アチェとリキュ 2人のCuriosity 作:LUCIOLE
開けたドアの向こうにいた敵の武器を持つ手を下から払った瞬間、パンッ!と言う大きな音が鼓膜を襲う。その音に身を強張らせた刹那、上から振り下ろされた拳を首を捻って頭への直撃を躱した。
だが、その拳は私の肩を叩き体が沈む。その下がった私の頭の上をリキュの拳が走る。
振り降ろしで前傾になった顔面にめり込むリキュの拳。殴られた敵はゴキッという音を立てて吹き飛び、手摺壁に激突した。
「アチェ、大丈夫?」
慌てて抱き起こし、心配そうに私を見るリキュにごめんなさいと謝った。
「仕方ないよ。私も気付けなかったし。でも、どうする?」
力無く、動かない敵を確認しつつ頭を廻らせる。
「重い荷物を持ってのクライミングはしたくないわね」
「荷物が無くてもしたくないけどね」
ふふっと笑い合って覚悟を決める。銃声で敵がここに集まってくる前に脱出だ!
扉から出て、外廊下の先を確認。幸運にもまだ他の侵入者の姿は見えない。
「あ、リキュは顔見られた?」
「わかんない。アチェは?」
「私は大丈夫・・・だと思う」
自信は無く、顔を背ける。
「じゃあ、仕方ないね」
リキュはポケットから小さなケースを取り出して、倒れている男に向けると上面のボタンを押した。
ピッ、という小さな音がして撃ち出された何かが男に刺さる。
「これでよしっと」
「リキュ、そんなの持って来てたの?」
「持たされてるの。まさか使う事になるなんて思わなかったけどね」
確かに。この島で誰かに合うなんて思いもしなかった。
起きてしまった不運は仕方ない。相手に申し訳ない気持ちも無くは無いが、気持ちを切り替えて先を急ぐ。
「どっちにする?」
少し進んでエレベーターを見れば下から上がって来るのが見える。
正解は分らないが、どちらにしてもエレベーターは無い。
「こっち!」
この場から少しでも早く移動しないといけない。私は兎に角走り出した。
「根拠は~?」
「無いっ!」
「やっぱり~!」
私達は団地の端まで走って、外階段を降りる。
「この変装で誤魔化せれたら良いんだけど」
「遠目なら兎も角、普通は無理だと思う~」
「だよね」
兎に角誰にも会わない事を祈りながら極力足音を出さない様に気を付けつつリキュの手を取って走る。
が、そんな祈りはどうやら届かなかった様だ。
「アチェ・・・足音が・・・近付いて・・・」
「え!?」
息を切らしているリキュの方を見た其の時、外廊下の方から人影が現れた!
出会い頭、私達に驚いて一瞬行動が遅れた相手に、私は襲い掛かった。
体を低くして、銃とは逆側に走り壁を蹴って一気に相手に肉薄するとバレルを持つ手ごと押さえ、銃をこっちに向けられない様にして、相手の顎を下から思いっきり突き上げた。
男は打ち上げられ、そのまま地面に落下する。そこにリキュがまたあの箱で針を撃ち込んだ。
「行くよ!」
再びリキュの手を取って階段を下る。そして4階まで降りた時、今度は下から階段を昇って来る足音と外廊下から騒ぎ立てる声がした。
「ど、どうするのアチェ?逃げ場がないよ」
私は逡巡した後、リキュの手を取ったまま手摺に足を掛けた。
「ちょっとアチェ、まさか!?」
「飛ぶよ!」
「うそ~~~!」
飛び出した瞬間、後方で銃声が聞こえた。
両手で背中の荷物を抱えながら、衝撃を抑える為に離した手を地面に付けて着地する。
一瞬遅れて後ろで、リキュも大きな音を立てて同じ様に着地していた。
「イタ~・・・」
「走って!」
リキュの言葉を遮って再び手を取って引っ張り起こすと走って近くの木の陰に入る。其処から相手に見えない様に木を利用して、壁を越え私達はこの巨大団地を後にするのだった。
最後まで読んでくれて本当に有難う御座います。
しおり、ブックマークも有難う御座います。
誤字脱字の指摘修正とても感謝してます、ありがとうございます。
ご意見ご感想、アドバイス、突っ込み、疑問等有りましたら気軽にお書き下さい。
作者が喜びます。拡散も勿論喜びます。
※無断転載・無断翻訳を禁止します。