オトギテール RIVAL   作:爆裂おいしい君

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3章、本格的に始まります!


Ep.22「遭遇!ベイス」

 

「あいさちゃん!おはよ!」

「…………」

 

 なおがまざるの姿をじっと見ている。

 

「あいさちゃん!おはよ!」

「…………」

 

 なおがそう叫ぶまざるの姿をじーっと見ている。

 

「あいさちゃん!おはよ!」

「…………」

 

 事務所の壁に向かって叫ぶまざるをじーっと見ていた。

 

「おい早苗!あのバカは何をやってんだ?」

「えっ僕!?さ、さぁ……何でしょう、挨拶の練習?」

「あぁ……?なお!何してんだ?」

「さぁ?挨拶の練習みたいよ。明日学校でまた勧誘してみたいんだって」

 

 3人は並びながらまざるの姿をじっと見た。疲れてきたのか、恥ずかしくなってきたのか、まざるはふぅ、と息をついてそれをやめた。

 

「きっと大丈夫!恥ずかしがってるだけだって。もっと仲良くなれば、心も開いてくれるよ!」

「ケッ、そんなもんかねぇ」

「まぁ、それにしても相手のことをもっと知らないとね。カットの時みたいになったら困るし」

 

 コンビニで買ってきたスルメをちゅうちゅう食べ始めると同時に、なおが静かになる。まざるも水を飲み始めて、静寂が訪れた。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「あいさちゃん!おはよ!」

 

 本番!教室に入って早々、まざるはあいさの席へ行って彼女へ挨拶。

 

「あ、……うん、おはよう」

「…………」

「…………」

 

 空気が、凍りついた。今思えば、挨拶を練習したとて会話が盛り上がるわけでもないのだ。

 

「うどんといえば……天ぷらだよね!」

「あ…………私は、お寿司も、好きかな」

 

 次に話したのは授業中。過去のものと比べて会話が少し盛り上がったような気がして、まざるは少し嬉しかった。

 

「お寿司……いなりとか!」

「うん…………いなり…………」

「私もいなり好き。甘いのがいいよね」

「うん……」

 

 ――そういえばいなりは最近なかなか食べていない。

 まざるは頭にいなり寿司を浮かべてみた。無性にお腹が空いてきて、腹がぐぅと音を立てた。

 

「あぅ……」

「……」

 

「そうだ!ね、あいさちゃん……」

「……?」

 

 本題を思い出し、手をぽんと叩くまざる。あいさは首を傾げた。

 

「昨日のこと、もう1回考えてくれない?」

「うーん……」

 

 前髪越しに、あいさの瞳が揺らいだ。

 

「むぬぬぬ……」

 

 じーっとその目を見るまざる。あいさは彼女から瞳を一切逸らさずに答えを出した。

 

「ごめんなさいっ……えと、私、い、苺園さんと違う目的で戦ってるから……やっぱり、あ、あなたとは一緒に戦えない……」

「そっ、か……」

 

 瞳揺らげど、意志は揺らがずか。

 ――いや、待って。今なんて言った?

 

「……あいさちゃん、今――」

 

 その瞬間、耳から聞こえた音にハッとした。授業の終わりを知らせるチャイムでまざるの言葉は遮られる。椅子の動く音が鳴り響く。聞くタイミングを逃してしまった。

 

(さっき、確かに違う目的って……。うみちゃんみたいに力を集めて強くなるため?それとも誰かのため?何か別の……うう、後で相談だなぁ……)

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「ってことがあったんだけど」

「へぇ」

 

 何か考えているなお。その横でプルプルとうみが震えている。

 

「怪しすぎるだろ!」

「え、でも……」

「大体お前はお人好しすぎんだ!かわるも言ってたぞ、お前は人を信じすぎるって!」

「えっ、ちょ!なんでそこでかわるが出てくるの!」

「あーも、うだうだ口論してないで。冷静に話しましょうよ。……とはいえ、本人から聞いてみないと分からないことだらけね。うみちゃんのような動機でなければ、きっと何らかの組織や人物がバックにいる。それで、バックの奴らは肉片を集めて何かを企んでいる、ってのが私の予想ね」

「ふ〜ん。なるほど一理ある」

「えっ、うみちゃんは理解できたの!?」

「あのなぁ……」

 

 1回で理解できなかったまざるのために、なおがペンと紙を用意してわかりやすく図にしながら説明。頷くまざるを見る限り、今度は理解できたようだ。

 

「ふむふむ、なるほど〜」

「っていうわけよ。そうなると、彼女の勧誘はいよいよ無理ってことね。さて、どうしたものか……対立して戦闘になる、なんて避けたいところだけど……」

 

 これ以上は考えても仕方ないか、となおが伸びをすると、夢野が奥から飛び出してきて、3人にスマートフォンの画面を見せる。

 

「で、出ましたっ!ユウナンの方にっ肉片が!」

「っしゃあ!行くぞ!」

「そういえば、3人で行くのは初めてだね!」

 

 期待と希望を握りしめて、3人は意気揚々と飛び出した。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「見つけた!」

