龍の軌跡 第二章 魔法少女リリカルなのは編≪リメイク≫(凍結中)   作:ミステリア

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どうも!先日ガラケーをスマートフォンに変えて、文字を書くのに慣れようとしているミステリアです。

今話から無印編のスタートとなります。

因みにこの話が前回持っていたガラケーで書いた最後の話です。

なるべく早くスマホで書くのに慣れて、次話を投稿したいと思います。

では、どうぞ!


無印編
第十一話


――三人称サイド――

 

暗い森の中を、一人の少年が立っていた。

 

傷を負ったらしい左の腕を右手で押さえ、息を乱しながらも二つの足で地を踏みしめ、力を感じさせる目で左右を見回し、辺りを警戒していた。

 

ザッ!!

 

草葉が揺れるその音と共に『それ』が姿を見せるのと、少年が『それ』の気配に気付くのはほぼ同時だった。

 

方向は少年から見て左。傷を負っている方が攻めるに容易と見たらしいが、少年の反応は『それ』の予想よりも遥かに速く体勢を変えて向き合い、『それ』に向けて傷口を押さえていた右手を前に出す。

 

その動きに応えるかの様に、少年の前に出した右手の二つの指の間に輝く紅玉を中心に、幾つもの緑の光線がまるで意志を持つ生き物の如く走り、確かな形を作っていく。

 

そうして完成したものは、記号や文字は明らかに日本の・・・否。地球上のどの国の言語にも当てはまらないものであったが、正に魔法陣と呼ぶに相応しいものであった。

 

その魔法陣を見た瞬間、『それ』の血のように赤い二つの目がカッ!と見開かれ、纏う空気が明らかに変わる。

 

殺気。殺意。明確な敵意。

 

それらが少年へと向けられる。

 

そして――

 

ザザァッ!!

 

ついに『それ』が草葉の影から飛び出し、少年に向けて一直線に疾走する。

 

そして初めて見せた『それ』の全容は、地球上のどの生物にも酷似していなかった。

黒い。ただ黒く長丸い軽自動車よりも一回り程小さい――それでも少年から見れば充分に大きな――塊に、二つの赤い目だけが爛々と輝いていた。

 

手足が無くとも疾走と言うに値する程のスピードで、地を駆け突進してくる『それ』のプレッシャーを感じて冷や汗を浮かべながらも、少年は引かずに『それ』を視界から外さず、口を動かし呪文の様なものを唱えていく。

 

そして『それ』が跳躍して飛びかかってくるのと、ほぼ同時に少年の言葉が発せられた。

 

「ジュエルシード!封印!!」

 

魔法陣に重力加速度と質量を加えて威力を増した『それ』がぶつかりあい、目を焼かれそうな程の閃光と辺りの木々の枝が揺れ、幹がビリビリと震える程の衝撃が一帯に広がった。

 

そしてそれの発生源である衝突地では、突進していった黒い『それ』が魔法陣に弾かれ、小さな肉片を幾つも散らして彼方へと吹っ飛んでいきはしたが、まだ動くだけの力は残っていたらしく、少年に向かっていた時とは比べるのも馬鹿らしい程の緩慢な動きで少年から遠ざかる形で移動していった。

 

傷を負い、動きの鈍い今の『それ』は、少年にとって絶好の好機であったのだが、今の攻防で少年も力を使い果たしたらしく、前のめりに崩れ、倒れ込みそうになる体をプルプルと震える右の掌と左の肘を地に付けて顔を上げ、何とか完全に倒れ伏すのを防いでいる状態であった。

 

「逃がし・・・ちゃった・・・追いかけ・・・な・・・きゃ」

 

だが限界にまで力を使った体は少年の意思を裏切り、やがて倒れ伏した。

 

《誰か・・・僕の声を聞いて》

 

それは頭の奥に響く声。

 

今の少年に残された最後の力。

 

《力を貸して・・・・・・僕に・・・力を》

 

声が途切れると同時に、少年の体が先程の魔法陣を描いていた線と同じ緑色の光に包まれていく。

 

そして光が消えた後にその場に少年の姿はなく、あったのは傷を負った一匹のフェレットとその傍らに紅玉があるだけであった。

 

 

 

――龍一郎サイド――

 

「・・・遂にきたか」

 

ベットに横たえた体を起こし、俺は今し方見た夢の意味を噛み締める様に呟いた。

 

遂にきたのだ。高町なのはの今後の人生を大きく変える事件の始まりが。

 

魔法少女リリカルなのはが。

 

そしてこれが始まったという事は、俺にとっても大きな意味を持っていた。

 

コンコンッ

 

「龍。入るぞ」

 

「あぁ」

 

