やめてよね、僕が准将みたいに出来るわけないじゃないか 作:星乃 望夢
オーブ連合首長国が誇る主力モビルスーツ「M1アストレイ」。
その機体は極めて優秀な量産機であるものの、基礎設計の根底には、プラントから流出・亡命してきた技術者たちがもたらした「ジン」の血脈が流れている。
コズミック・イラにおけるモビルスーツ戦の歴史は、ザフトが投入したジンの登場によって幕を開けた。
故に、地球連合軍であれオーブ軍であれ、開発される機体は「最低限、あのジンに撃ち勝てる性能」を有していなければ、戦場に立つことすら許されない。
ジンという機体が圧倒的な機動力と三次元的な空間戦闘能力を誇る以上、それを凌駕するためには、対抗する側もまた「機動性」を追求するほかなかった。
その思想の結晶が、初期に開発された「プロトアストレイ」である。
徹底的な軽量化を図るため、背面の装甲すら削ぎ落としてフレームを剥き出しにし、特殊な発泡金属装甲を採用することで、紙一重の回避を前提としたピーキーな機体が誕生した。
後に続く量産型の「M1アストレイ」では、パイロットの生存率と汎用性を高めるために背面装甲が増設されるなどの堅実なアップデートが施されたが、それでもなお、機体のコンセプトが「装甲の厚さよりも、被弾しないための機動戦」に全振りされている事実に変わりはなかった。
だが、軽量であるが故に打たれ弱いアストレイシリーズ。
その機体を物理的に保護し、かつ大気圏内での完全な空戦能力を付与するための拡張装備として開発されたのが、「イカロスユニット」および「アリュゼウスユニット」である。
これにより、アストレイは空という新たな立体戦場において、ジンやディンを相手に優位に立ち回る術を得た。
しかし、戦場のパラダイムシフトは突如としてユーラシア連邦から引き起こされた。彼らがライセンス契約で量産を開始した「ティエレン」の存在である。
ティエレンは、機動性を至上命題としていたコズミック・イラのMS開発思想に真っ向から反逆する機体だった。
そのコンセプトは「歩く地上の城塞」。圧倒的な質量と重装甲、そして表面に何層にも渡って焼き付けられた分厚い耐ビームコーティングは、従来の戦術を根底から覆した。
ビームライフル程度では、表面のコーティングを焦がすか、外層装甲を浅く溶解させることしかできず、致命傷には至らない。
逆にティエレン側から放たれる重火器の弾幕に捕まれば、機動戦をするための軽量機は一瞬にして鉄屑へと変わる。
この「絶対に撃ち抜けない盾」の出現は、オーブやザフトの機動戦術を完全に機能不全へと陥れた。
このティエレンの重装甲を、耐ビームコーティングごと正面から理不尽に消し飛ばす。そのただ一点の目的の為に、キラ・ヤマトの常軌を逸した頭脳が導き出した解答が、大型ビーム砲『メガキャノン』の開発であった。
それは最早、一機のモビルスーツが携行する「武装」の域を完全に逸脱していた。
通常出力の単発射撃ですら、「バスターライフル」と同等──すなわち、中隊規模のMS部隊を余波だけで蒸発させるほどの威力を誇る。
さらに最大出力での照射ともなれば、その破壊力は「ツインバスターライフル」に匹敵する。
分厚い資源衛星の岩盤や、堅牢なスペースコロニーの外壁すらも一撃で貫通・崩壊せしめる、まさに戦術兵器を超えた「戦略兵器」そのものであった。
だが、この圧倒的な破壊力を実現するための代償は、あまりにも大きすぎた。
莫大なエネルギーを瞬時に生成・圧縮するため、メガキャノンの砲身内部には「パワーエクステンダー」に加え、ジェネレーターとして「小型核分裂炉」、そしてそれを地球圏で稼働させるための「ニュートロンジャマーキャンセラー」までもが、極限まで高密度に集約・内蔵されていたのだ。
結果として、武装単体の重量がMS一機の自重に迫るほどに膨れ上がり、取り回しは劣悪を極めた。
さらに致命的だったのは、莫大なプラズマと荷電粒子を撃ち出す際に生じる「反動」である。軽量化を極めたアストレイシリーズのフレームでは、発射時の絶大な反作用に耐えきれず、撃った瞬間に両腕の関節が吹き飛び、機体そのものが空中分解する計算結果が弾き出された。
頼みの綱であった重装甲・高質量のティエレンに装備させた場合でも、機体が自壊することこそ免れたが、発射の反動を殺し切って姿勢を安定させるためには、姿勢制御アクチュエーターを限界まで酷使せねばならず、実戦での「歩兵の武器」としては到底運用不可能な代物となってしまった。
「ここまでの過剰な威力は、現在の局地戦においては不要かつ自滅を招く」