 

 都会にある複合施設ユウナンとその周辺、3人は黒い影を捉えた。低いビルの屋上から跳び降りながら、名乗りを上げる。

 

「痺れる春の嵐!オトギジャム!」

「誠実なる剣!オトギソード!」

「なっ……これあたしもやんのか!?あ〜〜〜、もう!」

 

 少々ノリの悪い少女が1名。結局その場の空気に負けて、遅れて名乗りを上げる。

 

「破壊の紫電!オトギグラビティ!……ッハァ!」

 

 前言撤回、かなりノリノリだ。スタイリッシュに着地した彼女らは、街に出没した肉片の姿を見る。

 

「…………?」

 

 が、様子がおかしい。引っこ抜いたのであろう道路標識をグイグイと曲げたり、持ち上げたりしている。それはまさに、遊んでいるような。それに、今になって見てみると今まで見てきたものの姿と特徴が異なる。個体差はあれど、今までのものはあそこまで筋肉質のようには見えなかったし、何より今回の個体は体色がやや青い。

 

「よく分からないけど、とりあえず倒そっ!」

 

 ジャムが先陣を切って、拳に電気を纏いながら突撃。放たれた打撃と、相手の振るった道路標識がぶつかる。

 

「あぎゃ!?」

 

 予想外の反撃。しかも、それが思ったよりも重かったらしく、標識はへこんでしまったが、ジャムを後方へ突き飛ばすことには成功した。

 

「ジャム、大丈夫!?」

「う、うん。余裕ですっ……」

 

 受け身をとって、睨みつける。変な行動をしているが、パワーは今までのよりも強いかもしれない。ジャムはぐっと体に力を込めた。

 と、その時だった。風を切る音とともに空から誰かが降りてきて、車両用信号機の上に真っ直ぐと立つ。朱いオーラを纏う大男。彼は彼女ら、そして青黒い影を見下ろしながら言う。

 

「よぉ、魔法少女ども!この俺様が作った分身はどうだ!重く、硬くしなやかで強いだろう!まぁ、少々好奇心が強すぎるがな!ガハハッ!」

 

 豪快な口調。大袈裟に笑う。男は首と肩をグリグリと回して、パキパキと音を鳴らした。

 

「我が名はベイス!そしてこれは……貴様らへの宣戦布告だァッ!!」

 

 高く跳んだかと思うと、着地をすると同時に両腕で地面を叩きつける。アスファルトの砕ける音が鳴り響き地面が揺れる。衝撃波が放たれて、魔法少女たちが仰け反った。

 

「何……なの……!?」

「もしかして……あれがあいさちゃん――アッシュの!」

「なんちゅー筋肉ダルマだっ!?」

 

 土煙が散る。へこむ地面に立っているのはベイス。腕を組んで、余裕げにジャムたちの方を見ている。

 

「宣戦布告って……一体どういうこと!?」

「そのままの意味だ!俺たちは貴様らの野望を打ち砕きにきたっ!」

「何を言ってるか分からないけど、この世界をめちゃくちゃにするのは許さないからっ!」

「フッ、どの口が言う!ええいこのままでは埒が明かん!こちらから行かせてもらうぞ!」

 

 キューンと音を立てて、朱いエネルギーが右手へ集まる。

 何かが、来る!そう確信したジャム。精神を研ぎ澄まし、両目でベイスを捉える。

 

「ハァァァァァァッ!!」

 

 右手を前に突き出し、目にも止まらぬスピードで猛進するベイス。しかし、ジャムも彼の姿を捉えた。スレスレのところでバリアを展開。

 

「貴様只者では無いなッ!」

 

 突き破られながらも、両腕で打撃はしっかりガード。痛いが、ここは我慢するしかないと、歯を食いしばる。電磁バリアの影響でベイスの動きが少し鈍ったのを確認すると、仲間たちの方にアイコンタクト。状況を判断し瞬時に動いた2人が彼を囲んだ。

 

「ふんっ!《グラビティ・ウェイト》!」

「《ストレート・ソード》ッ!」

 

 グラビティの能力で、放った重いエネルギー球から鎖が伸びベイスの足首に巻き付く。ただでさえ鈍っていた動作がさらに鈍化し、身動きが取りづらくなったところにソードが渾身の一撃を叩き込んだ。

 

「フハハハハハ!面白い!」

 

 ベイスは笑い声とともに強烈な朱い衝撃波を周囲に放出。自身を囲んでいた魔法少女たちを弾き飛ばし、自身の作り出した分身に命令。

 

「やれぃ、我が分身!」

「しまっ――」

 

 連携はバッチリ。分身の拳はグラビティの体を捉え、強烈なアッパーカット。投げられたボールをバットで打ち返すように、それを宙へ吹っ飛ばした。

 

「グラビティ!」

 

 ジャムは思わず浮かぶ彼女に向かって叫ぶ。とんでもないこと敵が現れてしまったと、ジャムは頬に汗を流した。

 




お読み頂きいつもありがとうございます!今言うことか分かりませんが、3章結構長いです!
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