龍の軌跡 第二章 魔法少女リリカルなのは編≪リメイク≫(凍結中)   作:ミステリア

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どうも!最近会社の仕事が忙しい上に、スマホのゲームにはまり、原作を何回も見直して書かなければならない今日この頃でスランプになっているミステリアです。

無印編を書き始めて、原作をなぞって書くのは、殆ど自分のオリジナル展開の話を書くのとはまた違った難しさがあると始めて知りました。

上記にもありますが、現在スランプに入ってしまい、次話が来月に投稿できるかどうかも分からない状態ですが、何とか頑張って書こうと思っています。

では、どうぞ。


第十二話

――龍一郎サイド――

 

「将来・・・かぁ」

 

午前の授業が終わり、屋上のベンチに腰掛けて各々の弁当を広げた俺とすずか。高町とバニングスは、先程の授業で先生が言っていた事を思い返していた。

 

因みにこうして三人と共に昼食を食べるのは、すずかが誘ってくれた転校初日からずっと続いていた。

 

ベンチに座る場所も、端から高町・バニングス・俺・すずかと初日から変わっていない。

 

そういえば言い忘れていたが、何故俺がすずかの事を名前で呼んでいるのかというと、忍さんの家で俺の正体を知り、俺という存在を受け入れてくれたあの時からすずかを名前で呼び始めたからだ。

 

感謝の印というのもあるし、なによりお互いの存在を受け入れたというのに、名字で呼ぶのは失礼だと思ったからだ。

 

「アリサちゃんとすずかちゃんは将来の事とか、もう結構決めているんだよね?」

 

タコさんウインナーを食べて顔を此方に向けて聞く高町に、バニングスとすずかが答える。

 

「私はお父さんとお母さんが会社経営だし、一杯勉強してちゃんと後を継がなくちゃ・・・って位だけど」

 

「私は機械系が好きだから・・・工学系で専門職にしようかなぁ」

 

小学生とは思えない程にしっかりとした考えを持つ二人に、高町は感嘆の声を上げる。

 

「そっかぁ・・・二人共凄いよねぇ」

 

「でも、なのはは喫茶翠屋の二代目じゃないの?」

 

バニングスの問いに、高町は俯きながら「うぅん」と重く頷き続ける。

 

「それも将来のビジョンの一つではあるんだけど、やりたいことは他にも何かある様な気がするんだけど、まだそれがなんなのかはっきりしないんだ。

私、特技も取り柄も特に無いから・・・「ばかち「はいストップ」っ!」」

 

自虐とも取れる高町の台詞に怒りを覚え、薄くスライスされたレモンを投げつけようとするのを止めるため、俺は右手を振りかぶったバニングスの手首を掴んで口を挟む。

 

「ちょっ!なにすんのよいきなり!」

 

いきなり手首を掴まれた事で軽くつんのめったバニングスが俺を睨む。

 

「それは此方の台詞だバニングス。今高町にレモンを投げようとしただろう?食べ物を粗末にするな。

それに、もしレモンが高町の目に当たったら、保健室に直行だぞ」

「う゛っ!」と呻いて「わ、悪かったわよ」と素直に謝るバニングスに俺は頷き、「高町。お前も特技も取り柄も無いとか自分で言うなよ」と若干呆れの色を混ぜて言う。

 

「そうだよ。なのはちゃんにしか出来ない事、きっとあるよ」

 

俺の横にいるですずかが首をコクコクと縦に降って同意する。

 

「だ、だって私。文系苦手だし、体育だって・・・」

 

「でも理数系はバニングスよりも良いんだろう?」

 

「そうよ!私よりも成績が良い教科があるんだから、自分の事をそんなふうに言うのは止めなさい!」

 

俺の言葉に、バニングスが我が意を得たりと言わんばかりに、高町をビシッと指差す。

 

「そ、そういえば、龍一郎君はどうなの?将来の事とか決めているの?」

 

自らを指すバニングスに若干怯みつつ、話題を反らそうとしているのか、それともただ純粋に気になったのか、俺に話題を振る。

 

「俺か?俺はまだこれといって決まってはいないな」

 

あまりにサラッと吐いた事で、「え?」という顔をして呆けている高町とバニングスに俺は続ける。

 

「まだ将来への道筋を『こうだ』と決めるのは、ちょっと早いだろう?

