青春に現れる異物たち   作:無幻館

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今回は三人称視点です。


それはそれ、これはこれ、これからは?

風呂場から上がった後、便利屋には気まずい空気が流れていた。それは当然だった。アル達はあのような傷を見たことが無かった。それを隠そうとしてくれればまだ良かったかもしれないが陣は特に気にしていなかった。それが、アル達には分からなかった。ハルカもアルのために盾になろうと傷つくこともあったがあのような()()()()()ような傷は負ったことはなかった。そして、陣とハルカとでは何かが違った。仲間のために身体を張るというよりそれが必要だったからそうしただけというどこか機械的だったのだ。しかし、陣には確かに感情がある。それは、短い間ではあるがアル達には分かることだった。無表情の時は多いが楽しそうにしている時は楽しそうにしているし、機嫌が少し悪くなっていると顔にはあまり出ずとも機嫌が悪くなっているなという雰囲気は感じているのだ。

 

 

「アル、陣のことどうするの?」

「…カヨコ。」

「陣について、私たちは何も知らない。でも、流石にあんな傷がつくなんて何かあるに決まってる。それを本人に聞くかどうか。」

「確かに、陣のことはほとんど知らないわ。本人のあの傷もあの様子だったら簡単に教えてくれるかもしれない。でも、それじゃ駄目だと思うの。本人が自分から話してくれるのを待ちましょ。(それに陣って私たちと明確に壁がある気がする。)カヨコ、ムツキ、ハルカあなた達もそれでいい?」

「…分かった。アルが決めたことならそれでいいよ。」

「アルちゃんが決めたことなら私もそれでいいかなー。元々、私がお風呂に一緒に入ろうって言ったんだし。」

「はっはい。私はアル様の決定に従うだけですから。」

 

 

便利屋が薄々陣が本当に()()していないのを大小問わず思っていたがアルの方針により自分から話すこと待つことにした。

 

 

「失礼する。牛乳はいるか?」

 

 

そんな話しをした後に陣は牛乳を両手に入ってきた。昼の黒い和服とは違い白い浴衣の寝巻を着ていた。晒も巻いてはいるがきつく巻いておらず若干お酒の匂いもした。

 

 

「えぇ、貰ってもいいならもらうけど、あなた、何か飲んでいるの?すごい匂いだけど。」

「あぁ、少し度数が高い酒を呑んだだけだ。今、匂いを飛ばす。すまんかったな。」

 

 

陣は軽く首を振る。何度か振っていると匂いもなくなっていった。その後、陣は四人はアル達に牛乳を渡し、陣も自分の分の牛乳取り出し飲んでいた。

 

 

「すまんかったな。変なものを見せて、」

「えっ!」

「キヴォトスで一生見るような物でもない傷を見せてしまった。それの謝罪だ。代わりと言ったら少し違う気がするが、何か聞きたいことがあればよっぽどのことを答えよう。(まぁ、傷関係の事だと思うが…)」

「そう、それなら聞くけど陣。あなたは何で私たちと壁を作ってるの?(これは私が勝手に思っていることだけなんだけど、出来れば違ってほしいわ。)」

 

「はい?」

 

 

陣の雰囲気が変わった。それは予想外なことを聞いてきたというより()()()()()()()()()()()()というものだった。事実、陣にとっては意外だったんだろう。アル達を見る瞳の光が強くなる。

 

 

