龍の軌跡 第二章 魔法少女リリカルなのは編≪リメイク≫(凍結中)   作:ミステリア

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どうも。ミステリアです。

物凄く遅れてしまい、本っっっっっ当に申し訳ありませんでした!

というのも、前回一問差で不合格となった試験に再挑戦した結果、また一問差で不合格となって精神的にダメージを受けた上に、仕事の注文が入りまくって、ここ数週間定時で帰れずに残業ばかり。

土日の休みも、残業疲れで泥のように眠っている毎日を送っていたら、こんなにも遅くなってしまいました。

精神的にも肉体的にもへとへとの状態でコツコツと書いたので、クオリティが落ちているとは思いますが、温かい目で見て頂けると嬉しいです。

まだまだやらなければならない仕事が山のようにあるので、今まで以上に不定期な投稿となるかもしれませんが、少しづつでも頑張って書いていこうと思います。

では、どうぞ。


第五話

――龍一郎サイド――

 

家で朝食を食べ終え、士郎さんに連絡を取った俺は、今高町家の門の前にいた。

 

「結構・・・立派な家だな」

 

それが俺の第一感想だった。

 

無論俺もアニメを見ていたので、高町家の全体像を知ってはいたのだが、やはりアニメとして見るのと、実際に見るのとは全く違って見える。

 

と、浦原商店を始めて見た時と殆ど同じ反応をしている事に気付いた俺は僅かに苦笑した後に、2、3回深呼吸をして門に取り付けてあるインターホンのボタンを押した。

 

キン・・・コーン

 

どこか緊張していたのか、門に取り付けてある呼び鈴のボタンを押した後に離すタイミングを微妙に外してしまった。

 

その為に、高町家に少し変な電子音が鳴り響いたのを、俺の耳はしっかりと聞き取っていた。

 

家の人の返事を待つまでの時間が、やってしまったかなと自らを恥じる気持ちを更に増幅させ、徐々に頬を熱くさせていく。

 

[そこまであがる事なのか?]

 

[仕方ないだろう。俺は教えを受ける立場なんだ。なるべく粗相がないようにと考えるのは普通だろう]

 

呆れたように心話で問うステルスモードで姿を消している相棒に、俺は唇を尖らせて返す。

 

「はぁ~い」

 

相棒に気を向けていると、門の向こうにある扉の更に向こうから若い女性の声が響き、トットッと軽い足音が近付いてくる。

 

カララッ!

 

横開きの扉が開かれる音。そしてジャッジャッと地を蹴る音が此方に近付いていき――

 

ガラッ!

 

門が開かれると同時に栗色の長髪と、どこか士郎さんに似た優しげな顔立ち。そしてパッチリとした目が印象的な女性――高町桃子――が顔を出した。

 

「はぁ~い。あら?」

 

訪ねてきたのが(見た目は)少年であるとは思わなかったのか、俺の姿を視認して目をパチクリとしていたが、やがてニッコリと笑顔を浮かべて腰を落とし、俺に視線を合わせてくれた。

 

こういった動作がすぐに出来るのは、やはり母親だからかと納得すると同時に感心もした。

 

「どうしたのかな?」

 

その魅力的な笑顔に俺は一瞬見惚れてしまったが、すぐにハッと我に返って頭を下げて挨拶する。

 

「初めまして。吉波龍一郎といいます。今日は士郎さんに教えを乞いに来ました」

 

「あらあら」と漏らす桃子さんの反応に、あまり小学生らしくない挨拶だったなと内心軽く失敗を悔やむが、焦って取り繕ってもぼろを出すだけだと開き直って下げた頭を上げた。

 

「そう。あなたが士郎さんの言っていた龍一郎君なのね」

 

「え?・・・あ、はい」

 

「私は高町桃子。家の主人から詳しい事は聞いているわ」

 

思ったよりも普通の対応を返され、俺の方が呆気に取られてしまう。

 

・・・・・・っていうか今『詳しい事は聞いている』と言っていたが、まさか士郎さん。桃子さんに俺の事を全部言ったのか?

 

そんな呆けている俺の内心を察しているのか、桃子さんは「ふふっ」と笑って「いらっしゃい」と家の敷地内に招いてくれた。

 

「お邪魔します」と言って門を潜った俺は、落ち着きがないと言われるかもしれないとは思いつつも、キョロキョロと左右を見回す。

 

明らかに一般的とはいえない大きさの和風の家に、緑豊かな草木が生い茂っている。

 

この場では見えないが、確かアニメではこの奥の庭に石畳や池等もあり、おまけに道場までついている。

 

(絶対に『普通』の枠組みに入らないだろう。この家・・・)

 

アニメでは何の違和感もなく見る事ができたが、こうして実際に入って自分の目で見ると、この家一つとってもその異常さがよくわかる。

 

「いらっしゃい龍一郎君。よく来たね」

 

そんな余所事を考えていた俺を現実に引き戻してくれる様に、玄関から顔を出して士郎さんが出迎えて声をかけてくれた。

 

「あっ・・・士郎さん。今日は宜しくお願いします」

 

礼儀として、挨拶を返すよりも先に頭を下げて、時間を割いてくれた事に感謝する。

 

そんな俺に対し、士郎さんは「うん」と小さく頷き、桃子さんに視線を移す。

 

「桃子。ちょっと道場に行ってくる」

 

「えぇ。二人共、あまり怪我をしないようにね」

 

そんな短い遣り取りで通じてしまう2人を見て、素直に凄いなと感心する俺に、士郎さんは視線で「付いてきてくれ」と促し、開かれた扉の奥に身を引いた。

 

