オトギテール RIVAL   作:爆裂おいしい君

9 / 32
 前書き……何を書けばいいんでしょうかね。


Ep.9「はじめまして!」

 

 昼下がり。とあるカフェの屋外席に座る2人。

 

(遅いわね……)

(遅いなぁ……)

 

 1人目、枠島 なお。

 そして2人目、砥川 さやの。

 集合時間は13時。現在時刻は13時10分。まざるが来ない。流石にこの時間だ、寝坊はありえないはずだが……。と、なおが考えを巡らせているうちに、彼女はひょっこりと現れた。

 

「ごめんなさい!おばあちゃん助けてたら遅れちゃいました」

「そんなところだろうと思ってた……」

 

 なおはサンドイッチをひとかじり。そこに座って、と言わんばかりに椅子を指さし、まざるはその指示通りに座る。

 

「枠島先輩、ということは……」

「ええ。オトギジャム、苺園まざるさん。顔くらいは見たことあるんじゃないかしら」

「あ、私がかっこつけて言おうと思ったのに」

 

「はあぁ〜!苺園さん、どうぞよろしく」

 

 さやのが手を差し出すと、何のためらいもなくすぐに握手。なおは安堵と心配が同時に襲いかかってきて、少し混乱した。

 紅茶を一飲みして一旦リフレッシュ。感情の整理をつけてなおが口を開く。

 

「それでまざるちゃん、砥川さんのことなんだけど」

「え?あ、いいんじゃないですか?」

 

 即答。皿の上にあったお菓子をパクッと食べ、続ける。

 

「それに、協力者がいると動きやすいと思いますし」

「まぁ、そうね」

 

 なおはサンドイッチを食べきると、空っぽになった皿たちを確認して立ち上がる。

 

「よし、じゃあ行きましょうか」

「え?どこに……あ!」

「え?なになに?」

 

 一旦は怪訝そうな顔をしたまざるだったが、何かに気付いたような表情で。さやのは何のことやら分からないままで、まざるの顔を覗き込む。

 

「お・た・の・し・み」

「そんな渋るものでもないわよ……」

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「と、いうわけで砥川さんが仲間になりました」

「おー、おめでたいね〜」

「よろしくお願いしまぁす」

 

 到着したのは飯島探偵事務所。さやのはソファに座りニコニコとしている。

 

「あれがはるさんで、あそこにいるのがムネツグさん」

 

 笑顔で手を振るはると、無表情のまま頷くだけのムネツグ。ちょっとした所作だが、彼女らがどういった性格であるのか分かりやすい。

 

「……得意なことは」

 

 ムネツグはぬらりとさやのの方へ近付き、彼女を見下ろして言う。これでは驚いてしまうだろう、となおはムネツグへ視線を向ける。

 

「えーと、SNSの情報収集とかぁ、あとは聞き込みとか」

 

 質問の意図を理解し、驚くほど冷静に、平然と答える。ムネツグはこくりと頷いた。

 

「なおもはるも俺も苦手な分野だ。なお、色々教えておいてくれ」

 

 採用、と言わんばかりにぎこちないサムズアップを見せて、再び奥の方へと戻っていった。

 

「まざるちゃん!」

「うん、さやのちゃん!」

 

 アハハハ〜と笑いながら、2人は手を繋いでグルグル回る。お互いのことを名前で呼んで、もうすっかり打ち解けたようだ。

 

「砥川さん、とりあえず私たちの目的について教えるわね」

 

 眼鏡をクイッと上げる。肉片のことやムネツグの目的のこと、幸いさやのは要領がよく、ふむふむとスムーズに理解していく。

 

「なるほど……つまり私は肉片とかの情報を収集して、素早く皆さんに伝える、ってところですかぁ?」

「そういうこと。何かあったらすぐに教えて」

 

 なおはさやのの肩をガシッと掴み、その目をじっと見る。

 

「先輩」

「あっ、ごめんなさい」

「いや、なんか出たみたいです」

「えっ」

 

 さやのがなおにスマートフォンの画面を見せた。

 

「肉片だ」

 

 数秒遅れてムネツグが奥の方からレーダーを持って出てくるが、先程まで騒がしかった彼女らの姿はなかった。

 

「……早いな」

 

 事務所を急いで出たものの、3人はその前で一旦立ちどまる。

 

「えーっと、この路地は……あぁ、あの大きな病院の近くみたいです。ほら、学校の近くにある」

「あぁ、あそこかぁ!」

 

 と、ポンと手を叩くまざる。2人はさやのの端末に写っているSNSの写真をじーっと見て、お互いの顔を見合わせる。

 

