龍の軌跡 第二章 魔法少女リリカルなのは編≪リメイク≫(凍結中)   作:ミステリア

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どうも、ミステリアです。

前話から一ヶ月以上経過してしまいましたが、なんとか二カ月以上の間が空くことは避けれました。

今後はこのペースを維持し、ペースアップを心がけていこうと思う所存です。

では、どうぞ。


第十六話

――龍一郎サイド――

 

アルフとのスパーリングから暫く経ち、俺は今後の行動方針に内心頭を悩ませていた。

 

あれからすずかの家のお茶会や温泉旅行(士郎さんに誘われて俺も一緒に行った)と、原作にあった通りにジュエルシードは発動し、原作の通りの展開で流れていった。

 

そう。イレギュラーズは全く姿を見せなかったのだ。

 

地球全体に張ったエルフィの気配察知型結界にも全く反応はなく、ただ原作の流れのままに過ぎていった。

 

(どうして動かないんだ?イレギュラーズは?)

 

俺の疑問はその一言に尽きた。

 

高町だけではなくテスタロッサという高ランクの魔導師が出て来た上に、その双方が競い合い戦っている為に、互いに確実にレベルアップしていっている。

 

更に時間をおけば、イレギュラーズにとって厄介な存在でもある管理局まで出てくる。

 

原作の知識を持っているかどうかは知らないが、更木隊長みたいに『斬れる奴が多ければ良いだろうが』と頭のネジがブッ飛びまくっている思考系統の戦闘狂でもない限り、今まで気配すらなく息を潜めて動かずにいるのは明らかに可笑しい。

 

そして俺自身の個人的な感情からくる事情によって、これ以上相手が動き出すのを待っている訳にはいかなくなってきていた。

 

[プレシア・テスタロッサの所に行くつもりか?]

 

心話によって思考が駄々漏れになっている事に対してのツッコミは入れずに、相棒が聞いてくる。

 

[あぁ。やっぱり助けられるのなら助けたい]

 

[動けば、イレギュラーズに見つかる可能性が高くなるぞ]

 

咎める様に言ってくる相棒に、俺は[分かっている]と小さく。だが力を込めて返し、続ける。

 

[だけど、少しでも『気付く』事を早めたい]

 

脳裏に浮かぶのは、プレシアの最後の言葉。

 

『私はいつも、気付くのが遅すぎる』

 

それは『あの時』の俺自身、後悔と共に何度も思った言葉。

 

自分と重ねている事は否定しないが、だからといって放っては置きたくない。

 

[しかし、どうやってプレシア・テスタロッサの拠点を探し出すつもりだ?流石に我も、地球全体に結界を張ったままで、全ての時空をサーチする事は出来ないぞ]

 

[一応それも考えてはある。近い内にフェイト・テスタロッサが報告をする為に、拠点に行く筈だ。

その時の航跡を辿っていけば良いが、出来るか?]

 

俺の問いに相棒は一拍置いて[それならば可能だ。更に言えば、我の使う力も少ない故、張っている結界に影響は殆どない]と帰って来た予想以上の答えにホッと安堵の息を吐く。

 

そうなると残った問題は・・・。

 

[俺が地球から離れる事だよなぁ]

 

そう。プレシア・テスタロッサの拠点に行くという事は、俺は地球を留守にするという事となる。

 

学校等は影分身の術を使えば問題はないのだが、イレギュラーズが出たら非常に不味い。

 

なにせ影分身はダメージを受けたら消えてしまうのだから。

 

[なぁエルフィ・・・何か良い案は無いか?]

 

[龍、一つ忘れていないか?]

 

呆れを含んだ声色で問い返してくる相棒に、俺は[え?]と間の抜けた一言を漏らして首を傾げる。

 

そんな俺に、エルフィは[はぁ~]とわざわざ心話で溜め息を吐いた後に諭す様に言ってきた。

 

[道標符と転移符を使えば問題は無いだろう]

 

相棒の指摘に、俺は思わず「あ」と小さく声を出してしまう。

 

確かにエルフィの言う通り、神の爺さんから貰った便利アイテムである道標符と転移符を使えば、懸念を簡単に消す事が出来る。

 

なにしろ地球に張った結界自体はエルフィが地球から離れても機能しているのだから、イレギュラーズが現れれば直ぐに分かるのだ。

 

そして自宅に道標符さえ張っておけば、転移符を使って即座に地球に帰れる。

 

うん。エルフィの言う通り、なんの問題も無い。

 

何で気づかなかったんだと自らの視野の狭さに思わず机に突っ伏してしまう俺の耳にーー

 

バァンッ!!