俺達はまだ9歳なんだ。これから中学、高校生となって、もっと広い世界を見て、もっと色んな人達と出会って、色々な経験をして、それから決めても遅くはないと俺は思っている」

 

そう言った後に「まぁ。だからと言って、全然考えもせずにいるのも不味いからな。まだ早いと思いつつも、将来の事というのを頭の片隅に少し置いておくって位で丁度良いんじゃないのか?」と締めて問う俺に、高町は笑顔を見せて「うん!」と力強く頷いた。

 

「あんたって本当に考え方が変わっているわね。私達と同じ学年なのかって時々疑う時があるわよ」

 

三角のおにぎりをパクつきながら、俺に訝しげな目を向けるバニングスに、俺は横ですずかがピクリと体を震わせて反応しているのを気付かれない様に「まぁ、殆どが俺自身の言葉じゃなくて、父さんや爺ちゃんの受け売りだから、そう思うんじゃないのか?」と尤もらしい事を言ってお茶を濁し、弁当箱の中の残っていた最後のおかずであるだし巻き玉子を食べ終え、「御馳走様でした」と手を合わせて空になった弁当箱をナプキンで包む。

 

「あれ?そういえば今日は三人共塾だったか?」

 

ふと思い出してきく俺に、タイミング良くお茶を飲んで一息ついていたすずかが「うん」と頷く。

 

「そっか・・・俺は帰りがけに図書館に寄って借りた本を返すつもりだったから、今日の帰りは完全に別行動になるな」

 

予定を呟く俺に、高町が心なしか残念そうな声色で「あ、そうなんだ」と反応し、僅かにツインテールが下に下がる。

 

しかしどうして高町のツインテールは、感情によって動くのだろうか?ある意味魔法少女リリカルなのは最大の謎だ。

 

そんな事を思いながら、俺達は弁当をパクつき、お喋りを楽しんで昼休みを過ごしていった。

 

 

                    ☆

 

 

「さて・・・と」

 

放課後。学校を終え、風芽丘図書館で八神とお喋りを楽しみ(ついでに借りていた本を返し)、俺は自宅に向けて歩を進めていた。

どうやら話している間にかなり時間が経っていたらしく、いつの間にか太陽は沈みかけ、空は夕焼け色に染まっている。

 

八神と始めて会ったあの日から、俺は約束通り風芽丘図書館にちょくちょく通い、八神と顔を会わせては話をしていたのだ。

 

特になんでもない世間話であっても嬉しそうに聞いてくれる八神に、毎回俺はついつい長話をしてしまい、気付いた時にはかなり時間が経過しているというのは、毎度のパターンとなっていた。

 

[龍。今高町なのは達がユーノ・スクライアを動物病院に連れていったぞ]

 

頭の中に伝えられた高町達の様子を見るように頼んだ相棒の心話に、俺は表情を固くして[そうか]と返し、[エルフィから見て、何か変わった事はあったか?]と歩調を変えずに歩きながら問う。

 

[我の見る限り、特に不審に思うことは無く、我の知る原作と大差は無いように思えた]

 

[イレギュラーズの気配は?]

