やめてよね、僕が准将みたいに出来るわけないじゃないか 作:星乃 望夢
オノゴロ島の演習場、あるいはソレスタルビーイングの秘密ドックにおいて、その機体はあまりにも異彩を放っていた。
オーブの誇る最新鋭機M1アストレイ改、無骨で堅牢なティエレン、そして圧倒的な存在感で大地を踏みしめる5機のガンダムたち。
最先端の技術結晶がひしめき合うその空間にあって、たった1機だけ、明確に旧世代のシルエットを残した機体が佇んでいた。
その装甲が、戦場においては目立ちすぎるほどに鮮烈なオレンジ色と白のツートンカラーに染め上げられているというだけでなく、機体のベースフレームそのものが、ザフトの初期量産機である『ジン』シリーズの系譜を色濃く残しているからに他ならない。
だが、その機体を見上げる男の顔に、旧式機をあてがわれた不満は微塵もなかった。
「……フンッ」
ミゲル・アイマンは、生まれ変わった愛機『ジンハイマニューバ改二』のカタログスペックが表示されたタブレットを見つめ、腕を組みながら満足げに鼻を鳴らした。
それは気に入らないからではない。
むしろその逆だ。
外見こそ己のアイデンティティである『黄昏の魔弾』のオレンジを受け継いだジンでありながら、その装甲の裏側に隠された中身が、もはやジンという枠組みを完全に凌駕した別次元の「化け物」に仕上がっていたからである。
ソレスタルビーイングへの出向を命じられたミゲルに与えられたこの愛機は、かつて彼が搭乗していたジンハイマニューバ2型の正当進化でありながら、オーブの変態的な技術力が惜しみなく注ぎ込まれていた。
まず目を引くのは、その推力系の大幅な設計変更である。
背部のウイングスラスターは、従来のジンから発展した翼型のタイプから、かつて初期のジンハイマニューバに採用されていた「コーン型」の新型大出力エンジンへと原点回帰するように換装されている。
しかし、そのコーンスラスターの出力は初期型の比ではない。
高出力化された脚部のバーニア群と連動することで、この機体は航空力学的なリフティングボディを一切持たない無骨なジンでありながら、大気圏内を重力に逆らって自由自在に飛び回れるだけの狂気的な推力を獲得しているのだ。
空力特性を無視してただバーニアの強引な推力だけで空を飛ぶという、力技極まりないその設計コンセプト。
ミゲルはそこから、オーブのM1アストレイが装備していた『イカロスユニット』で培われた強引な飛行データや、さらには、先日あの白銀の准将がテスト中に無様に墜落したという、あのピーキーすぎる『トールギス』の血生臭い系譜をはっきりと感じ取っていた。
「あの准将……自分の道楽で得たギリギリのデータを、きっちりこっちの推力系にフィードバックしやがったな」
悪態をつきながらも、ミゲルの口角は上がっている。
エースパイロットとして、機動力が上がって文句を言う者はいない。
そして、その莫大な推進力を支えるのが、パワーエクステンダーとオーブ製の新型バッテリーの搭載による、稼働時間の劇的な向上であった。
さらに装甲材質の抜本的な見直しも行われている。
かつてのジンの装甲とは見た目こそ同じだが、その内側には敵弾着弾時の外圧を瞬時に検知し、着弾箇所のみをピンポイントでフェイズシフトさせる『トランスフェイズ装甲』が換装・仕込まれていた。
実体弾に対してはほぼ無敵の防御力を誇りながら、常時展開のPS装甲のようにエネルギーを馬鹿食いしないという、バッテリー機にとって最高峰の防御システムである。
ミゲルは、この最新鋭のトランスフェイズ装甲を、迷いなく自身の魂の色であるオレンジと白――専用機を持ってから一度たりとも変えたことのない、ジンのパーソナルカラーに塗り上げさせたのだ。
武装面においても、このジンハイマニューバ改二は他の追随を許さない。
主兵装として右手に握りしめているのは、かつてジンが携行していた特火重粒子砲「バルルス改」のさらなる発展型『バルルス改二』。
だが、その中身は全くの別物であった。
これには、シホ・ハーネンフースが独自に研究・開発を進めていた、ビームの粒子を螺旋状に高速回転させて射出することで貫通力を劇的に引き上げる『ドッズライフル』の理論が組み込まれている。
本来、ドッズライフルの機構は非常に複雑であり、並のモビルスーツサイズのライフルに組み込むには小型化の壁が厚かった。
しかし、ビームライフルよりも大型で、内部デバイスに余裕のある「バルルス改」の巨大な砲身をベースとしたことで、最低限の実用化の目処が立ったのである。
かくして産声を上げたのが、この機体専用の『ドッズランチャー』であった。
通常のビームライフルのような軽快な取り回しや連射は望めない。
しかし、その一撃の貫通力と破壊力は戦艦の主砲すら凌駕する。
さらに、ドッズランチャー本体にも独立したパワーエクステンダーと小型の大容量バッテリーを内蔵させることで、本来ならば核動力機でなければ運用が難しかった莫大なエネルギー消費をクリアし、バッテリー駆動機であるこの機体での運用を可能としていた。
そして、ミゲルのこだわりはサブウェポンにも表れていた。
腰部にマウントされた、76mm重突撃機銃。
現代のモビルスーツ戦においては、もはや旧式も良いところの、ザフト初期の実弾火器である。
だが、ミゲルはこれを決して手放さなかった。
彼が想定しているのは、対ガンダムや対ティエレンといったハイエンド機との戦闘だけではない。
戦場において遭遇する、無数の航空機や戦車、あるいは装甲車といった「通常兵器」を相手にするための最適解として、この機銃を選択したのだ。
「流石に、ただの戦車やヘリコプターの群れに、一発のエネルギーが惜しいドッズランチャーをブチ込むのはもったいなさ過ぎるからな。雑魚掃除には、こいつの鉛玉で十分だ」
最新鋭の貫通ビームと、使い古された実弾機銃。
その極端なハイ&ローの武装構成は、無駄なエネルギー消費を嫌い、どんな泥臭い戦場でも確実に戦果を挙げるという、叩き上げのベテランにも似たミゲルの徹底した実戦主義を体現していた。
見た目は、初期のジンハイマニューバと、その発展型であるハイマニューバ2型の合いの子のような、どこか懐かしくも無骨な姿。
しかし、その装甲の下には、トールギスの暴力的推力、トランスフェイズ装甲の鉄壁、そしてドッズ理論による絶大火力が息づいている。
この『ジンハイマニューバ改二』は、世界の何処の軍隊を探しても、他のいかなるジンをも、いや、並の最新鋭機すらも容易く凌駕する性能を秘めていた。
