龍の軌跡 第二章 魔法少女リリカルなのは編≪リメイク≫(凍結中) 作:ミステリア
またも先月の投稿から一ヶ月以上の間が空いての投稿となってしまい、誠にすみませんでした。
というのも、ここ二週間ほど平日は毎日残業。土曜日は休日出勤。日曜日はその疲労で泥のように眠るという生活だった為、投稿する余裕も無く、今日やっと投稿出来た次第です。
さて、前話でも言いましたが今話で原作前を終えます。
そして主人公設定とオリジナル斬魄刀設定を書き、無印までキンクリします。
設定は来年の三が日に投稿する予定です。
では!どうぞ!
――ヴァリアサイド――
「ハアッハハハハッ!」
己の内に溢れ出んばかりに湧き上がる歓喜を哄笑へと変え、私はその感情を露わにした。
何故ならば、私は遂に手に入れたのだ!
月村姉妹に、高町親子を!
美と武。
私の求める最高の芸術の頂を!
私の前に跪き臣下の礼を取る4人を目の前に置き、私は玉座に座る王のごとく椅子に腰掛ける。
「クックックッ・・・」
哄笑によってある程度発散した歓喜が、泉の様に更に滾々と湧き上がり、私は笑みを止める事が出来なかった。
それはこの4人を手に入れるのに、並々ならぬ苦労があったことの証拠だともいえた。
あれは今から1ヶ月程前。
月村姉妹を連れ去り、高町親子を誘き出して捕らえる計画を実行に移した日。
始めは計画通りうまくいっていたのだが、途中で予想外の事態が発生した。
妙な技を使う見慣れない餓鬼によって、護衛の人形の殆どを失い、私自身も一旦引かざるを得なかったという苦汁を舐めさせられたのだ。
更に外の非常階段を降りた所で外に退却していた高町士郎と高町恭弥。そして得体の知れない餓鬼の3人に挟まれ、絶体絶命の状況に追い込まれてしまった。
だがしかし、後に証拠隠滅をする為に持っていたビルを爆破する為の起爆スイッチを持っていたのが功を奏し、3人の動きを封じ、まだ人形達が大量にいるビルのエントランスに戻る事が出来た。
そして命じた大量の人形達によって邪魔な餓鬼を殺し、4人を捕らえる事が出来たのだ。
「クックククク・・・」
思い返しただけで再び歓喜の感情が溢れ出し、笑いを噛み殺す事が困難となる。
そして――
「ハァッ!ハッハッハッハッ!!」
私は感情の爆発に身を委ね、再び哄笑を響かせた。
☆
――龍一郎サイド――
「ハァッ!ハッハッハッハッ!!」
「・・・煩いなぁ」
狂ったように上げている金髪の男の哄笑を耳元で受け、俺は
「よっぽど愉快な幻を見ているようだな」
内容はあまり知りたくないけど・・・と、
「まぁそうですね。
いい加減鬱陶しくなってきた馬鹿笑いを抑える為に男の口に猿轡を噛ませて、俺は士郎に苦笑した。
そう。実は男が起爆スイッチを取り出し、俺の手に持っていた蜃気楼の姿が消え、勝ち誇っていたあの時から、男は既に幻覚の世界へと入り込んでいたのだ。
これこそが蜃気楼の卍解。
卍解を解放すると同時に、五感全てを惑わす幻覚を見せる空間を展開させる――持ち主の強さによって、その範囲の大きさは変化する。今の俺の力では直径30メートルの円状での展開が精一杯――事が出来、その空間内にいる個々に幻覚の発動の有無の特定。
そして見せる幻覚の種類の設定をする事も可能となっている。
因みに蜃気楼の姿が消えたのは、幻覚ではなく卍解が解放された事によって起こる現象。
広大砂漠之蜃気楼は形態事態の変化は無く、千本桜景厳のように斬魄刀自体が消えて卍解が発動し、鈴虫終式閻魔蟋蟀のように空間事態が卍解した斬魄刀そのものとなるタイプの斬魄刀なのだ。
そしてそれこそが広大砂漠之蜃気楼の最も恐ろしい所でもある。
なにしろNARUTOの幻術とほぼ同じクオリティの幻覚を、印を結んだりも、笛を吹いたり、目線を合わせたりといった