俺が返事を返してから殆ど間を置かずに扉が開き、相棒のエルフィが顔をのぞかせた。

 

「感じたか?」

 

「あぁ」

 

全く同じ言葉ではあるが、一オクターブ程音程を落として俺は頷き続ける。

 

「イレギュラーズはジュエルシードを狙ってくると思うか?」

 

「可能性は高い。これまで全く動きを見せなかったからな」

 

そう。俺がこの世界にきてから今日に至るまで、感知系を含む補助系能力において神クラスといってもいい程の力を持つエルフィにも気配を気取られる事なく、イレギュラーズはその影すら見せずにずっと静観を保っていた。

 

「感知範囲を第九十七管理外世界のみに絞ったのは失敗だったのかな?」

 

俺の口から漏れた呟きに相棒は「いや」と首を小さく左右に振った。

 

「いかに我の力でも、これ以上範囲を広げて常時待機していくのは負担が大きい。正直今位がギリギリなのだ」

 

まぁ確かに。管理外世界一つを覆えるほどの感知結界を、常時展開しているのだ。

 

それにこれは忍さん達が誘拐される少し前位に聞いたのだが、エルフィはその感知結界を、俺と共にこの世界に来たその時から常に張っていたらしい。

 

一体どれ程力を消耗しているのか、俺では想像もつかない。

 

それ程までに力を尽くしてくれている相棒に、俺はこれ以上の無理強いを強いるのは酷だと思い、「そうか」とだけ返した。

 

そんな俺の心情を知ってか知らずか、エルフィは「予め言われていた通りに、21個全てのジュエルシードの場所は特定した。だが本当に龍は自ら回収に赴きはしないつもりか?」と訝しげに問いてきた。

 

「あぁ。もし俺が動いてジュエルシードを回収すれば、イレギュラーズに能力を見られて対処されるからな。

ただでさえ相手の方がスペック的に有利な可能性があるから、対処法を模索されたら更に厄介になる。流石にそれは避けたいんだ。

それに俺達が動かなくても、ジュエルシードは高町とテスタロッサが集めていくし、2人とも強くなっていくからイレギュラーズにとっては時間を置く程に不利になっていく。

そして姿を見せた時に俺達も介入すればいい」

 

高町達を囮に使っている様なやり方に納得がいかないらしく、顎に手を当てて「むぅ・・・」と不満げに唸る相棒に俺は「それに」続ける。

 

「管理局が俺達の力に目を付けない訳がないだろう?」

「龍。それは些か失礼ではないのか?我も原作は知っているのだぞ。リンディ・ハラオウンやクロノ・ハラオウンをはじめとしたアースラのクルーは信頼するに足る人間達だと思っている」

 

「じゃあ、八神の家を見張っている猫姉妹は?」

 

「っ!」

 

すぐに返した俺の問いに、エルフィは声を詰まらせた。

 

そう。実は八神と出会った次の日に、一匹の猫――エルフィのサーチでリーゼ姉妹の片割れと判明――が俺の家の周りを彷徨いていたのだ。

 

おそらく俺にリンカーコアがあるから不審に思い監視していたのだろう。

 

それはつまり、俺が下手に動けば猫姉妹を経由してグレアム提督に情報が流れてしまうということだ。

 

「管理局の中にイレギュラーズが紛れ込んでいる可能性もあるだろう?」

 

つまりどういう事か分かるよな?と視線を送る俺に、相棒は「成程な・・・」重々しく頷いた。

 

「アースラクルーには誠意を持って話せば管理局本局に情報を伝えるのは控えてくれるかもしれない。

だがグレアムは違う。そこから情報が漏れ、管理局に紛れ込んでいるやもしれぬイレギュラーズに伝わる可能性が高い・・・という訳か」

 

「そういう事だ。だから俺は高町やアースラには、『魔力はあるが魔法は使えない。でも一応の事情は知っている一般人』というポジションでいこうと思っている」

 

今後の方針を述べた俺に、エルフィは軽く目を剥いて「ほぅ」と漏らす。

 

「正直驚いた。鍛錬に勤しんでいる傍らで、色々と考えていたのだな」

 

相棒の言葉に、俺は転けそうになるのをなんとか堪えて返す。

 

「あのな、俺だって一護さん達の世界に行って何も感じなかった訳じゃないんだぞ。

常に様々な事態は予想しておく事の重要性くらいは学んだつもりだ」

 

俺の反論にエルフィは「ふっ」と苦笑し、「そうだな。済まなかった。龍が其処まで考えているのならば、今我から言うことは無い」と言い、「また後で龍の考えを詳しく聞かせてくれ」と締めたが、俺は小首を傾げた。

 

「何でだ?今話しても問題はないんじゃないか?」

 