それは、ジンという旧式の機体でありながら『黄昏の魔弾』という畏怖すべき異名を取り、エースパイロットとしての数々の功績を己の腕一つで打ち立ててきた男――ミゲル・アイマンにのみ操ることを許された、彼だけの、世界でただ一機の最強のジンであった。
◇◇◇
静寂に包まれたソレスタルビーイングの極秘ドック。
冷徹な照明が白く照らし出す空間の中で、イザーク・ジュールとディアッカ・エルスマンは、誇り高き腕組みのまま、新たに生まれ変わった己の半身――デュエルとバスターを無言で見上げていた。
二人の脳裏には、かつてヘリオポリスでこれらの機体を強奪し、血で血を洗う戦場を共に駆け抜けた記憶が深く刻まれている。
しかし今、眼前に佇む機体は、あの頃の面影を残しながらも、全く異次元の設計思想と圧倒的な技術力によって再構築された「別物」の領域へと足を踏み入れていた。
デュエルに関しては、機体の根幹をなす基本フレームや外装のフォルムそのものに、大仰な形状変更の手は加えられていない。
一見すれば、あの均整の取れたスマートな初期型GATシリーズのままである。
だが、その内装には恐るべきブラッシュアップが施されていた。
オーブの最先端技術による大容量パワーエクステンダーと新型バッテリーへの換装。
これにより、稼働時間は従来の機体を凌駕する。
そして最大の改修点は、装甲材質が初期のフェイズシフト装甲から、装甲への電圧係数を任意で調整することで、装甲の色彩変化とともに物理的強度を自在にコントロールできる『ヴァリアブルフェイズシフト装甲』へと進化を遂げている点だ。
この恩恵により、デュエルはエネルギー効率の最適化と、より過酷な近接戦に耐えうる鉄壁の防御力を獲得していた。
イザークは、手に持ったデータパッドに視線を落とし、そのカタログスペックを鋭い目つきで睨みつけた。
ザフト軍で独自に追加装備した増加装甲『アサルトシュラウド』は、デュエルの弱点であった火力の不足をミサイルとレールガンで補い、分厚い追加装甲による重量増加を、背部や脚部に増設した大推力バーニアの強引なパワーで相殺するという、言ってしまえば「火力を盛って機動力を落とさないための力技」の設計思想であった。
しかし、現在デュエルが纏っている地球連合軍由来の強化装甲、通称『フォルテストラ』は、その運用ドクトリンを根本から覆していた。
この漆黒に近い装甲は、遠距離からの面制圧を潔く捨て去り、デュエル本来の持ち味である「白兵戦能力」と「前衛での近接格闘戦」の優位性を先鋭化させることに特化していたのだ。
武装の配置も、近接戦闘における殺意に満ちている。
両腕の追加装甲ブロック内部には、取り回しの良い内蔵型ビームガンが仕込まれ、牽制とゼロ距離射撃を可能とする。
右肩のフレキシブルアームには、攻防一体のシールドと小型レールガンが接続されており、機体の姿勢を崩すことなく射撃態勢へと移行できる。
さらに、近接格闘の要であるビームサーベルのマウント位置も、抜刀にわずかなタイムラグが生じる背部バックパックから、腕を下ろした自然な体勢から最速で引き抜ける「脚部の脹ら脛側面」へと変更されているという徹底ぶりだ。
だが、イザークの目を最も引いたのは、かつてのアサルトシュラウドで左肩に鎮座していた象徴的なミサイルポッドが撤去されていることだった。
その代わりに左肩の装甲内部に仕込まれていたのは、狂気的とも言えるキワモノ武装――『スティレット投擲噴進対装甲貫入弾』である。
それはミサイルではない。
クナイのような形状をした実体刃を、なんと「敵機に向かって直接投げつける」という、前時代的極まりない武装である。
投げられたスティレットは、内蔵された小型推進器で加速し、敵の装甲を貫通、あるいは隙間に突き刺さった直後に内部で大爆発を引き起こす。
咄嗟の白兵戦においては、手に握って装甲の隙間を突き刺すダガーナイフ的な運用も想定されているというが、モビルスーツによる近代戦において、あまりにも挑戦的で、パイロットの技量と度胸に完全に依存した変態的な武装であると感じられずにはいられなかった。
「……フン。白兵戦特化で、ナイフ投げとはな。俺に敵の懐へ飛び込んで、泥臭く斬り刻めと言っているようなものだ」
イザークはそう不敵に笑い、自らの愛機となった青き闘神――『ブルデュエル』へと、獰猛な視線を送った。
そして、その隣で静かに息を吐いたディアッカが見上げるバスターもまた、ブルデュエルのピーキーな先鋭化とは対照的に、己の強みである「圧倒的な火力」をさらに暴力的な次元へと引き上げる重武装化を遂げていた。
かつてバスターの代名詞であり、腰のサブアームにマウントされていた主砲「350mmガンランチャー」と「94mm高エネルギー収束火線ライフル」は、その巨体ゆえの取り回しの悪さを解消するため、両肩部への固定武装へと大胆に移設されていた。
これにより、バスターは肩の主砲で広範囲に絶え間ない弾幕を張りながら、両手を完全にフリーな状態に保つことができるようになった。
その空いた両手が新たに腰のフレキシブルアームを介して握りしめているのは、展開式のバイヨネットが装着された、二丁の新型ビームライフルである。
遠距離支援機でありながら、近接戦闘を仕掛けられた際の脆弱性を、このバイヨネットで直接切り裂くことで克服しているのだ。
しかも、この二丁の銃剣付きビームライフルには、バスターの真骨頂とも言える「連結機能」が継承・発展されていた。
左右のライフルを機体の正面で横並びに合体させることで、両側から供給されるエネルギーを一つに束ね、戦艦の主砲すら凌駕する複列位相の超強力なビームを放つことが可能となる。
「なるほどね……。射程距離じゃあ、昔のには一歩譲るかもしれないが。この近中距離での制圧力と、面で敵を薙ぎ払う火力の厚さは、桁違いに化けてやがる」
ディアッカは、自身に与えられた重装甲の砲撃要塞――『ヴェルデバスター』の凶悪なカタログスペックに、頼もしさと僅かな恐れを抱きながらニヤリと笑った。
最前線で敵陣を切り裂く、青き近接特化型『ブルデュエル』。
その後方から、弾幕の嵐と複位相ビームで戦場を更地へと変える、重緑の砲撃型『ヴェルデバスター』。
かつて地球連合が産み出し、ザフトが奪い、そして今、第三の勢力として世界の命運を握る彼らの手に委ねられた二機のガンダムは、世界の混沌を力でねじ伏せるための新たな牙として、静かにその起動の時を待ちわびていた。
◇◇◇
ブルーコスモス盟主、ロード・ジブリール。
狂信的排他主義環境保護団体の頂点に立つ男。
その彼が、氷雪に閉ざされた大西洋連邦の最高機密軍事基地『ヘブンズベース』に籠城し、不気味な沈黙を保ちながら次なる牙を研いでいることは、各国の情報機関にとって公然の秘密であった。