オーブの影の支配者であり、冷徹な戦略眼を持つロンド・ミナ・サハクとの極秘協議の末、キラはメガキャノンの技術をデチューンし、実用レベルまで最適化した新兵装の開発に着手する。
それが、アストレイやティエレンのフレームでも十分に制御可能でありながら、ティエレンの重装甲を打ち抜く威力を持った『ドーバーガン』である。
「高初速の実体弾」と、「高出力ビーム」を状況に応じてカートリッジを交換し、撃ち分けられるこのハイブリッド兵装は、現場のパイロットたちに熱狂的に受け入れられた。
しかし、キラ・ヤマトの視線は、局地戦の勝利などという矮小な現実には留まっていなかった。
ドーバーガンはあくまでMS同士の戦闘に勝つための「道具」である。
だが、このコズミック・イラという狂った世界には、地球上の全生命を絶滅させかねないザフトの最終兵器「ジェネシス」や、月面からオーブという国家そのものを一瞬で消し炭にする地球軍の戦略兵器「レクイエム」といった、理不尽な破滅のシステムが未だに存在し、あるいは新たに建造されようとしている。
いざ、それらの巨大兵器による終末のカウントダウンが始まった時。
圧倒的な質量を持つ防衛網や、巨大な要塞の装甲を瞬時に抉り開けなければならない「その時」が来たならば。
その絶望的な局面を単機で打開できるのは、あの『メガキャノン』の理不尽な破壊力以外に存在しない。
その冷酷な真理に行き着いた時、キラの脳内に一つの狂気的な設計思想が閃いた。
クソ真面目に、一切の妥協なく「メガキャノン」という兵器を再現してしまったのならば。
それを使える機体がないと嘆くのではなく、「かつてその規格外の砲を涼しい顔で振り回していた、大元のモビルスーツ」そのものを、このコズミック・イラの最新技術のすべてを注ぎ込んで、クソ真面目に一から開発・建造すればいいのだ、と。
◇◇◇
オーブが『ドーバーガン』という規格外の巨砲で、ユーラシア連邦の誇る地上の城塞「ティエレン」への解答を導き出していたその裏側で。
プラントのザフト軍最高評議会および国防委員会もまた、ただ指を咥えて蹂躙されるのを待っていたわけではなかった。
彼らが目を付けたのは、最新鋭の機体や完全新規の武装ではない。
開戦当初からジンのオプション兵装として存在していたバルルス改特火重粒子砲であった。
元来、バルルス改はザフトにおける貴重なビーム兵装であったが、その評価は決して芳しいものではなかった。
長大な砲身の割にビームの収束率が悪く、後に地球連合やオーブが開発する標準的なビームライフルと比較しても火力に劣る。その上、外部バッテリーカートリッジ式であるため、わずか3発しか撃てないという極めて劣悪な取り回しの悪さを抱えていたからだ。
だが、この「取り回しが悪く、たった3発しか撃てない重火器」こそが、無敵の重装甲を誇るティエレンを相手取った宇宙空間での戦闘において、ザフト兵たちを救う『戦場の女神』として再評価されていた。
ティエレンの真価は、あくまで重力下たる陸戦において発揮される。
脚部を歩行と姿勢制御のみに割り切り、弱点となる推進系を持たないその設計は、地上戦ではまさに難攻不落の城塞であった。
しかし、宇宙においては事情が異なる。
ティエレンであっても機動するためのスラスターを外部に露出せざるを得ず、三次元的な空間機動においても、本来空間戦闘を主眼に開発されたジンやシグーのしなやかさには遠く及ばない。
ザフトの熟練パイロットたちは、機動力を活かしてティエレンの死角──背後へと回り込み、このバルルス改の貴重な一撃を推進系に叩き込むことで、辛うじて撃墜スコアを稼いでいたのである。
ザフトは、量産を見送られたゲイツ用のビームライフルを今更再生産するような愚策には走らなかった。
彼らが注目したのは、バルルス改の「デバイスが大型であるが故に、内部構造に拡張・改修の余地が極めて大きく残されている」という設計上のマージンだった。
こうして、プラントの威信とコーディネイターの意地を懸けて急造・近代化改修された新兵装が産声を上げる。
『バルルス特火重粒子砲改二』。
その砲身には、開戦当初の面影を残しながらも、内部には最新のビーム収束技術と磁場制御モジュールが限界まで詰め込まれていた。
大型の砲身を活かしてビームの収束率を極限まで高め、ただの荷電粒子の塊ではなく、装甲を物理的に「削り取る」位相エネルギー砲へと昇華。
さらに、ネックであったバッテリーカートリッジには高密度の新型エネルギーパックを採用し、威力の大幅な向上を果たしながらも、装弾数を劇的に増加させることに成功したのである。
