龍の軌跡 第二章 魔法少女リリカルなのは編≪リメイク≫(凍結中)   作:ミステリア

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どうも・・・此処最近残業なのと、先日慰安旅行(という名の疲労旅行)に行き、現在心身ともにゾンビとなっているミステリアです。

まずはすいません。今作はもう少し早く投稿する予定でしたが、上記の理由で遅れてしまいました。

えと・・・では、どうぞ。


第十四話

――高町なのはサイド――

 

「なのは!レイジングハートを!」

 

学校が終わって、親友のアリサちゃんとすずかちゃんと別れてから家路につこうとしていた時に感じ取ったジュエルシードの気配。

 

その気配を頼りに神社へと続く石段を駆け上がりながら、途中で合流したユーノ君に私は「うん!」と力強く頷いて首にかけた紅玉。レイジングハートを手に取る。

 

そして石段を上ったその先。その場にいた予想外の人のいる光景に、私は思わず声をあげてしまった。

 

「ふえぇっ!龍君!?」

 

そう。私の目の前でジュエルシードの影響で産み出された怪物と向き合って対峙していたのは、さっきまで学校で一緒にいた友達の吉波龍一郎君だった。

 

「不味い。民間人が襲われている上に、ジュエルシードが現住生物を取り込んでいる」

 

パニックになりかけた私の耳に冷静さを含んだユーノ君の声が入った事で、なんとか取り乱すこと無く問い返すことが出来た。

 

「ど、どうなっているの?」

 

「実体がある分、昨夜の思念体よりも手強くなっているんだ」

 

ユーノ君の言う言葉の意味を理解して少し身体が強張ったけど、目の前にいる友達を助けたいという思いが、此方に注意を向けて吠えてくる怪物を相手に「大丈夫。多分」と強く答えて目線を向ける事が出来た。だけど、「なのは!」と呼び掛けるユーノ君の声に私は戸惑いの目をそっちに向けてしまった。

 

「レイジングハートの起動を!」

 

ユーノ君の言葉の意味が分からずに、思わず右手を頬に当てて「えっ?起動って・・・何だっけ?」と聞き返す。

 

「"我。使命を受けし者なり"から始まる起動パスワードだよ!」

 

肩に乗って言葉の意味を教えてくれたけど、その意味を察した私は思わず「えぇ~っ」と声を上げてしまう。

 

その間にも怪物は四つの足で地を蹴り、私に向かって突進してきている。

 

「あ、あんなに長いの、覚えていないよ~」

 

「もう一回言うから繰り返して」

 

「わ、分かった」と応えたその時には、既に怪物は目の前にまで迫ってきていた。

 

「グオオオッ!!」と咆哮を上げて牙を剥きながら一直線に襲い掛かってくる怪物の姿に、私はユーノ君の言葉を繰り返すことも出来ずに、小さな悲鳴を上げて目を閉じてしまう。

 

「高町っ!!」

 

龍君の悲痛な声が響いたその瞬間。

 

――キイィィン

 

昨夜も聞いた独特の音と一緒に、手の内に握り締めたレイジングハートが光輝き、辺りに眩くも暖かい光を放つ。

 

「レイジング・・・ハート・・・?」

 

レイジングハートから放たれる光に警戒心を持ったのか、私に向けて突進してきていた怪物はその脚を止めて「ヴヴヴ・・・」と唸り声を上げている。

 

《スタンドバイレディ・セットアップ》

 

呆けている私を余所にレイジングハートの音声が紡がれ、光が収まった後には私の手には昨夜も握りしめていた紅玉のついた杖があった。

 

そんな私に、始めはレイジングハートの光を警戒していた怪物が全身に力を込め、「ガアアァァッ!」と吠えて襲いかかってきた。

 

その迫力に気圧されて反射的に一歩下がる私に、「なのは!防護服を!」と肩に乗るユーノ君が声を張る。

 

「は、はいっ!」

 

《バリアジャケット》

 

ユーノ君に応えると同時にレイジングハートが私に防護服を纏わせてくれるのと、怪物が私に突進してきたのはほとんど同時だった。

 

ガシャアァァン!!

 

車がぶつかった様な音と一緒に私も石段の間まで吹き飛ばされていた。

 

それくらいの衝撃を受けても身体に傷一つなかったのは、レイジングハートが纏わせてくれた防護服のお蔭に他ならなかった。

 

「なのは!」と呼び掛けるユーノ君の声に、私は助かったことに対する安堵から応えることが出来ずに、ただ腰を落として「ふう」と息を吐く事しか出来なかった。

 

だけど怪物は、私に休ませてくれる長い時間をくれはしなかった。咆哮を上げて鳥居の上から一気に飛び掛かってきた。

 

私は恐怖から目を閉じ、反射的にレイジングハートを前に出す。

 

すると昨日の夜と同じ様にピンク色をした光をドーム状の障壁が現れて、怪物の攻撃を受け止めた。

 

バチバチと火花を散らした後に弾き飛ばされ、石段に倒れて動きを止める怪物に、私は少し冷静になって、「えっと・・・封印っていうのをすればいいんだよね?」と声に出して確認する。

 

「レイジングハート。お願いね」

 

《オールライト。シーリングモード・セットアップ》

 

