やめてよね、僕が准将みたいに出来るわけないじゃないか   作:星乃 望夢

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PHASE-39 完封完敗

 

 デュエイン・ハルバートン提督の苛烈な号令の下、地球連合軍第8機動艦隊は急速にその巨大な陣形を組み替えていた。無数の防空砲台とミサイルランチャーが虚空を睨み、次々と連合の主力宙間MA『メビウス』の編隊が吐き出されていく。

 

 その緊迫した第一種戦闘配配置の最中、艦隊の中央で護衛されるように位置していた強襲機動特装艦アークエンジェルのカタパルトから、立て続けに放たれたMSの姿は、周囲の護衛艦艇のブリッジに詰める将兵たちや、これから死地に赴こうとするメビウスのパイロットたちの網膜に、鮮烈な驚きと畏怖をもって焼き付いた。

 

 アークエンジェルのMS部隊、その最先発として圧倒的な推力で躍り出たトリコロールの機影。

 

 地球連合軍の最高機密であるG兵器、X-105ストライク。

 

 その背に鎮座する、6基のメビウスのエンジンを流用した攻撃端末の姿は誰の目にもそれがガンバレルであると見抜ける構成をしている。

 

 その異様な兵装を見た瞬間、第8艦隊に所属するすべてのMA乗りたちの間に、電流のような戦慄と歓喜が走った。

 

 あのシステムを実戦で扱える人間が、この地球圏に何人いるか。

 

 ザフトの汎用量産型MS『ジン』の圧倒的な三次元機動力と装甲を前に、火力も装甲も運動性も劣るメビウスで次々と一方的に狩られ、絶望的な苦境に立たされ続けてきた彼らにとって、メビウスよりもさらに旧式であるはずのメビウス・ゼロを駆り、あの有線式機動砲台を神業のように操ってみせた男の名を知らない者は、それこそ『モグリ』どころの騒ぎではない。

 

「……見ろ! あのガンバレル! 『エンデュミオンの鷹』だ!!」

 

 通信回線に、誰ともなく感極まった声が響き渡った。

 

 グリマルディ戦線におけるエンデュミオン・クレーターでの凄惨な攻防戦。味方の過半数が宇宙の塵と消える絶望の泥濘の中で、ただ一機、ジンを撃破して生還した生ける伝説。

 

 MAという兵器の枠組みだけで、MSという絶対的な性能差を覆し、敵を叩き落とした男──ムウ・ラ・フラガ。

 

 その彼が今、地球連合の最新鋭MSであるストライクの操縦桿を握り、あまつさえ自らの代名詞であるガンバレルを背負って戦場の最前線へと飛んだのだ。

 

 これは単なる戦力増強ではない。連戦連敗で士気が底を打っていた第8艦隊の兵士たちにとって、これ以上ないほど強烈なカンフル剤であり、絶対的な「勝利の象徴」が具現化した瞬間であった。

 

 しかし、兵士たちの驚愕はそれだけに留まらなかった。

 

 鷹の駆るストライクの航跡を、寸分の狂いもなく追随していく3機の武骨なシルエット。

 

 1機は、宇宙の闇に溶け込むような深い紺色。残る2機もデュープブルーの青に彩られた、ユーラシア連邦の主力量産機『ティエレン』であった。

 

「おい、冗談だろ……? なんでユーラシア管区の陸ガメが、あんな風に宇宙を飛んでるんだ!?」

 

 メビウスのパイロットたちが、バイザー越しの目を疑う。

 

 ティエレン。その機体の悪名は、大西洋連邦の兵士たちの耳にも届いていた。

 

 現行のザフトが運用する殆どの火砲をその堅牢な重装甲で受け止め、戦車砲をそのままモビルスーツサイズに拡大したような大口径滑腔砲の威力。防御力と火力という点においては、ザフトのジンすら凌駕するカタログスペックを誇る。

 

 しかし、その代償はあまりにも重かった。

 

 機体重量の増加に伴う致命的なまでの「機動性の欠如」。

 

 それは、三次元的な空間戦闘を基本とするモビルスーツ戦において、文字通り『動く的』になることを意味していたはずだ。

 

 だが、アークエンジェルから放たれたその3機のティエレンは、彼らの知る「鈍重な鉄屑」の常識を、根本から、そして優雅に破壊してみせた。

 

 紺色のティエレンを頂点としたデルタ・フォーメーション。それは、宇宙空間の無重力と慣性を完全に計算し尽くした、流れるようなマニューバを描いていた。スラスターが蒼白い炎を噴き出すたびに、分厚い装甲の塊が信じられないほどの軽快さで機体のベクトルを変化させ、ストライクの複雑な軌道にピタリと追従していく。

 

「あんな重装甲が、ジンみたいな機動をしてやがる……!」

 

「あれが……モビルスーツの、本当の力なのか……!」

 