明確な「世界の敵」がそこに存在している。それにも関わらず、国境やイデオロギーを超越して紛争の根絶を掲げる世界平和維持組織『ソレスタルビーイング』が、ヘブンズベースに対して即座に武力介入を行わないのには、極めて複雑で、かつ冷徹な戦略的・政治的理由が複数存在していた。
第一の理由は、ソレスタルビーイングという組織が抱える「初期戦力の不均一性」という物理的な問題である。
ソレスタルビーイングは、オーブ連合首長国のキラ・ヤマトが提唱し、各国の水面下の合意によって設立された独立機動部隊だ。
しかし、その立ち上げ初期の戦力は、文字通りの『各国の寄せ集め』であった。
少数精鋭による局地的な武力介入を基本ドクトリンとするCBの性質上、機体ごとの性能差や運用規格の違い、パイロット間の連携不足は致命的な弱点となり得る。
特に、ヘブンズベースという地球連合総司令部に挑むためには、寄せ集めの機体群を根本から改修・強化し、部隊としての戦術的統一を図るための「準備期間」がどうしても必要不可欠であった。
ミゲルのジンハイマニューバ改二や、イザークたちのブルデュエル、ヴェルデバスターといった改造機体の誕生は、まさにその急務の産物である。
第二の理由は、大義名分という政治的・国際法的な枷である。
確かにロード・ジブリールは狂信者であり、明確な「敵」である。しかし、彼は今のところヘブンズベースという大西洋連邦の主権下にある領土に籠もっており、表立った軍事行動や他国への侵略行為を、少なくとも表面的には起こしていない。
あくまで「大人しい」状態なのだ。
その状況下で、ソレスタルビーイングが突如としてヘブンズベースへ武力介入を仕掛けてしまえば、国際社会、特に大西洋連邦のタカ派や一般市民からはどう見えるか。
それは「世界平和のため」などではなく、「ブルーコスモスを憎悪するプラントによる私怨」あるいは「先のオーブ攻防戦で国土を焼かれたオーブによる復讐・報復行為」と見なされてしまう危険性が極めて高い。
ソレスタルビーイングが「特定の国家の報復装置」に成り下がったと認識された瞬間、彼らが掲げる「超法規的な平和維持」という理念は根底から崩壊し、世界中の軍隊から一斉にテロリストとして殲滅対象にされてしまうのだ。
故に、ソレスタルビーイングの出撃には「完璧な大義」が必要であった。
部隊の準備が完全に整うまで、あるいはジブリールが再び世界に向けて明確な「紛争幇助行為」という致命的なミスを犯すまでは、戦力の再編成と訓練に専念することが、ソレスタルビーイングを承認した各国の水面下の合意として認可されたのである。
各国の軍隊から引き抜かれた、一国を代表する最高峰のエースパイロットたち。
彼らは各国の至宝であり、いたずらに準備も整わぬまま、大義なき特攻へと突っ込ませるような愚行は、戦術的にも政治的にも厳に慎まれるべきであった。
そして、第三の、かつ最も決定的となった理由。
それは、何者かによる『ニュートロンジャマーキャンセラーおよび最新鋭核動力MS設計図の世界規模でのばら撒き』という、未曾有の情報テロの発生である。
この悪魔的な技術の流出によって、大西洋連邦、AEU、大洋州連合など、世界中の国家が独自の核兵器や核動力兵器を建造する大義と手段を手に入れてしまった。
各国の軍縮ムードは一瞬にして吹き飛び、水面下では次世代の核覇権を巡る凄まじい軍拡競争の火蓋が切って落とされたのである。
世界は今、まさに「何処の国が、いつ、どのような理由で核の炎と共に弾け飛ぶか全く予測不能」という、極限の緊張状態へと叩き落とされた。
このような一触即発の状況下において、ソレスタルビーイングが迂闊に「武力介入」という名の火の粉を撒き散らせばどうなるか。
それは、緊張の糸が張り詰めた世界における「呼び水」となり、介入先とは全く無関係な国々同士の猜疑心を爆発させ、あっという間に戦火が飛び火する最悪のトリガーとなってしまう。
多大な犠牲の上に成り立った、折角の停戦協定と脆弱な平和。
それが再び、制御不能な核の連鎖と、血で血を洗う底なしの憎しみが渦巻く「世界大戦」へと逆戻りしてしまうことは火を見るより明らかであった。
国家のしがらみやイデオロギーを超越すべく生み出され、何処の国の指揮系統にも属さない絶対的な「独立機動部隊」。
彼らは今、圧倒的な武力によって世界を強制的に鎮圧するという本来のドクトリンを一旦封印し、激動する世界の動向を前に「逆に世界を迂闊に刺激しない」という、忍耐と静寂に満ちた『静観』という名の過酷な戦いへと移行せざるを得なかったのである。
キラ・ヤマトがギリギリと歯を食いしばりながらトールギスの暴力を求めたのも、彼らが沈黙を強いられているこの歪な時間の中で、いつか必ず爆発するであろう「最悪の事態」を、たった一撃で、そして確実に刈り取るための「絶対的な刃」を密かに研ぎ澄ませておくためであった。
◇◇◇
「モビルスーツを1機、手配してはくれまいかね?」
「……え?」
オーブ連合首長国、モルゲンレーテ社地下の特別研究区画。
その厳重なセキュリティに守られた静寂の中、不意に投げかけられたその言葉に、キラ・ヤマトは手元のタブレットから顔を上げ、思わず間の抜けた声で聞き返してしまった。
視線の先に立つのは、仕立ての良さが窺えるカジュアルなスーツに身を包んだ一人の男。
金色の長髪、目元には大きな漆黒のサングラス。
かつては仮面でその素顔を覆い隠し、ザフトの冷酷なる指揮官として、そして世界を破滅へと導こうとした狂気の代行者――ラウ・ル・クルーゼであった。
「……乗るんですか? 貴方が?」
キラの戸惑いは無理もなかった。
戦争が停戦という形で終結した後、クルーゼはザフトを除隊した。
彼はクローンである少年、レイ・ザ・バレルを伴い、まるで気の向くままの観光客のような顔をしてこのオーブへとやって来たのだ。
その後は、キラの用意したオーブの閑静な邸宅に身を置き、特段政治や軍事に干渉することもなく、ただ「生まれ変わろうともがく世界」を特等席で眺めるだけの、冷笑的な傍観者を気取っていたはずだったからだ。
「2度は言わぬさ、キラ君」
クルーゼは面白そうに唇を歪め、大仰に肩をすくめてみせた。
「私としては、だ。ようやく役者が揃い、これから素晴らしい喜劇が開園するというその直前の劇場に、無粋な輩がガソリンを撒き散らして火を放たれたような気分なのだよ。ショーを楽しみにしていた観客としては……その狼藉者に対して、文句の一つや二つ、直接言ってやりたくなるとは思わないかね?」
その言葉の裏には、彼特有の皮肉でコーティングされた、極めて複雑な感情が渦巻いていた。
