが数人は武器を持っているのが見えた。勿論こんな事はこの一年で初めての事である。
「みんな格好は普通っぽいのにね~」
リキュはしみじみ言っているが、困った事になった。私達とて侵入者なのだ。
「何しに来たんだろうね~」
大きい方の建物1棟の3階、その廊下の手摺壁の隙間から覗いきながらそんな暢気な事を言った時だった。
パンパンと甲高い音がして私達のいる手摺壁の外壁に何かが当たった。
チュイン!チュイン!
「うわ、何か当たった!?」
「いきなり攻撃してきた~?」
下での騒ぎは徐々に大きくなり、武器を持った人間が数人此方に向かって来る。
「騒いでないで逃げるよ」
「待ってよアチェ~」
全く、寄りにも寄って初めての侵入者が今日だなんて付いていない。
私達はばたばたと4階に上がり、409号室の窓枠に掛けられていた傘を広げて廊下に投げた。
傘は丁度バリケードの様に廊下を塞いだ。その後静かに2つ上がって6階の廊下を進んだ。
「アチェ、何してたの?」
「気休めだけど、工作をね」
バリケードの様になった傘を見て、その向こうに逃げたと思ってくれたらラッキーだけど。
ふ~んと興味無さそうにリキュが傍のドアに手を掛けた。
リキュが『607』と書かれた家のドアノブを回す、そして其のドアノブを引いたら開いちゃった。って顔でこっちを見た。
ここに来て初めて施錠してない家なのだ、テンションが上がるのは仕方ない。
因みに下の侵入者は強引にドアを破壊している様で、ガンガンとドアノブを壊す音や、窓ガラスを割る音がしていた。
こっちは壊さない様に気を使ってるのに。
確認もせず攻撃したり、ドアを破壊して進入する様な連中から早く逃げたい気持ちも有ったが、階下が騒がしくなっているのを聞いて私達は一旦中に入ってやり過ごす事にしたのだ。
勿論好奇心が勝ったのも事実なのだが、リキュに言わない。
「お邪魔しま~す」
こんな状況なのに相変わらず暢気なリキュ。私は後ろ手で鍵を掛けてから中を覗いた。
「廊下だね~」
「そうね」
入って直ぐ左側には洗面所が有りその両サイドにトイレとお風呂が有った。
「大きい声は出しちゃダメよ」
「分ってるよ~」
廊下の先と右側にドアと襖、途中の左側にもう一つドアと右側にはリビングダイニングへのガラス戸が有った。
申し訳ないが土足のまま入ってリビングの扉を開く。
一般的な台所とダイニングで、正面には大きなテレビが有った。
電気もガスも止まってるので、当然何も動かない。
何の躊躇も無くガチャリと冷蔵庫のドアを開けるリキュに驚いた。
電気が通って無いのだ。当然其の中身は。
「うわ、くさ~い」
「でしょうね。早く閉めなさい」
冷蔵庫を開け、涙目で臭いに悶絶しているリキュを半眼で見下ろす。
「あんた鼻が良いんだから、もう少し気を付けなさいよ」
本当に困った相棒だ。
私はリキュを置いて周りを調べた。
大きなモニターに電子レンジにリキュの開けた冷蔵庫、キッチンにはIHコンロに炊飯器と実に普通だ。
試しに電子レンジのボタンを押したが当然反応は無い。
他にはと見回したら、リキュの姿が無くなっていた。
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