 メビウスの中で、血を吐くような思いでジンに抗ってきたパイロットたちは、その光景に打ち震えた。

 

 装甲が薄く、小回りの利かないメビウスで、ジンの機銃に怯えながらただ撃ち落とされるだけの時代は終わる。これからの時代は、あのように重装甲でありながら、かつ高機動を両立させた「我々のためのモビルスーツ」が空を支配するのだと。その力強い機動は、兵士たちの胸に、次世代の戦争の姿を強烈に予見させるには十分すぎた。

 

 そして、彼らの度肝を抜いた極めつけは、アークエンジェルの巨大な装甲ハッチから、最後発として吐き出された『絶望的なまでの威容』であった。

 

「……なんだありゃ!? 戦艦のエンジンでも積んでるのか!?」

 

 目を焼くような極彩色のプラズマの奔流。

 

 モビルスーツに重装甲の城塞を着せ掛けたようなその異形の機体は、虚空へ飛び出すと同時、鋼鉄の装甲をスライドさせ、巨大な白鳥──あるいは神話に登場する怪鳥のようなシルエットの「モビルアーマー形態」へと複雑に変形を遂げた。

 

 直後、その機体(アリュゼウス)は、後方で観戦する艦隊のセンサーがエラーを起こすほどの信じられない爆発的推力を発揮し、先行していたストライクやティエレンの編隊を一瞬で抜き去ると、真っ直ぐに、そして暴力的な速度で、迫り来るザフト部隊のド真ん中へと特攻を仕掛けていったのだ。

 

「すげぇ……ッ! 連合はあんな化け物まで隠し持ってたのかよ!」

 

 絶句するメビウスのパイロットたち。

 

 しかし、彼らの胸の内に芽生えたのは、得体の知れない新型機に対する恐怖ではなく、ある種の「希望」と「安堵」であった。

 

 あの動き。アレはMSの格闘戦ではなく、明らかにMAとしての一撃離脱と、圧倒的な加速力を活かした強襲突撃の戦術思想だ。

 

 つまるところ、軍の主力がMAからMSへと完全に転換していく時代の到来を肌で感じながらも、彼らがこれまでメビウスの狭いコックピットの中で血を吐きながら培ってきた『MA乗りとしての空間認識能力』や『一撃離脱の操縦技量』は、決して無用の長物として切り捨てられるわけではないのだ。

 

 あの異形の怪鳥のように、状況に応じてMAとしての運用思想を内包した機体が存在する。ならば、自分たちの戦技は、新しい鉄の鎧を纏うことで、さらに強大な牙となって敵を噛み砕くことができるはずだ。

 

「よしッ! メビウス隊、全機突撃! 鷹とあの化け鳥に遅れをとるな!」

 

「ザフトの野郎どもに、MA乗りの底力を教えてやれ!!」

 

 通信回線に交錯する怒号と歓声。

 

 ストライク、ティエレン、そしてアリュゼウス。それらの機体は死を覚悟していた第8艦隊の将兵たちの心に消えることのない猛火を焚べたのだった。

 

 暗黒の宇宙空間において、光の軌跡はそのまま死と生の境界線を意味していた。

 

 戦場の最前線で、アリュゼウスという名の異形の怪鳥が、たった一度の会敵、文字通りすれ違いざまにザフトの誇る汎用量産型MS『ジン』の部隊を半数も宇宙の塵へと変えたという事実は、戦術データリンクを通じて、第8機動艦隊のすべてのメビウスのコックピットへと瞬時に共有された。

 

「……見たか! あの化け鳥、ジンをまとめて食いやがったぞ!」

 

「すげぇ……ッ! これなら、俺たちだってやれる!」

 

 それは、連戦連敗の地球連合宇宙軍にとって、起死回生の号砲であった。

 

 闘争心は、その圧倒的な破壊のスペクタクルを前にして、狂乱にも似た巨大な高揚感へと完全に書き換えられていた。

 

 データリンクで共有されている、強奪されたG兵器──通称『Xナンバー』の脅威。特にその最大の特徴である『フェイズシフト装甲』の厄介さは、彼らの間でもすでに周知の絶望として認識されていた。

 

 物理的な衝撃を瞬時に無効化するその装甲特性を前にしては、リニアガンや有線式ミサイルといった実弾兵器しか持たないメビウスでは、どれだけ数を頼りに包囲し、逆立ちして全弾を命中させたところで、文字通り手も足も出ない。

 

 蜂が戦車に群がるような、無意味な徒労でしかないのだ。

 

 バッテリー切れを狙って攻撃を叩き込み続けようとしても、相手はジンを凌駕する性能を持つMSだ。

 

 全く動かず足を止めてこちらの攻撃を受け続ける案山子などではない

 

 だが、今の彼らにその絶望を抱える必要はなかった。

 