この「バルルス特火重粒子砲改二」のロールアウトは、ティエレンの重装甲の前に防戦一方となっていたザフト軍にとって、まさに起死回生の切り札となった。
ザフト軍MS部隊へこの装備が行き渡った時、戦場のパワーバランスは再び大きく揺れ動くことになる。
兵器の進化は留まることを知らず、戦術のいたちごっこは、皮肉にもキラ・ヤマトが最も恐れた「際限のない殺し合い」の様相を、コズミック・イラの世界に色濃く描き出していくのだった。
◇◇◇
視点は再び、極東の島国・オーブ連合首長国へと戻る。
ニュートロンジャマーによって核分裂炉の稼働が完全に封じられたコズミック・イラの世界において、MSの主動力は必然的に大容量バッテリーに依存せざるを得ない。
しかし、これは戦術的に致命的なジレンマを孕んでいた。
高威力のビーム兵器を使用するたびに、機体本体の駆動エネルギーを直接食いつぶしてしまうのだ。
どれほど優秀なパイロットが乗ろうとも、エネルギーが枯渇すれば鉄の棺桶と化す。故に、バッテリー駆動機にはどうしても「継戦能力の頭打ち」という限界が常につきまとっていた。
この避けられない課題、そして「大気圏内では空気の干渉によってビームの威力が減衰してしまう」という物理的な問題。
これらに対する解決策──より正確には、MS部隊全体の継戦能力と対応力を劇的に引き上げるための策として、キラ・ヤマトがドーバーガンと共にモルゲンレーテへと納入したもう一つの答えがあった。
地球連合軍の主力MA「メビウス」が装備していたリニアガンを徹底的に再設計・流用して生み出された『リニアレールガン』の配備である。
この武装の最大の利点は、兵装そのものに「独立したバッテリーカートリッジ」を採用している点にある。
ビームライフルのように機体本体から電力を供給する必要がないため、本体のエネルギーを一切消費しない。
これにより、M1アストレイは機動力と継戦能力を全く損なうことなく、高火力を連続投射することが可能となった。
そして、その破壊力もまた規格外であった。
バッテリーパックから生み出される膨大な電力で超電磁加速された弾丸は、大気による減衰の影響を一切受けない。
音速を遥かに超える絶大な運動エネルギーを伴って撃ち出された弾丸は、ビームを弾くティエレンの分厚い正面装甲をも、真正面から容易く貫通するだけの恐るべき威力を持っていた。
オーブはただ守りを固めるだけではない。キラ・ヤマトという鬼才の頭脳によって、接近戦を制するドーバーガンと、遠距離から確実に装甲を穿つリニアレールガンという、死角のない『狩人の牙』を静かに、そして鋭く研ぎ澄ましていたのである。
◇◇◇
ユーラシア連邦軍最高司令部。
大西洋連邦の陰謀とザフトの猛攻に晒され続けてきたこの大国が、ただ漫然と「ティエレンの無敵」に胡坐をかいているはずがなかった。
オーブがドーバーガンを造り、ザフトがバルルス改二を持ち出してくることなど、軍事の歴史を鑑みれば想定の範囲内である。装甲が厚ければ、それを貫く砲が造られる。それは兵器開発の絶対的な摂理だ。
だからこそ、ユーラシア連邦は次なる一手──「ティエレンでは行えない機動戦の要」として、自国独自のMSである『ハイペリオン』の開発を成功させ、いよいよその量産化計画へと着手しようとしていた。
計画書に記されていたのは、量産型機『ハイペリオンG』。
コストダウンを図るため、背面のビームキャノン「フォルファントリー」を1門に減らし、何よりも最大のアイデンティティである絶対防御シールド「アルミューレ・リュミエール」の発振ユニットを半減させた廉価版機体である。
だが、その最終承認会議の席上で、前線上がりのとある将校が放った「ひと言」が、ユーラシア軍のドクトリンを劇的に変えることになった。
「わざわざ防御力と火力を落としてまで、中途半端なハイペリオンの量産型を造る意味がどこにある? アルミューレ・リュミエールの発振ユニットとフォルファントリーを、そのまま『ティエレン』に載せれば済む話ではないか!」
その言葉は、会議室にいた全ての将官の脳天を撃ち抜くパラダイムシフトであった。
そもそも、ハイペリオンの量産型が検討されたのは、主力機ティエレンの弱点である「機動力」をカバーするためだ。
だが、高価で整備性の悪いハイペリオンの廉価版の数を揃えたところで、大西洋連邦のダガー部隊やザフトのジンと正面から機動戦の泥沼に付き合うだけになる。