まぁそれ程に恐ろしい能力を持つ広大砂漠之蜃気楼にも、一つだけ欠点が存在してはいる。
それは始解も卍解も一貫して『斬る』という攻撃が出来ないこと。
始解は能力によって刀身を当てることは出来ても『斬る』ということは出来ず、卍解は鈴虫終式閻魔蟋蟀のように刀の姿のままで空間が展開せずに、発動する際に斬魄刀が消えてしまう為、斬撃を繰り出すこと自体が出来ないのだ。
何故蜃気楼は此処まで直接攻撃方が皆無な斬魄刀となっているのか。その理由は酷く単純で簡単なもの。
それは蜃気楼自身が血が大嫌いだからだ。
血が嫌いだから直接攻撃するのを徹底的に嫌がり、斬る事が出来ない特性となり、斬る事とは関係のない能力となったのだ。
閑話休題
まぁとにかく、俺はこの広大砂漠之蜃気楼の能力と特性を使う事で、ヴァリアに幻覚をかけて起爆スイッチを取り上げ、縄で縛り上げて拘束し、今に至っている。
因みに予め卍解の存在を知っていた士郎さんはあまり驚かなかったが、恭也さんはいきなり馬鹿みたいに大口を開けて哄笑を上げるヴァリアにかなり驚いていた。
だから事情を説明しようとは思ったのだが、俺の卍解の保持時間がまだ42、3秒しかない為、後で全員揃って纏めて説明する事を約束し、取り敢えず恭也さんはまだビルの中にいる忍さんと月村の確保に。
俺と士郎さんは金髪の男の拘束を先に済ませる事にしたのだ。
「さて・・・と」
縄で縛り、猿轡を噛ませたのを確認した俺はなるべく保持時間を温存する為に卍解を解き、それによって金髪の男にかかっていた幻覚も解除され――
「ふ?・・・・・・ふぐっ!!ふんぐふががふぐっ!!」
一瞬目を丸くして呆けた様に黙った後に、先程の哄笑に劣らない程の声量で俺と士郎さんにがなり立ててくるが、猿轡を噛まされているため、くぐもった意味不明の声の羅列でしかなくなってしまっている。
「しかし話には聞いていたけど、実際に見ると本当に凄いな。その卍解というのは」
いきなり騒ぎ出した金髪男をまじまじと見て感心の言葉を吐く士郎さんに、自らの努力の末に完成させた力を褒められ、少々気まずくなって鼻の頭を軽く掻いて「まぁ、卍解というのは奥の手ですから。どれもこれもかなりのものですよ」と返し、俺は話題を変える。
「さて、此奴の処分は忍さんに任せた方がいいでしょうか?」
「そうだね。君の力を隠しておく事を考えると、そうした方が適切だね」
「ふんぐ!ふぐぐぐっ!!」
喚き散らす金髪男をスルーし、俺と士郎さんは話を進める。
「まぁ、この後月村達に説明する事になるんですけどね」
「一応俺も、出来るだけのフォローはするよ」
「すいません。その時は宜しくお願いします」
和やかに会話する俺と士郎さんの横で――
「ふがががががあぁぁ~~~~~~っ!!!!」
金髪男の青筋を浮かべ、目を血走らせて放たれた一際大きな意味不明の怒声が、夜の闇に響いて消えた。
☆
――月村すずかサイド――
「・・・正直。ふざけないでと言いたいけれど、目の前であの力を見せられたら、信じるしかないわね」
珍しく疲れを表に出したお姉ちゃんが、頭を抱えそうな感じで額に手を置いて、溜め息混じりに吐き出す。
あの時、龍一郎君がもう一人の龍一郎君――その場にいた龍一郎君は自分の事を分身体と言っていた――を残して行って暫く経った後、やってきた恭也さんと一緒に士郎さんと本物の龍一郎に合流した私達は、猿轡を噛ませて縛り上げてある金髪の男の人をお姉ちゃんが連絡した人達に引き渡して、事情聴取を受けた後、無事に家に帰ることが出来た。
家で私達の帰りを待っていてくれたファリンにノエル。そして私達を誘拐したのは注意をこっちに向けて家に忍び込むんじゃないかと危惧した士郎さんが呼んでおいた美由希さんと再会し、喜びを分かち合った。
