アルが音頭を取った後、それぞれが鍋から具を取る。陣が出した具材はどれも新鮮で鍋の出汁も絶品であり、昨日から何も食べてない四人にとってはとんでもないごちそうになった。そんな四人を陣はじっと眺めていた。
「(あまりここに無いであろう技術を見せるのは躊躇ったがここまで美味しく食べてくれるなら良いか。)悪くない。」
上品に鍋から自分の取り皿に具を入れながらそう呟き、静かに食べた。
「ねぇ、結局あれは何だったの?」
四人がある程度鍋を食べてからカヨコは質問した。
「そこまで気になるのか?」
「…気になるに決まっているでしょ。こんなにおいしいものを食べさせてくれたのはありがたいけどそれであの行動に対して疑問が無くなる訳がない。」
「(とぼけるのは無理か。まぁ、言いふらすこともないだろうし)巫女をやっていた時に身に着けた技術だ。これだけでは納得してくれないか?(まぁ、似たような技術は他でも見たがな。)」
「(本当に何者何なのこの大人は?今のところ危害を加えるどころか私たちのためにこんな料理も用意してくれるしこれもすべて仕組まれている?)言うつもりはないの?」
「別に言っても良いことだが知りすぎるというのはあまり良くないぞ。」
「つまり、言うつもりはないってことなの?」
「(これ以上はぐらかすと信頼が下がるな。)分かった。だが、簡単に説明するだけだぞ。」
陣は四人に目を向ける。カヨコ以外にもムツキは面白そうなことが聞けそうだという表情を表に出しながら、ハルカは自分なんかが聞いてよいのかと不安そうにしながら、アルは気にはなるけどそこまで説明したくないことを聞き出すのは良くないんじゃないかと少し葛藤しながら、陣を見る。その視線を受けている陣は表情を特別変えずに四人を見返していただけだった。
「これは神隠しを元にした技術だ。」
四人は神隠しと聞いてもあまりピンときていなかった。カヨコは自分のスマホで神隠しの事について調べると四人はスマホの画面を一緒に見た。そこには色々な内容が載っていたがどの情報にも人が突然消える現象だということが一致していた。だが、四人はあまり納得できていなかった。確かに物を出し入れするときに陣の手は消えていたが、どうやって神隠しを元に出来たのか分からなかったからだ。
「(まぁ、これでは言葉足らずよな。)私が巫女をしていた場所では神隠しは人が消えるだけではなく物も消えていたんだ。そしてそれには元凶がいた。神隠しを自由に出来るな。そいつから神隠しをどうやって起こしているか教えてもらっただけだ。」
「これって人為的に起こるものなの!?」
「いや、あくまで私がいた場所での話でここでは分からないぞ。(まぁ、ここにも異空間がある可能性はあるし、後で調べておくか。)」
「でも、そんな人からどうやって教えてもらったのー?そんな、便利な技術簡単に教えるなんてしなくない?後、それって私たちも出来る?(これが出来れば面白い悪戯ができそうだし)」
「…とある契約を交わしただけだ。それは神隠しの技術を使って俺のことを観察していた。(知っていたことだが)それも私の事に興味を持っていてそれは私に巫女をやって欲しかったようだった。その変わり私にその技術を教えてもらった。(まぁ、いくらか隠していたようだったが交流する内に全て知れたからそこは問題なかったな。)それと、この技術を君たちが出来るかは分からない。」
「へぇー。出来ないとは言わないんだね。」
「あぁ、ただそれを調べるためには君たちの事を詳しく検査しなくてはいけない。それと同時に…」
陣は鍋を取り出した時とのように“契約書”と書かれた分厚い紙束を取り出した。
「これにサインしてもらう。」
「えっ、そんなに危険な検査なの?(こんな厚さの契約書見たことないし、もしかしてこれって一人分?)」
「(危険…か。ある意味そうだな。)検査事態はDNA検査や身体能力検査などの一般的な物だが、その契約素のほとんどが才能があった場合にしてはいけない行動に関しての確認だ。」
「やってはいけないこと?」
「あぁ、そうだ。この技術が拡散すれば既存の物流の概念が大きく変わることになるからな。それを知るために面倒なことになることが多い。それを防ぐためにこの契約書を作ったわけだ。(ここまで、言えば普通教えてほしいと頼まないんだがな。)」
「ねぇ。その契約書みせてくれないかしら?」
「検査を受けるのか?(契約書をすべて読まなければ検査を受けさせるつもりはないが)」
「えぇ。そんな秘密の技術を使えるなんてとってもアウトローじゃない。それに検査自体は普通なんでしょ?」
「そうだが。(目が本気だな。三人もこれは一緒に受けそうだな。)分かった。だが、渡すのは食事が終わった後でだ。」
「分かったわ。」
検査の話は一旦終わり食事は再開した。しばらく五人は食べ続け、鍋の具が無くなってきたところ。
「〆は何がいい?雑炊?うどん?それともラーメン?」
「ちょっと、まだ食べるの!?(もう、何杯も食べたしごはんも普通に食べたわよね。少しは食べれるけど、そこまで食べれないわよ。というか陣。あなたが一番食べてたわよね。まだ食べれるの!?)」
「?何を言っているんだ。まだまだ食べるに決まっているだろ?それともあれか、デザートの方が良かったか?(意外と小食なのか?)」
四人は少し顔を引きつらせながら結局ラーメンを選んで食べ始めた。しかし、全ては食べきれずに鍋には出汁を吸って少しのびた面が残った。陣は発言通りそのラーメンの残りともう一つの鍋で雑炊を作りすべて食べ終えた。その後、五人で後片づけを終えて楽しい食事は終わった。
詳しく書いていませんが陣が用意した量は5人分よりもかなり量が多いです。ある程度進んでから設定をまとめる予定ですがオリキャラのみの方が良いんでしょうか?それとも主要な人物のみの方が良いのか?今は決めかねてますが便利屋68は原作と相違点が生まれる可能性が高いので書くと思います。他にも出てきた単語の説明もすると思います。ちなみに時系列的には連邦生徒会長はまだいます。プロローグの少し前の出来事です。それと、最初の依頼人モブの名前は必要ですか?一応、彼女はトリニティの無所属の一年生です。彼女が便利屋を頼ったのはただ自分の愛犬を見つけるためでSNSで猫探しをしているの知ったから依頼したんです。今のところ良い名前も思いついていないのですが次に登場するときは名前がついているかも?次は検査の結果かも?
面白いところや違和感に思ったところなどがあれば感想お願いします。
出来るだけ感想には返答するのでよろしくお願いします。