「ならば、機動戦部隊は妥協のない少数精鋭の『オリジナル・ハイペリオン』に任せればよい。そして、我々の主力たるティエレンに、ビームをも無効化する絶対の盾と、強力な矛を付与する。それで、この地上において我々に勝てる軍隊がどこにいるというのだ!」
将校の主張は、あまりにも理にかなっていた。
実弾には元々無類の強さを誇るティエレンの重装甲。
敵が脅威的なビーム火器を持ち出してきた時にだけ、アルミューレ・リュミエールを展開すればいい。
しかも、アルミューレ・リュミエールの最大の特長は「内側からの射撃は透過する」という点にある。
無敵の光の盾を展開したまま、中から一方的に滑腔砲とフォルファントリーの弾幕を浴びせ続ける、文字通りの『歩く絶対城塞』が完成するのだ。
さらに、ユーラシア連邦には強力な後ろ盾──オーブの特異点、キラ・ヤマトから正式な技術交換によってもたらされた、ティエレンの派生型図面が存在する。
重力下での機動戦という懸念を、陸上をホバーで高速滑走することで解決した『ティエレン高機動B型』。
空の脅威を面制圧で叩き落とす『ティエレン対空型』。
ザフトの独壇場であった海中を制圧する『ティエレン水中型』。
空の完全な飛行能力こそ持たないものの、それ以外のあらゆる戦地に展開可能なティエレンのバリエーションが、ユーラシアの陸戦兵科を完全に補完していた。
高機動B型のホバー突撃があれば、歩兵部隊の随伴や電撃戦において、わざわざ脆弱なMSを新規開発する必要すらない。
「滑腔砲、大口径砲、そしてビームキャノン……これだけあれば、ザフトだろうが、大西洋連邦だろうが、いかなるMSであろうと正面から捻り潰せる!」
今もって、コズミック・イラにおいてビームも実体弾も完全に防ぎ切る盾は、ユーラシアのアルミューレ・リュミエールを置いて他にない。
それが無くとも、極限まで頑強なティエレンを横一列に並べるだけで、防衛戦は半永久的に持ち堪えられる。
ユーラシア連邦の将兵、将官、そして文官に至るまで。
彼らは皆、余すところなくこの『無敵の鉄人』に心を奪われ、頭を焼かれた者達だ。
大西洋連邦の顔色を窺い、常に後塵を拝してきた屈辱の歴史。それを完全に払拭し、自分たちに圧倒的な生存能力と勝利をもたらしてくれる鋼鉄の塊。
パイロットたちは、その無骨な機体を愛着と狂信を込めてこう呼んだ。
「命を預けるに足る、最高の『歩く棺桶』」と。
それは決して死地へ向かう自嘲ではない。万が一自分が死ぬ時があるとするならば、この最強の鉄の城の中で死ねるのなら本望だという、前線の兵士たちからの究極の賛辞であった。
ユーラシア連邦の軍靴は、ティエレンという名の鋼鉄の重低音を響かせながら、世界規模の勢力図を完全に塗り替えようと力強く前進を始めていた。
◇◇◇
現在、地球連合の中核たる大西洋連邦の内部は、真っ二つに分断されるという異常事態に陥っていた。
一方は、アイスランドの強固な軍事拠点『ヘブンズベース』に陣取る、ブルーコスモス盟主ロード・ジブリール擁する総司令本部。
彼らは、あの凄惨なアラスカのJOSH-A攻防戦において、最前線で戦う自軍の兵士たちを囮として置き去りにし、我先にと安全圏へ脱出した張本人たちである。
その暴挙は連合内部でも激しい批判を浴びたが、彼らは「総司令部の戦略的移動」という強権的な主張と詭弁を振りかざし、またブルーコスモスが持つ根深い政治的影響力と裏工作を駆使することで、辛うじて軍事法廷での裁きを逃れ、ヘブンズベースという絶対の安全圏に引き籠もっていた。
そしてもう一方は、中米の戦略的要衝『パナマ基地』に陣取る、国防産業連合理事ムルタ・アズラエルが実権を握るパナマ司令部。
同じ大西洋連邦の旗を掲げる者同士が、互いの軍事力と政治力を背景に睨み合うという、一見すれば不毛極まりない内紛状態。
しかし、実利と計算で動くアズラエルからすれば、この分断は決して悪い状況ではなかった。むしろ、ジブリールに付き従う狂信的なブルーコスモス派の無能な連中が、勝手にヘブンズベースという一つの籠に集まって隔離されている現状は、管理しやすく極めて好都合ですらあった。
ジブリールたちは相変わらずヘイトスピーチで民衆を煽り立て、熱狂的な兵士を募り、自らの政治的伝手を使ってユーラシア連邦の一部から強引に物資や資金を吸い上げ、盲目的な軍備拡大に邁進している。
だが、ジブリールの陣営には致命的な欠陥が一つあった。
ヘブンズベースには、宇宙へ上がるための絶対的なインフラである『マスドライバー』が存在しないのだ。
現在、地球軍が確保している宇宙への玄関口は、アズラエルが実質的に掌握しているパナマ基地のマスドライバーと、ユーラシア連邦の管理下にあるアフリカのビクトリア基地のみ。
