龍の軌跡 第二章 魔法少女リリカルなのは編≪リメイク≫(凍結中)   作:ミステリア

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ゴールデンウィーク投稿第二弾です。

因みに今回一ヶ月の内に二話分が書けた理由は、アニメ版のvividを見てテンションがUPしたからです。

今回は主人公の日常的なトレーニングの一幕を書いたつもりです。

では、どうぞ。


第四話

――龍一郎サイド――

 

――チュン、チュチュン

 

窓際で鳴く雀の鳴き声と、閉めたカーテンの隙間からこもれ出る朝日が顔に当たり、俺はうっすらと目を開らき、半身を起こした。

 

まだ完全に開かれていない両の目蓋を軽く擦り、何度も瞬きをしてある程度まで目を開かせるようにする。

 

「・・・・・・ふぁぁ~~っ」

おそらく喉まで見えるであろうと思う程に大口を開けて欠伸をし、体の中に大量の空気を一気に取り込む。

 

それと同時に背筋を思い切り伸ばして意識を覚醒させた。

 

ベッドを降りて、少し暗くはあるがカーテンの隙間から差し込む光を頼りに着替えの入っている引き出しを開け、トレーニングウェアを引っ張り出してパジャマを脱ぎ、着替える。

 

シャッ!

 

着替えを終え、閉めてあったカーテンを左右に開き、窓を軽く開けて、部屋の中に太陽の光とまだ冬の寒さが残っているひんやりとした空気を入れ、俺は脱ぎ捨てたパジャマを持って寝室を出た。

 

そして廊下を挟んでほぼ向かい側にある脱衣所に入り、蓋の開けてある全自動洗濯機の中にパジャマを入れて蓋を閉め、脱衣所を後にして相棒がいるであろうリビングに入る。

 

扉を開けると、其処には予想した通り相棒が椅子に座っていた。

 

ただこの世界に来た時と違っている点が一つだけあり、エルフィの服装はいつものゼフィリススタイルではなく、三角巾にエプロンを身に付けた完全なおさんどんスタイルとなっていた。

 

いや。アニメ版のスクラップドプリンセスでも最後にゼフィリスはおさんどんスタイルで歩いていたから、これもゼフィリススタイルといえるのかもしれないが・・・。

 

流石にこの姿を最初に見た時は俺も驚いたが、今はもう慣れてしまい、違和感を感じる事もない。

 

そう。この世界に来て既に3日間という時間が経過していた。

 

月村とファリンさんとの出会いの後に生活に必要な雑貨品を見繕って貰い、それを購入。

それ等を家に運び、士郎さんとエルフィの2人で色々なコーディネートを試し(俺はそういったものに殆ど興味が無かった為、話に着いていけずに蚊帳の外だった)、昨日の夜にやっとそれを終えて落ち着いた所だった。

 

「おはよう。エルフィ」

 

「おはよう。相変わらず早いな」

 

無愛想ともとれる相棒の返しも一切気にせず俺は「あぁ」と生返事をして、冷蔵庫の扉を開けてお茶の入ったペットボトルを取り出し、コップに注いで一気に飲み干す。

 

ふぅっと一息吐いてペットボトルを冷蔵庫の中に戻し、コップをシンクに置いた。

 

「それじゃあ、少し行ってくる」

 

「車には気を付けるんだぞ」

 

無愛想ながらも一言言って送り出してくれる相棒に、俺は「あぁ」と返してスニーカーを履いて家を出た。

 

エレベーターを使わずに階段を使って降り、マンションの外に出て軽くストレッチを始める。

 

屈伸から始め、アキレス腱を伸ばし、両手を腰に当てて仰け反り、軽くジャンプする。

 

そうして体の中の血液が流れ始めたのを確認した後に、俺は走り出した。

 

「ハッ・・・ハッ・・・」

 

大通りと商店街を一定のペースで駆けて行き、坂に入ると同時に俺は足の親指に力を込めて一気にダッシュで駆け上がる。

 