クルーゼがかつて世界を憎悪し、そのすべてを滅ぼそうとした理由は、己の存在を呪われたクローンとして生み出した人類の業の深さに対する絶対的な絶望であった。
だが、その破滅への渇望の中には、ほんの僅かばかりの、しかし無視できない「別の動機」が混じっていた。
それは、自らのオリジナルであるアル・ダ・フラガの狂気の連鎖の果てに生み出されたもう一つの命――レイ・ザ・バレルに対する、彼なりの不器用な愛情であった。
この憎しみと業の渦巻く、どうしようもなく手遅れな世界。
レイがこれから生きていくには、この世界はあまりにも醜すぎた。
だからこそ、一度すべてを綺麗さっぱり滅ぼし、生命のざわめきが消え去った静寂の世界……あるいは、すべてがリセットされた後の無垢な世界でのみ、レイは穏やかに生きることができるのだと、彼は思っていた。
しかし、現実は彼の予測を、いや、破滅のシナリオを大きく逸脱した。
キラ・ヤマトという規格外の特異点が存在したからだ。
キラは、単なる武力による制圧ではなく、世界中の技術、経済、そして政治の潮流を強引に束ね上げ、ナチュラルとコーディネイターという血みどろの「種族間戦争」を、大国同士の理にかなった「大いなるゼロサムゲーム」へと転化させてみせた。
さらには、血のバレンタインの引き金を引いた『ブルーコスモス』という明確で倒すべき共通の敵を世界に提示することで、複雑に絡み合っていた地球とプラント間の憎悪のベクトルを逸らし、ついに停戦協定という名の終戦をもたらしたのである。
クルーゼは、その手腕を評価した。
彼が滅ぼすまでもなく、キラ・ヤマトが創り出そうとしている「均衡による平和」は、レイという少年が健やかに生きるための土壌として、決して悪いものではないと認めたのだ。
だからこそ、彼は仮面を外し、剣を置いた。
それなのに。
得体の知れない影の権力者か、あるいは他の何者かが、プラントからニュートロンジャマーキャンセラーの設計図という禁断の果実を世界中へばら撒き、再び世界を破滅の淵へと引き摺り込もうとしている。
「……せっかく私が観客席に座って、君たちの足掻きを楽しんでやろうという時に。下劣な三文芝居で、レイの生きる健やかな平穏な世界を混ぜっ返そうという不届き者が居るというのならば」
クルーゼのサングラスの奥で、かつて戦場を支配した猛禽の瞳が冷たく光った。
「その愚か者どもに、真の絶望の味を教えてやるための一肌を脱ぐくらいは……保護者としての、当然の義務というものだろう?」
「……クルーゼさん。本気なんですね」
キラは深く息を吐き、改めて目の前の男の顔を見つめた。
クルーゼが目元を覆うような大きなサングラスをしているのは、鏡を見るたびに憎きオリジナルである『アル・ダ・フラガ』と同じ顔を見なければならないという、精神衛生上極めて宜しくない事態を避けるための彼なりの処世術であった。
しかし、キラの目には、そのサングラスの下にある「変化」がはっきりと見て取れた。
以前のクルーゼは、急激な細胞の老化に苦しめられ、目尻にはその実年齢には到底似合わぬ、深い老化のシワが刻み込まれていた。
そして、その肉体の崩壊を防ぐために服用する薬の副作用による中毒症状は、彼は常に死の恐怖と苦痛に苛まれていたのだ。
だが、今は違う。
キラがラクスに頼んでターミナル経由で回収して貰った「アンチエイジングの特効薬」。
その継続的な投与によって、クルーゼの肉体年齢は徐々に、しかし確実に若返りを見せていた。
かつて彼を死の淵へと追い詰めていた細胞の崩壊は止まり、目尻に深く刻まれていたあの忌まわしい老化のシワは、今では綺麗さっぱり消え去っている。
その肌には、一人の壮年期の男性としての健やかな張りが戻っていた。
「薬の効き目は上々のようだ。あの不快な発作も、今ではすっかり鳴りを潜めている。私の肉体は、おそらくこれまでで最も『完全な状態』にあると言っていい」
クルーゼは自身の掌を見つめ、ゆっくりと強く握りしめた。
その動作には、かつてのような焦燥感はない。
ただ純粋な、底知れぬ力が宿っていた。
「さあ、ヤマト准将。私の要求に対する返答を聞かせてもらおうか。……今のこのオーブに、私が乗るに相応しい、観客席から舞台へと飛び降りるための『翼』は用意されているのかね?」
キラは一瞬だけ目を伏せ、そして、どこか吹っ切れたような笑みを浮かべた。
相手は、かつて世界を滅ぼそうとした悪魔である。
だが、今の状況において、これほど頼もしく、そして恐ろしい「身内」は存在しない。
「……ええ。用意できますよ。今の貴方になら……あの機体も、完璧に乗りこなせるはずです」
キラの言葉に、クルーゼの唇が獰猛な三日月のような弧を描いた。
世界の裏側で蠢く者たちはまだ知らない。
彼らが不用意に火を放った結果、かつてこの世界を巧みに操り、そして最も深く呪った最悪のジョーカーが、再び切り札として盤面に解き放たれることを。
◇◇◇
シン・アスカという少年は、本来であれば硝煙や鉄の匂いとは無縁の、生粋の文学少年であった。
オーブの陽だまりの中で、静かに頁を捲る時間を何よりも愛していた彼の手は、お世辞にも武骨とは言えない。
同年代の少年たちと比べても線が細く、肌は透き通るように色白で、周囲からは揶揄を込めて「もやしっ子」と呼ばれることも少なくなかった。
彼の骨格や筋肉は、暴力という概念から最も遠い場所で形成されていたはずだったのだ。
しかし、運命は彼に平穏な読書の日々を許さなかった。
理不尽な世界のうねりの中で、守るべき少女──ステラ・ルーシェと出会い、彼女を過酷な運命から何としても守り抜くという血の滲むような誓いを立てた日から、シンの内面は劇的な変貌を遂げつつあった。
そんな彼の覚悟を見抜き、オーブの最高軍事顧問たるキラ・ヤマトは、地下深くのモルゲンレーテ最深部にて、とある一機の機体を少年に授けようとしていた。
それは、オーブの防衛を担う量産機「アストレイ」の系譜とは根本的に一線を画す、真の戦略級機動兵器。
キラの脳裏に焼き付く『虚憶』を基に、モルゲンレーテ社の持つすべての狂気的なまでの技術力と、キラ自身の天才的な頭脳を総動員して極秘裏に組み上げられた、5機の「ガンダム」のうちの1機。
近接格闘戦用試作モビルスーツ――『シェンロンガンダム』。
東洋の武術家を思わせる、洗練されつつも力強い白を基調とした四肢。
胸部には鮮やかな赤と青の装甲が施され、そして右腕には、触れる者すべてを灰塵に帰すであろう火炎放射器クローにもなる「ドラゴンハング」が、禍々しくも美しく折り畳まれていた。
圧倒的な質量の暴力と、研ぎ澄まされた刃のような殺気が同居するその巨神を見上げながら、シンは息を呑んだ。