まぁ他にも、ビルの中で分身体の龍一郎君を見た恭也さんが「な、何故此処にも居るんだ!」と問い詰めたら、龍一郎君が「本体が後で説明するから」と言い残して出てきた時と同じ独特の破裂音に煙と一緒に消えちゃって、かなりパニックになっちゃったり。
家に帰った時にファリンと龍一郎君が朗らかに話し始めたのに着いていけずに、美由希さんとノエルが「この子・・・誰」といわんばかりの目で話している二人に視線が行ったり来たりしたりとしていたりと色々な事があったけど、まずお互いに初対面の人に自己紹介をして軽い食事をとって――この時既に午後九時を過ぎていた――一旦落ち着いた後で、龍一郎君はお姉ちゃんとの約束通り全部の事情を話していった。
――自分の正体
――神様との出会い
――イレギュラーズと呼ばれる存在
――そのイレギュラーズを破る為に貰った力
――これまでの戦い
合間合間で士郎さんと、途中で突然現れたエルフィちゃん――龍一郎君と士郎さんを除く全員が物凄く驚いて、恭也さんが斬りかかりそうになった――がフォローし、これらの話が終わった頃には、そろそろ時計の針が午後十一時を刺そうかといった時だった。
そして話が終わった後のみんなの反応が、私はどう反応していいのか分からずに黙して俯き、お姉ちゃんは溜め息混じりにさっきの言葉を吐き出し、恭也さんは難しい顔をして手を顎に当ててブツブツと呟き、美由希さんはマジマジと龍一郎君を見て「嘘・・・この子が・・・私より学年・・・上・・・」と信じられないと言わんばかりにファリンと一緒に目を丸くし、ノエルは珍しく戸惑いの表情を露わにしていた。
「・・・とまあ、俺の話は此処までですが、月村」
いきなり話を振られるとは思っていなかった私は思わず「ひゃ、ひゃい!」と間の抜けた返事を返してしまい、顔を赤くして更に俯いてしまうけど、龍一郎君は其処に触れずに話を続ける。
「お前はさっきビルの中で自分の事を化物だって言っていたけど、今の話を聞いて俺をどう思った?化物だと思ったか?」
その問いに私はハッとして俯いていた顔を勢い良く上げて叫ぶ。
「そんな事無いよ!」
大きく声を上げる私に皆が驚いた顔をしたけど、私は椅子を蹴倒す勢いで立ち上がり、龍一郎君に鋭さの混じった視線を向ける。
「龍一郎君は私とお姉ちゃんを助けてくれた優しい人だよ!化物なんかじゃないよ!」
「なら、お互い様だな」
「え?」
「俺は俺を心配してくれた月村が化物とは思えない。
月村は助けた俺を化物なんかじゃないと言ってくれた。
ならそれでお互いが少し変わった人間だという事でお互い様じゃないのか?」
「・・・っ!」
美由希さんよりも学年が上だと思えない位に無茶苦茶な論法。
でも私にはそれが凄く嬉しく思えた。
目頭が熱くなってきた私に龍一郎君は続ける。
「お互いにお互い様で、もうこの事についてぐだぐだ言い合うのは止めって事でいいんじゃないか?月村?」
「うん・・・うん・・・」
涙声になりがらも、私は首を何度も縦に振って龍一郎君の言葉を肯定する。
「ぐすっ・・・すずかちゃん・・・良かった」
そんな私を見てファリンは啜り泣き、お姉ちゃんは「残念ね。すずかの全部を受け入れてくれる異性を見つけたのに、いつか必ず別れなければならないなんて」と愁いを帯びた言葉を呟いた。
美由希さんは貰い泣きしたのか目を潤ませ、恭也さんはふうっと吐息を1つ吐いた後に「成る程な」と静かだけど周りに響く声でその一言発して皆の注目を集め、龍一郎君に視線を向けた。
「正直、お前の言った事の全部を信用した訳じゃない。
だが今のすずかちゃんとの会話で、お前という一人の人間は信頼するに値する人物だという事は分かった」