「宇宙の化け物共を青き清浄なる世界のために焼き払う」というブルーコスモスの至上命題を果たすためには、彼らは宇宙へ軍を展開しなければならない。
しかし、そのための道が、ジブリールの手元にはどこにも無いのである。
とはいえ、アズラエルのもとにも無視できない不穏な報告が届いていた。
かつて、オーブの少年──キラ・ヤマトから供与された『TC-OS』の圧倒的な完成度の前に開発が凍結されていた、「純大西洋連邦製ナチュラル用OS」が、どうにかこうにか実用レベルで完成に漕ぎ着けたらしいという情報だ。
これは、ジブリール陣営が独自にMS部隊を運用できるようになったことを意味する。
マスドライバーを持たない彼らが宇宙へ上がる手段。それは、ヨーロッパに位置するザフトの重要拠点『ジブラルタル基地』を力技で襲撃・奪取し、そこから南下してアフリカの『ビクトリア基地』をユーラシア連邦から力ずくで、あるいは政治的恫喝で奪い取るという、およそ現実的ではない強行ルートである。
しかし、あのロード・ジブリールという、選民思想と自己顕示欲に塗れた男が、いつまでもアイスランドで大人しくしているとも思えない。
戦力が整いさえすれば、アラスカから兵を捨てて尻尾を巻いて逃げ出したあのチキン野郎も、また息巻いて偉そうに表舞台へと出てくるのだろう。
「ふん……出てきたところで、どうせ碌な手駒もないくせに」
アズラエルは、自室の重厚なデスクで報告書を放り投げ、鼻で嗤った。
ジブリールの総司令本部に配備されているのはあくまで戦時急造の簡易量産型である「ストライクダガー」に過ぎない。
対してアズラエルは、生産ラインと予算の配分を巧妙に操作し、制式量産型ダガーシリーズの主力を、全てここパナマに集結させていた。
兵器の質において、パナマ司令部はヘブンズベースを圧倒している。
まぁ、一応は同じ大西洋連邦の軍隊なのだ。いくらジブリールでも、明確に矛先を向けてちょっかいを掛けてくるとは思えない。
……しかし。相手は「青き清浄なる世界のため」ならば平気で味方すら見捨てる狂信者の群れだ。「総司令本部の命令に従わない反逆者」などという適当なでっち上げで、ある日突然パナマを襲撃してこないとも限らない。
そうした狂信者の思考回路を誰よりも熟知し、嫌悪するアズラエルは、決して警戒を怠らなかった。
そして、この互いに睨み合い、軍拡を進める「束の間の空白期間」に、アズラエルの実利主義的な思考はすでに次の一手へと向かっていた。
「……さてと。ビジネスの時間だ」
アズラエルは、最高機密の直通回線を開き、オーブにいるあの優秀すぎるビジネスパートナーへと連絡を入れた。
目当ては、彼の元に届けられた最新の兵器情報──オーブが開発に成功したという、あのティエレンの装甲すら容易く穿つ『リニアレールガン』のライセンス交渉である。
かつて『TC-OS』という画期的なシステムを巡って個人的なライセンス契約を結んだことで、アズラエルはキラ・ヤマトという特異点に直接アクセスできる、大西洋連邦でも数少ない特権を得ていた。
自国の無能な技術局に莫大な予算と時間を注ぎ込んで、出来損ないの兵器を開発させるくらいなら、オーブの秘密基地で、あの少年が次々と生み出す途方もない「オモチャ」の設計図を、札束で買い上げた方が労せずして自軍を最も手っ取り早く、かつ最強の形へと強化できる。
新しく、強力で、実用性の高い武器が、札束を積むだけで手に入る。
世界一の兵器産業を牛耳るアズラエルにとって、これは極めて安い買い物──いや、次の世界大戦の覇権を握るための、最も確実な「先行投資」であった。
狂信者たちが机上の空論で吠え面をかいている間に、実力で全てを捻り潰す準備を整える。
それが、ムルタ・アズラエルという男の戦い方だった。
◇◇◇
「あぁ、もう、2年後にデュランダル議長からロゴスメンバー指定されて吊るし上げられる未来が見えた……」
モルゲンレーテの地下開発室。その無機質な天井を力なく仰ぎ見ながら、キラ・ヤマトは深い、あまりにも深すぎる疲労の溜息を盛大に漏らした。
このまま世界が、自分の知る「あの未来」へと突き進むのかどうかなど、もはや誰にも分からないというのに。
今の自分の立ち位置を客観的に見直せば見直すほど、プラントの最高評議会議長ギルバート・デュランダルが全世界に向けて放つ『死の商人のリスト』のトップテンに、ムルタ・アズラエルやロード・ジブリールと肩を並べて『キラ・ヤマト』の名がデカデカと載りそうな気がしてならなかった。