私の呼び掛けに答えてくれて、レイジングハートは形を変えて光の翼を思わせるピンク色の光を出した姿へと変わる。

 

私はそのレイジングハートを怪物に向けて光の帯を飛ばし、動きを封じていく。

 

同時に昨夜の黒い塊と同じ様に、額に『ⅩⅥ』の番号が浮き上がった。

 

《スタンドバイレディ》

 

「リリカルマジカル!ジュエルシード、シリアル16!封印!」

 

《シーリング》

 

レイジングハートのその声の後に、怪物は光に包まれ、霧みたいに空気に溶けて消えていった。

 

そして上から私の方に向かってゆっくりと降りてくるジュエルシードにレイジングハートを向けると、それは紅玉の中に入っていく。

 

《ジュエルシードナンバーシックスティーン》

 

レイジングハートの声に「はぁっ」と安堵の吐息を吐いて「これで、いいのかな?」と確認する私に、 ユーノ君は「うん。これ以上ない位に」とちょっと呆けた様子で返してくれた。

 

・・・・・・って、あれ?

 

何か、忘れている様な・・・?

 

何かが頭の隅に引っ掛かり、私がそう思ったその瞬間。

 

――がしっ!

 

ユーノ君の後ろから伸びた手が、その小さな頭を鷲掴みにして、細長い身体をゆっくりと垂直に上げていく。

 

その身体には、離れた場所にいる私にも分かる位に、冷や汗が凄い勢いで流れていた。

 

そして私も、ユーノ君の後ろにいる()()顔を見て、冷たい汗が頬を伝うのを感じる。

 

「さ~て高町。今起こった事や、このフェレットが喋った事とかをじっっっくり話してもらおうか?」

 

顔は笑っているけど、目は笑っていない龍君の言葉に、私は恐怖に身体を震わせてコクコクと何度も首を縦に振る事しか出来なかった。

 

 

                     ☆

 

――三人称サイド――

 

「成る程な・・・つまり一昨日の変な夢や、昨日の夜に聞こえた声は、お前だったって訳か」

 

「「えぇっ!?」」

 

二人の話を聞いた後に、(表面上は)納得した感じで頷きながら言った龍一郎の言葉に、なのはとユーノの驚愕の声が重なった。

 

「りゅ、龍君!昨日のユーノ君の声が聞こえていたの!?」

 

血相を変えて問い詰めるなのは対して「あぁ。そうだけど」と若干引きながらも平然と肯定する龍一郎に、珍しく憤りを覚えたなのはが「なら、どうして助けに行こうとしなかったの!」と怒鳴る。

 

そんななのはに、龍一郎は「理由は3つある」とあくまでも冷静に諭すように言う。

 

「まず一つ目は、助けを求めているのはわかったけど、その相手が今何処にいるのか全く分からなかったからだ。スクライアも全然場所の事を言っていなかったしな」

 

「え?でも、私は分かったよ」

 

小首を傾げるなのはに、この場で最も魔法の知識を持っているユーノが「それは多分。なのはの魔法の素質が彼よりもずっと上だからだと思うよ」と解説を始めた。

 

「実際なのはの魔力の量は、僕や彼よりも二回りかあるいはそれ以上と思える位に高いんだ。正直、これ程の魔力量を持っている魔導師はそうはいないよ」

 

ユーノの説明に、なのはは己の胸に手を当てて「そう・・・なんだ」と戸惑いの一言を発する。

 

そんな雰囲気で脱線の気配を感じた龍一郎は「それで、二つ目の理由だが・・・」と少し強引に話題を戻す。

 

「二つ目の理由は、普通子供が寝ている時間帯で外に出て、大人の人に見つかった場合リスクが高いと思ったからだ。補導の対象になるし、そうなったら保護者の士郎さんに迷惑をかける事になるしな」

 

その言葉に、実際に昨夜家に帰った時に、兄の恭也に説教されそうになったなのはが「うっ」と小さく呻き、ユーノが「すいません。時間を気にしている余裕がありませんでした」と謝る。

 

そんなユーノに「別にいいさ。今後気を付けてくれれば」と軽く流し、龍一郎は右手の親指と小指を除いた指を立てて口を開く。

 

「そして三つ目の理由だが、高町もこの前先生に言われただろう?」

 

その言葉の意図が理解できないのか「ふぇ?」と声を漏らすなのはに、龍一郎は一拍開けて続ける。

 

「知らない人に声をかけられても、付いていったら駄目だってな」

 

予想もしていなかったあまりにも基本的な事に、なのはは「えぇ~」と呆れを含めた 非難の声を上げる。

 

そんななのはをスルーして、龍一郎は携帯を見て「あ。悪いな高町。そろそろ行かないとタイムセールに間に合わないんだ」と矢継ぎ早に伝え、「じゃあ、また明日な」と残して石段を駆け降りていく。

 

「あっ、ちょっと待ってください!この事は「心配するな!誰にも言わねぇよ!」」

 

若干呆けてしまっているなのはに変わって、声を上げるユーノを遮る形で了承の意を上げる龍一郎の姿を、一人と一匹はその背が見えなくなるまで見続け、やがてその姿が視界から消えた瞬間。

 

双方は自らの内に溜まっていた『何か』を吐き出す様に、揃って深く息を吐いた。

 

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