アチェとリキュ 2人のCuriosity 作:LUCIOLE
ここまで読んでくれて有難う御座います。
いや、本当に。
見た夢を小説になんて企画でしたが、難しいですね。ほんと私の見る夢って整合性皆無ですわw
では、最終話始まりです。
「しかし、危なかったね~」
リキュはうきうきで戦利品を眺めながらそんな事を言う。
「まさか、この島に侵入者が来るなんて思いもしなかったよ」
この島は完全に隔離状態で、日本政府も最低限の監視だけで手を出さない事になっているのにだ。
「そういえば、お婆ちゃん日本語じゃなかったね」
「日本語と英語なら、話出来たもんね」
言葉は通じなかったが、あの優しくて少し寂しそうなお婆ちゃんから貰ったお菓子をポケットから取り出して思い起こす。
リキュは私からそのお菓子を1つ奪って、食べている。
「朝が早かったからお腹が空いたんだもん~」
確かに。私も貰ったお菓子を1つ口に入れた。すると口内に優しい甘さが広がった。
ただの廃墟漁りの筈だったのに思いの外大冒険になってしまったが、終わり良ければ全て良しだ。ただ侵入者に付いて報告しないといけないのが、あのお婆さんの事を思うと憂鬱なだけだ。
リキュも同じ様で、通信機を向けると両手を振って拒否をしている。
仕方ないと、溜息一つ吐いてアドレスを送っているとリキュが声を上げた。
「あ、ガディフォだ~!」
団地からの帰り道、前から歩いてきた一団の先頭に見覚えの有る青年が此方に手を振って歩いて来たのだ。
「まさか、あの団地に行ったのか?」
「あ~、やっぱり気付いてる感じ?」
リキュが悪戯を誤魔化す様に可愛いしぐさで尋ねてる。
当然だろうと、呆れるガディフォさん達に簡潔に侵入者の話をした。
「やっぱりか~」
私達の話を聞いてガディフォさんはうんざりと云った感じで項垂れた。
「はぁ、仕方ない。急いで対処しないと・・・」
「殺しちゃうの?」
そう聞くリキュの頭を撫で、少し寂しそうに微笑んだ。
「情報を流す訳にはいかないからって、上の命令さ」
「そうか~」
「どうかしたのか?」
リキュが少し寂しそうにしている。それはあのお婆さんの事を気にしてるのだろう。
「ガディフォさん」
「うん、なに?」
力の無い返事をするガディフォの口に、ぽいっと小さな饅頭を放り込む。
「ちょ!?」
驚いたガディフォさんだったが、噛んだ瞬間その味に驚いて目を丸くした。
「美味しいね、これ!どうしたの?」
「これね、その侵入者の中に居たお婆ちゃんに貰ったの」
え!?っと驚くガディフォさんは少し複雑な顔したが、その甘さに抗えず最後まで味わってから此方に向き直った。
「アチェちゃん、これって・・・」
口にしないが、賄賂。いや、共犯者になったと思って貰えたらラッキーと考えたのだが。
「そのお婆ちゃんだけでも助けられないかな?」
「お婆ちゃんには親切にされたんだよ~」
「目がほとんど見えなくて私達と話もしたけど全然気付いてないし、個人的には何も盗ってないし」
リキュが胸の前で拳を揃え、上目遣いで詰め寄るとガディフォさんはうんうん言って、最後には折れてくれた。
男はやはりリキュの様な可愛い子には弱いのか。
「分かった、そのお婆さんには手を出さない様に言っておくよ」
「やったー!」
「有難うガディフォさん」
ガディフォさん達は私の記録端末から画像を取り出すと、間に合えば良いけどと言いながらもどこかに連絡を入れて私達と別れ団地へと向かうのだった。
私達が頭を下げると、部下の人達はにこやかに手を振り、ガディフォさんも部下の方たち用に渡したお饅頭の箱をひらひらと振って答えてくれた。
それから、暫く歩いていると蒼い空の上を1機の日本の偵察機が飛んで行くのが見えた。
「あのお婆ちゃん、無事に帰れると良いね・・・」
リキュのその言葉に、私は「そうね」とだけ返すのだった。
約1年前、日本の九州北部の島に1機の巨大な宇宙船が現れ、海中へと消えたのだった。
彼らは日本政府と密かに交渉を行ない、幾つかの鉱石と資料、その知識を得る代わりに住人を退去させたその島を彼らが立ち去るまで、不干渉地帯として提供したのだった。
4つ目、4本の腕を持つ彼ら異星人は理性的だったが、接触は最低限で自分達の情報を秘匿する事を徹底した。
そして、彼らが滞在した約2年の間、許可無くこの島に侵入した者は二度と戻って来る事は無かった。
たった1人の老女を除いて・・・。
本当に最後まで読んでくれて本当に有難う御座います。
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