事の発端は数時間前。大西洋連邦の「お得意様」であるムルタ・アズラエルからの、極秘回線を通じた一本の通信だった。
『やあ、キラ君! 聞いたよ、新しいオモチャを造ったんだって? そのリニアレールガンの設計図、ウチにも売ってくれないかな?』
ひどく気さくで、それでいて有無を言わさぬ圧を伴った要求。
もちろん、いくら開発者本人とはいえ、オーブの国家予算とモルゲンレーテの設備を使って完成させた独自の軍事技術を、一介の少年が勝手に他国へ売り払う権利などあるはずがない。
だからキラは、至極真っ当な社会人の対応として「オーブの議会や上層部に掛け合ってからでないと……」と、一旦話を保留にして持ち越そうとしたのだ。
だが、相手は世界最大の軍産複合体・国防産業連合理事にして、札束で大西洋連邦を平手打ちする男である。
『あぁ、もちろん構わないよ。君の国のルールは尊重する。……ただね、君たちが今回作ったそれ、ウチが特許を持ってるメビウスの【リニアガン】の基本構造を流用してるよね? じゃあ、もし設計図を売ってくれないなら、そっちのライセンス料をキッチリ請求させてもらおうかな。オーブ国内で生産する一丁ごとに、そうだな……これくらいのロイヤリティを上乗せしてね』
画面越しにニッコリと、しかし完璧な「ヤクザの脅し」を笑顔で突きつけられた。
確かに、ジャンク屋組合の市場にすらゴロゴロ転がっている旧式のリニアガンではあるが、法的な特許と首根っこを握っているのは紛れもなくアズラエルである。
そこを突かれれば、オーブは自国の防衛兵器であるリニアレールガンを量産するたびに、大西洋連邦へ莫大な特許料を吸い上げられるか、あるいは割高な完全国内生産を強いられることになってしまう。
『なぁに、言い値で買うと言っているんだ。先行投資としては安いものさ。君にとっても、オーブにとっても、悪い話じゃないだろう?』
完全に逃げ道を塞がれたキラは、即座にオーブの獅子ウズミ・ナラ・アスハと、影の支配者ロンド・ミナ・サハクの二人に直通回線を繋いだ。
『……やれやれ。あの男に目をつけられたが最後、骨までしゃぶられるとは思っていたが……背に腹は代えられん。言い値で売り払い、その金でオーブの防衛網をさらに強固にせよ』
『ふふっ、良いではないか、キラ。敵国の資金で自国の兵器を造る。死の商人としての才覚も十分に備わってきたようだな。存分にふっかけてやれ』
ウズミは胃を痛めたような顔で渋々了承し、ミナに至っては楽しげに笑って全面許可を出した。
結果、キラはアズラエルの要求通り、リニアレールガンの設計図をライセンス契約という形で大西洋連邦へと売却したのである。
言い値で買うと言ったのだから、こちらからの要求をその言い値として通させる。
一度の売買で終わらせず、あちらがリニアレールガンを造る度にライセンス料をぶんどる方が長期的に見て利益がある。
そこら辺の姑息さを見抜かれていないわけではないが、アチラもあちらでTC-OSのライセンスを止められたら被害が出る。
大西洋連邦製ナチュラル用OSが完成したと風の噂で聞いているキラは、いつこの関係が終わるとも分からない故に、TC-OS以外でもアズラエルとの契約を維持し、万が一にでも大西洋連邦がオーブへと仕掛けられない仕組みを崩すわけには行かなかったのだ。
「はぁ……。ユーラシアにティエレンを渡し、ターミナルにはタオツーを流し、大西洋連邦にはレールガンを高値で売りつける……」
キラは自身の両手を見つめ、再び深々と溜息をついた。
(これじゃあ、僕が一番の『死の商人』じゃないか……)
兵器開発の業を背負うと決めたのは自分だ。戦力均衡を保ち、どちらか一方が圧倒的勝利を収める地獄を回避するためには、各陣営に「致命傷を与え合えるが、決定打にはならない」絶妙なパワーバランスを強制するしかない。
しかし、その重圧と、次々と自分の手から生み出される凶器が世界中にばら撒かれていく事実は、優しすぎる少年の精神をゴリゴリと削り取っていく。
「……早くアレを完成させないと、本当に胃に穴が空きそうだよ」
キラは重い腰を上げ、再びコンソールへと向き直る。
理不尽な世界から大切なものを守るため、そして何より、自分自身がばら撒いてしまった恐るべき兵器たちを「自分の手で全て叩き壊す」ための、最強で最凶の悪魔の機体を造り上げるために。
◇◇◇
「では引き続き、そのまま任務を続行せよ。良いな、イングリット」
「はい……オルフェ」
硬質な電子音が通信の切断を告げると、室内の薄暗い空間に、イングリット・トラドールの長く、ひどく冷たい息がこぼれ落ちた。
