龍の軌跡 第二章 魔法少女リリカルなのは編≪リメイク≫(凍結中)   作:ミステリア

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どうも、ミステリアです。

色々あって一ヶ月程時間が経過してしまい、誠にすいません。

次回はなるべく早く投稿する事を誓います。

では、どうぞ。


第二話

――龍一郎サイド――

 

「ははは・・・流石にあんなのを見せて貰ったら、信じるしかないね」

 

椅子に腰掛けた士郎さんは、どこか疲れた表情で乾いた笑いを上げ、自分で入れた紅茶を一口飲んだ。

 

何故士郎さんが乾いた笑いを浮かべて紅茶を飲んでいるのか。

 

それは士郎さんを玄関で顔を合わせて家の中に招いた後、士郎さんは俺とエルフィに『神と名乗っていたお爺さんに君達の事はよく聞いたけど、正直まだ少し疑っているんだ』と言い出したのが始まりだった。

 

なんでも神の爺さんが士郎さんに俺達の事を話したのは、全て夢の中だったらしい。

 

そりゃあ疑いたくもなる。

 

というかよく信じたなと思ったが、やけにハッキリと覚えていたのと、同じ夢を10回以上見た(それを聞いた時に俺は申し訳なく思い、神の爺さんに代わって士郎さんに謝った)との事。

 

そして夢の中で家の購入を頼み、目覚めた枕元にこのマンションに赤ペンで丸が書かれていた広告と、限度額無制限のブラックカードが置かれていた事で一応は信用してくれたらしい。

 

だがしかし、それでも完全に信用出来たのかと問われれば、俺でも首を傾げて唸らざるを得ないだろう。

 

だから士郎さんが少し疑っていると言うのも分かる気がした。

 

そこでエルフィが俺自身の下見も兼ねて、三人でダイオラマ魔法球の中に入らないかと提案。

 

そして今現在。ダイオラマ魔法球の中で一日。つまり元の世界では一時間を過ごし(その時に一度限定解除をして、俺が本当に17歳だと証明した)、実際出てきた後に一息入れようと今に至っている。

 

「まぁ、そういう反応になりますよね。俺もどういうものなのか知ってはいましたけど、やっぱり実際に見たり体感するのは全然違うと実感しました」

 

現実逃避をしている様にも見える士郎さんに、俺はフォローを入れる。

 

まぁ、当初の目的である士郎さんに信じてもらうという目的は無事に達成されたと見ていいだろう。

 

「正直まだ少しショックが抜けないよ。・・・でも、一つだけ言わせて欲しい」

 

一度区切り真剣な顔になった士郎さんは、俺を見た後に――頭を下げた。

 

「有り難う。君にとって縁も縁もないこの世界を救いに来てくれて」

 

「あ・・・いや・・・その・・・気にしないで下さい。俺は手を伸ばせば助けられるのに、

助けられなかったと後悔をしたくないから爺さんの頼みを引き受けたんです。

つまりその・・・俺は勝手な自己満足をする為に引き受けたというか・・・」

 

戸惑いを露わにしてしどろもどろで返す俺に、士郎さんは顔を上げて優しく微笑んだ。

 

「例え自己満足でも、君のその考えは立派だと思うよ」

 

士郎さんのその言葉が俺の内に染み込んでくる様に入り込み、どこか心が温かくなる。

 

「一つ聞いても構わないか?高町士郎」

 

今まで会話に入ってこなかったエルフィが口を開き、俺と士郎さん。二人の視線が向けられる。

 

「何故龍を信用出来ると判断した?

ある程度の信頼がなければ先程の言葉は出ない。

ダイオラマ魔法球の中を見て、神や我等の存在は証明できても、人間性の証明にはならない筈だ」

 

「君達が、僕を『人間』として見てくれているからだよ」

 

相棒の問いに、士郎さんはフッと顔を綻ばせて迷いなく答えた。

 

「神のお爺さんから聞いたけど、僕達のいるこの世界は、龍一郎君の元々いた世界では物語として知られていたんだよね?」

 

確認の意味を込めて問い返す士郎さんに俺は頷いて首肯すると、士郎さんは「でも君達は僕の事を物語の登場人物ではなく、一人の人間として見ている。違うかい?」と再度問いたので、俺は「まぁ・・・そうですけど」と再び頷いた。

 

当たり前の事だが、目の前にいるのは決まった台詞を吐く人形ではない。意志を持ち心がある生きた『人間』だ。

 

前の世界で一護さん達と出会った時に痛感したが、紙面やテレビ越しに見るのと、その人と直に顔を合わせ言葉を交わすのは全く違う。

 

漫画やアニメで見たものもその人の一面であることは間違い無いのだが、それはあくまで一面であってその人の全てではない。

 

参考程度にはなるがそれだけだ。

 

『人』として見る事で、始めてその人と対等に接する事が出来る。

 

前の世界で学んだ事の一つだ。

 

「それが理由だよ。物語の世界に入ったのに登場人物の一人と見ずに、一人の人間として見てくれている。

充分に好感が持てるし、信頼をするのに足る理由だよ」

 

聞くだけでもかなり気恥ずかしい台詞を真正面から言われ、俺は嬉しさと照れ臭さに頬を赤くして「あ・・・ありがとう御座い・・・ます」と消え入りそうな声で感謝の言葉を述べた。

 

問いを投げかけた当の本人も照れ臭いのを隠そうとしているのか、僅かに頬を染めた顔を明後日の方を向けて無言を貫いている。

 