「・・・っ!・・・っ!」

 

いきなりのリズムの変化に体に――心配機能に負担がかかり、息が乱れる。

 

口を開けて思い切り息を吸い込みたい気持ちを噛み殺し、俺はスピードを落とさずになんとか坂を上りきり、公園の中に入った。

 

さして大きい公園でもないが、ジャングルジムやブランコ。鉄棒や砂場等がある公園で、今の俺が軽いトレーニングをするぶんには丁度良い広さであった。端に公衆トイレがあり、その隣に大きい時計があるため、時間もすぐに把握できるのも有り難かった。

 

「っはぁっ!!・・・はぁっ!・・・はぁっ!」

 

公園に入ると同時に両の掌を膝につけて息を吐き、荒い呼吸を繰り返して体の内に酸素を巡らせる。

 

「はぁ・・・はぁ・・・ふぅ・・・」

 

僅かな時間で荒い息遣いを整え、大きくゆっくりとした呼吸へと変えて公園の中心へと歩を進める。

 

そして公園の中心部まで歩いた時には、なんとか呼吸を通常時と遜色ない程にまで落ち着けていた。

 

「よし・・・と」

 

俺は自らに軽く気合いを入れて左拳と左足を前に出し、右拳を顎につけ、右足を後ろ下げたオーソドックススタイルのファイティングポーズをとり――

 

「――シッ!」

 

左ジャブを放つ。

 

一発で終わらず二発、三発とジャブを打った後に、右ストレートから返しの左フック。そして右アッパーと基本的なコンビネーション繰り出す。

 

それだけで終わらず、その場で足を止めてジャブを連発し、相手が懐に入ってきた事を想定しての右アッパー。

 

更に一転して大きく踏み込んだ後に左右のフックを放ったりと、アウトボクサーとインファイターの基本的なコンビネーションを一通り試した後に、俺は一度拳を止めて――

 

「う~ん」

 

腕を組んで唸る。

 

別にスタミナが完全に尽きて疲れ果てた訳でも、腹が痛くなった訳でもない。

 

ただいつもと同じ様にシャドーボクシングをやって、自分の体の変化を文字通り体感したからだ。

 

「やっぱり・・・色々と違うなぁ」

 

何気なく左の拳を前に突き出して、俺はしみじみと言う。

 

そう。今更何を言っているんだと思うのかもしれないが、今の俺の体は小学生相当のものなのだ。

 

元の高校生の体のつもりで動かせば、違和感を感じるのは当然である。

 

それがシャドーボクシングをする事で改めて体感させられたのだ。

 

スピード、パワー、キレ、スタミナ、リーチ。その全てが今までの感覚と大きくずれている。

 

しかしいろんな意味で想定内だった為、俺の中の動揺はあまり大きくはなかった。

 

何故ならば、以前エルフィが俺の身体を小さくした理由の一つで『原作キャラと接点を増やす為』と聞いたその時から、こうなるのではないかと予期していたからだ。

 

原作キャラと接点を増やせる年齢といえば小学三年生相当。つまり8歳から9歳という事だ。

 

そもそも俺がとある切っ掛けがあり、ボクシングを始めたのが小学五年生だったので、この身体の時にはまだボクシングを始めてすらいない。

 

ボクシングを始めて9年以上経った17歳の感覚のままで、いきなりまだ何も始めていない8歳の身体にされたら、感覚が合わないのは当然といえる。

 

「取り敢えず・・・感覚は鍛錬の中で徐々に慣らしていくしかないな」

 

限定解除をすれば元の姿に戻れるが、それは最後の切り札として、今はこの身体でもある程度は戦えるように鍛錬をしていくしかないと割り切ることにした。

 

昨日エルフィに心話で聞いたが、この身体になっても神から貰った能力である無限成長能力がある為、鍛錬をすれば強くはなる。

 

取り敢えず慣れるまではこの不自然な感覚――特に距離感の差が最も大きい――と付き合っていくしかないなと内心軽く嘆息した。

 