 

「いい加減にしなさいよっ!!」

 

勢いよく何かが叩き付けられる衝撃音と、バニングスの怒声が響いた。

 

(あぁ。そういえばそろそろか)と何処か冷めた事を思いながら、俺は突っ伏していた顔を上げて、声の元の方に視線を向ける。

 

「この間から何話しても上の空でぼーっとして!」

 

席に座っている高町に机を挟んで向かい合い、怒りを露にするバニングスに対し、高町は俯いて「あ・・・うん。ごめんねアリサちゃん」と謝るが、それがバニングスの怒りを更に加熱させてしまう。

 

キッと視線を鋭くさせ、高町に更なる怒りを叩き付ける。

 

「ごめんじゃない!私達と話しているのがそんなに退屈なら、一人で幾らでもぼーっとしてなさいよ!!」

 

自らの内にあるものを吐き出す様に言い切った後に、バニングスは高町に背を向けて「いくよっ、すずか!」と高町の右側でオロオロしているすずかに呼び掛け、荒い足取りで教室を出ていく。

 

そのすずかも高町と二、三言交わしてバニングスの後を追って駆けていった。

 

後に残った高町の沈んだ表情を見て、俺は内心溜め息を一つ吐き、席を立って先程までバニングスが立っていた場所まで移動する。

 

[お節介焼きめ]

 

[自分でも損な性分だと思うよ]

 

俺の意図を察し、何処か嬉しそうに揶揄してくる相棒に、俺は溜め息混じりに返して高町に呼び掛ける。

 

「高町」

 

「あ、龍君」

 

沈んだ表情で寂しさを感じる笑顔を浮かべている高町に、俺は口を開く。

 

「多分だが、バニングスはお前がぼーっとしていたから怒った訳じゃないと思うぞ」

 

「えっ?ち、違うよ。なのはが話を聞かずにぼーっとしているから「おそらくあれは、歯痒さが積もり積もっての爆発だ」え?」

 

被せた言葉の意味を直ぐには理解出来ないのか、戸惑いを露にしている高町に、俺は続ける。

 

「言っておくがな高町。お前の顔にははっきりと『私は悩み事があって困っています』って書いてあるぞ。

付き合いの浅い俺でも分かるんだ。あの二人が分からない訳無いだろう」

 

すずかの家にお茶会に行った時も、最近元気がないのに気付かれていたしな。と言うと、高町の口から「うぅっ」と呻きにも似た声が漏れる。

 

「悩んでいるのは『あれ』関係なんだろ?」

 

此の場で『魔法』という単語を出す訳にはいかないので『あれ』で濁すが、高町には通じた様で重々しく頷いて肯定する。

 

「二人も気付いているんだよ。何に悩んでいるのか聞いても高町は何も言わないから、お前がぶつかっている問題に自分達が力になれないって事がな。

だからそれが歯痒くってしかたがなくって、爆発したんだよ」

 

「・・・」

 

僅かに瞳を潤ませて再び俯いて黙する高町の頭に、俺はポンと軽く手を乗せる。

 

「後はお前が考えろ。このまま黙っているのか、取り敢えず目の前にある事を片付けてからと割りきるのか、それとも思い切って話すのか。

話すにしても全部話すのか、『あれ』に触れない様にするか。決めるのは高町。お前だ」

 

そう締めて頭に乗せた手を下ろし、俺はバニングスとすずかが出て行った方に向けて歩いていく。

 

[やはり龍は甘いな。突き放す様に言ってはいたが、高町なのはにしっかりと選択を与える事で、思考の泥沼に入るのを防いだな]

 

何を言っても嬉しそうな相棒を更に喜ばせるだけだと察した俺は、[うるせ]と一言だけ返して階段でバニングスと話しているすずかの声のする方に早足で向かう。

 

「そんなの当たり前じゃないの!!」

 

先程とは違い純粋な怒りの怒声ではなく、照れが混じったバニングスの声に居場所の検討を付け、階段を降りていく。

 

そして視線を少し下げると、其処には案の定階段の手摺に手を置き、下を向いて笑顔を向けているすずかの姿があった。

 

俺はその階段を少し降りて手摺から顔を出し、呼び掛ける。

 

「おーい。バニングス」

 

「な、何よ!?」

 

俺の登場は予想外だったらしく動揺を露にするバニングスに、俺は諭す口調で言葉を落とす。

 

「何に対して怒っているのかは何となく分かるが、机を叩くのはちょっと戴けないぞ。クラスの皆もビックリしていたしな」

 

俺の指摘にバニングスは一拍声を詰まらせた後に「わ、分かってるわよ!皆には後で謝りに行くわ!」と顔を赤くして階段を降りていった。

 