 なぜなら、その規格外の化物たちの相手は、『エンデュミオンの鷹』ムウ・ラ・フラガ大尉率いる、アークエンジェル所属の混成MS部隊が完全に一手に引き受けていたからだ。

 

 ガンバレルを縦横無尽に展開し、その驚異的な空間認識能力で敵の赤い『イージス』を完全に隔離・封殺するストライク。

 

 そして、メビウス乗りたちの度肝を抜いた、重装甲でありながら信じられない機動性を発揮する3機の『ティエレン』。それらは青の2機は完璧なフォーメーションを組み、砲撃戦仕様の『バスター』と、紺色のティエレンは追加装甲を纏った白兵戦仕様の『デュエル』を、完璧な連携で戦場の片隅へと釘付けにしている。

 

 さらに、あの『アリュゼウス』だ。

 

 接敵と同時にジンの半数を一瞬で消し炭にしたあの怪鳥は、敵の部隊の中で一際異彩を放つ、そしてその動きを見ただけで歴戦のエースパイロットが乗っていると直感できる『オレンジ色のジン』を単機で引き受け、熾烈なドッグファイトを繰り広げている。

 

 連合にとっての絶対的な脅威である「PS装甲持ち」と「敵のエース」。そのすべてが、味方のMS部隊によって完璧に前線から切り離されているのだ。

 

 となれば、残されたザフト側の手駒は、本隊へ向けて対艦戦闘を仕掛けてきた、わずか5機のジンのみ。

 

 確かに、ジンとメビウスの純粋な機体性能差が弾き出すキルレシオはおおよそ1対3から1対5にも上るとされている。

 

 しかし、だ。

 

 現在、第8艦隊がこの宙域に展開しているメビウスの総数は100機を超えている。たった5機のジンでこの大軍を相手にするというのであれば、単純計算でジン1機につき20機以上のメビウスを同時に相手にしなければならないという、圧倒的な物理的・質量的暴挙である。

 

「Xナンバーならいざ知らず、ただのジンが相手なら、俺たちのリニアガンだって装甲をぶち抜ける!」

 

「ミサイルだって、あれだけの数に一斉射すれば回避しきれるはずがねぇ!」

 

 メビウスのパイロットたちの目に、もはや絶望の色はなかった。

 

 相手は無敵のフェイズシフト装甲ではない。実弾が通る。

 当てることさえできれば、自分たちの使い古された火器であっても、確実に有効打を与え、致命傷を負わせることができる相手なのだ。

 

 おまけに、彼らの背後には第8艦隊の主力艦艇が控えている。

 

 その巨大な主砲や無数のCIWS、対空ミサイルによる濃密な援護射撃の弾幕が、ジンの回避ルートを制限するべく途切れることなく展開されている。

 

 モビルスーツという悪夢に怯え続けたメビウス乗りたちにとって、これほどまでに完璧な「お膳立て」をされた狩りの舞台は、開戦以来、初めてのことであった。

 

「各小隊、散開しろ! 敵のジンをクロスファイアで包み込むんだ!」

 

「1機に20機で群がる必要はねぇ。1個中隊ずつで1機を完全に囲い込め! 逃げ場をなくして、蜂の巣にしてやるんだ!」

 

「鷹とあの化け鳥どもの戦果に泥を塗るな! 第8艦隊の意地、今こそ見せつけるぞ!!」

 

 これほどまでに有利な状況下において、MSに敵わないメビウスに乗っているからとビビって行き足を鈍らせ、敵に背を向けるような臆病なMA乗りは、少なくともこの第8機動艦隊のパイロットたちの中には、ただの一人も存在しなかった。

 

 無数の蒼白いスラスターの光が、統制の取れた美しい網目模様を描きながら宇宙空間を駆ける。

 

 それは、劣勢を強いられ続けた地球連合軍の兵士たちが、意地を込めて織りなす巨大な鉄の津波であった。

 

 

◇◇◇

 

 

 たった一機の異形のMS──それも、彼らの常識を覆す規格外の機動力を持つMA形態への可変機構すら備えた未知の『バケモノ』。

 

 その一度の会敵、瞬きする間の交差によって、僚機であるジンの半数が成す術もなく宇宙の塵と化す様を目の当たりにした残存部隊のパイロットたちの胸中には、冷ややかな戦慄と、それを覆い隠すための虚勢が渦巻いていた。

 

「クソッ、なんだってんだあのデカブツは!」

 

「だが、ミゲルがあのバケモノを引き受けてくれている! 俺たちは予定通り、第8艦隊の本隊を叩くぞ!」

 

 『黄昏の魔弾』の異名を持つエースパイロット、ミゲル・アイマンが自らのオレンジ色の専用機を囮とし、あの忌まわしい怪鳥を己に釘付けにしている。

 