 

[全く感じられない]

 

[・・・不気味だな]

 

依然として姿を表さない敵に、妙な気持ちの悪さを感じて呟く俺に相棒が[全くだ]と同意する。

 

スクライアは傷ついて動けず、高町はまだ魔導師として覚醒してはいない。更にフェイト・テスタロッサもまだこの世界に来ていない為、邪魔をする者が誰もいないこの絶好の好機。

 

だがそれでも一切動きを見せようとしない。

 

一体イレギュラーズは何を考えているのか。

 

[だが龍。21個のジュエルシードは全て把握している。

座標も設定してある故、イレギュラーズがそれを取る為に動けば直ぐに転移でその場に急行出来る以上、今動いていない相手にやきもきして精神的に疲労を重ねる必要はない]

 

相棒に諭され、俺はふうっと内にあるモヤモヤを吐き出すように息を吐き、[そうだな]と返す。

 

[所で話は変わるが、原作の通りなら今夜高町なのはが魔導師として覚醒する筈。どうするつもりだ?]

 

[猫姉妹に気付かれないように、リンカーコアの魔力をエルフィに押さえて貰って見守るつもりだ。

本当に危なくなったら、こっそりと助けるさ]

 

士郎さんにも高町を守ると約束したしな。と締める俺に、相棒は[了解した]と了承の旨を伝え、ふつりと心話を切る。

 

俺は今後どうするかを考えながら、家へと歩を進めていった。

 

                    ☆

 

 

――三人称サイド――

 

夜。普段ならば布団に潜り寝息をたてているであろう時間帯に、その少女。高町なのはは目的地に向かって走っていた。

 

コンクリートで舗装された道を蹴り、息を切らせながらも、一直線にその場所。夕刻に親友二人と訪れた槙原動物病院へと向かう。

 

何故自分が向かわなければならないのか。それは高町なのは自身も分からなかった。

 

昨夜の夢。そして夕方にフェレットを拾う時に聞いたのと同じ声が頭の中に響き、なのははまるで本能に導かれるかの様に寝間着から普段着に着替え、動物病院へと駆けていく。

 

そして既に電気の光が消され、人のいる気配も無い動物病院の前にまで辿り着き、なのははブラインドが下ろされた扉を見ながら、「はぁ・・・はぁ・・・」と身体に酸素を送り込み、いままで酷使していた心肺機能を整える。

 

一体自分は何故必死になって此処に来たのだろう?

 

そう自らの行動に疑問を感じた。その時!

 

――――キィィィン

 

「くうっ!」

 

頭の奥に直接響く耳鳴りにも似た音に、なのはは反射的に耳を塞ぐ。

 

「また・・・この音・・・」

 

そしてその音に共鳴するように辺りの木々がざめいた次の瞬間。

 

音が止むと同時に、世界の『色』が変わった。

 

その事に戸惑いを覚えつつ入り口に駆け足で近づくなのはの右側で、一つの小さな影が走る。

 

「あっ・・・あれは!」

 

それは間違いなく夕方、この病院にあずけたフェレットだった。

 

だがそれだけではない。そのフェレットを追う形で、大きく黒い『何か』が木の根元目掛けて一気に突進していったのだ。

 

ドシャアッ!

 

自動車が衝突事故を起こしたかと思うほどの破砕音をたて、土煙を舞い上げる。

 

その土煙が上がる刹那。フェレットが衝撃で宙を待っているその姿を、なのはの目はしっかりと捉えていた。

 

反射的に両の腕を広げて『此方に!』とアピールするなのはの意思を読み取ったかの様に、フェレットは倒れていく木を蹴り、なのはの胸に飛び込んでいった。

 

「な、何々!?一体何!?」

 

受け止めた衝撃を吸収仕切れずに尻餅をつき、軽くパニックになったなのはの視線の先には、黒い『何か』は折れた木と地面の間に挟まれ、身動きが取れなくなっていた。

 

「来て・・・くれたの?」

 

自らの腕の中から発せられたその声に、なのはの思考が一瞬停止する。

 

「喋った!?」

 

今目の前に起きている現実とは思えない状況に着いていけず、なのははワタワタとしていたが、一先ず目の前にいる黒い『何か』から離れることが、なによりも先だと感じたのか、フェレットを両腕の中に抱えたままで駆け出した。

 

「えぇっと・・・何がなんだかよく分かんないけど、一体何なの?何が起きているの!?」

 