去っていくバニングスを見て、(まぁ、俺が出来るお節介はこんな所かな)と手摺から出した顔を引っ込めた俺に、下からジッと見つめてくるすずかが「龍君」と声をかける。

 

「何だ?」

 

「なのはちゃんが今悩んでいるのって、龍君に関係ある事なの?」

 

その問いに一瞬誤魔化そうかとも考えたが、俺の力も目的も理解している真剣な眼をしたすずかに通用しそうにないなと思い、一応正直に話す事にする。

 

「少なくとも今は関係無いな」

 

「そっか。『今は』・・・なんだ」

 

一番重要な部分を強調して返してくるすずかに、俺はフッと苦笑して無言で肩を竦める事で答える。

 

そんな俺に、すずかは「龍君」と僅かに眼を潤ませて「なのはちゃんを・・・護ってあげて」と自らの無力さを嘆く様に懇願の言葉を吐く。

 

言われるまでもない。だから泣くな。そんな想いを込めて、俺はすずかの頭に手を乗せて少し強めに撫で、彼女に背を向けて手をヒラヒラと振るいながら階段を上がっていく。

 

[エルフィ。今日のジュエルシードが発動してもイレギュラーズが現れなかったら、プレシア・テスタロッサの所に行くぞ]

 

すずかの小さな「有り難う」の声を背中で受け止め、俺は心に決めた方針を相棒に告げた。

 

                    ☆

 

翌日。俺はとあるマンションの屋上・・・の更に上で霊子を足場にして立ち、其処に居る二人。フェイト・テスタロッサとアルフを見下ろしていた。

 

「エルフィ。もうすぐ時の庭園に転移する。航跡を辿る準備は出来ているか?」

 

「言われずとも、既に済んでいる」

 

確認の言葉に、相棒が期待に違わぬ返事を返してくれる。

 

そう。俺とエルフィは告げた通り、先日町中でジュエルシードが発動しても、イレギュラーズが現れなかった為、プレシア・テスタロッサの拠点。時の庭園に向かう事を決めたのだ。

 

勿論学校の問題は影分身で。突然イレギュラーズが地球に現れた場合は、家に張った道標符を使って転移符で戻れば良いので、問題はないだろう。

 

そして現在。俺はエルフィの張った認識阻害型結界の中で空に立ち、二人が転移するのを待っているという訳だ。

 

「そういえば聞いていなかったが、時の庭園に到着した後はどうするつもりだ?タイミングを誤れば、フェイト・テスタロッサやアルフと鉢合わせするかもしれぬぞ」

 

「二人を追って時の庭園に入ったら、暫く認識阻害の結界の中で大人しくしているよ。その内二人は地球に行くだろうから、それからプレシア・テスタロッサと接触するさ・・・っと、どうやらお喋りは一時中断だな。頼むエルフィ」

 

下に居るテスタロッサとアルフの二人を囲む様に黄色の魔方陣が現れたのを視認した俺は、気持ちを切り替えて相棒に呼び掛ける。

 

「承知」

 

エルフィが応えるのと、魔方陣から光が溢れ二人を包み込むのはほぼ同時だった。

 

そして溢れた光が天を突かんばかりの柱となって昇っていく。

 

「いくぞ」

 

その言葉と共に淡い光がエルフィと俺の身体を包む。そしてその瞬間。まるで引っ張られる様な感覚を感じながら、俺とエルフィは光の柱へと飛び込んでいく。

 

反射的に引っ張られる力に抗しようと身体に力を入れそうになるのを無理矢理押さえ、眼を閉じてお世辞にも気持ちの良いとは言えない感覚に身を委ねる。

 

しかしその感覚は数秒程で治まり、硬い地を踏む感触が足から伝わった。

 

「魔王の住む城の中かよ」

 

[龍。幾ら我の結界内にいるとはいえ、迂闊に声を出すな]

 

眼を開けて入ってきた周りの光景に思わずそう口にてしまい、相棒が心話で注意を促す。

 

俺は会話を心話に切り替えて[わ、悪い]と詫び、自らの声を聞き付けた人物がいるのかと左右を見て警戒心を高める。

 

だが近付いてくる気配は無く、どうやら気付かれなかった様だとホッと安堵の吐息を吐いた俺は、相棒と向き合い心話で指示を出す。

 

[取り敢えずプレシア・テスタロッサのいる場所を探ってくれ。分かったら、フェイト・テスタロッサとアルフと鉢合わせにならなくて、プレシア・テスタロッサになるべく近い場所に案内して欲しい。

其処で待機して二人が地球に戻ったら、彼女に接触する。良いタイミングになったら知らせてくれ]

 

[了解した]

 