 その極限の死闘が作り出した僅かな隙を突き、生き残った5機のジンは、本来の目標である地球連合軍第8機動艦隊への吶喊を開始した。

 

 彼らの頭の中には、相手が先ほどのあんなバケモノのような未知の機体であったならば話は全く変わってくるが、相手が旧態依然とした第8艦隊の艦艇群と、時代遅れのMA『メビウス』ばかりの連中であるならば、MSという兵器体系が絶対的に持つ「三次元的な運動性」で戦列を容易く引っ掻き回し、防空網を内側から食い破って旗艦を沈めてしまえば、この絶望的な戦力差であっても十分に勝機はある、という強固な確信と驕りがあった。

 

 確かに、相手の規模は尋常ではない。デュエイン・ハルバートン提督が座乗する旗艦であるアガメムノン級宇宙母艦『メネラオス』を中心として、ネルソン級宇宙軽巡洋艦が10隻、ドレイク級宇宙護衛駆逐艦が20隻。そして、それらの艦艇から展開されるメビウスの数は100機を超えている。

 

 だが、ジンに乗るザフトのパイロットたちから見れば、「所詮はコーディネイターに劣るナチュラルの寄せ集めであり、直線機動しか出来ない鉄の棺桶が群れているだけ」であった。

 

「たった5機で、あの数は骨が折れるがな」

 

「弾薬は手持ちの分じゃ到底足りねぇ。撃ち尽くしたら、一度ガモフに戻って補給して、また出てくればいいだけの話だ」

 

「違いねぇ! むしろ、選り取り見取りで撃墜スコアを稼げる絶好の機会だぜ。俺が一番多く落としてやる!」

 

 通信回線に飛び交うのは、絶体絶命の戦場にいるとは思えないほど余裕に満ちた、いや、完全に相手を舐め切った不遜な言葉ばかりであった。彼らは、自らが操るモビルスーツの優位性を盲信し、連合軍を「ただの的」としか認識していなかったのだ。

 

 だが、そんな驕り高ぶった態度の代償を、彼らは即座に、己の命という最も重い形で支払わされる結果となった。

 

 旗艦メネラオスのブリッジにおいて、ハルバートンの戦局を見る目は冷徹かつ正確であった。

 

 アークエンジェルから放たれたMS部隊──ストライクと3機のティエレン、そして異形の怪鳥が、ザフト側の最大の脅威である『Xナンバー』3機と敵のエースを完璧に戦場から隔離し、抑え込んでいる。

 

 その事実をいち早く確認したハルバートンは、それら友軍機が切り開いてくれたこの千載一遇の好機を、決して見逃さなかった。

 

「敵のGは、アークエンジェルの部隊が引き受けている! 我々が相手をするのは、直掩を失った丸裸のジン5機のみだ!」

 

 ハルバートンは力強く右腕を振り上げ、艦隊全体へと号令を響かせた。

 

「各艦、ザフトのMSをナメてはならん。Xナンバーを無視し、全艦隊の主砲、副砲、対空ミサイル、すべての砲門を開け! 艦隊へと攻撃を仕掛けんとする残存のジン部隊に対し、全火線を集中し、全力をもって一網打尽にせよ!!」

 

 その命令は、百戦錬磨の提督が下すにはあまりにも「過剰」な指示であった。

 

 旗艦メネラオスをはじめ、31隻の艦艇が備える主砲や対空砲、対空ミサイル。そのすべてが、たった5機のジンに向けて、一切の出し惜しみなく解放されたのだ。

 

 宇宙空間が、光と炎で白く染まり上がった。

 

 放たれた主砲のビームや、虚空を埋め尽くすほどの無数のミサイル群。それは、たった5機のMSに向けて放つような量の火線では断じてなかった。

 

 迎撃という次元を超えた、「面」による空間そのものの圧殺にして、巨大なエネルギーの津波であった。

 

「な、なんだこの弾幕は!?」

 

「冗談じゃねぇ! ナチュラルの連中、気でも狂ったのか!?」

 

 迫り来る致死量の弾幕を各種センサーで察知したジン部隊のパイロットたちは、先ほどの余裕を完全に吹き飛ばされ、悲鳴に近い声を上げながら慌ててスラスターを限界まで吹かし、機体を捻って回避行動を取った。

 

 だが、避けられる隙間など、初めからどこにも存在しなかったのだ。

 

「うおおおぉぉッ!?」

 

 回避ルートを計算するよりも早く、1機のジンが、ネルソン級巡洋艦が放ったビームの直撃を胴体に受け、断末魔の叫びすら残す暇もなく、一瞬で蒸発し爆散した。

 

「右脚がやられた! クソッ、避わしきれん!」

 

 もう1機のジンが、スラスターを吹かしてビームの網目を潜り抜けようとした瞬間、進行方向に先回りするように展開されていた数十発の対空ミサイルの1発に脚部を被弾した。

 