線の細い彼が対峙するには、それはあまりにも巨大で、あまりにも恐ろしい「力」の結晶であった。
「この機体に乗るかどうか、決めるのはシンの意志だ」
沈黙する巨神の足元で、キラ・ヤマトは静かに、しかし深い祈りを込めた声で語りかけた。
幾度も手を血に染めながら戦い抜いてきた白銀の英雄の言葉には、何よりも重い真実が宿っていた。
「ガンダムはね、戦うための力なんだ。どう取り繕っても、それは敵を破壊するための兵器でしかない。……けれど、それは決して『殺戮』の為に作られたんじゃない。守りたいと願う世界のために……戦ってでも守り抜きたいと願う大切な存在がいる時に、決して折れない絶対的な力になってくれる存在なんだ」
キラはシンの細い肩にそっと手を置き、まっすぐに彼の瞳を見つめた。
「君が、君自身の意志でそれを選んだ時。……君の目の前にガンダムがあることは、きっと偶然じゃない。運命なんだと思う」
「運命……」
シンはぽつりと呟き、再び巨大なシェンロンガンダムへと視線を戻した。
薄暗い格納庫の中、機体のメイン電源は落ちているはずであった。
しかし、シンの視線が、兜の奥に隠されたエメラルドグリーンのデュアルカメラと真っ直ぐに重なり合ったその瞬間。
──ぞくり、と。
シンの背筋を、電気的な痺れにも似た未知の感覚が駆け抜けた。
どこからか、誰からかはわからない。
物理的な音波ではなく、脳髄の奥底、魂の根源に直接響き渡るような、鋭く、そして純粋な「意志」の声。
『己の信じる正義を貫く覚悟があるのならば、この俺にそれを見せてみろ──!』
それは、かつて別の宇宙で、己の信じる正義をただひたすらに問い続け、迷い、傷つきながらも孤高に戦い抜いた一人の少年の苛烈な魂が、時空と因果を超えてシンへと問いかけてきたかのようであった。
ありえない話である。
ここはコズミック・イラの世界だ。
人の遺伝子を弄り回す技術はあっても、死者の魂や別次元の記憶が機械に宿るなどというオカルトは、科学の光の前に否定されるべき妄想に過ぎない。
しかし、このシン・アスカという少年は、本人が全く無自覚な領域において、死者の声や思念を捉えるという、少々オカルトめいた極めて特異な感受性をその身に秘めていた。
キラの『虚憶』から抽出された設計データの中に宿った魂の残滓か、あるいは純粋すぎる闘争の概念そのものが紛れ込んでいたのだとすれば。
シンのその特異な感受性が、シェンロンガンダムという名の「器」を通して、その声を受信してしまったとしても不思議ではなかった。
「正義……」
シンは無意識のうちに、強く拳を握りしめていた。
読書を愛し、平穏を愛していた自分が、血なまぐさい戦場に立つこと。
それは恐怖でしかない。
だが、ステラの悲しげな瞳と、彼女が時折見せてくれた無垢な笑顔が脳裏にフラッシュバックする。
プラントの最高評議会議長ギルバート・デュランダルが、来るべき「デスティニープラン」の絶対的な守護者として見出すことになる、シンの内に眠る『天性のモビルスーツ操縦能力』。
その才能の種は、誰かに強要されるのではなく、シン自身の強烈な「願い」によって今、急速に発芽しようとしていた。
「俺の正義は、誰かを傷つけることじゃない。……誰も泣かせない、大切な人を守り抜くための……『笑顔の盾』になることだ!」
シンは真っ向から、エメラルドに輝く巨神の双眸を睨み返した。
脆弱な文学少年の顔はそこにはない。
あるのは、愛する者を守るために自ら修羅の道を進むことを決意した、一人の気高き戦士の顔であった。
「見せてやるよ……俺の覚悟を。俺の、正義を……!」
シンはキラに向かって深く一つ頷くと、迷いのない足取りでガントリークレーンへと歩み寄り、シェンロンガンダムの開かれたコックピットハッチへと飛び乗った。
冷たい鉄のシートに腰を下ろし、操縦桿を強く握りしめる。
その瞬間、機体のOSがシンに呼応し、コックピット内に眩い光が満ち溢れ、メインモニターが一気に起動した。
正義の龍と、オーブの少年。
交わるはずのなかった二つの運命が今ここに完全に結びつき、新たな「笑顔の盾」となるための無敵の刃が、静寂の底で産声を上げたのであった。
◇◇◇
ルナマリア・ホークもまた、白銀の英雄キラ・ヤマトの手によって、世界を覆す力を持つ『漆黒の死神』を託された少女であった。
彼女がオーブという遠い異国の地へと流れ着いた理由は、決して崇高な大義や世界平和のためではない。
言ってしまえば、妹であるメイリンの「特大のやらかし」──国家機密レベルのハッキングという暴走によって、プラントのエリート軍人候補生として思い描いていた完璧な人生設計が、音を立ててすべてパーになってしまったからだ。
祖国には帰れない、異国の地で孤立無援。
そんな崖っぷちの状況下で、彼女が生き残るために弾き出した生存戦略。
それは、妹の才能を直接見抜き、自らの手元へとスカウトした張本人である、オーブ最高軍事顧問キラ・ヤマトという「世界で最も安全で、最も極上な玉の輿」に強引にでも乗ることであった。
「どうせなら、一番いい男を捕まえてやるわよ!」
それが、ルナマリアの偽らざる本音であった。
ザフトの士官アカデミーにおいてトップ層の成績を維持していた優秀なコーディネイターである彼女は、ナチュラルの能力を頭ごなしに見下すような狭量さは持ち合わせていない。
しかし、「これほど優秀で、容姿にも恵まれた私には、それに相応しい絶対的な力と魅力を持った優秀な男が伴侶となるべきだ」という、思春期の少女特有の少々ひん曲がった、しかし強烈な自意識過剰ぶりはしっかりと持ち合わせていた。
客観的に見れば、15歳という年齢を考えれば、それはまだ世界の残酷さや本質を知らない子供の、微笑ましくも可愛らしい「ちょっとした歪み」として、大人は苦笑混じりに受け流す程度のものだろう。
だが、ルナマリア本人は至って真剣であった。
本来の活発でミーハーな女子としての持ち前の行動力をフル稼働させ、妹のメイリンという唯一の極細の糸の様なコネクションを最大限に利用して、彼女はキラ・ヤマトに対して猛烈なアタックを仕掛け続けた。
訓練の合間に差し入れを持っていき、視界に入っては愛嬌を振りまき、時にはわざとらしいほどのボディタッチを試みる。
その涙ぐましい、そして少し空回り気味の努力の結果、ついにあの冷静沈着なキラ・ヤマトの口から、彼女の望むあだ名である「ルナ」と呼ばせることに成功したのだ。
それは彼女の壮大な玉の輿計画において、間違いなく「第一関門突破」を意味する歴史的快挙であった。
(ふふっ、この調子でいけば、ヤマト夫人の座も夢じゃないわね!)
