オトギテール RIVAL   作:爆裂おいしい君

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16話です。気が付けば小説を投稿してから1ヶ月ちょっと経ってましたね。見てくれる人がいると考えるだけで、小説を書いたり投稿するモチベーションが上がります。本当にいつもありがとうございます!


Ep.16「空を裂く斬撃」

 

「アハハハッ!」

 

 戦う意思を見せたジャム。彼女と戦えて嬉しいのか、気持ち悪いほどの笑みを見せるカットは先程と同じようにナイフを振るう。

 

(ナイフを振ったら攻撃が来る……なら!)

 

 ジャムは瞬時に前方に電磁バリアを展開。一旦受け止めて、ソードの攻撃に繋げる。脚に力を入れ、バリアを纏って突き進む。

 

「!?」

 

 が。直後、ジャムの左肩に刃物で切られたような痛みが走る。

 

「私のナイフは()()()()()()()()。そんなんじゃ防げないよ」

「たぁっ!」

 

 ジャムとほとんど同時に駆けだしたソードが、カットへ向かって飛び出す。剣を力強く握りしめ、ぶった斬ろうと振り下ろす。

 

「いろいろできて便利なんだよ?」

 

 ソードの飛び出した方向へナイフを一振り。力強い振り下ろしを、発生させた斬撃エネルギーで難なく受け止め、ソードの怯んだところに力強い回し蹴りを叩き込んだ。

 

「ぐうっ……!」

 

 蹴り飛ばされ、回転しながら宙を舞い地面に衝突。

 

「ソード!」

「なんとか、大丈夫……」

 

 ジャムが駆け寄って、庇うように彼女の前に立つ。

 

「彼女の攻撃……大体の距離さえ分かってれば障害物を無視して攻撃出来るのかしら……。しかもパワーもスピードも申し分ないわ。――ジャム」

「はい……?」

 

 何かを呟くソード。ジャムはこくこくと頷いて、カットの方を見た。視線に気付いて、彼女はつまらなさそうな顔で2人の方へてくてく歩き出す。

 

「私抜きでお喋り?気に入らないなぁ」

 

 右手首がぴくりと動く。――直後。青い閃光が超高速で2人に迫る。

 

「ジャム、プランA!」

 

 ナイフの切り裂きに当たらぬよう、瞬時に跳躍し回避。ソードは剣を握る手に力を込め、ジャムはサーベルを手のひらから出す。斬撃には斬撃で対抗する、というプランだろうか。

 

「「たあっ!」」

 

 2人の声が同時に発せられ、挟み込むようにしてカットに迫る。

 

「挟み撃ちかあ。これは痛いかも!」

 

 楽しそうにナイフをクルクルと回す。2つの光が迫ってくるが、尚も余裕そうで。

 一撃目、ソードの斬撃。振り下ろしをさらりと回避し、二撃目のジャムの薙ぎ払い。ナイフの刃と斬撃エネルギーの連携でそれを弾き、そのまま華麗にターン。

 

「防御!」

 

 彼女がナイフで切りつけた周囲に、フラフープのような軌道で青い閃光が走る。ジャムはギリギリのタイミングで防御に成功し、すかさず反撃した。

 

「相変わらず柔軟な動きだよね全く。でも、私の方が速いってば!」

 

 電気の刃はかすることすらせずに、ただただ空を切るばかり。ニヤつくカットを前にして、ジャムも同じようにニヤついた。

 

「チャンスだよ!」

 

 ジャムサーベルを解除すると、今度は手のひらからの放電が炸裂。思わずたじろいだカットの背後に、今度はソードが現れる。

 

「おっとっと!焦っちゃった……」

 

 クルッと手首のスナップを効かせて、先程と同様に斬撃エネルギーでソードの攻撃をガード。しかし……

 

「こんなので止められるわけないでしょ!」

 

 エネルギー同士が衝突する瞬間、彼女の剣が黄色のオーラを纏う。それは一瞬にして青い斬撃の壁を打ち破り、一筋の光がカットの体に走った。

 

「誤算ね!」

「うん、その通り」

 

 カットは傷口をかばいながら、ゆっくりと彼女らから遠ざかっていく。

 

「本気出しちゃうもんね……そんなことするならさぁ……」

 

 ムッと力を込めると、二の腕から鎌のような形状の鋭い刃が生える。力強くその場で腕を振り上げると、先程とは比べものにならない程の威力の斬撃エネルギーが2人の間に放たれた。

 

「アハ!びっくりした?」

「ええ。まだ戦えるのかと思ってね」

 

 眉がピクつくカット。ソードに目がけて両腕を振るった瞬間、叫ぶように口を開いた。

 

「プランB!」

「は……?」

 

