2話目はいつも通りのボリュームあります。これの投稿から1分後に出ます。
「っしゃあ!」
「ううっ……」
軽快なステップから繰り出されたパンチ。斬撃よりも速い拳を、一心不乱に防御するアッシュ。
(一旦……一旦距離を取らなきゃ!)
何とか猛攻を振り払い、バックステップと同時に後ろを振り向き、逃げるように走り出す。
壁に手を当てて、深呼吸。黒い液体がじわりと体から滲み出てきて、ソードに攻撃された箇所にまとわりついて鎧を修復し始めた。
(何して……!!)
アッシュの行動の意図がすぐに理解出来た。どうやら今日は特別勘が冴えているようだ。
「させないっ!」
走るスピードが更に上昇する。アッシュは修復を中断して、脚部に力を込め、その場でぐっと膝を曲げる。迎撃の姿勢だ。
「はぁっ!」
飛び出したアッシュの突き出す右手から何やらガシャガシャと音が鳴る。黒い篭手はみるみるその形を変え、鋭い爪のような形状へ変形する。
「嘘、マジ……」
黒の刃が微かに頬をかすめる。思わず攻撃の手が止まってしまった。
「纏って終わりかと思ってたけど、その状態でも結構応用利くのね……。そう……」
攻防交代、武装したアッシュがソードを切りつけては、左手でパンチを叩き込む。身体能力の向上もあり、ラッシュのスピードはソード以上。
「なんか、それって……羨ましいかも!」
どこかへ弾け飛んだソードの剣が空から彼女目掛けて飛来する。いくら刺突や斬撃に強いとはいえ、猛スピードで迫るそれを受け止めるのは容易くない。剣は左肩の鎧を粉砕して、ソードの右手に納まった。
「っ……!どこから!」
「でも!」
よろめくアッシュに思い切り力を込めた袈裟斬りを放つ。ダメージの具合は分からないが、とにかく怯んではいる。
「不器用でも!一直線を極めてみせる!」
左ストレート。いつの間にか入っていた鎧のヒビが大きくなった。そんなことには目もくれず、ソードは次の攻撃ことだけしか頭になかった。
右脚にエネルギーを集中。身を翻し、大きな剣のようなオーラを纏わせた回し蹴りが鎧のヒビを裂くように放たれる。
パリィンッ!
後方へ大きく吹っ飛んだアッシュ。ソードの狙い通り鎧はその形状を保てなくなり、被弾箇所から崩壊し始めた。液状化した鎧がドロリと垂れて、アッシュの服や肌が顕になった。
「……!!」
慌てふためいて自身の頬に、胸に、腕に触れるが、鎧の液状化は止まらない。
「勝利宣言をさせてもらうわ!」
数歩後ろに下がって、間合いの調整。アッシュの位置をしっかりと目で捉えては剣を構える。剣にエネルギーを集中させると同時に、黄色のオーラを放ちながら走り出す。
「《エクスカリバー》ッ!!」
――剣と1つになる。
そんな感覚がした。
ビイィィィィィィンッ――
一刀両断。黄金色をした閃光が、アッシュを斬りつけた。黒い液体が宙を舞っては、光の粒となって、雪のように散らばった。
「案外やれるじゃない、私も」
ソードが振り向くと、変身の解けたあいさが、目を回して倒れていた。安堵の息をつくと、急激にソードの体を痛みが襲う。
「いっ……!?」
副作用だろうか。痛む上、体に力が入らない。握っていた剣がカラカラと音を立てて落ちる。とうとう立つことも難しくなって、ついにはその場で両膝をついてしまった。
「でも……私の勝ち。よね?」
――――――――――
「ケルウェイルゥ!」
「ああ。そうだな」
ボロボロのベイスはフラフラとした足取りのまま、拳を握った。ムネツグの方も既にボロボロ、しかし決着をつけるべく同じように拳を握った。
「ウガアアアァッ!」
「…………!」
ドン!と鈍い音が鳴る。
両者の拳はお互いの頬に直撃した。最後まで立っていた方が勝者。
「ケ、ルウェイル……!!」
純粋なパワーだけで見れば、圧倒的にベイスの方が上だ。だが蓄積されたダメージも圧倒的に彼の方が上。その根性もついに尽きてしまったか、巨体が仰向けにドサリと倒れた。
何階もぶち抜かれた天井を見上げながら、ムネツグは想いを馳せる。今からでも屋上で戦う彼女らに加勢したいが、体に余力はもうそれほど残っていないと、痛む右手を押さえて、壁にもたれた。
お読み頂きありがとうございます。
エクスカリバー、少しありきたりかもしれません。でも頑張って考えました。
Ep.38も同時投稿です。よろしくお願いします。