 機体のバランスが崩れ、姿勢制御を失ってスピン状態に陥ったそのジンに対し、容赦なく後続のミサイルが次々と着弾。装甲がひしゃげ、激しく爆発を繰り返しながら、原型を留めない肉塊と鉄屑へと変わり果てていった。

 

「チィッ! たった5機にどんだけ撃ち込んできやがるんだ!」

 

「馬鹿野郎、陣形を広げろ! まとまっていたらマトになるだけだ!」

 

 連合の異常なまでの飽和攻撃──その対空砲火の第一波という名の嵐を、スラスターの推進剤を大量に消費しながらも、紙一重の神業的な機動でなんとかやり過ごすことができたのは、残されたわずか3機のジンだけであった。

 

 だが、彼らが安堵の息を吐く暇すら、戦場には用意されていなかった。

 

「……見ろ! ジンが散開したぞ!」

 

「艦隊の砲火で足が止まってる! 囲めッ! 逃がすな!!」

 

 対空砲火の嵐が過ぎ去った直後、その火線の影から湧き出すように現れたのは、100機を超える地球連合軍のメビウス隊であった。

 

 第8艦隊の過剰な対空砲火は、ジンを撃墜するためだけではなく、彼らの機動力を奪い、戦場の中央に足を止めさせ、そして部隊を分断させるための「巨大な定置網」としての役割を完璧に果たしていたのだ。

 

 たった3機にまで減らされ、スラスターの推進剤も激しく消耗し、連携も分断されたジン。

 

 その孤立無援となった獲物に対し、士気が高揚しているメビウス乗りたちが全方位から狂喜の吶喊と共に殺到していく。

 

 ジンという高性能なMSの優位性は、数の暴力と、完璧にコントロールされた戦術の前に、今まさに無残に引き裂かれようとしていた。

 

 

◇◇◇

 

 

「使ってみせるさ。あの男に出来て、私に出来ぬはずがない」

 

 シグーのコックピットで、ラウ・ル・クルーゼは仮面の下で冷酷な笑みを深めた。

 

 機体の推進を司る高機動スラスター群と、背面に接続された未完成のシステム──その両者の複雑極まるコントロールを同時に手足のように管理・制御しながら、クルーゼは主戦場へと銀色の機体を滑らせていく。

 

 メインモニターの彼方では、オレンジ色の専用ジンを駆るミゲル・アイマンが、未知の可変型MSと苛烈な死闘を繰り広げていた。

 

(イージスもまた、MAへと変形するMSだ。そしてあの正体不明の怪鳥も……)

 

 クルーゼは戦況を俯瞰しながら、地球連合軍の兵器開発における「歪な思想」を冷徹に分析していた。

 

 人型機動兵の運用において、ナチュラルである地球軍のパイロットたちは致命的なまでに経験が不足している。だからこそ、ああして高性能なMSに態々MAへの変形機構を組み込み、大火力の火砲をMA形態の一直線な機動で叩きつけるという、極端なコンセプトが必要になるのだ。

 

 MSが戦局を完全に塗り替えたこの時代にあっても、メビウスに代表されるMAという旧来の運用思想を捨て切れない。あるいは、前線指揮官をその高機動かつ防御力の高いMA形態に乗せ、戦場を俯瞰・遊撃させるという戦術意図か。

 

 いずれにせよ、それは何とも地球軍らしい、妥協と執念の産物であると言えた。

 

 だが、その「妥協の産物」が、歴戦のジンを瞬く間に5機も血祭りに上げるほどの絶大な戦闘力を発揮しているという現実は、決して看過できるものではない。

 

(短時間でそれだけの戦果を上げる高機動MA……いや、可変MSか。これ以上のイレギュラーを野放しにはできん。交戦データは、この私が直接持ち帰らせてもらう)

 

 クルーゼは操縦桿を操作し、シグーをミゲルの戦闘宙域へと急接近させた。超高速域での姿勢制御をアクロバティックにこなしながら、まずは牽制として右腕に構えた76mm重突撃機銃のトリガーを引く。

 

 漆黒の宇宙空間に、幾筋もの実体弾の光が分厚い弾幕となってばら撒かれる。それは、狙い澄ました一撃というよりも、ミゲルを執拗に追う未知の怪鳥の機動ベクトルを制限し、自身の「本命」を展開するための布石に過ぎなかった。

 

「行けッ!」

 

 クルーゼの鋭い呼応と共に、銀色のシグーの背部に装着されたプラットフォームから、二つの巨大な影が射出された。

 

 左右に突き出ていた大型のポッドが、強靭なワイヤーを引いて虚空へと解き放たれる。常人には到底制御しきれない三次元の死角からの多角的な攻撃。クルーゼは自身の細胞に刻印された『空間認識能力』を全開にし、己の血の証明たるその未知の牙を、ミゲルを追い詰める化け物へと容赦なく襲い掛からせたのだった。