「危険だから砥川さんはここにいて」

「うんっ、何かあったらメッセージ送ってね!」

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「何かとくっつく前に探さないと!」

「路地って言ってたわよね。全く骨が折れるわ……」

「これ以上情報はないみたいでしたし、地道にいくしかないですね」

 

 …………沈黙の後、2人は間にいるもう1人の少女を見た。

 

「砥川さん、いつの間に……」

「てへ。来ちゃいました。でも、2人で探すより3人で探した方がいいじゃないですか?三人寄ればなんとやら、ですよ」

 

 手分けして路地を探すが、それっぽいものは見つからない。

 

「まざるちゃん、そっち何かあった?」

「いや、ないです……。もしかしたら、もうどこかに逃げてたり……」

 

 暗い場所や目立たないところ、くまなく探してもやはりいない。まざるの言う通り、もうここにはいないのか……と、なおがそっと俯いたその時、さやのの叫び声が響いた。

 

「あーっ!!」

「なにー?」

 

 2人がさやのの方へ向かうと、道路に彼女を見下ろす影がひとつ。全身黒タイツのような人の影。右腕に装着された大型のカッターのような武器を見て、それがすぐに『肉片』であることに気付く。

 

「まざるちゃん、行くよ」

 

 目を合わせ頷く。光の粒が2人を包んで、あっという間に煌びやか衣装にチェンジ。さやのは感動してしまって、目を輝かせながら拍手。

 

「わぁ〜!」

「わぁ〜じゃない!逃げて!」

「は〜い」

 

「ジャム、とりあえず広いところに誘導しよう」

「はいっ!」

 

 肉片へ向かってソードが斬撃。顔はニヤけた口しかないので分からないが、おそらく注意がソードの方へ向いた。

 

(ここら辺だと……あそこに行くしかないかな)

 

 ピョンピョンと飛び跳ねるソードを怪人が追いかける。数十秒の誘導の末、到着したのは大きな公園。たまたまか、避難したからなのか、そこには幸い誰もいなかった。

 

「よし、かかってきなさい!」

 

 ファイティングポーズ。剣を煌めいた。肉片の右腕が動く。大きなカッターが彼女に迫る。

 

「はあっ!」

 

 キィン!

 

 鋭い金属音とともにカッターの刃がボロボロと崩れると、辺りの地面に突き刺さり砂が舞う。

 ふふんと得意げな顔をするが、刃が急速に生え変わる。勢いをつけてもう一撃、右腕を振り上げる。

 

「危ないっ!」

 

 桃色のバリアが割り込む。パリンと割れてしまったが、防御には成功した。鋭い刃たちは散らばることはなく、今も尚真っ直ぐ規則正しく並んでいる。

 ソードは体勢を立て直して再び剣を構える。もう油断はしない。剣を構えて突撃するが、肉片の方は先程と違った構えをしている。カッターを前へ突き出したその構えを見て、彼女は瞬時に判断した。

 

「流れ弾に注意して!」

 

 ヒュン!!

 

 何かが射出された。あのカッターから刃が切り離され放たれたのだ。「もしかすれば使ってくるだろう」と彼女は想定していたが、まさか本当に使ってくるとは思わなかったようで。

 瞬時に剣で弾くことでなんとか防ぎ、ソードが距離を詰めにいくが続けて2発目、3発目と射出された刃が彼女を襲う。防御に精一杯で、攻めるのが難しい。彼女がふと横を見ると、ジャムの姿が見当たらない。咄嗟に向き直ると肉片の死角から桃色の閃光。

 

「えいやあ!」

 

 バリアを貼りながら、体中に電気を纏いながら体当たり攻撃。

 気配を察知されたのか、ブン!と振られたカッターにバリアをかち割られ、攻撃がヒット。体中に纏っていた電撃オーラのおかげかダメージは最小限に抑えられたようだ。

 

「失敗しちゃった……」

「1人でダメなら、2人!私が防御するから、ジャムは攻撃頼んだわ!」

「はいっ!」

 

 ソードが凛と剣を構え、その少し後ろでバチバチとジャムが電気を纏う。

 

「ソード、ジャム、2人の連携……これは見ものだなあ!」

 

 物陰からひょこっと顔を出したさやのが、コソコソと呟いた。

 




 前書き全然書けなかったので、後書きの方をちょっと書いてみようかな!?
 なのでまざるちゃんのことをちょっとお話ししようと思います。
 キャラクターの設定を考えた当初、まざるは『煮えてきたかも!』が決めゼリフの女の子だったのですが、いざ本編を書いたときにはそれを一切忘れていて、思い出したのは20話を書いたときくらいでした(泣)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。