真剣な表情をして首肯を返してくれるエルフィに、俺は頷き返して『オケアヌスの輪』から斬魄刀を取り出し、いつ戦闘になっても問題のないように腰に差す。

 

――貴方達は・・・一体――

 

「「!!?」」

 

突然かけられたその『声』(おそらく女性)に、警戒レベルがMAXにまで一気に跳ね上がる。

 

俺は『声』のした方に向きながら斬魄刀を抜き、即座に写輪眼を発動。

 

エルフィは眼に険を宿し、力を手に集中させ臨戦態勢を取る。

 

――えっ!?ちょ、ちょっと待って下さい!――

 

吹き上がる闘気に焦りと困惑を綯い混ぜにして待ったをかけてくる『声』に、俺は低い声で返す。

 

「待って欲しいのなら姿を現せ。此方はそれを誠意と取る」

 

近くで発している様に感じつつも、気配も姿もない『声』に、俺は頭の中に僅かな引っ掛かりを感じていた。

 

それは何処と無くその『声』に聞き覚えがあったからだ。

 

(何処だ・・・何処で聞いたんだ)

 

記憶の奥を掘り返していくが、一向に思い出す事が出来ない俺に、『声』が戸惑いの色で問い掛けてくる。

 

――あの・・・私は貴方達の目の前にいるのですが・・・――

 

「え?」

 

「成る程・・・そういう事か」

 

予想外の返答に、俺は間の抜けた一声を。エルフィは納得の一言をそれぞれ漏らす。

 

警戒の色を解いた相棒に斬魄刀を抜き放ったままで「そういう事って、どういう事だ?」と問いを放つ俺。

 

そんな俺に、エルフィは「霊力を眼に集中しろ。そうすれば見える」と問いの答えになっていない答えを投げてきた。

 

色々と言いたい事はあったが、こういった時は言う通りにしないとループになると分かっている俺は、言われた通り霊力を眼に集中させて辺りを見る。

 

すると俺の目の前に、見覚えのある存在が文字通り出現し、同時に先程まで感じていた引っ掛かりの正体にも行き当たった。

 

其処にはRPGゲームの女性僧侶を彷彿とさせる服を着た17、18歳程女性がふよふよと浮かびながら、一直線に自らを見ている俺と相棒に対して、驚きを露に眼を丸くしてした。

 

――え?そんな。私の姿も見えるのですか?でも・・・何で?――

 

若干パニック状態になっているその女性に、俺は内心溜め息を吐いて毒づく様に心話で相棒に問う。

 

[なんでリニスが幽霊になっているんだ?]

 

[知らん。聞かれても困る]

 

あっさりと突き放す様に返された返答に、俺は軽い(内心ではかなり深い)溜め息を吐き、オロオロとしている女性。プレシア・テスタロッサの元使い魔であるリニスの幽霊の気を引く為に声をかける。

 

「あ~、一寸いいか?」

 

――あ。はい!すいません。私――

 

「別に良いよ。幽霊が見える人なんて普通はいないからな。軽くパニクっても仕方ないさ」

 

――そ、そう言って頂けると嬉しいです――

 

戸惑い混じりの感謝の言葉を言うが、その後に「え?この子、何者なんですか?フェイトと殆ど歳は変わらない様に見えますが・・・」と、ブツブツと呟きだした。どうやら別の意味で更に混乱させてしまった様だ。

 

意識を此方に戻す為に、コホンッと軽く咳払いをして注意を向け、「そういえば名乗っていなかったな。俺は吉波龍一郎」と軽く自己紹介する。

 

「エルフリーデ・クライストだ。長いのならエルフィで構わない」

 

俺の意思を察してか相棒が続いて名乗ると、やっと少し落ち着いたのか彼女はペコリと頭を下げた。

 

「す、すみません。申し遅れました。私はこの城。時の庭園の主。プレシア・テスタロッサの元使い魔。リニスと申します」

 

これでやっと落ち着いて話す事が出来るなと、ほっと一安心したした俺だが、そんな安堵の気持ちはリニスが頭を上げた瞬間に脆くも崩れ去った。

 

「すいません!出会ったばかりの貴方方にいきなりこう言うのは厚かましいと重々承知しています!ですがお願いします!助けて下さい!このままでは、プレシアは!いえ、プレシアだけではありません!フェイトやアルフに重い運命を背負わせてしまいます!,()()()()()()()()しまいます!」

 

瞳を潤ませて悲痛な声で必死に発するリニスの懇願。

 

俺は其処に幾つかの気になるワードが含まれていた事に、苦い顔をして後頭部を軽く掻く。

 

どうやらこの一件。俺の想像以上にすんなりと済む問題では無いらしい。

 

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