オトギテール RIVAL   作:爆裂おいしい君

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2話連続投稿の2話目です。バトります!


Ep.5「弾丸の雨!」

 

 ビーッと、まざるのスマホが振動する。

 

「なお先輩から……?」

 

 通知を見て、急いでメッセージを開く。

 

[《なお》

 『まざるちゃん集合!とりあえず事務所!』]

 

 幸い事務所はもうすぐだ。ポケットにスマホをしまって、集合地点へと駆け出した。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 銃声の直後。江崎を突き飛ばした男子生徒の右肩から血が吹き出る。

 

「あ……?」

「おまっ、血が……」

 

 2人はパニックに陥ってジタバタと駆けている。江崎は右腕に妙な感覚を覚えた。

 

(今、俺が撃ったのか…………?チクショウ、どうなってんだこれ……!)

 

 細く黒い猟銃のような形状に右手が変形している。銃口からは煙が薄く出ているのが見えた。

 右手に続き、全身が徐々に変形していく。数秒も経たないうちに、江崎の体は黒く硬い何かに覆われた。もう、彼の面影はない。背中から翼のような何かを展開し、高笑いと共に上空へと飛び立った。

 

 

 

―――――――――

 

 

 

「まざるちゃん!待ってたわ」

 

 走ってくるまざるの姿を見て、なおが手を振りながらそう言う。その姿を確認すると、彼女の後ろにムネツグがいるのが見えた。

 

「なおさん、一体何が……」

「向こうの方で発砲事件があったらしいの」

「ええっ、発砲事件!?怖っ……」

 

 救急車がサイレンを鳴らしながらどこかを走っている。サイレンに負けないようになおもなんとか声を張り上げる。

 

「……どうやら、肉片が関係しているようなの」

「えっ、それって……」

「そう、私たちの出番よ」

 

 なおはそう言うと胸の前で軽く拳を握りこんで変身する。まざるも戸惑いながら荷物をその場に置いて、彼女と同じように変身。

 

「今回は俺も行く」

「えっ、大丈夫なんですか……?」

「2人のようにはいかないが……とにかく、サポートくらいは出来る」

「分かりました!」

 

「ソード、ジャム。こっちだ」

「「はいっ!」」

 

 ムネツグの身体能力は高かった。2人にも劣らないくらいのスピードで駆けていき、軽快に移動している。

 後を追っていると、景色がどんどん変わっていく。見たことない場所から、見たことある場所、最終的に3人がたどりついた場所は、少し離れた街だった。

 

「ここだ」

 

 ビルがたくさん建っている。まさにイメージ通りの都会だ。イメージと違うところがあるとするなら……それはまさに、人々が叫び、次々に逃げているところだろうか。

 

 

 

――――――――――

 

 

  ババババババッ

 バリバリバリバリッ!!

 

 銃声とほぼ同時にビルの窓が割れていく。ジャムたちが空を見上げると、黒い何かで身を包んだ人型のものが、空を飛びながら弾丸を次々に放っている。

 

「これって、何…………」

 

 明らかに自分たちと同じ存在ではない、しかしそうにも見える何かに、ソードは戸惑った。横を見ると、ジャムも同じく困惑しているようだった。

 

「……悪いが、詳しいことは俺にも分からない。だが……恐らく、肉片が人に乗り移ったのだろう。つまり、いつも通りで大丈夫だ」

 

 それを聞くと、ソードはどこか安心して、ジャムと目を合わせる。

 

「行くよ!」

「はいっ!」

 

 2人は高く飛び上がって、銃の怪人へと一気に距離を詰める。

 

「なんだお前らっ!」

 

 振り向いたその顔を見ると、黒い何かが目を覆っていた。

 そして、話した。知性がそれなりにあるのか!?と、戸惑いを隠しきれない様子でソードが斬りかかるが、その剣は右腕で受け止められた。

 

「お前ら、俺と同じか……まぁいいや、とりあえず死ねッ!」

 

 受け止めた剣を振り払い、左の拳をソードに向けると、腕に取り付けられた機銃が煌めく。弾丸が放たれる瞬間、ジャムがバリアを展開し、それをなんとか防ぎきった。

 

「ありがとう、ジャム。あなたがいなかったら体中穴だらけだったわ」

「怖いこと言わないでください!……あっ、来ます!」

 