そう一人でほくそ笑んでいたルナマリア。
しかし、そんな彼女へ次に訪れた現実は、玉の輿のティアラではなく、あまりにも重く冷酷な「鋼鉄の死神」であった。
まさか、オーブが総力を挙げて開発した最先端技術の結晶である、5機のガンダム。
そのうちの1機の専属パイロットという絶大な権限と責任の伴う立場を、キラから直接任命されるとは夢にも思っていなかったのだ。
そして、彼女に与えられた機体の名。
近接強襲用試作モビルスーツ──『ガンダムデスサイズ』。
漆黒に染め上げられた流線型の悪魔的な装甲。
そして何より、この機体を真の死神たらしめている絶対的な特殊兵装『ハイパージャマー』の存在。
それは、レーダー波や熱源探知といった通常のセンサー類を無効化するに留まらず、なんと敵機の光学センサーにまで直接ハッキング的なジャミングを仕掛け、視覚情報そのものを狂わせるという、常軌を逸したステルス性能であった。
近代の対モビルスーツ戦闘において、パイロットが装甲のハッチを開けて肉眼で外を見て戦うなどという自殺行為はありえない。
つまり、敵がコックピットのモニターに頼っている限り、デスサイズは物理的にも視覚的にも完全に「透明」となり、誰にも知られることなく背後へと忍び寄り、その命を刈り取ることができるのだ。
「……これって、こそこそ虎視眈々とキラを狙ってアタックしてる私に対する、遠回しな意趣返しなのかしら?」
初めてデスサイズの仕様書を読んだ時、ルナマリアは思わず口元を引きつらせて呟いた。
獲物の背後から音もなく忍び寄り、隙を突いて既成事実をもぎ取ろうとする自分の浅ましい行動原理と、この機体の戦術ドクトリンが、あまりにも似通っていたからだ。
だが、実際にコックピットに座り、演習場で機体を動かしてみた瞬間、彼女のその不満は驚きと歓喜へと変わった。
「嘘……! なにこれ、めちゃくちゃ動きやすいじゃない!」
プラントのアカデミーに通っていた頃から、ルナマリアの成績パラメータは射撃よりも「近接格闘戦」において優れた数値を叩き出していた。
大味な射撃戦よりも、自らの反射神経と身体能力をフルに活かして敵の懐へ飛び込むインファイトこそが、彼女の真骨頂だったのだ。
デスサイズの主兵装である『ビームサイズ』。
一見すれば重心のバランスが悪く、扱いが極めて難しいこの特殊な武装は、ルナマリアの荒々しくも直感的な操縦センスと完璧なまでに合致した。
ハイパージャマーを展開し、敵の死角から一気に加速。
気づかれた時には既に懐に潜り込み、大鎌による一撃必殺の斬撃を叩き込む。
その一連の流れるような殺戮のプロセスは、ルナマリアの手足の延長のようにスムーズに機能した。
(玉の輿を狙う愛人志願のつもりが……まさか、こんな物騒な死神の鎌を振り回すことになるなんてね)
ルナマリアはコックピットの中で、自嘲気味に、しかしどこか楽しげに笑みを深めた。
世界が再び混迷の度合いを深め、ニュートロンジャマーキャンセラーの流出によっていつ誰が核の炎に焼かれるか分からない時代。
計算高い彼女は気づいていた。
優秀な男に守られるだけのアクセサリーになるよりも、自らが圧倒的な死神の力を振るい、その男の背中を守る最強の刃となることこそが、キラ・ヤマトという特異点の隣に永遠に立ち続けるための、最も確実で「優秀な女」の生存戦略であることを。
◇◇◇
イングリット・トラドール。
その名は今や、ユーラシア大陸からの独立を果たしたばかりの若き新興国家ファウンデーション王国の象徴的な姫君として、そして何より、オーブの最高軍事顧問であり世界を束ねる白銀の英雄、キラ・ヤマトと正式に婚約を結んだ『気高き姫騎士』として、地球圏全土に広く知れ渡っていた。
元来、彼女の数奇な運命は、ファウンデーションの若き指導者オルフェ・ラム・タオと、その背後に潜むアウラ・マハ・ハイバルによって緻密に計算された、冷酷な謀略から始まっている。
彼女は、コーディネイターを凌駕する新人類『アコード』としての高度な精神感応能力と情報処理能力を買われ、オーブの中枢に潜り込み、キラ・ヤマトという規格外の特異点を精神的に絡め取り、篭絡するための美しき「刺客」として送り込まれたのだ。
当初のイングリットは、アコードとしての己の宿命に絶望していた。
与えられた役割を果たすため、自らの真実の感情を奥底に封じ込め、ただ任務の遂行のみを目的としてキラの前に立ち、心を殺してその身を捧げようとした。
それは、一人の少女としてあまりにも惨めで、空虚な自己犠牲の姿であった。
しかし、キラ・ヤマトはその瞳の奥に隠された彼女の苦悩を、アコードという造られた属性ではなく、イングリットという一人の人間が抱える悲鳴として正確に読み取った。
『誰かのことを、心を殺さなくちゃいけないくらい、それだけ強く深く想える君の心は……とても綺麗だと、僕は思う』
偽りの仮面を剥ぎ取られ、存在を根底から肯定されたその瞬間、イングリットの内で凍りついていた何かが決定的に溶け落ちた。
アコードとしての呪縛から解放され、「一人の少女・イングリット」として純粋に愛し、愛される喜びを知った彼女は、政略的な婚約が正式に結ばれる遥か前から、キラに対して嘘偽りのない真実の愛を捧げることを誓ったのだ。
そして、その愛は決して庇護されるだけのものではない。
普段は王族としての優雅な気品と知性を纏う美しき姫君でありながら、いざ戦場において愛するキラの理念が脅かされ、あるいは彼自身が侮辱されるような事態に陥れば、彼女は躊躇なく修羅と化す。
敵機を冷徹かつ容赦なく物理的に粉砕し、戦場を深紅に染め上げる彼女の姿は、敵対する者たちから畏怖を込めて青き戦乙女と恐れられていた。
そんなイングリットに対し、キラ・ヤマトは彼女の決意と愛に応えるため、そして彼女の命を確実に守り抜くための新たな「翼と剣」を授けた。
それが、モルゲンレーテ社の技術の粋を結集して極秘裏に開発された次世代型多目的モビルスーツ──『ガンダムジェミナス』である。
ジェミナス・シリーズは、モジュールブロック構造をさらに進化させ、機体の基礎フレームそのものを状況に応じて大胆に組み替えることを可能とした『G-UNIT』システムを採用している。
これにより、大気圏内外、高機動戦、重火力戦など、戦局のあらゆるフェーズにおいて多種多様な換装形態を持ち、一機であらゆる戦況を支配するという究極の汎用性を獲得していた。
この最新鋭機は
純白の装甲に包まれた一号機『ジェミナス01』は、ファウンデーション本国のオルフェ・ラム・タオの下へと届けられた。
そして、夜明けの海を思わせる深い蒼に染め上げられた二号機『ジェミナス02』が、婚約の証として、イングリットの専用機としてキラから直接贈られたのである。
ジェミナス02には、彼女の類稀なる戦闘センスとアコードとしての反応速度を極限まで引き出すための、極めてピーキーで強力なシステムと兵装が搭載されていた。
PXシステム──機体のリミッターを強制的に解除し、各部スラスターの推力とジェネレーター出力を一時的に爆発的に向上させ、機体速度と反応速度を常軌を逸した領域へと引き上げる禁断のシステム。
機体が残像を引くほどの超加速を得る反面、機体フレームとパイロットの肉体・精神に凄まじい負荷を強いる。
しかし、アコードとしての強靭な肉体と処理能力を持つイングリットであれば、このピーキーなシステムを完璧に制御し、戦場で一瞬にして敵の死角へと入り込む「神速の刃」と化すことができる。
質量感応型索敵システム──ミラージュコロイドやハイパージャマーといった電子的なステルス機能に一切惑わされることなく、物質が空間そのものに及ぼす僅かな重力的な歪みを胸部の特殊センサー群で物理的に増幅・検知し、コックピットのモニター上に完全に投影する究極の索敵システム。