 

 

◇◇◇

 

 

 アリュゼウスのメインモニターの中央、急速に拡大された光学映像が新たな熱源の正体を鮮明に映し出す。

 

 漆黒の宇宙空間を滑るように突き進んでくるその機体は、ザフトの指揮官用MSとして名高い『シグー』であった。

 

 となれば、あの機体の操縦桿を握っているのは一人しかいない。クルーゼ隊を率いる指揮官、ラウ・ル・クルーゼ。

 

 しかしマユラの鋭い眼光は、機体の異常な「ある一点」へと釘付けになっていた。そのシグーの背中に背負わされたユニットの形状が、本来の制式仕様とは全く異なっていたのだ。

 

 本来のシグーであれば、ジンの流れを汲んだ流線形のウィングスラスターが備わっているはずである。だが、モニターに映るその背には、極めて無骨で角張った重厚なプラットフォームが鎮座していた。

 

「なんなのよ、あの背中……ッ!」

 

 マユラが訝しむ間にも、クルーゼのシグーは右腕に構えた76mm重突撃機銃のトリガーを引き絞り、牽制の弾幕を怒涛のようにばら撒いてきた。

 

 だが、マユラはアリュゼウスの規格外の推進力を爆発させ、極彩色のプラズマの尾を引きながら、ただの機動力のみでその実体弾の驟雨を完全に置き去りにしてみせた。

 

 しかし、真の脅威は実弾の雨などではなかった。

 

 機銃の弾幕を振り切った直後、マユラはシグーの背中の異形なユニットから左右に突き出た二つの巨大な端末が、強靭なワイヤーを引いて虚空へと射出されるのをはっきりと目撃したのだ。

 

「ウソでしょ!? ガンバレルじゃん!」

 

 アークエンジェルのムウ・ラ・フラガが見せる、あの三次元の死角を突く悪魔のような全方位攻撃兵器。

 

 それがザフトの指揮官機にも搭載されているという事実に、マユラは背筋に氷を突き立てられたような悪寒を覚え、直ちにアリュゼウスの機体を大きく翻した。

 

 放たれた有線式ドラグーンから、幾筋もの高出力ビームの火線が、アリュゼウスの進路を塞ぐように降り注ぐ。マユラは強烈なGに奥歯を噛み砕かんばかりに食い縛りながら、スラスターの噴射角を乱数的に変化させ、死の光条を紙一重で回避しつつ、反撃の機会を虎視眈々と伺っていた。

 

 だが、空間認識能力を全開にしたクルーゼの操るドラグーンは、彼女の予測のさらに斜め上を穿ってきた。

 

 回避行動の終点、完璧な死角となる背後から突如として強烈な熱源アラートがコックピットに鳴り響いた。

 

(あ……ヤバッ)

 

 マユラの思考が、一瞬だけ白く染まる。

 

 躱せない。そう直感した瞬間、背後から放たれたビームが、アリュゼウスの背部装甲に直撃した。

 

「自分が死んだ」──マユラは確かにそう思った。

 

 しかし、次の瞬間、彼女の網膜に映っていたのは、四散する自機の残骸ではなく、健在を示すシステムオールグリーンのインジケーターであった。

 

 そこは、常軌を逸した安全を計算し尽くす男、キラ・ヤマトが丹精込めて組み上げたアストレイ用のHWSの面目躍如だった。

 

 アサギやマユラといった、大切な仲間たちが乗るホワイトフレームやグリーンフレームへの装備を前提として設計されたこのアリュゼウスには、装甲の表面に分厚いアンチビームコーティングが施されているだけでなく、『ビームコート』という強固なビームバリアまでが搭載されている。

 

 背後からの奇襲という、バリアの指向性が正面ほど集中していない箇所への被弾であっても、アリュゼウスの背部は十分にビームコートの防御幕の範囲内であり、かつ背部の物理的な装甲そのものにもアンチビームコーティングが手厚く施されていた。

 

 放たれた致死のビームは、装甲の表面で水飛沫のように無害な光の粒子となって霧散していった。

 

「チィッ! 背後からの高出力ビームすら、全く受け付けないというのか……!」

 

 シグーのコックピットで、クルーゼは仮面の下の顔を歪め、忌々しげに毒づいた。

 

 自身の空間認識能力を以て完全に死角を突いた会心の一撃。

 

 それを、絶対的な防御力で弾き返された事実は、この未知の機体が彼の想定を遥かに超えるオーバースペックの化け物であることを残酷なまでに証明していた。

 

 これ以上、この得体の知れない怪鳥に付き合うのは、戦術的に無意味どころか部隊の全滅を招く。

 