「オラァッ!」

 

 上空から黒い影が迫る。2人はお互いから離れるようにステップすると、その中心にそれが降り立った。

 

「チッ……!」

 

 バババッと、辺り一面に弾丸をばら撒く。再び飛び上がると、ソードに銃口を向け射撃。

 

「きゃっ……!」

 

 ジャムが近くにいない。つまりバリアは展開出来ない。剣で弾こうにも数が多すぎる。ソードはただ走って、銃弾の雨を避けていく。

 

「ちょこまか避けてんじゃねーよ!」

 

 アクロバティックにビルの壁を駆ける怪人。銃弾の雨は止まないまま、角度を変えてソードに襲い来る。

 

「相性が悪すぎる……!」

「さっさとくたばれッ!」

 

 ついにソードに追いついた怪人が彼女の方へ飛び込む。

 咄嗟に剣を構え防御しようとするが間に合わない。胸部に強烈な蹴りを叩き込まれ、銃から放たれた弾丸のように吹き飛んだ。

 

「フンッ……」

 

 怪人は右腕の猟銃を構え、頭を撃ち抜かんと照準を合わせる。

 

「ダメダメダメーッ!」

 

 横から猛スピードでジャムが飛んできて、右腕を掴んで抑える。右腕を振り回すが、がっしりと掴まれていてなかなか振りほどけない。

 

「《ジャムパルス》!!」

 

 強烈な電撃が放たれ全身を駆ける。左手の機銃でジャムを撃ち抜こうと乱射するが、浴びた電撃のせいでなかなか思うように当たらない。

 

「離せ、このっ!」

「ソード!!」

 

 名を呼ぶと、全速力でソードが向かう。オーラを纏った剣と瞳が煌めいて、銃の怪人を捉えた。

 

「《クロスソード・ストライク》ッ!」

 

 強烈な袈裟斬り。そして逆側から、X字を描くようにもう一度斬りつける。斬りつけた箇所からエネルギーが溢れ出て、炸裂したと同時にその体を後方へと吹き飛ばす。

 

「お前らっ……いい加減にしろよッ!!」

 

 受け身を取り瞬時に反撃。弾丸が如く猛スピードで突進し、両腕による強烈なラリアットで2人の体を大きく突き飛ばした。

 

「きゃあっ!!」

「ハハハァッ!!」

 

 突き飛ばされ壁にめり込んだ2人に向かい、右腕に集中させたエネルギーを解き放つ。轟音が響き、瓦礫がバラバラと崩れていく。

 

「ハハハハ…………!」

 

 静寂が訪れた。怪人が両腕の力を抜くと、首から音をバキバキと鳴らす。そんな時、ふと背後が気になった。

 

「…………」

 

「マジかよ……」

 

 かすかに見える桃色のオーラ。土埃が散り、2人の戦士がボロボロになりながらも怪人の方を睨んでいる。

 

「こんなの……大したことない……」

 

 ジャムが口を開き、握った拳を顔の前で構える。

 

「チッ!」

 

 舌打ちすると2人に向かい射撃を始める。先程の戦闘で消耗してしまったのか先程よりも射撃精度が悪く、本体の動きも鈍くなっている。

 ソードとジャムが弾をいなしなから一歩一歩近付く。それに合わせて怪人も一歩一歩後退していき、そのスピードを上げた。

 

「ジャム!」

「ここで仕留めましょう!」

 

 怪人はよろけながら走り逃げ出して、ビルの壁や信号機の上、様々な場所を足場にして街を駆けていく。

 

「来んじゃねえっ!!」

 

 同じように街を疾走し追いかけてくる邪魔者に発砲するが、弾速の落ちたそれを避けることなど容易であった。黒い銃弾は命中しないまま地面に落ち、2つの光が迫り来る。

 

「このっ……!!」

 

 ついに痺れを切らしたか、先程、大技を放った時と同じように右腕にエネルギーを集中させた。猟銃から放たれたエネルギーは2人に届くことなく、地面に衝突し弾けた。

 

 衝撃波に身構える。土埃が晴れると、そこには怪人の姿はなかった。

 

 

 

「逃げられた…………」

 

 ソードの頬に、ツー……と、汗が一粒垂れた。

 

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