オルフェとの定期連絡。彼女に課せられた任務は、オーブの天才キラ・ヤマトへ肉体と精神の双方から深く接近し、来たるべき「デスティニープラン」の実行に向けて有用な軍事技術や機密情報を奪取すること。そして、可能であれば彼自身をコントロール下に置くことである。
先程の通信で、イングリットは意を決し、事実として「キラ・ヤマトと閨を共にし、肉体関係を結んだ」と淡々と報告した。
それに対するオルフェの反応は、極めて事務的で、一切の感情の揺らぎを感じさせないものだった。
『そうか。良くやった。引き続き、彼からより深い情報を引き出せ』
──ただ、それだけ。
「すまない」でもなく、「辛い任務をさせて申し訳ない」でもなく、「お前の心身は無事か」でもない。
自身が長く密かに想いを寄せていた相手から、己の純潔を任務のために捧げたことに対して返ってきたのは、手駒が期待通りの働きをしたことへの、冷徹な評価だけだった。
もしこれが、逆の立場であれば。もしキラが指示を出す側であったなら、彼は決してこんな言葉は口にしない。
自らの手を汚すことも、誰かを傷つけることも極度に恐れる彼は、きっと泣き出しそうな顔で「そんなことしなくていい」「ごめん、僕がもっと上手くやれれば」と、心からの痛みを伴って寄り添ってくれたはずだ。
その絶対的な温度差が、オルフェへの未練を完全に断ち切る鋭い刃となり、同時に、イングリットの胸の内に暗く重い虚無感を広げていく。
「……イングリット」
不意に、静かに開いたドアから柔らかな声が響いた。
ハッと振り返ると、そこにはキラ・ヤマトが立っていた。
モルゲンレーテでの連日の激務と、世界中の陣営を相手にした命がけの裏交渉。
その過酷な疲労は、彼の目の下にある隈と、わずかに落ち窪んだ頬が如実に物語っている。
立っているのもやっとのはずの少年は、しかし、イングリットの様子を察するや否や、自身の疲労など微塵も感じさせないほど真っ直ぐに彼女の元へ歩み寄り、その華奢な肩を、ひどく優しく、壊れ物を扱うようにそっと抱き留めた。
「……大丈夫? その、オルフェたちからの通信……辛かったら、僕が居るから。君が嫌な思いをしてまで、あっちに合わせる必要なんて、本当はないんだよ」
痛いほどに、優しい。
キラの紫水晶の瞳には、イングリットが任務という名目で心を擦り減らしていることへの深い哀しみと、どうしようもない庇護欲が滲んでいた。
彼はイングリットが「スパイ」であることを承知の上で、それでも彼女自身がこれ以上傷つくことを何よりも恐れてくれているのだ。
「っ……キラッ!!」
その瞬間、イングリットの胸の奥底で凍りついていた何かが、激しい熱を帯びて融解した。
彼女は弾かれたようにキラの身体にしがみつき、その背中に両腕を強く回した。彼の体温、彼の匂い、そしてこの不器用で優しすぎる少年が放つ、絶対的な受容の気配。
それらすべてが、彼女の虚無感を一瞬にして満たし、甘い熱情へと変えていく。
「私を……私を、もっと見て。オルフェの駒なんかじゃない、私自身を……っ!」
イングリットは背伸びをし、懇願するようにキラの唇を塞いだ。
それは任務のための打算的な口付けなどではない。ただ純粋に、彼という存在を欲し、彼に自身のすべてを刻み込みたいという、女としての切実な渇望だった。
柔らかく、しかし貪るように交わされるキス。キラもまた、イングリットの悲痛な思いを受け止めるように、彼女の腰を抱き寄せ、その熱に深く応えていく。
唇を離すと、二人の間には甘く濃密な吐息が糸を引いた。
イングリットの瞳はすでに潤み、抗いがたい情欲と彼への盲目的な愛情で熱く濡れている。
「キラ……」
彼女は彼の服の裾を掴み、そのまま彼の手を引いて、部屋の中央にある広いベッドへとゆっくりと後退していく。
抗うことなく、むしろ彼女の痛みを癒すために自らを差し出すように、キラはイングリットと共に柔らかなシーツの中へと沈み込んだ。
(……ええ、そうよ。これは任務なんかじゃない)
彼から与えられた熱を、細胞の隅々まで受け入れながら、イングリットは確信する。
アコードという呪縛から自分を解き放ち、普通の女の子として愛してくれたこの少年。彼を守るためならば、ファウンデーションの全てを欺き、利用し尽くすことなど容易い。
私が望んで、私が選んで、私が守ると決めたこの男の子に、今、私は抱かれているのだから。
世界の命運がどうなろうと知ったことではない。イングリットは、自分をきつく抱きしめ返すキラの背中に爪を立て、その幸福な熱の渦の中へと、自ら進んで深く、深く溺れていった。
◇◇◇
「………クソッ」
