アチェとリキュ 2人のCuriosity 作:LUCIOLE
「ねえ、次は何処にするの?」
裏の様子を伺いながらリキュが訊ねてきたので、私は上を指差した。
「え~また~?」
「表は鍵が掛かってるからね、ベランダの方が入り易いでしょ」
「それはそうだけど、その分移動が・・・」
「ほら、見付からない内に」
私はもう一度周囲をくまなく確認してリキュを急かした。
横に2つ、移動して少し休んでから上に1つ上がる。
横の2部屋も面白い物は有った。マッサージチェアと介護ベッドの横の棚には木製の小さな人形や家やらの民芸品が並べてあって趣が有って面白かったし、その隣の家は大きな真っ黒な魚の絵が数枚飾られていた。
その中でも背中に大きな帆が有り口の先がまるで槍の様な魚が面白かった。ただそれらが貼られた壁には数箇所空いた空間あるので数枚は持ち出したのだろう。
そして、上の階。其処はベランダに潰された箱が沢山有る家で、やはり鍵は掛ってなかった。
カーテンの隙間から中の様子を探り、そっと戸を開け中に入る。そして、驚いた。
部屋の壁には隙間無く貼られ、棚にも沢山の人形が綺麗に並べられている。
私はその部屋に呆気に取られ、リキュは歓喜していた。
コスプレの部屋でもそうだが、今のリキュのトレンドはアニメ関係の様だ。
それも特に可愛い女の子のキャラクターが好きらしい。
コスプレの部屋でもテンションが高かったが、今はその比ではない。
「見て見て、このフィギュア可愛いよね!わ!?こっちのはエロいw」
「た、楽しそうね」
「そりゃね!」
うん、満面の笑顔で答えられ言葉に詰まったが流石に声が大きいと釘を刺した。
リキュはごめ~んと舌を出して謝っているが、反省している様には見えないな。
念を押すと今度は黙って値踏みを始め、お気に入りを見付けては手で口を押さえて足踏みで感激を表している。
そんな調子でまだまだ時間が掛かりそうなリキュを置いて私は次の部屋に入り、中を見て固まった。
どれくらいの時間が経っただろうか?そっと戸が開かれ、ゆっくりとリキュが私の居る部屋を覗き込んだ。
気配を感じとった私は、きっと恍惚の表情をして座ったまま椅子を回転させて振り返った。
「アチェ?」
私は被っていたヘルメット型のVRインターフェイスを脱いだ。その表情は頬を赤く染めてただろう。
「何してるの?」
「ん、ちょっとこのPCの中身を見てただけよ」
「中身ってどうやって、って電気が・・・あー!?」
リキュは私が持ち込んだ物に思い当たり指を差して驚いた。
PCとモニターの電源ケーブルの先に付いていたのは、小型のマルチ電源パックだった。
掌に収まるサイズでこのパソコンなら丸1週間使える程度の電力を内包している。
「そんなの使って、ばれるよ」
「LANケーブルは外してるから大丈夫」
私はそう答えながらもゴーグルに映し出されたチープな景色に見入っている。
フィールドを縦横無尽に駆け巡り、敵プレイヤーを倒す所謂FPSのゲームだ。
他にもこのヘルメット型のVRインターフェイスには色々なゲームが入ってた。
「ゲームのデータはこのヘルメットの方に入っててパソコンの方にゲームは無かったよ」
いや、実際には有ったよ。ほとんどアプリでオフラインの現状では起動出来ない女の子には知られたくないであろうゲームが少しだがインストールされていたよ。
でも、そこは黙っておいてあげる。
そして、ヘルメットの方は全年齢向けなのかそれっぽいだけで、R18の物は無かった。
因みにヘルメットは単体でゲーム機として使えるがパソコンのインターフェイスとしても使え、パソコンのネットを経由して対戦も出来るようだ。
データなどは両方に残されている。
他にも小型携帯機も数個机の上に置かれていた。
「こっちは古いゲーム機なのか、このメモリーにゲームのデータが入っていて、差し替えて色々なゲームが出来るみたいね」
私はゲームのメモリーを2つ持ってくるくると回して見せた。
そんなメモリーが10個入るケースが3つ。他の種類もあわせれば7つ有った。
そんなパソコンやゲームを持って来てたバックパックに詰め込んで、私は鼻息を荒くしてたかもしれない。
「アチェ、そんな重そうなの持って帰るの?」
「リキュだって袋がぱんぱんじゃない」
リキュは既に服で満杯だったが、途中で見付けたフィギュアと入れ替えてあっという間にバックパックを一杯にしていた。さらには部屋から手提げ袋を2つ拝借して其処に厳選した服を満載している状態だ。
「もう、荷物も一杯だしそろそろ潮時かな?」
「え~もう?」
確かにまだ余裕は有るが、私達に攻撃してきた連中も居るし、限界まで荷物を持ったら逃げ出す事が出来なくなると言い聞かせて帰る事を了承させた。
「リキュもお昼までには帰りたいでしょ?」
「そうだけど~・・・」
脱出の為、変装用にと新たに拝借した服に着替え、更に帽子を被って顔を隠した。これで、遠目にはばれないかも知れない。
「進入して来た人達の事も報告しないとだし、見付かる前に行くよ」
ガチャリとドアを開けた其処に人影が有った。
もう帰るだけだと、うっかり警戒をし忘れた。いや向こうが気配を消すのが上手かっただけかもしれない。
私は、迂闊な自分に心の中で罵詈雑言を投げかけながら、相手の武器を持った手を払った!
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