オトギテール RIVAL   作:爆裂おいしい君

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 さやのちゃんが出ます。とにかくさやのちゃんが出てきます。さやのちゃん以外も出てきます。


第2章 青の魔法少女編
Ep.8「その名は砥川さやの」


 

「枠島先輩……いや、『ソード』、……。私はあなたの秘密を知っています」

「!!」

 

 鳥肌がヤバい。なおは寒気がした。なぜ、知っている?

 

「何の話よ」

 

 ポーカーフェイスは得意だ。なおはその女子生徒を一蹴しようとするが……

 

「しらばっくれても無・駄、ですよ。何故なら私はあなたの写真と動画を持っているから」

「はぁ、全く……」

 

 スタスタと歩いているが向こうに引く様子はないようだ。最終的に、なおは女子生徒のスマホを通して動画を見せられた。複合施設ユウナンの周辺で銃の怪人と戦闘を繰り広げているソード、そしてジャム。そしてもう1つ見せられた動画。いつ撮られたものか分からないが、ソードの変身が解け、なおに戻る様子がバッチリと映されていた。

 

「はぁ……!?」

「まぁそういうことですよ」

「あーもう……そうよ、私よ。まさかこんな感じでバレるなんて思いもしなかったけど。それで、何が目的?あなたの名前は?」

 

砥川(とがわ) さやの……。先輩たちの協力者になりたくて来ました♪」

「はぁ…………場所、変えましょうか」

 

 2人は駅周辺のあのファミリーレストランへ向かい、案内されたテーブルのソファに座る。しばらくして注文していたフライドポテトが届き、それをサクサクと食べながら話す。

 

「まぁ、言いたいことは分かったけど……。ところで、あなたも魔法少女なの?」

「そんなわけないじゃないですかぁ!もし仮にそうなら、あの時にズバッと助けてますよぉ」

「それもそうよね……なんとなくだけど、あなたはそういう性格な気がする」

「そうですかあ?じゃあ――」

 

「待って」

 

 ピタッとポテトを食らうさやのの手が止まる。少しすると再び口と手を動かし、それをパクパクと食べ切るとごくんと飲み込んで、なおの方に顔を近付ける。

 

「えー、なんでですかぁ?」

「いや、協力したいっていうのはもちろん嬉しいしありがたいのよ?でも、ジャムがなんて言うか分からないし……他にも仲間がいるから、他の人にも聞いてみないと……」

「そーですかぁ……じゃあ今度会わせてくださいよ!」

(この子、グイグイ来るわね……)

 

 最後のポテトを食べて、席を立つ。「また今度お話ししましょ」と支払いを済ませ、店を出た。

 

「えー…………まぁいっかぁ、連絡先も貰ったし」

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 時は少し遡り、とある中学校で。

 

「うみちゃーん?ちょっとそこでじっとしてて……ねっ!」

 

 放課後、2年3組の教室内。気弱そうな女子生徒、金陽(かねひ) うみが帰る準備をしていると、窓際に立つ茶髪の女子生徒に声をかけられた。彼女はニヤケ面でおもむろに右手を振りかぶる。手に持っているのは小さい水風船。

 

「ひゃっ!」

 

 パシャッと音が鳴り、机の周辺に水がぶちまけられた。机はもちろん、カバンも制服も濡れてしまっている。

 

「あはははっ!」

「やっぱ小さくても水散っちゃうなぁ……後で拭いといて」

「へいへい」

 

 嘲笑。うみは悲しげな表情で濡れたカバンを背負って、何も言わずに教室から去る。

 

「泣いちゃうかな〜?」

「こんなので?」

「さ〜あ〜ね〜」

 

 茶髪の生徒は雑巾で机を拭きながら、窓から景色を見ている金髪の女子生徒たちと笑い合う。拭き終わったところで、彼女は水風船のゴミを拾い上げて、証拠隠滅と言わんばかりにポケットの中へ入れた。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「あ、金陽さん!」

 

 夕暮れ時、着替えもせずにびしょ濡れのまま帰る少女が一人。するといきなり声をかけられ、彼女はビクッと怯えたような表情で振り向く。

 

「一緒に帰らない?」

「う、うん」

「金陽さん、服濡れちゃってるけど何かあったの?」

「ううん、ちょっと水こぼして……()()()()、今日は部活ないの?」

「ああ、バスケ部?やめちゃった〜」

 

 苺園 かわる。まざるの妹。まざるよりも短いヘアスタイルで、印象もおおらかそうで性格も温厚だ。うみとは去年同じクラスで、そこそこ仲が良かった。

 

「そうそう、この間ね、お姉ちゃんがなかなか帰ってこなくてさ〜」

「えっ……」

「そしたらほんと夜遅くに連絡来て、友だちの家泊まってる〜って。本当、心配するよね〜」

「うん……早めに連絡してもらわないと心配しちゃうよね。……苺園さんのお姉ちゃんってどんな人?」

「うーん……おっちょこちょいだけど他人思いで、いいお姉ちゃん!」

 

 満面の笑みを見せるかわる。うみは何故だか、羨ましいと思ってしまった。

 

「あ、バイバイ。苺園さん」

「そっか、金陽さんはそっちの方向だよね。……うん、またね!」

 

 ずっとこの時間が続けばいいのにと思ってみても、時というものは残酷。かわるに向かって手を振りながら、うみは心の中で呟いた。

 

(学校に行くのは辛い。でも、今日みたいな日があったら嬉しい)

 

 春風と陽気のせいか、濡れていた服がいつの間にか気にならないくらいに乾いている。うみの顔から微笑みがこぼれて、一歩踏み出した。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「バババババ、バレちゃった!?」

『えぇ、まぁ、そうみたい』

 

 学校から帰宅し、リビングでくつろいでいたまざる。テレビの音に紛れて、彼女のスマートフォンが着信音を鳴らしていた。まざるが出てみると、電話の向こうからなおの声。その内容に驚いてしまって、思わず叫んでしまった。かわるの視線を感じ取ると、今度は逆にとても小さな声で話し始める。

 

「砥川さやのちゃん……うちにはいないから、多分よそのクラスだと思う」

『同学年だし、もしかしたらと思ったんだけど、まぁそう上手くはいかないわよね』

「あの!私、会ってみたいです!さやのちゃんに!」

 

 「ええー……」と、電話の向こうから声がする。何を渋っているのかと、まざるは分からなかったが。

 

『うーむ。……分かったわ』

 

 少し溜めて、言う。

 

『じゃあ、また後で連絡するわね。ありがと』

「はい、ありが――」

 

 プツン。言い切る前に電話が切れた。

 砥川さやのちゃん。一体どんな子なんだろう?まざるはワクワクを隠しきれない様子で。

 

「はあぁ……」

 

 正直怪しさ満点だが、まざるも会いたいと言うのなら仕方ない。

 

「仲間がいる。私1人で決めちゃいけないわよね」

 

 と呟いてみる。だが。でも、しかし――

 

「不安だわ…………」

 




 まざるちゃんの妹、かわるちゃん。姉妹そろって変な名前ですが、まぁよろしくお願いします。
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