「(なぜそんなことを聞くんだ?というより、なぜ分かった?確かに親交あるものにはバレる時はあるが、まだ出会って一日だ。一日でこれがバレたのか?行動に不自然さがあったのか?人を信じているからか?どうしてそこまで人を信じられるんだ?人はいつか裏切るものだ。そうでなかったら()()()()()はどうなるんだ。あの子たちは悪い子ではない。裏切ったのは悪い子だったのではない。()()()()()()()であるからあの子たちは悪くない。信じた私が悪いんだ。人の悪い部分を()()()()()()私のせいだ。私はもう間違えられない。だから、簡単に信用するのは駄目なことだ。好意を信用しては駄目だ。善意は気持ちが悪いものだ。幸せは()()に続かない。そのはずだ。そうでなかったらなぜあの日々は無くなったんだ?なんで俺のせいではない。なんで、最後にあんな顔なんだ。違うだろ。そんな表情は、するべきものはもっとあるだろう?あの時より苦しかったことはない。あの時よりも痛みを感じたことはない。好きだった表情は苦手になった。いや、違う。今も好きな表情だ。何よりも好きな表情だ。ただ、別れの時にその表情をしないでほしいだけで…冷静になろう。今はアル達の事だ。俺はあの子たちと重ねたのか?もう二度と会える筈のないあの子たちと。まだまだ弱いな。切り替えなければ。まず因を聞こう。全ては因果がある。)なぜそう思ったんだ?」

 

 

陣は冷静に聞いているつもりだがアルは緊張していた。陣の気迫に圧倒されていた。表情は変わっていない。目を開いたままの状態のまま瞬きすらせずアルを見ていた。アルは自分を奮い立たせ口を開く。

 

 

「目よ。」

「目?」

「えぇ、あなたの目が出会ってからずっと離れてるところから観察してるでしょ。だから、そう思たのよ。」

「そうか…」

 

 

陣はうつむき黙る。アルは言い過ぎたかと慌てるが…陣は静かに肩を震わせていた。

 

 

「んっふふふ。ふふふ。そうか。離れて監察か。ふふふ…」

 

 

陣は口元を手で押さえながら笑う。つぼったのかしばらく笑っていると。顔を上げた。目尻に涙を貯めながらアルをみて、また笑う。それを繰り返していた。

 

 

「(俺はどこか舐めていたかもしてないな。この綺麗な星。いや、陸八魔アルの事を…それにしても、十数年しか生きていない子供にバレていたとは基本を忘れるとはなんとも情けないことか。本当に面白い。滑稽すぎて面白い。…認めるしかないな。これはこの輝いている星(陸八魔アル)の事を。)あぁ、そうだ。認めるよ。()は壁を作っていた。だってそうだろう?人はいつか裏切るものだ。だから、普段心から信用しない。何度経験してもこの痛みは辛いからな。」

「そう、あなたは私たちも裏切ると思っているの?」

「…どうだろうな。裏切らない奴らがいることは知っているが、それ以上に裏切られることの方が多かったからな。信じたくても信じられないんだよ。」

 

 

陣は軽く目をそらしながらそう答えた。

 

 

「くふふ、なーんだ。そんな風に思ってたんだ。別に私たちは仲間の事は裏切らないよ。」

「…そうだね。社長に危害を加えるとしたら別だけど仲間の事は裏切らない。」

「わっ私はアル様の命令に従うだけですがアル様が仲間とおっしゃる方を裏切ることはしません。」

「皆の言う通りよ。私たち便利屋68は仲間を見捨てて裏切るようなそこらへん悪党じゃない。アウトローな悪党なんだから仲間を見捨てることも裏切ることもしないわ。陣副社長。これでも信じられない?」

「(いい色だな本当に…まだ、解かないほうが良いかも知れないが()()()も注意していたな。もっと心を開くべきだと。)…そうだな。信じてみるのも良いかも知れないな。」

 

 

陣は少し笑みを浮かべながら言った。その後、何故か一緒に寝ることになかったが陣は断らず一緒に寝た。その寝顔はとても安心していた。

 

 




はい。ということで陣の過去についてだいぶ触れましたが、だいぶやばそうですねぇ。そして、陣はこれを機に便利屋68に心を開きました。今まで開いて無かったんですよね。信用や信頼を得ようとしていましたが心まで開くつもりは陣にはありませんでした。そういえば、関係ない話ですがpixivにも全く同じ内容のやつを投稿していくつもりです。タグの違いが少しありますがそこらへんは気にしなくて大丈夫です。内容は同じですので。次は報復かモブとのデート?になるかも?


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