これにより、イングリットは戦場のいかなる隠密機動も許さず、敵の僅かな挙動の気配すらも逃すことなく刈り取ることが可能となる。
アクセラレートライフル──主兵装として携行する、新型の試作型ビームライフル。
内部に大容量の電磁コンデンサーが内蔵されており、モード変換によってエネルギーを臨界点ギリギリまで圧縮・蓄積・溜め撃ちすることが可能。
最大出力で放たれるその一撃は、戦艦の装甲すら容易く貫通する絶大な威力を誇る。
非使用時にはシールドの裏側にマウント可能であり、取り回しの良さも兼ね備えている。
ビームソード──バックパックに2基装備されている近接専用武装。
通常のビームサーベルのプラズマをさらに高密度に圧縮・収束させており、圧倒的な高出力を誇る。
イングリットが修羅と化して敵陣へ突入した際、この光の刃は敵機の装甲ごと真っ向から両断する、無慈悲な処刑の剣として機能する。
G-UNITシールド──極めて軽量かつ堅牢なガンダニュウム合金で作られた携行式のシールド。
物理的な衝撃を分散させるハニカム構造を採用しているだけでなく、内部には電磁波フィールド発生装置が内蔵されており、ビーム兵器や実弾兵器の直撃をフィールドで減衰・弾き返す、鉄壁の防御力を誇る。
煌びやかな青の機体に、胸部だけが鮮やかな黄金色に輝くというそのノーブルな配色は、イングリット自身の気高い佇まいと見事に重なり合っていた。
それはまるで、戦場という暗闇の中で揺らめく、美しき青髪のイングリットにキラ・ヤマトから授けられた輝かしい王冠のようであり、あるいは、愛する男の世界を脅かす一切の悪意を切り裂くために彼女の手に握られた、『黄金の剣』のようでもあった。
新たなる翼を得た青き戦乙女は、静かにその時を待っている。
来るべき混沌の世界において、ただ一人の愛する者の隣に立ち続け、共に未来を切り拓くために。
◇◇◇
薄暗い、しかし最新鋭の設備が整えられたファウンデーション王国の地下秘密ドック。
その中央で圧倒的な存在感を放つ純白の機体を前に、若き王国の宰相であり、実質的な指導者でもあるオルフェ・ラム・タオは、ただ息を呑むことしかできなかった。
「……これが、オーブの……いや、キラ・ヤマトからの『結納品』か」
オルフェの呟きは、ドックの静寂の中に低く反響した。
彼の視線の先にあるのは、オーブの最高軍事顧問キラ・ヤマトから極秘裏に輸送されてきた一機のモビルスーツ。
その名も『ガンダムジェミナス01』。
イングリット・トラドールという美しきアコードをキラに嫁がせるという、表向きは和解と不可侵を装った「政略結婚」の対価。
しかし、その実態は、二人の男の間で交わされた極めて個人的で、かつ世界を揺るがすほどの重みを持った盟約の証であった。
かつて、オルフェはアコードの頂点として、自らの役割を疑うことなく生きてきた。
母であるアウラ・マハ・ハイバルの掲げるデスティニープランと、彼女の傲岸な憎悪によって歪められた愛情に盲目的に従い、世界を力と恐怖で支配する「道化」として踊るはずだった。
しかし、あの交通事故的とも言える精神的クロッシング――キラ・ヤマトという特異点と強制的に魂が接触し、キラの持つ『虚憶』を共有してしまったことで、彼の運命は劇的に転換した。
己の破滅的な未来と、親のエゴによって狂わされていた自分自身の滑稽さを恥じ、オルフェは覚醒した。
アコードという作られた種の呪縛を自らの手で断ち切り、今ではキラとは「互いに重すぎる宿命を背負った、大学生の悪友」のような、奇妙だが確かな信頼関係を築き上げていた。
そして、その悪友から贈られた『│ジェミナス《双子星》』の名を持つガンダム。
それは、互いにアコードと最高のコーディネイターという「親のエゴと執念によって生み出された存在」である二人を暗喩しているかのようであった。
互いに世界を変える力を持っていながら、どこか似通った孤独を抱える者同士でやり取りするには、いささか痛烈な皮肉が効きすぎている名前だ。
だが、そんな感傷を吹き飛ばすほどに、この機体の性能は常軌を逸していた。
さらに驚くべきは、このジェミナスが単なる高汎用機として終わらないことだった。
機体と共に届けられたコンテナの中には、カザフスタンを領土とし、カスピ海に隣接するというファウンデーションの極めて特殊な地政学的条件に完璧に適合させた、ある特殊な換装用パッケージが同封されていたのだ。
「……ジェミナスをベースとした、高機動強襲用可変モビルスーツ……『ガンダムアスクレプオス』」
オルフェはタブレットに表示された設計図面と仕様書をスクロールさせながら、その悪魔的とも言える設計思想に戦慄した。
機体名称は、黄道十二星座には含まれない「蛇遣い座」の人物とされる、ギリシャ神話の『医神アスクレピオス』に由来している。
改修前のジェミナスが、モジュールブロック構造G-UNITによる「装備の換装」で高い汎用性を獲得していたのに対し、このアスクレプオス・パッケージを適用された本機は、「機体そのものが可変する」ことによってあらゆる戦況に即座に対応する、極めて先鋭化された強襲機へと生まれ変わる。
その設計思想の根幹にあるのは、圧倒的な機動力による敵陣への強襲と、回避不可能な接近戦の強要である。
背部には、通常時は円盤状の全天候型レーダードームとして機能する大型バックパックが追加されている。
しかし、この機体が『接近戦モード』へと変形した瞬間、そのレドームは前方に展開し、機体の頭部と胸部を完全に覆い隠すようにして強固な追加装甲として機能するのだ。
このレドーム内部には、極めて強力な全方位アクティブスキャナーとアクティブジャマーが搭載されている。
接近戦モードへと移行したアスクレプオスは、自身の姿を敵のセンサーから完全に消し去りながら、敵のあらゆる死角と弱点を丸裸にし、一方的に距離を詰めて必殺の斬撃を見舞うことができる。
機動力の底上げも凄まじい。
レドーム後部と、両肩に増設された巨大なバインダーには、常識外れの推力を叩き出すハイトルクスラスターが計4基も備わっており、大気圏内外を問わず驚異的な瞬間加速力を発揮する。
そして、その増大した上半身の推力と質量を完璧に制御するため、脚部にはスラスター機能も兼ね備えた重厚な『プロペラントレッグユニット』が追加されている。
これが強固なカウンターウェイトとして機能することで、アスクレプオスはどれほど無茶な超高速機動を行おうとも、その姿勢を崩すことなく滑らかな斬撃軌道を描くことが可能となっていた。
さらに、この機体の真価はその「地政学的適応能力」にあった。
元が極めて基礎性能の高いジェミナスであるため、高い汎用性はそのまま維持されている。
だが、このアスクレプオスの流線型のフォルムと大出力スラスター、そしてレドームによる強力なソナー機能は、副次的に「圧倒的な水中戦闘能力」をもたらしていたのだ。
宇宙空間、重力下での陸戦、そしてカスピ海での過酷な水中戦。
いかなる環境下においても、装備の換装を必要とせず、ただ可変するだけでその環境の頂点に君臨できる。
「……まったく、なんという性格の悪さだ」
オルフェはタブレットを閉じ、純白の装甲に包まれたアスクレプオスを見上げながら、薄く笑った。
アスクレプオス――医学の神。
今、オルフェが成そうとしていることは何か。
それは、自らを神と錯覚し、世界を恐怖で縛ろうとする狂気の母、アウラ・マハ・ハイバルという絶対的な存在を排除すること。
そして、彼女が計画している「ファウンデーション本国を自作自演の核で焼き払い、悲劇の国を演出する」という吐き気を催すような凶行を未然に防ぎ、この新興国を真の意味で繁栄させることだ。
母という名の「病巣」を取り除き、狂った王国を自らの手で「治療」しようと決意した獅子身中の虫である自分に対し、あの白銀の悪友は『医学の神』の名を持つこの禍々しいガンダムを授けたのだ。