「君には、資質がある。お願い。僕に少しだけ力を貸して」

 

この異常な事態におかれている状況下で冷静な口調で言うフェレットに、なのはは「資質?」と鸚鵡返しにかえす。

 

「僕は、ある探し物の為に此処ではない世界から来ました。

でも、僕一人の力では想いを遂げられないかもしれない。

だから、迷惑だとわかってはいるんですが、資質を持った人に協力して欲しくて・・・」

 

腕の中から降り、フェレットは向かい合う。

 

「お礼はします!必ずします!僕の持っている力を貴女に使って欲しいんです。僕の力を・・・魔法の力を!」

 

「まほう?」

 

フェレットが一気に話した事で、事情の内容を上手く噛み砕いて自らに理解させる事が出来ないなのはは再度鸚鵡返しに返す。

 

しかしそれ故になのはは気付くのが遅れてしまった。先程倒木に挟まれて身動きが取れなくなっていた黒い『何か』が、その拘束を逃れ、自分に目掛けて飛び掛かって来ている事を。

 

ドガシャアッ!!

 

重力と質量を伴い、凶悪な破壊力となった突進が、コンクリートの道路にクレーターを作り上げた。

 

「お礼は、必ずしますから」

 

何とか間一髪でフェレットを抱き上げ、電柱の陰に隠れる事で、衝撃をやり過ごしたなのはは「お、お礼とか、そんな場合じゃないでしょう」と動揺しているにも関わらず、的を射た正論を返し、電柱の陰から顔を出して様子を伺う。

 

すると黒い『何か』は、穴に嵌まり込んだのか、それとも硬いコンクリートに突進した為にダメージを負ったのか、自らがあけたコンクリートのクレーターの中から出て来ずに、その場で蠢いていた。

 

本来ならば逃げ出す好機と取れるこの状況で、なのはは「ど、どうすればいいの」とその場から動かずに戸惑いを露にする。

 

逃げ出しても、先程の様に直ぐに追い付かれるであろう事を直感的に分かっていたのかもしれない。

 

そんななのはにフェレットは「これを」と、自らの首にかけられた紅玉を口にくわえて差し出す。

 

受け取り、手に持った紅玉から感じる仄かな温もりを感じ、「温かい」と呟く。

 

不思議な事に、その温もりを感じている内に、先程まで自らの内にあった動揺が消えていくように思えた。

 

「それを手に、目を閉じて心を澄ませて。僕の言葉を繰り返して」

 

掌の内で紅玉を握り締めるその姿を見て「良い?いくよ」と確認するフェレットに対し、「うん」と頷いて答えるなのはの目には、先程までには無かった確かな力が感じられた。

 

そして目を閉じたのを見て、フェレットは詠唱を始める。

 

「我、使命を受けし者なり」

 

「我、使命を受けし者なり」

 

繰り返された言葉に応える様に、握り締められたなのはの手の内にある紅玉が淡く輝き出す。

 

「契約の元、その力を解き放て」

 

「えと・・・契約の元、その力を解き放て」

 

「風は空に。星は天に」

 

「風は空に。星は天に」

 

キィィィンと動物病院でも聞いた、頭の奥に直接響く耳鳴りにも似た音が再び耳に入る。

 

だが先程とは違い何故か不快に感じるは無く、それどころかまるで赤ん坊が母親の心臓の音を聞くかの様に、不思議と心が落ち着いて来ていく。

 

「そして、不屈の心は――」

 

「そして、不屈の心は――」

 

そして始めは吃りながら繰り返していたなのはの詠唱は、次第に滑らかに成っていき、やがて――

 

「「この胸に!」」

 

二人の声が重なる。

 

「「この手に魔法を!レイジングハート!セットアップ!」」

 

《スタンドバイレディ・セットアップ》

 

紅玉から機械的な声が発せられた瞬間、それを持ったまま掲げた手から光が溢れ、桃色の柱となって雲を吹き飛ばし、天を貫いた。

 

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