 クルーゼは即座に決断を下し、アリュゼウスに翻弄され満身創痍となりつつあったミゲルの専用ジンへ通信を開いた。

 

「撤退するぞ、ミゲル!」

 

『なっ……隊長!? いや、しかし、艦隊の方へ向った連中がまだ……!』

 

「気の毒だが、アレでは最早手遅れだ。連合の対空砲火とメビウスの波状攻撃に呑み込まれた彼らを救い出す術は、今の我々にはない」

 

 クルーゼの言葉は、酷薄なまでに冷徹で、絶対的な響きを持っていた。

 

「あのまま彼らを無駄死にさせる気かと言うのかね? 未知の可変型MSと直接刃を交え生き延びた君の戦闘データは、数機のジンを失うよりも余程価値がある。何としてでも、本国へ持ち帰らなければならんのだ」

 

『ッ……! 了解……ッ!!』

 

 オレンジ色のジンのコックピットで、ミゲルは血が滲むほどに唇を噛み締め、苦虫を噛み潰したような激しい苦悶の表情を浮かべた。

 

 自分を囮にしてまで艦隊への攻撃を託した仲間たちを、ここで完全に見捨てるということ。

 

 その決断の重さに心が軋んだが、クルーゼの言う通り、あのバケモノめいた防御力と機動性を持つ新型機のデータを持ち帰らなければ、ザフトは今後、あの機体に蹂躙される未来しか残されていない。

 

 ミゲルは断腸の思いで操縦桿を引き、専用ジンのスラスターを反転させると、足早にヴェサリウスの方向へと機体を翻していった。

 

 それを見届けたクルーゼは、シグーから後退用の信号弾を暗黒の宇宙へと打ち上げた。

 

 そして、マユラのアリュゼウスからの予測不能な追撃を最大限に警戒し、有線式ドラグーンを手元に引き戻しながら機体を慎重に、そして静かに後退させていった。

 

 

◇◇◇

 

 

 漆黒の宇宙空間を切り裂くように打ち上げられた、目に焼き付くような強烈な閃光。

 

 ザフト軍における撤退指令を示すその後退信号の光を網膜に捉え、アスラン・ザラはイージスのコックピットの中で荒い息を吐き出した。

 

 全身を汗が濡らし、操縦桿を握る手は限界まで酷使されたことにより微かに震えていた。

 

 彼とてザフトのアカデミーをトップの成績で卒業した赤服のエースである。常人離れした反射神経と空間認識能力を総動員し、四方八方から飛来する変幻自在のオールレンジ攻撃を掻い潜りながら、執拗にイージスを追い掛け回していたストライクのガンバレルを、どうにか3基まで撃ち落とすことには成功していた。

 

 だが、それが限界だった。

 

 通常であれば、オールレンジ兵器の数が減れば、それに比例して火線も減り、戦況は好転するはずである。しかし、破壊されたガンバレルへ割いていた操作リソースと意識の余力が、そのまま残された3基のガンバレルと機体本体の機動制御へと振り向けられたことで、皮肉にもストライクの動きは先程よりもさらに洗練されてしまったのだ。

 

 手負いになるどころか、より手強さと凄みを増したストライクと砲火を交える中で突きつけられた撤退信号。

 

 それは、最新鋭のG兵器を強奪し、数の優位をもって艦隊を急襲したにも関わらず、完全に自分たちが手玉に取られ、戦術的にも局地戦においても『完全な敗北』を喫したという現実をアスランに突き付けていた。

 

「オメオメと……ッ、ナチュラルの寄せ集め共にコケにされたまま引けるかよッ!!」

 

 その後退信号の光を見て、部隊の誰よりも激しく吼えたのはイザーク・ジュールだった。

 

 目の前の紺色のティエレンとのドッグファイトは、彼の誇りを泥で塗り潰すような絶望的な泥仕合──いや、一方的な蹂躙へと変貌していた。

 

 デュエルが放つ高出力のビームライフルも、レールガンの高速徹甲弾も、極小の姿勢制御のみで全て紙一重で躱される。弾幕を張るために放ったミサイル群は、ティエレンの胸部に備えられた機銃によって寸分の狂いもなく的確に撃ち落とされる。

 

 対して、ティエレンが放つレーザーライフルの反撃は、デュエルのスラスターを限界まで吹かしてどうにか躱すか、避けきれずにシールドで受け止めるしかない。

 

 このまま完封されたまま尻尾を巻いて後退しなければならないという現実を、プライドの塊であるイザークが受け入れられるはずもなかった。

 

「ふざけるなァッ!!」

 

 完全に頭へ血が昇ったイザークは、射撃戦を放棄し、背部からビームサーベルを引き抜くと、プラズマの刃を煌めかせて紺色のティエレンへと斬り掛かった。

 

「後退信号が上がったのに! なぜ引かないんだ!」

 

