アチェとリキュ 2人のCuriosity   作:LUCIOLE

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ステージ5

 リキュが投げ寄越した円柱形の物を見る。

 

 「これって、乾電池?」

 

 「そう乾電池・・・ってなに?」

 

 自分で渡しておいて、がっくりくる。

  

 「バッテリーよ、バッテリー!」

 

 少し小さいが、重さと硬さは案外良いかも知れない。

 

 「これを思いっきりぶつけたら、あのドローンも壊せそうじゃない?」

 

 ぽんぽんと重さと感触を確かめる。単一と書かれた乾電池が4つ。

 

 「リキュの力なら壊せると思うけど・・・」

 

 「私じゃ当てられないよ~。でもアチェならいけるでしょ?」

 

 ころころと手の中で転がして、持ち方を考えながら外に飛ぶドローンを見る。距離は20~25m程。狙えなくは無い。

 

 だが当然投げる時、此方の姿を見られる事になる、それは避けたい所だ。

 

 武器で攻撃なら姿を隠しながら出来るが、流石に投げるとなると姿を晒すことになる。

 

 「じゃあ、ドレスアップしないとね」 

 

 そう言って、リキュは満面の笑みでいつの間にか持ってきた服を見せてきた。

 

 流石にリキュのオススメのドレスは断って、カーゴパンツに動き易いタンクトップ、ショート丈のジーンズのジャケットを着て肩を回してみる。

 

 「うん、これなら大丈夫かな?」

 

 リキュも背中の開いたロングスカートのワンピースドレスに同じく上着を着ていた。

 

 カーテンの隙間からドローンの場所を確認する。2機目のドローンは見当たらないので、やるなら今だろう。

 

 失敗すれば・・・余り考えたくは無い。

 

 私は覚悟を決めて、乾電池を握った。

 

 「行くよ、アチェ」

 

 「・・・よし!」

 

 私が構えた瞬間、リキュがカーテンを開けた! 

 

 「シッ!」

 

 いつもより慎重に狙いを付けて投げられた乾電池は、ビュンッ!という音を立て青空の中真っ直ぐドローンに向かって飛んで行き、そのローターの1つを破壊し、胴体にもダメージを与えた。

 

 突然の攻撃に見舞われたドローンはプロペラを1つ失い、体勢を崩したが直ぐにバランスを取り戻し、その場に留まろうと飛んでいた。

 

 「はい、アチェ」 

 

 リキュはもう1つ乾電池を投げ渡して来た。

 

 それを受け取った私は間髪要れず、今度は威力重視で思いっきり投げた。

 

 2発目の攻撃は、真ん中を外したが丁度カメラと2つ目のローターを破壊して遂に墜落させた。

 

 「よしっ!」

 

 小さくガッツポーズをした私は、どうだとばかりにリキュを見ると、以外にももう1つ乾電池を投げて寄こした。

 

 「え!?」

 

 「左下から来るよ」 

 

 微笑むリキュとは裏腹に私は、驚いてベランダから顔を出して左下を見ると建物の影から出て来たのか、もう1機のドローンが大きな音を立てながら上昇してきていた。

 

 慌てて部屋に戻って、逡巡する。

 

 さっきと違い、今度は動いている標的だが何故か外す気はしなかった。

 

 一歩下がって、ベランダの影から現れたドローンに向かって乾電池を投げた。

 

 今度は最初からフルパワーだ。

 

 風を切る音を残して放たれた乾電池は、ドローンの本体を打ち抜いて、ドローンを撃墜したのだった。

 

 リキュに他のドローンの確認をしてもらったが、他に近付くローター音はしない様なのでドローンは打ち止めかもしれない。

 

 さて、問題はドローンを全て失った相手がどう動くかだ。

 

 後は攻撃してくる相手の人数も知りたい所である。

 

 私は傍に在った帽子を被りくるりと回ってみせる。

 

 「どう?」

 

 「うん、似合ってるけどアチェはもっと可愛い服を着た方が良いと思う」

 

 褒めてくれるがそうじゃない。いや、言葉足らずだった。

 

 「変装したら向こうの人達に紛れ込めないかな?」

 

 「流石に無理じゃない?あれくらいの人数なら全員の格好は覚えてるだろうし」

 

 なるほど、と次の手を考えるが余り時間は無いだろう。

 

 「兎に角移動しない?流石にこの辺りの部屋からの攻撃ってのはばれてると思うし」

 

 至極当然の意見である。

 

 リキュには玄関で聞き耳を立てて貰い、私はベランダから裏庭と階下を見た。

 

 墜落したドローンの傍に5人。その他見える範囲に人間は居ない。

 

 2人がドローンを回収し、3人が周りを警戒している。そこにもう3人やってきて何か相談している様だ。

 

 「こっちは暫く無理ね」

 

 裏の戸を閉めて玄関に行くとリキュが聞き耳を立てたまま此方を向いた。 

 

 「足音とかはしないけど、どうする?」

 

 逡巡するが、他に手が思い付かないのだから仕方ない。

 

 エレベーターは使えないだろうから、階段一択なのだがこの団地は真ん中と両横に階段、その階段の中間地点にエレベーターが2機有る構造だ。

 

 真ん中の階段まで走って、上の階に上がろうと伝えてもう一度外の様子を伺い静かに外に出てから走り出した。

 




最後まで読んでくれて本当に有難う御座います。
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