そう聞いた俺に、エルフィは呆れを含んだ目で此方を見て、はあっと溜め息を一つ吐き、ある方向を指さして口を開く。

 

「別に今話しても()()問題無い。だが、龍はそうもいかないだろう」

 

頭の上に?マークを浮かべて、相棒の指差す方に顔を向けた俺はその意味を理解し、思わず「あ」と声を上げてしまった。

 

エルフィを指差す先。其処には壁に掛けられた時計の指針が、いつもならば軽いロードワークに行き、公園でシャドーボクシングをして帰ってきた時とほぼ同じ時間を指していた。

 

因みにいつもはその後に軽くシャワーを浴びて朝食を食べ、聖祥大付属小まで歩いていくのだが、どうやら話し込んでいる間にかなり時間が経過してしまっていたらしい。

 

「確かに拙いな」

 

苦い顔をして納得する俺に、「朝食は出来ている。すぐに食べれるぞ」と踵を返して声をかける相棒。

 

そんなエルフィに俺は「有り難う」と礼を言い、パジャマから着替える為にハンガーに掛けてある聖祥大付属小の制服を急いで手に取った。

 

 

 

                   ☆

 

――高町なのはサイド――

 

なんだか変だけど、どこか印象に残る夢が頭から離れないまま、私は朝食を食べ終えて鞄を背負い、いつもの通学バスに乗り込んだ。

 

「お早うなのは」

 

「お早うなのはちゃん」

 

バスの一番奥に座る私。高町なのはの親友。アリサ・バニングスちゃんと月村すずかちゃんに笑顔を浮かべて「お早う」と返し、私も定位置の2人の間に腰掛ける。

 

そしてバスが発車して学校に着き、教室に入るまでの間、三人で楽しくお喋りをするのがいつもの光景です。

 

でも、その先に先月からちょっとした変化がありました。

 

それは教室に入って、すずかちゃんが真っ先に向かう場所。

 

()()。お早う」

 

先月、うちの学校に転校してきた吉波龍一郎君という男の子と一緒に四人でお喋りをする事。

 

「あぁ。お早う()()()。高町とバニングスもお早う」

 

「お早う龍一郎君」

 

「全く、あんたはいい加減私となのはも名前で呼びなさいよね」

 

呆れたみたいに言うアリサちゃんに、龍一郎君は「まぁ、その内な」と曖昧に返してくる。

 

今ではこれ位ですんでいるけれど、最初の時は結構凄い事になっていた。

 

すずかちゃんは名前で言うのに、私とアリサちゃんは名字で呼んでいたから、アリサちゃんが「私達も名前で呼びなさいよ」と言ったけど、龍一郎君が「それは出来ない」って断ったからだ。

 

そう返された時、私も少し悲しい気持ちになった。

 

名前で呼んで貰っているすずかちゃんと龍一郎君の間にある確かな『何か』を得る資格が私達には無いと言われているみたいだったから。

 

それからアリサちゃんと龍一郎君の「名前で呼びなさい」と「それは出来ない」という問答が続いて、アリサちゃんの声に怒りが混じり始めた時にすずかちゃんが間に立って何とか喧嘩になることはなかった。

 

最終的にはすずかちゃんの「私も龍君に名前を呼んで貰うのにすっごく時間がかかったよ」という言葉に、アリサちゃんは「私も名前で呼ばれる!」と変な対抗意識を燃やして宣言して、今にまで続いている。

 

因みにこれは龍一郎君が転校してきた事を家で言った時に始めて知ったのだけど、実は龍一郎君は私のお父さん知り合いの息子さんで、お父さんだけじゃなくお兄ちゃんやお姉ちゃん。それにお母さんも顔を合わせたことがあるみたいだった。

 

特にお父さんは、先月海鳴に引っ越してきたばかりの龍一郎君に、いろんな所を案内していた事もあったと聞いた時は凄くびっくりした。

 

その時は皆私にだけ全然話してくれなかった事に、ちょっと「むぅ~」としたけど・・・。

 

「・・・高町?」

 

その時の事を思い出していて少しボ~ッとしていた私は、突然龍一郎君に声をかけられて、思わず「にゃっ!?」と声を上げちゃった。

 

「な、何!?龍一郎君?」

 

「いや、もう直ぐチャイムが鳴るからバニングスとすずかは席に座りに行ったのに、お前は呆けて立っているもんで、どうしたのかと思って声をかけただけ・・・『キーンコーンカーンコーン!』ほら」

 

「あ、有り難う!それじゃあ!」

 

知らせてくれた龍一郎君にお礼を言って、急いで席についた私は、先生が教室に入るよりも先に自分の席に座れたことの安心感からホッと息を吐いた。

 

よし、今日も一日頑張ろう。

 

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