 ティエレンはデュエルの強烈な斬撃をスラスターの微細な逆噴射でフワリと躱す。しかし、イザークは踏み込みの勢いを殺さず、機体を強引に捻って執拗にビームサーベルを振り回し続けた。

 

「ちょこまかとッ、逃げの一手かよ!」

 

 唾を飛ばさんばかりに吼えるイザーク。その剣閃がティエレンの装甲を掠めようとした瞬間、キラは逃げることをやめた。

 

 ティエレンの重厚なマニピュレーターが蛇のように動き、振り下ろされるデュエルの腕部を側面から受け止めると、そのまま機体を密着させるほどの超近接距離へと踏み込み、デュエルの機体をティエレンの強靭なフレームで取っ組み合うようにして拘束し、強引にその動きを封じ込めた。

 

「後退信号が上がったろ! もう勝負は付いてる、何故退かないんだ!」

 

 誰も殺したくない。これ以上、無意味な血を流したくない。キラの悲痛な叫びが空間に響く。

 

「何だとォ!! 貴様ァッ!!」

 

 接触回線で聞こえた「情け」とも取れる言葉に、イザークのプライドは完全に限界を突破した。

 

 拘束された状態から、右肩のレールガンの砲口をティエレンの頭部へと向けるゼロ距離からの発砲。

 

 凄まじい轟音と共に放たれた徹甲弾。だがキラは、ティエレンの機体を僅かに傾け、分厚い装甲の表面を削り飛ばすだけの軌道へと逸らしてみせた。

 

 しかし、イザークの狙いはレールガンの命中ではなく、拘束を解くことにあった。

 

 さらにデュエル自身の頭部をティエレンの装甲へと思い切り叩きつける『頭突き』を敢行。強引に間合いをこじ開けると、可動域を確保した右腕で、再びビームサーベルを振り下ろした。

 

 その一撃は、完璧なタイミングだった。普通のパイロットであれば、重装甲のティエレンで回避することは物理的に不可能。

 

 だがキラはあろうことか重装甲の塊であるティエレンにバク宙を行わせた。

 

 虚空で美しい弧を描き、デュエルのビームサーベルを回避した直後、キラは機体を瞬時に前傾姿勢へ傾けると、スラスターを最大噴射。

 

 左腕に装備された小型シールドの裏側に仕込まれた隠し武装──高出力のレーザーソードを起動させ、レーザー刃を形成しながら今度はキラの方から斬り掛かった。

 

「うわあああああッ!!」

 

 デュエルのコックピット。イザークの視界を、迫り来る圧倒的な死の閃光が埋め尽くした。

 

 その切っ先は、間違いなくデュエルの腹部──コックピットブロックへの直撃コースをなぞっていた。

 

 自尊心も怒りも全てが凍りつき、剥き出しの恐怖にイザークが声を上げたその瞬間。

 

 キラは、操縦桿を握る手に僅かな力を込め、レーザーソードの軌道を意図的にズラした。

 

 コックピットを両断するはずだった刃は、デュエルの両脚部、その膝関節を斬り飛ばしていた。

 

 両脚を失い、バランスを崩して宙を舞うデュエル。その背後へと回り込んだティエレンは、即座にレーザーライフルを構え、デュエルのメインスラスターへと叩き込んだ。

 

 爆炎が上がり、デュエルは完全にその機動力を奪われた。

 

「戦いは終わったんだ! もうやめろッ!!」

 

「ぐあああッ」

 

 キラは推進力を失い漂うデュエルの背面にティエレンの脚を叩き込み、ディアッカの乗るバスターの方角へと向かって、機体を蹴り飛ばした。

 

「イザーク!」

 

 遠距離からの支援を完全に封じられ、激しい機動の連続によって機体のバッテリー残量がフェイズシフト装甲を維持すら危うい危険域に突入していたディアッカは、弾き飛ばされてきた無残な姿のデュエルを慌ててバスターの腕で受け止めた。

 

 ディアッカは冷や汗を流しながら、戦場に漂う異様な光景を目の当たりにしていた。

 

 先程までバスターを完璧な連携で追い掛け回し、完封していた『2機の青いティエレン』。その2機が、とどめを刺すこともなく不気味なほどスムーズにバスターから離脱し、キラの乗る紺色のティエレンの両脇へとバスターへの未練など感じさせずに静かに合流したのを。

 

「……化け物か幽霊かよ、アイツら」

 

 ディアッカは恐怖と屈辱を噛み殺し、背筋に走る悪寒を振り払うように、激しく損傷したデュエルを抱えたまま、ヴェサリウスの方角へと全速力でバスターを後退させていった。

 

 それは、ザフトの誇る赤服のエースたちが、這々の体で逃げ出すという、かつてない凄惨な敗走の光景であった。

 

 

 

 

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