 バビュン!と音を立てカットの元へ迫るジャム。手からは少量の電気が放出されている。何か考えあっての突進なのは明らかだ。

 

「あーもう、次はこっち!?」

 

 ――どうせ間合いには入っていない。こちらの方が早く動ける。

 刃を構えて、大体の距離を予測する。ここなら当たる。そう腕を振ろうとした時だった。ジャムの握り拳が突如として開く。手から放たれていた電気の勢いが少し増したかと思えば、開いた両手を前方に構える。

 

「《ジャム・サンダー》!」

 

 瞬間、叫んだ彼女の両腕から光線のように電流が放出され、カットの動きを止めると同時に、大きなダメージを与えた。

 

「追撃いくわ!《ソードドラグーン》!」

 

 追撃の閃光。剣から放たれたそれはカットの体を中心で捉え、彼女を包むように撃ち抜き吹っ飛ばした。それを目視した2人はお互いの目を見て頷き、彼女が吹っ飛んだ方向へダッシュ。

 

「くっそぉぉぉぉ!!」

 

 土煙の立ちのぼっていた場所の中心から、何かが裂ける音が連続して聞こえる。土煙は一瞬にして霧散し、その中から少女が1人姿を現した。腕の刃は欠け、ボロボロになりながらもなんとか持ち堪えたようだ。

 

「私はただ好きなように生きていたいだけ……まぁ、今更被害者ぶるつもりもないけどさあっ!」

 

 大きく横に刃を一振り。能力の威力は健在なようで、彼女を追ってきた2人はピタッと足を止める。

 

「ねぇ、まだ戦うの……?」

「何ぃ?この期に及んでなになに、まざるちゃん?あぁ〜私はまざるちゃんも枠島センパイも殺したくて仕方がないのにぃ〜。大人しく殺されてくれちゃうわけ?」

「殺すとか殺されるとか、そんなの……」

 

 気圧されてしまって言い淀む。ああ、やっぱり戦うしかないのか。と、ジャムは拳を握った。

 

「全部使うわ」

 

 カットが何か言ったかと思えば、背中から翼のようなものが生えた。シャープで機械的なその見た目は、彼女の持っていたナイフを彷彿とさせる。

 

「はああああっ!!」

 

 地面に片手をつき叫ぶと、地面はワナワナと揺れ始める。何かを察したのか、すぐに2人はその場を離れる。

 

 ザクザクッ、バキバキッ!!

 

 レンガ模様の地面は突如として切り裂かれ、轟音を鳴らして破片を辺りに飛ばす。

 

「ハハハハッ!」

 

 淡い空色の瞳がピカリと揺らぐ。クルクルと彼女が右手で回していたナイフも同じ色の輝きを放つ。

 

「来るわ!ジャム、力入れて!」

「はいっ!!」

 

 口角が上がると同時に翼がほんの一瞬だけ光り、あっという間に距離が縮まる。ナイフから放たれている光が軌跡を描く。

 

「《ホープレス・カッター》ァァァッッ!!」

 

「はあぁぁぁッ……《ストレート・ソード》!」

「うああああっ!」

 

 受け止めようと剣を構えるソード、力を込めてバリアを貼るジャム。スピードで突破を試みる彼女に対し、2人はパワーで勝負というところだろうか。

 互角。衝突した2つの光。ソードとカットはお互いの顔をジリジリと睨む。

 

「死っ、ねっ、よぉぉぉぉ!!」

「ここで負けるわけにはいかないの……私と……ジャムは!!」

 

「「ううううぅぅっ……」」

 

 バキィン!と音が鳴って、2つの刃はお互いを弾きあった。でも、大丈夫。そう言っているかのようにソードは笑う。

 

(私は、私たちはひとりじゃないもの)

 

「はああああっ!!」

 

(そうよね?まざるちゃん)

 

 バリバリと弾ける電流がジャムの右手に集中する。勝負をつけるにはここしかない。ここで頑張らなければ負けてしまうから。

 この間までは上手く想像できなかった、その場に電気を留めるというイメージが、今は何故か簡単に想像出来る。渦のように吸い込まれていくオーラの奔流。中心にあるのは、赤い、赤い拳。

 

「あーあ……」

「ぶっ飛べぇ!《ジャムランページ》!」

 

 カットへ強烈なパンチが炸裂。凄まじい轟音が鳴り響いたかと思えば、その直後、纏っていたエネルギーが拳の先、中指の辺りに集中し始めた。

 

「サンダァァァァァ!!」

 

 バリバリバリバリ!

 

 ジャムの拳から放出されたエネルギー。それは雷のような光線に姿を変え、青の魔法少女を貫き天へ昇った。

 




 お読み頂きありがとうございます。
 まざるみたいな性格のキャラクターには、やっぱり強烈なパンチやキックが映えるような気がしてます。
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