龍一郎君が話をしていた時にはあった険がだいぶ和らいだ目をして言う恭也さんが席を立ち、龍一郎君の側にまで歩み、右手を差し出した。
「俺は父さんが信を置き、すずかちゃんの心を開いたお前の信頼しよう。
力が必要な時は、声をかけてくれ」
龍一郎君も席を立ってその差し出した手を握って握手を交わし、「有り難う御座います。心強いです」と返す。
「いつか貴男自身の信も得たいものです」
「それはお前の今後の頑張り次第だな」
「ですね」
短い会話だけど、恭也さんと龍一郎君の間に絆が結ばれたように思えた。
男の人通しだから通じ合えるものがあるのかな?と内心で小首を傾げる私を余所に、恭也さんが認めたのならばと美由希さんも龍一郎君に「これから宜しく」と握手を交わす。
「さて、大体話は纏まったようだから、次の話に移るわね」
パンパンッと手を叩いて、お姉ちゃんが恭也さんと龍一郎君に注がれていた皆の視線を集める。
「まずは龍一郎君。君はこれからどうしていくのか考えてはあるのかしら?」
「はい。取り敢えず聖小に通うようになるまでかなり厳しめにした鍛錬をこなしていこうと思っています。
イレギュラーズの探知はエルフィに全て任せているので、俺自身は戦う時に備えて出来る限り俺個人の力を上げていくつもりです」
「私達の力が必要な時にどう連絡するのか、考えてはあるのかしら?」
「エルフィに頼んでリンクを繋いでおけば、テレパシーのように心の中で話し合える心話というものが出来ます。
連絡はそれで取ろうと思っています」
それなら盗聴も出来ませんしと付け加えた龍一郎君にお姉ちゃんは「成る程ね」と納得の顔を見せた後に一瞬悪戯っぽい浮かべて「それじゃああと一つ聞くけど・・・」と口を開く。
「家に泊まっていかない?」
「「「「へっ(えっ)?」」」」
突然のお姉ちゃんの言葉に、私と龍一郎君だけでなく美由希さんにファリンも間の抜けた声を上げてしまう。
「えっと・・・何で?」
「だって、この家からあなたの住んでいるマンションまでかなり距離があるでしょ。
明るい内ならばまだしも、今の時間帯で子供が1人で出歩いているのは流石に拙くない?」
そう言うお姉ちゃんの言葉に時計に目を向けると、既に11時20分を過ぎていた。
確かにこの時間帯だと、見た目は私と同じ位の龍一郎君が1人で歩いていたら、妙だと思うよねと納得する私を余所に、龍一郎君はさっきまで握手をしていた恭也さんや士郎さんに助けを訴える視線を送っていた。
だけど2人共目を逸らしてその視線から逃げたのを見て、龍一郎君は今度は相棒のエルフィちゃんに視線を向けるけど――
「別に良いではないか。我は構わないぞ」
とノエルが出した紅茶を飲んで、幸せそうな顔を浮かべながらそう言って、続けていく。
「戸締まりはしてあるから問題はない筈だ。家に道標符を貼り付けていない以上、歩いて帰る以外に方法はない。
寧ろ此処で意地を張って帰っている途中で補導にでもあう方が危険だ」
筋の通った理論に龍一郎君は頭を抱えて黙り込んでしまい、士郎さんと恭也さんは『まぁ・・・諦めてくれ』といった感じの目で龍一郎君を見つめ、お姉ちゃんは面白そうに笑って答えを待っている。
そして龍一郎君は観念した様にはあっと息を吐いた後に顔を上げて「お世話になります」とお姉ちゃんに一礼した。
その龍一郎君の姿に、私は・・・いや。私を含めた皆は笑い出さないように、吹き出さないように堪えている。
失礼だと思うけど仕方がないよね。
だって頭を下げている龍一郎君の後ろで、私達だけに見えるようにエルフィちゃんが白旗を振っているその姿が可笑しんだもん。
そんなふうに笑うのを我慢しなきゃいけない辛い一時は、龍一郎君が頭を上げてエルフィちゃんが白旗を隠すまで続いていた。
では!良いお年を!