「まぁ、そういう訳だ。僕に出来る事なら何でも言ってくれ。力になるよ」

 

「なら遠慮なく、1つ・・・いえ。2つお願いしたいことがあります」

 

気恥ずかしい空気を払拭する様に俺は士郎さんの言葉に甘え、頼み込む。

 

「俺に剣術の体捌きを教えて欲しいんです」

 

「体捌きを?」

 

俺の頼みの意味を今一つ飲み込めないのか小首を傾げる士郎さんに、俺は「はい」と頷いて続ける。

 

「俺の剣術は実践形式の鍛錬で身に付けたもので、本来なら最初に身に付けるべき歩法や体捌きを置き去りにしてきたいわば喧嘩殺法や素人剣法といった類のものです。

前の世界ではなんとかなりましたが、達人クラスのイレギュラーズがでないとも限らないので、その時に対処出来る様に剣術家としてかなりのレベルだった士郎さんに、基礎の基礎の動きだけでも教えて欲しいんです」

 

例えていえば今の俺は、基礎工事を疎かにして完成させた家の様なものだ。外見だけは整って見えても、一寸したことですぐに崩れてしまう可能性が非常に高い。

 

其処で順序は逆だが、既に完成させている家(俺)に基礎の補強工事をする(基礎の動きを身に付ける)事で、なるべく外観(俺の基本的な戦闘スタイル)は崩さずに強度(実力)を上げる事が出来ると判断したのだ。

 

え?既に出来上がっている動きの中に新しい動きを取り入れて組み込む事が1人で出来るのかって?

 

その点は心配無用。

 

実は俺の徒手空拳の格闘術は、ベースのボクシング以外は他人に教わらずに、本を読んで使えそうな動きや技を自分なりに組み込んで作り上げたものなのだ。

 

その分時間もかなり掛かったが、使えそうな動きを組み込むのは既に何度もやった事がある為、ある程度慣れている。

 

ダイオラマ魔法球もあるので、かなり早く出来上がるだろう。

 

俺の頼みに士郎さんは顎に手を当てて「ふむ・・・」と考え込んだ後に「2つ目の頼みはなんだい?」と、答えを保留にして聞いてきたので、俺は目をパチクリとしながらも2つ目の頼み事を口にする。

 

「は、はい。2つ目の頼み事は士郎さんの口調です」

 

「口調?僕の?」

 

予想外だったのか、自らを指さして問い返す士郎さんに、俺は頷いて続ける。

 

「はい。さっきダイオラマ魔法球の中で見たと思いますが、俺は外見は子供ですけど実際は高校生なので小さい子供に言う様に話し掛けられると、違和感があるんです。

だから士郎さんの素の口調で話して欲しいんです」

 

実際にアニメでも息子で大学生の高町恭也や、娘で高校生の高町美由希には結構砕けた口調で話していた筈だ。

 

「本来なら僕が剣術家だったり、今言っている言葉が本来の口調ではない事を何故知っているのか聞くべきなんだろうけど・・・この世界が物語とされていたのならば、知っていても不思議ではないか」

 

納得した様に小さく数度頷いて呟いた士郎さんは「分かった。君の頼み事を全て飲もう。剣術の基礎も教える」と了承してくれた。

 

「有り難う御座います。士郎さん」

 

「ははは・・・それにしても俺の事を其処まで知っているなんてな。

ひょっとして君達が見た物語の主人公は、恭也か美由希だったりするのか?」

 

「いえ・・・流石にそれは・・・」

 

言えない。確かにその2人がメインとなっている物語もあるのだが、この世界の主軸となる人物が未だ小学生で末っ子の高町なのはが主人公だなんて言える訳が無い。

 

そう思い言葉を濁してなんとか流そうとする。

 

だが―――

 

「惜しいな。この世界の主人公は、汝の末っ子の娘である高町なのはだ」

 

相棒がそんな俺の苦労をものの見事にぶち壊された。

 

「え?なのはが?」

 

予想外の答えに目を丸くする士郎さんに、エルフィが特大の爆弾を落とす。

 

「あぁ。物語の通りならば、そう遠くない未来に高町なのはは事件に巻き込まれる。

それも下手をすれば地球を消しとばしかねない程の厄介な事件にな」

 

刹那。部屋の中の温度が一気に下がったと錯覚する程の冷たく鋭い殺気が向かいに座る士郎さんから放たれた。

 

[エ、エルフィ!いきなりなんて事を言うんだよ!]

 

士郎さんの殺気に気圧されながらも、俺は心話で相棒に文句を言う。

 

[高町士郎は我等の事を信用してくれた。ならば我等も極力隠し事をしない方がいいと判断した為だ]

 

[それは・・・確かにそうだけど・・・]

 

心情的には納得のできる相棒の説明に、俺の反論が徐々に弱くなる。

 

「・・・龍一郎君」

 

先程よりも一オクターブ低い声で名を呼ばれ、背中にツゥッと冷たい汗が伝う感覚を感じながら、俺は「は、はいっ!」と上擦った声で返事をする。

 

「差し支えなければ、君の知っているこの世界ではじまる物語の話をしてくれないかな?」

 

優しく丁寧な口調であるにも関わらず、とてもではないが『差し支えなければ』と前置きをしているとは思えない程に有無をいわせぬ雰囲気を纏う士郎に、俺は首を横に振ることは出来なかったのだった。

 

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