なにしろ今まで手を伸ばせば届いていた距離が届かなくなったのだ。その違和感はかなりのものである。

 

「スタイルも・・・変えた方がいいかもしれないな」

 

ポツリと呟き、今度は内心ではなく息を吐く。

 

というのも、本来ならばボクシングは近い体重の者同士で戦う競技なので、比較的背丈もリーチも近くなる。

 

だが今の子供の姿で大人並みの背丈の人と対峙したら、距離を置いて戦うアウトボクシングはまず使えない。

 

となれば――

 

「インファイターになるしかないか」

 

ガードを上げ、腰を落として構え、軽くジャブを放つ。

 

元々俺のスタイルは距離を置いて戦うアウトボクシングも、懐に入り込んで戦うインファイトスタイルも使う万能型のボクサーファイターだった為、インファイトの知識もそこそこは知っている。

 

だからこそ己に足りないものも、これからするべき鍛錬の内容もすぐにあたりをつけることが出来た。

 

だが、それを知る俺の顔は浮かないものであった。

 

「暫くは地味な練習の繰り返しになりそうだな」

 

そう。俺に足りないものを補う為の練習法は、非常に地味でかなりしんどい練習法なのだ。

 

今の俺のインファイトスタイルで足りないもの。それはスタミナとダッシュ力、そしてシフトウェイト(体重移動)だ。

 

スタミナは言わずもがな。

 

ダッシュ力は相手の懐に入り込むインファイターには必要不可欠。

 

そして直線的にだけでなく、左右に動く相手に素早く対応出来る為に。

 

更に懐に入り込んだ後に、小さなスペースの中でスムーズに拳に力を乗せる為に。

 

この2つを成す為の鍵となるシフトウェイトも、今の俺が必ず身に付けなければならない事の一つだ。

 

それ等を鍛えるには、まずはとにかく走って走って走りまくるしかない。

 

それも只走る訳でなく、親指の先で地を蹴る事を意識して走らなければ、シフトウェイトを鍛えることは出来ないのだ。

 

まぁそれだけでなく他にも魔法球の中で減衰してしまった卍解と虚化の保持時間を延長させたり、勾玉模様が減ってしまった写輪眼を元のレベルにまで戻さなければならない等、他にもやらなければならない事は山程あるのだが・・・。

 

「おっと。もうこんな時間か・・・そろそろ帰るか」

 

取り敢えず今後の方向性を朧気にではあるが見えてきた俺は、端にある時計を流し見て時間を確かめてダッシュで上ってきた坂をランニングのペースで下っていく。

 

本音を言えば、考え込んで経過した時間の分を追加してトレーニングをしたかったのだが、今日は高町家の道場にお邪魔して士郎さんに剣術の基礎である歩法を教えてもらう日の為、過度にトレーニングをして疲労を溜めないようにしようと思ったのだ。

 

丁度喫茶翠屋も定休日な為、今日はかなり長い時間見て貰えるらしい。

 

更にいえば今日は平日の為、高町家の学生三人は家にいないのだ。

 

都合が良すぎるとツッコミをいれる人もいるかもしれないが、俺にとってはこの良すぎる展開に感謝している。

 

なにしろ二次小説界でトップクラスのシスコンであり達人クラスの剣士でもある高町恭也に、近い未来で全力全開のお話砲撃を放つ魔法少女となる高町なのは。この2人と顔を合わせるのは流石に覚悟がいる。

 

その他にも、2人と――特に高町なのはに――顔を合わせたくない理由があるのだが・・・。

 

まぁ取り敢えず今日は顔を合わる事はない筈だから、大丈夫だろうと自らを納得させて隅に置いておき、頭を切り替える。

 

(朝食を食べて少し休んでだと、大体家を出るのは10時前位になりそうだな)

 

朝食を食べ終えたら、士郎さんに電話してその事を伝えようと思いつつ、俺は一歩一歩足を踏みしめてシフトウェイトを確かめながら坂を下っていった。

 

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