アチェとリキュ 2人のCuriosity 作:LUCIOLE
咄嗟にリキュの頭を抑え、隠れて音のする方を見ると其処には4つのプロペラで空を飛ぶ黒い機械がゆっくりと移動している。
(アチェ、何あれ?)
(あー、ドローンってやつだよ、多分偵察機かな?)
(ドローン!?どうするの落とす?)
ドローンは4階と同じ高さを左から右へと横に移動していた。
(こっちに気が付いていないみたいだし、このまま隠れてやり過そう)
(はーい!)
ドローンが十分離れたところで、部屋の中に入って次の行動を考える。
「あの人達の事報告しないとダメだよね?」
持って来てた携帯食を食べながら、リキュが尋ねて来た。
「まぁ、黙ってる訳にはいかないでしょ」
リキュから携帯食を1つ奪って、私も食べる。
出来れば見付かりたくないし、私達が侵入してた事も知られたくなかった。
どうしたものかと考えを廻らせている横で、リキュは箪笥の中を覘いていた。
「今直ぐ報告すると私達の事もばれちゃうよね?」
「だね。報告するにしてもここを脱出してからじゃないと」
「じゃあ、あと2、3箇所回ってから戻ろうよ!」
リキュもちゃんと現状は理解している様だが、興味が勝っているらしい。まぁ、それは私も同じなので反対は無い。
ただ、普通に探索は出来ないのでどうやって次の家に行くかを考える。
表は現状が分らない。裏は今ドローンが警戒している。
「あ、戻ってきたみたい」
少し危険だが、裏から別の家に移る方が見付からないですみそうだが、と考えているとリキュの言う通り裏からドローンの音がして通り過ぎていった。
「玄関側はどう?」
聞かれてリキュは部屋から顔を出して、玄関に近付いて耳を澄ます。
それを私は静かに見てた。
本当にリキュは耳と言うか感覚が鋭い。
戻って来たリキュにどうだったか尋ねると、この階の外廊下に2人居るらしい。
玄関側は難しそうなので、裏から移動する事にしたがどっち方向に移動するかを決めなければならない。
「どうする?」
リキュに決めて貰おうと、尋ねると顎に手を当てながらその場でくるくる回り始めた。
そうして、不意に足を止めて上と言い出した。
「上が一番面倒なんだけど?」
「うん、でも上が良い気がする!」
自信満々でそういうリキュだが、逆に私は嫌な予感がしていた。しかし、ここの探検を言い出したのはリキュだし、次を決めて貰おうと思ってたので黙って従う。
あのドローンが1階づつ偵察しているなら、次はこの6階の筈なのであと3回通り過ぎるのを待って、私達は行動を起こした。
先ず私がベランダに出て、ドローンの位置を確認。手摺に立って上の階のベランダに手を掛け、飛び上がる。そのまま腕の力だけでよじ登り、同じ様に上るリキュの手を取って引っ張り上げる。
「重い~」
「にゃにおう!?」
予想通り7階にもなるとベランダの戸は施錠していなかったので、静かに部屋の中に入ってカーテンを閉めてホッとする。
座ったまま中を見回すとそこは普通の和室だった。
当然、造りは先程の部屋と同じ。洋服タンスと仏壇、テレビが壁に掛けられ敷かれたままの布団が有った。
1年以上経っても尚動いている時計が、正確に朝8時の時を告げる。
耳を立てて気配を確認してから、襖をゆっくりと開けて廊下の先を確かめる。
するとベランダの方からドローンの音がして、遠ざかって行った。
一瞬で強張らせた体の緊張を解くと、リキュも同じ様に脱力して、座り込んでいた。
顔を見合わせて、何故だか2人共笑みが零れる。
さてと、と気を取り直して隣の部屋の襖を開ける。そこはまるでオフィスの様な雰囲気でPCデスクにPCとモニター、それとは別にネット用のRANケーブルが残っていた。
横には資料が入っていたであろう棚が並び、反対側の低い棚にはコーヒーメイカーが置かれている。
そして、此方にはベッドが有り、其の上には上着やズボンが乱雑に置かれていた。
RANケーブルを見る限り、持ち運べる端末は持って行ったらしい。
「こっちはどんなデータが入っているのかな」
そう良いながら電源ボタンを押してみるが、当然反応は無い。
「こっちの部屋はなんというか、物が少ないね~」
ビジネス用っぽいPCをどうするか悩んだが、重いし大きいので今は放置だろう。
リビングキッチンは下階と大きく変わり無く、もう1つの部屋は物置の様になっていた。
そして、洗面台の方を覘く。そこも大した変化は無かったが洗濯機がドラム式だった。
と、其の時リキュの耳がピクっと動いた。
「アチェ、近くにまで来てるみたい」
「直ぐにここに来る感じ?」
「多分。動きに迷いが無いから・・・」
「分った、隠れてやり過ごそう」
そう言った時、玄関に1人、2人と辿り着いた。
(急いで、見付かる!)
小声でリキュを急かし、洗面所にある物置の中に押し込めた。
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