情事を終え、シーツに包まりながら疲れたように深い眠りに落ちたイングリット。
キラは彼女の柔らかな頬を優しく撫で、その目尻から伝い落ちた透明な雫を指先でそっと拭うと、彼女が抱え込んできた心の痛みを共有するように拳を強く握り締め、小さな悪態を吐いた。
出来ることなら……いや、本気でやろうと思えば、ティエレンにあの『メガキャノン』を担がせて、彼らを紅蓮の焔で焼き払う事だって、今の自分には出来てしまう。
けれども、もし万が一、その理不尽な破壊を下した下手人が「オーブのキラ・ヤマト」だと露見してしまえばどうなるか。
オーブが他国の大地を一方的に焼いたという事実が、最愛の祖国を一瞬にして『世界の敵』へと陥れてしまう。
自分の個人的な激情に身を任せて、オーブで平和に暮らしている人々の生活を、理不尽な業火で焼かせるわけには絶対に、いかないのだ。
その為に自分は、武器を作りながら、ドロドロの政治的駆け引きの泥沼の中で足掻いているのだから。
それでも、本当なら敵となる筈だった彼女の心の傷を、出来ることなら代わってあげたいと、キラは心底から願っていた。
「イングリットは、今泣いているのに。……それをわかるんだよ、オルフェ……」
母アウラによって歪んだ教育を施された彼ら、アコード。
遺伝子によって完全に管理された世界を導く為だけに生み出された彼らに、キラは激しい怒りと同時に、どうしようもない同情を抱いていた。
彼らとて、最初からこんな世界を暴力で統治したくてやっているわけではないのだろう。
けれども、「そうすること」こそが自分がこの世に生まれた唯一の理由であり、絶対の使命だと刷り込まれているから。
それ以外の生き方を知らないから、やるしかないのだ。
「君の姿は、僕に似ているんだ……オルフェ」
やりたくてやっているわけじゃない。
でも、誰かがやらなければ、世界が理不尽な悪意で滅びてしまう。
そして、自分は『キラ・ヤマト』だから。
最高の頭脳と力を持つスーパーコーディネイターであり、やりたくなくてもやらなくちゃ、本当に世界が終わってしまう立場と運命の元に生まれてしまったから。
だから、やるしかないんだ。
けれど――。
「キラ……」
不意に背後から掛けられた声に振り返ると、そこにはいつの間にか部屋に入ってきていたラクスが、キラの背負う重圧と痛みを分かち合うような、ひどく哀しげな顔を浮かべて立っていた。
彼女もまた、キラが己の業に苦しんでいることを誰よりも理解している。
「……大丈夫だよ、ラクス。僕は、一人じゃないから」
キラは力強い微笑みを浮かべると、ラクスを引き寄せ、その柔らかい唇にそっとキスをした。
「キラ……んっ」
重なり合う唇から、彼女の深い愛情と温もりが流れ込んでくる。
そう、僕は一人じゃない。一人で出来ることなんてたかが知れているし、限界がある。すべてを完璧に救う神様になんて、なれやしない。
だから僕は、みんなに甘えて、甘え倒してやる。
僕を愛し、支えてくれるすべての人たちに寄りかかって、泣きついて、背中を預けて。
その代わりに、僕にしか出来ないことは、僕の持てるすべてを懸けて精一杯やるんだ。
面倒くさがり屋で、怠け者で、すぐに泣いてしまう、甘ったれ。
それが、キラ・ヤマトという少年の本当の姿だ。
それでも。
そんな僕を愛してくれる人たちがいて、彼らと共に笑い合えるこの世界が愛おしいから。
この守りたい世界を、悪魔の力を使ってでも、血反吐を吐いて戦ってでも、絶対に最後まで守り抜いてみせる。
決意を新たに、キラは自らの胸にすり寄るラクスを強く抱きしめ返すと、ベッドで静かな寝息を立てるイングリットの青髪を、もう一度だけ優しく撫でた。
この小説書いてて楽しいのは、兵器開発とそれによる世界の動きの変動を考えてる時。
そして何故かユーラシア連邦の事になるとティエレンで良くね?理論が罷り通る!!
もうアイツらティエレンが棺桶じゃなくて、棺桶にティエレン入れないと成仏しない軍人多いんじゃないか?
ジブリール周りがかなり無理あるけど、奴さん死ぬと話まわらなくなるから道化として最期まで生きててくれ。
だってジブリールの後釜のミケールは全然キャラわかんないから、出してもパットしないんだもん。
ビジネスマン腹黒ヤクザアズにゃん書いてる時も楽しい。
なのであるが。いやー、なんというか、私別にオルフェのこと嫌いじゃないし、めちゃくちゃゃ可哀想な奴だとも思っているんですよ?
なのに、平常運転のオルフェならこうだよな〜?
って書いたら、物凄くクズ野郎みたいになって、キラがイングリットにスパダリかましまくるのなんでなんだ?