俺もその視線の意図に気付き、家の中にある道場へと向かっているであろう士郎さんの後を追う。

 

「お邪魔します」と言って玄関に入り、靴を脱いで揃えた俺は、背を向けて歩いている士郎さんに、先程から気になっていた事を聞く。

 

「士郎さん。ひょっとして桃子さんに俺の事を話したんですか?」

 

あまりそういった事をペラペラと喋らないという印象があっただけに、思わず責めるような口調になってしまう。

 

そんな俺に士郎さんは振り返らずに歩みを一度止めて口を開く。

 

「この間も言ったよね。神のお爺さんから夢の中で君の家の買うように頼まれて、目が覚めたら枕元に赤ペンで丸が書かれていたマンション広告と、限度額無制限のブラックカードが置かれていたって」

 

「は、はい」

 

いきなり変わった話題に首を傾げながら肯定する。

 

「俺は桃子と一緒の寝室で寝ていてね。実は枕元に置いてあった広告とブラックカードがあったのを最初に見つけたのは桃子なんだ」

 

「な・・・成る程」

 

(・・・神の爺さんの所為かよ)

 

ようやく事情が飲み込め、内心で頭を抱える。

 

「話さない訳にもいかないだろう?」

 

「そうですね」

 

俺は同意した後に再び歩みを進める士郎さんの背中に、僅かでも失意の念を感じてしまった事に無言で小さく頭を下げて詫び、その背を追った。

 

 

――士郎サイド――

 

「へぇ・・・」

 

彼――龍一郎君に剣術の基本的な動きを教えてから三十分が経過し、俺は思わず感嘆の声を漏らした。

 

最初は教えた歩方を、見ている此方がじれったく思う程に緩慢な動作で何度も反復させて動きを体に馴染ませていき、やがてその動きを少しずつ早く滑らかにしていった。

 

そして今はぎこちないながらも、元々身に付けていた動きに教えた動きを合わせて、新しい『自分の動き』を作り出して木刀を振るっている。

 

しっかりと基礎練習を繰り返し、土台が出来上がっている証拠だ。

 

だが、もしも今のままの練習内容で動きを自分の物にしても、どうしてもあらが目立ってしまうという事は予想できた。

 

それは彼の動きの大元が剣術の物でなく、ボクシングの物だという点。

 

確かに基礎の土台が出来上がっているとは言ったが、それは剣で戦う事を想定して作り上げた土台ではない為、剣術の動きを取り入れればどうしても曖昧な動きとなってしまい、それがあらとなり隙となる。

 

これは新しい物を生み出す時に必ず出てくる問題といっていい。

 

本来自らの動きを生み出すのは、長い年月をかけてあらゆる状況を想定し、実際に使い、失敗し、それを補っていき、様々な実戦の中で磨かれていく事で少しずつ完成へと至っていく。

 

だが龍一郎君に置かれている状況を考えると、動きをある程度まで身に付ける事は出来るかもしれないが、それを磨き上げていく事が出来ずに中途半端な状態で戦いに挑む事になる。

 

ならばせめて俺が彼に出来ることは、実戦形式の模擬戦の相手を努めることで、彼に経験を少しでも積ませる位だが――

(いや・・・)

 

俺は頭を振ってすぐにその考えを消した。

 

確かに俺を相手に模擬戦を繰り返せば、彼は経験を積めるだろう。

 

だがそれは絶対に今この場で、俺が相手でなければならない訳ではない。

 

以前彼の家で見せて貰ったダイオラマ魔法球を使えば、彼は俺一人のみの模擬戦を繰り返すよりも、様々なタイプの使い手と戦い、経験を積んでいく事が出来る。

 

(少なくとも龍一郎君が求めてくるまでは、手を合わせるのは止めておこう)

 

口に出そうとした言葉を心の内に留め、俺は声をかける。

 

「手応えはあるかい龍一郎君?」

 

「まぁまぁといった所です。ある程度は形にする事は出来ると思います」

 

わざわざ『ある程度』や『思います』といった言葉を使っている辺り、どうやら彼も俺と同じ考えらしい。

 

「これからどうするつもりだい?」

 

「取り敢えず、ダイオラマ魔法球の中で実戦的に鍛錬が出来るので、其処で磨いていきたいと思っています」

 

手にしている木刀を軽く右に切り上げるように振るいながら予想通りの答えを返す彼に、俺はあまり力になれない己に不甲斐なさを感じながらも、それを表に出さずに「そうか」と頷く。

 

だが彼は「ですが――」と一旦言葉を切って俺と視線を合わせ、再び口を開く。

 

「いくら実戦の中で磨いても、自分自身の感覚だけでなく第三者の、それも一流の剣士の視点からの意見も聞き入れたいです」

 

其処で彼はまた言葉を切り、軽く頭を下げた。

 

「すいませんが、また時々お邪魔してもいいですか?」

 

それが俺に対する気遣いなのか。それとも彼の本心から出た台詞なのかは正直分からないが、俺は微笑みを浮かべて「勿論だ。いつでも来てくれ」と了承する。

 

「はい。有り難う御座います」

 

声量こそ大きくは無いが、感謝の気持ちが込められた礼を言って頭を上げ、彼は再び木刀を構えた。

 

「それでは、もう少しご指導宜しくお願いします」

 

「あぁ」

 

一歩前に踏み込み木刀を振るうその姿を、俺は厳しさに優しさを混ぜた目で見ていた。

 

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