オトギテール RIVAL   作:爆裂おいしい君

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短くてごめんなさい!


Ep.39「最後の火柱」

 

「ぐわあああああああっ!?」

 

 強烈な電撃に貫かれ、かなりの距離を吹っ飛んで宙を舞うインヴァ。受け身もままならず、うつ伏せの姿勢で着地した。

 

(圧倒的だ……!)

 

 俯くインヴァの纏う炎は今にも消えそうだ。悔しげに拳を床へと叩きつけると、その炎が再び激しく燃え出す。

 

(ならそのレベルに行ってやる……僕も!!)

 

「うおおおおおおっ!!!」

 

 激しい炎が燃え立つ、炎は大きな火柱となり、インヴァの体を包み込んだ。放出された高温に、思わずジャムは怯んで後ずさる。

 火柱が消える。燃え尽きそうな勢いで全身を燃やすインヴァの姿が見える。辛うじて原型を保っていた元の翼は完全に燃え尽き炎の翼となり、頭部もところどころ炭化して、その姿は煉獄の悪魔のようだった。

 

「君たちを倒して、ケルウェイルを討てば何もかも終わりだった。その予定だった……。でも、今は忘れることにする……!今はただ、君を全力で倒したいっ!」

 

 圧倒的爆発力で飛び出したインヴァをジャムが超速で迎撃する。ぶつかった拳と拳、腕と腕。弾けるように2つが離れたかと思うと再び2つは相見える。

 

「《バーストレイ》ッ!」

 

 拳にエネルギーが集中する。この火力だ、バリアで防げないのは明白。ジャムはサーベルを装備しては拳を受け止める。インヴァの拳から炸裂した爆風、それを一瞬のうちに余すことなく、ジャムのサーベルが抹消する。

 

「そこぉ!」

 

 必殺技の後はもちろん隙がある。拳を受け止めたと同時にインヴァを突き飛ばしては、間髪入れずに彼の腹部を斬りつけた。

 だが、それで終わる彼女ではない。クルッとターンをして、再び刃を向ける。電流がジリジリと刃の上を走った。

 

「はあぁ……!!」

 

 迫るジャムに対して、インヴァは両腕に紅蓮を纏い、笑って胸を張る。

 

「アハハッ!……速さ比べでもするかい!?」

 

 桃色の刃と燃える拳の距離が急激に縮んだ。

 

「オラオラオラオラ!!」

「……ッ!このっ……!!」

 

 キンキンキンキンッ!

 軽い金属音のような音が鳴り響く。桃色の粒子と炎の粒が残像のように宙を舞って、ジェットエンジンのような勢いで放たれる連続パンチとジャムの斬撃が激突する。

 

「ぶっ飛べぇぇぇ!!」

 

 パンチのスピードが上昇する。いよいよジャムも捌ききれなくなってきて、ついにジャムの虚を突いた。一瞬の出来事だが、インヴァはそれを見逃さない。炎の出力を一気に上げて、ジャムを打ち抜く。

 ジャムが瞬時に展開したバリア。容易く破壊されるが威力自体はほんの少しだが弱まったようで、致命傷にはならなかった。姿勢は崩さないものの吹き飛ぶように大きく仰け反って、その踵が煤にまみれた床を削る。

 

 もうこの際、現在(いま)と未来のダメージなんて知ったことか。サーベルを構えたジャムは決死の表情で走り出す。

 

「くらえ――!」

 

 刃に走る電流の勢いが強まる。何か大きな一撃が来ると、インヴァは身構えた。

 飛び上がったジャムの構えた切っ先がインヴァを捉えた。思い切り振り下ろしたそれを、インヴァの黒い両腕が受け止めた、その瞬間。

 

 防御した両腕、その斬りつけられている箇所に付着している桃色の粒子に気付いた。それに気付いた瞬間、他の箇所にも桃色の粒子が付着しているのが分かった。

 ――何か、されている。

 だが、時すでに遅し。

 

「《ジャムサーベル・ディフューーーズ》ッ!!」

 

 斬りつけてすぐに飛び跳ねたジャム。両手をインヴァの方に向けてそう叫んだ。

 

「まさかっ!」

 

 インヴァの全身に付着していた粒子が次々に発光する。最初に斬りつけられた横腹、そして幾度となく斬撃を受けた両腕のものもピカピカと何か反応し始めている。煌めきが最高潮に達した瞬間、脇腹の光がズバッと弾けた。

 

 ババババババババババッ!!

 

 電撃が両腕を切り裂き弾ける。防御も対処も不可能、予想外の攻撃に動揺して、体が硬直してしまった。

 

「ぐわあああああああっ!!」

 

 激しい光を放った両腕はかなりのダメージを受け、ぐったりと力が抜ける。痛みが抜けない、動けない。苦しみの中、目に映るジャムが動く。

 

(私もそろそろ限界か……!なら、ここで終わらせるしか……ないっ!!)

 

 軽快なステップの後に空高く跳ぶ。全身に纏っていた電撃エネルギーのその全てが右足に集中して、それを前方に突き出した。

 

 キック。

 

 最適な攻撃の選択が、奇しくも最高にヒロイックなポージングになった。睨んだ眼は力の抜けたインヴァを捉えて、つま先からは眩い光が放たれた。

 

「《ジャム・ライトニング》」

 

 刹那、桃色をした雷が空を走っては、炎の悪魔を貫いた。

 仁王立ちするジャムの背後でインヴァがうつ伏せに倒れて、炎の出力が大幅に下がった。

 

 ――負けた……?違う……僕が、……ッ!

 脳が惑って思考がまとまらない。体の炎が消えかかっているのが分かった。インヴァはなんとか力を振り絞って、何とかそれをもう一度燃え上がらせるように体へ命令を送る。燃えろ。

 

(……燃えろ。燃えろ、燃えろ、燃えろ、燃えろ、燃えろ、僕を――)

 

 少しづつ火力が上がっていく。反撃の狼煙が上がる。そんな時に、プツッと意識が途切れた。

 




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次回の更新で第3章終わりです!お楽しみに!
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