アチェとリキュ 2人のCuriosity   作:LUCIOLE

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ステージ6

 私達はドローンを撃墜して、裏側に人の注目を集めた後表側から別の部屋に移動する為、走り出した。

 

 この部屋707号室から出て、中央階段のある右へ走る。その間に下を見れば数人が荷物を運ぶ姿が見えた。と、余所見をしていたらリキュが見て見て~と声を掛けてきた。

 

 何事かと思えば、リキュはスカートを摘み上げて走りながら、映画のお姫様みたいでしょと言って楽しそうに此方を見て笑っていた。

 

 これがしたくて、あんな走り難そうなロングスカートのドレスを着たのかと、呆れた瞬間リキュが盛大に扱けた。

 

 「きゃん!?」

 

 咄嗟に手を出したが間に合わず、後ろを見ながら走っていたリキュは廊下をズザザー・・・と滑りながら階段のある踊り場へと辿り着いたのだ。

 

 「もう、何してるのよ」

 

 私は動かないリキュに追い付き、倒れたままのリキュに手を差し伸べる。

 

 「ごめ~ん」

 

 全く、それでなくても静かに移動したかったのに、誰かに見付かったら・・・。

 

 そこで、2人の思考が止まった。中央階段の踊り場に設置されたベンチに1人のお婆さんが座っていたのだ。

 

 私達が固まっていると、お婆さんは此方を心配して声を掛けてきた。

 

 そして、何故か今私達はお婆さんと一緒にベンチに座っている。

 

 「お菓子食べるかい?」

 

 そう言いながら、バッグから取り出した包みを2つづつ渡してくれた。

 

 それを眺めていると、お婆さんは自身も包みを開け中の飴玉を取り出して口に入れて見せてくれた。

 

 私とリキュは顔を見合わせてから、お婆さんの真似をして飴玉を取り出し、少し躊躇ったが、意を決して口に入れたのだ。 

 

 シュワっとした感覚と甘い味が口の中に広がっていく。そんな感覚に驚いている私達をお婆さんは楽しそうに微笑んで見ていた。

 

 「美味しいかね?ほらこれも御飲み」

 

 差し出された透明のプラスチックの様な容器。此方も同じ様に開け方を教えてくれたので、真似て蓋を開け飲んでみたらさわやかな果汁とほのかな甘みが喉を潤した。

 

 「お嬢さん達もこんな物に参加していたなんてね~」

 

 「あの、お菓子有難う御座います」

 

 「お婆ちゃん、ありがと~」

 

 「まだ若いんでしょう?」

 

 「お婆ちゃんはどうしてこんな所に来たの~」

 

 「娘夫婦がね、お金を出すからって誘われてこんな所まで来てしまったけど、やっぱりね・・・」

 

 「お婆ちゃん、これお返しね」

 

 リキュが持って来ていたお菓子を出した。

 

 「あら、お返し?有難うね」

 

 3人でリキュの出した甘いお菓子を口に入れて、沈黙が訪れる。

 

 そして、食べ終わったお婆さんはにっこり笑って美味しかったわ、と言って下を向いてしまった。

 

 「私ね、後悔してるのよ。孫の為と言われて来てしまったけど、こんな火事場泥棒みたいな事・・・」

 

 その様子に顔を見合わせる私とリキュ。

 

 「ごめんなさいね、あなた達も参加してるのに。でもねやっぱり良くないと思うの。だからあなた達もこんな事はこれで最後にして欲しいの。きっと親御さんも心配しているから・・・」 

 

 お婆さんは寂しそうに微笑んで。そんな事を言った。

 

 ただ、私達はお互い言葉が通じていないので何を言っているか分らなかったのだが・・・なんとなく申し訳無さそうな雰囲気だけは伝わった。

 

 そして、どこの誰とも知らない私達を心配してくれているのだとも感じた。

 

 リキュの心配をし、お菓子をくれたお婆さんにお礼を言って別れた私達は2階上がって開いている扉を探した。

 

 そして、4軒目912号室の扉が開いた。

 

 気配を探り、中に人が居ないのを確認しつつ中に入り鍵を掛ける。

 

 「ここには何があるかな~」

 

 普段より少し陽気なリキュが先ずは洗面所に入った。  

 

 「あのお婆さん、多分目が結構不自由なんだと思う・・・だから・・・」

 

 リキュが寂しそうに、そんな事を呟く。

 

 「優しいお婆ちゃんなんだろうね」

 

 「そうね・・・」 

 

 と、何の警戒も無く開けた戸の向こうに意外な物の存在に驚いた。

 

 「ひゃっ!?」

 

 「ふぁ!?」

 

 咄嗟に身を引いて構える。

 

 そして、じっくり部屋の中の存在を見てリキュが後ろで大きな声を上げた。

 

 「ガンダムだー!」

 

 その声にビックリして飛び退き身構える。

 

 「え、なに?なに?」

 

 連続で驚かされてドキドキが止まらない。

 

 「ガンダムだよ、ガンダム!」

 

 異様なテンションで部屋に入り、先程の大きな物体に近寄り隅々まで嘗め回す様に見ているリキュ。

 

 「あれ、でも私の知ってるのとはちょっと違う~」

 

 「別の物じゃないの?」

 

 「そんな事無いと思うけど、私が見たのはこんなにデティールが無かったんだよね~」

 

 正直、私にさっぱりだ。

 

 「で、なに?そのガンダムだっけ?」

 

 「うん、凄いロボットアニメの主役機。これそのコスプレ衣装だと思う」

 

 衣装?これが。

 

 その2mを超えていそうな人型の物をリキュは衣装だという。

 

 ほら、と言ってリキュはそのロボットの足を手にとって中を見せた。

 

 その中は空洞で中に靴か何かが付いている。

 

 「人の体系そのままだと、バランスが悪いからこうやってゲタで足を伸ばしてるの」

 

 リキュは足のパーツを履いて見せた。なるほどリキュの身長が伸びて私を見下ろしてくる。

 

 「要は着ぐるみって奴?」 

 

 「う~ん、まぁそうとも言う?」

 

 リキュは楽しそうにくるくると歩いて、そのガンダムの足を元の場所に戻した。

 

 「ここに住んでた人はコスプレイヤーさんだったんだね」 

 

 押入れを空けると、同じ様な緑のロボットがもう1つ入っていた。他にも派手な衣装が綺麗に収納してある。

 

 大き目の机はその作業台なのだろう。様々な道具が綺麗に揃えてあり、生地や本も整頓されていた。

 

 そう言えばリキュが少し前に夢中で見ていた映像記録を思い出し、その中に出ていたロボットなのだろうと納得した。

 

 「その、ガンダム?持って行くの?」

 

 目を輝かせて眺めていたがリキュは首を横に振って部屋を出た。

 

 「う~ん、これはこのままにしておくよ。運ぶのも大変だし」 

 

 「そう・・・」

 

 私も特に興味が無かったし、この家は他に興味を引く物が無かったので次の家に行くことにした。

 




最後まで読んでくれて本当に有難う御座います。
しおり、ブックマークも有難う御座います。
誤字脱字の指摘修正とても感謝してます、ありがとうございます。

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