これが、傲岸な母の支配から抜け出そうともがく自分への、キラ・ヤマトなりの強烈なブラックジョークなのか、それとも、同じ親の業を背負う者としての不器用なエールなのか。
受け取る側としては、腹を抱えて笑うべきか、それとも呆れて溜息をつくべきか、いささか反応に困るところではあった。
だが、この機体がもたらす「力」は紛れもない本物だ。
現在、ファウンデーション王国の正規軍を支えている主力モビルスーツは、全高13.8メートルという小型で安価な『フレック・グレイズ』である。
ゲリラ鎮圧や治安維持には十分な機体だが、ブルーコスモスやAEUの最新鋭機、あるいはファウンデーション王国と同じく採用されたフレック・グイレイズなどを相手にすれば、スペックや物量の差で圧倒されることは火を見るより明らかだった。
しかし、このアスクレプオスが一機あれば、仮にフレック・グレイズの大部隊が束になってかかってこようとも、冗談抜きで数分で全てを蹴散らすことができるだろう。
何より、この極限の汎用性と戦闘力は、周辺の超大国──特に、常に領土的野心を見せているAEUからの軍事的圧力に対する、これ以上ない抑止力となる。
「……悪くない。いや、最高の結納品だ、キラ」
オルフェはアスクレプオスの冷たい装甲にそっと手を触れ、己の内に燃える静かな決意を新たにした。
もし万が一、AEUがこの国境を侵し、力でこの地を蹂躙しようとするならば。
あるいは、母アウラの狂気が制御不能となり、この国の民草を核の炎で焼こうとするその時が来たならば。
自分は一切の迷いなくこの神のメスを振るい、病巣を切り裂くだろう。
偽りの神に作られた操り人形ではなく、一人の人間として。ファウンデーションという国を愛し、真に守ろうとする者のための「絶対の剣」として。
地下ドックの冷たい光を浴びるアスクレプオスは、若き王の決意に呼応するかのように、鈍く、そして力強くその双眸を輝かせたように見えた。
◇◇◇
プロヴィデンス──。
『天の意思』『神の摂理』、転じて『天帝』を意味するその禍々しくも神々しい名を与えられた機体は、ザフトの次世代を担うニュートロンジャマーキャンセラー搭載型核動力モビルスーツとして開発された。
だが、その開発思想と運命は、コズミック・イラの激動する時流によって二転三転する、極めて数奇なものであった。
当初、プラントの統合設計局がプロヴィデンスに与えていた役割は、先鋭化された『近接格闘戦仕様』であった。
その設計図面において、プロヴィデンスの背部には、後年知られることとなる威圧的な円盤状の巨大ドラグーン・プラットフォームは存在していなかった。
その代わりにマウントされていたのは、戦艦すら容易く両断するであろう規格外の出力を誇る、4本の高出力ビームサーベルを装備した姿だった。
重装甲と核の無限のエネルギーをもって敵陣のど真ん中へ強行突入し、4本の刃と機体自身の四肢を連動させた圧倒的な手数と暴力的な斬撃で、文字通り周囲の空間ごと敵機を「切り刻む」ことのみに特化した、狂気の修羅。
それが、プロヴィデンスの本来の姿となるはずだった。
『虚憶』に刻まれた歴史――本来の正史においては、戦争が最終局面に突入し、ラウ・ル・クルーゼという特異な空間認識能力を持つ男の搭乗が決定したことで、この機体の運命は劇的に捻じ曲げられることとなる。
近接格闘戦用の重装甲フレームと核動力炉という基礎スペックの高さに目をつけた開発陣は、背部のサーベルバインダーを根こそぎ取り払い、空間認識能力を必要とするオールレンジ攻撃兵装『ドラグーン・システム』の大型プラットフォームを、悪魔的な突貫工事で背部へ接続したのだ。
結果として、プロヴィデンスは近接格闘機から一転し、全方位から降り注ぐ光の雨で戦場を支配する『空間制圧型』の絶対的魔王として降臨することとなった。
機体とシステムの間に生じた不協和音すらも、クルーゼの怨念と狂気的な操縦技術が完全にねじ伏せたのである。まさに、時代の狂気と一人の男の執念に振り回され、そして完成した機体と言える。
だが、この世界線においては、その悲劇的な歴史は紡がれなかった。
キラ・ヤマトという特異点の暗躍によって、ブルーコスモスという共通の敵が提示され、世界は地球・プラント間の全面戦争という破滅のシナリオを回避し、停戦協定という名の静かなる終戦を迎えた。
その結果、ラウ・ル・クルーゼが軍からプロヴィデンスを受領し、ヤキン・ドゥーエの宙域へ出撃するという歴史的イベントは消失した。
そして、世界平和維持組織『ソレスタルビーイング』への提供戦力として、プラントの最高評議会から極秘裏にオーブへ引き渡されたプロヴィデンスは、開発当初の姿――背部に4本のビームサーベルを備えた、本来の『近接格闘戦仕様』のままであった。
それは、ある意味で平和の恩恵を受けた、純粋な技術的到達点としての姿のはずだった。
ドラグーン・システムという、特定のパイロットの空間認識能力に依存するシステムを搭載する必要が、この世界には存在しなかったからだ。
しかし、運命の糸は、あまりにも皮肉な形で再び絡み合おうとしていた。
NJCのデータ流出という新たな火種が世界にばら撒かれたことで、静観を決め込んでいた男――ラウ・ル・クルーゼが、再びショーの舞台へと降り立つことを決意した。
モルゲンレーテの地下深き格納庫。
静かに眠る格闘戦仕様のプロヴィデンスを見上げたクルーゼは、サングラスの奥の瞳を細め、かつてと同じ、いや、それ以上に冷徹で傲慢な笑みを浮かべてキラ・ヤマトにこう告げたのである。
「素晴らしい装甲と動力だ。だが、私の手足とするには、この無骨な刃だけでは少々、いや、絶望的に『手数が足りない』。……キラ君。この背中の不要な飾りをすべて外し、全方位から敵を穿つための『システム』を、私の機体に組み込んでくれたまえ」
クルーゼの搭乗が決まる前に終戦を迎えたこの世界で。
プロヴィデンスという機体は、戦火を逃れ本来の姿で完成したにも関わらず、結局は搭乗者であるクルーゼ自身の強いオーダーに応える形で、背部に巨大な円盤を搭載されることとなった。
歴史の流れは大きく変わった。
だが、人と機体を結ぶ奇妙な『縁』という名の重力は、まるで定められた天の摂理であるかのように、プロヴィデンスを再び、空間を支配する『天帝』としての完全なる姿へと導いていくのであった。
ティエレンに始まり、00汚染著しい世界で、Wのガンダム混ぜたらなんでこんなカッチリハマりそうな理由くっ付けられる機体まで出てきちゃった。
ズゴックじゃなくてズゴックガンダムがファウンデーションの大地に立つ!
ジェミナス02がイングリットに似合いそうだなぁと思ったら、ファウンデーション王国はカスピ海に隣接してるからアスクレプオスの出番行けるじゃんと思い、オルフェにはジェミナス01が送られアスクレプオスへとなりました。
あと意地でもミゲルはジンから降ろしたくないという謎の心が働きました。
だってMSVオープニングのオレンジのジンってカッコええやん?
その内サンクキングダム爆誕しても驚かないわよ……。
しっかしシンはこのまま己の正義を貫けるのかどうか。
ルナはまぁ、まだ思春期真っただ中盛りだから良いんでない?
18歳になってアグネスみたいなのは筋金入りだろうけど。
ウチのキラもアグネスとは相性悪いだろうなぁ。
能力じゃなくて人なりと心を愛してるからね。
関わる人間がネームドしか居ないから結果的にあの世界トップクラス能力者が集まってきてるけれども。l
元々学生だったトールが今やオーブ軍のエースパイロットの一人というスーパーナチュラルにワープ進化しちゃったからなぁ。
やっぱり能力のある人しか愛してないとか言われそう。