観察し甲斐がある面白い子がここは本当に多いな。先ほどの飼い主といい便利屋の反応はとても面白い。特にアルは他の社員が俺の発言に警戒しているのに憧れの感情を向けている。警戒心がないと言えばそうだが俺の事をもう信用している。これについては少し困ったな。さっきの飼い主も好意的?な反応をしていたがどうも苦手だ。いっそ嫌ってくれた方がマシなほどに他人からの好意は。しかし、同じグループに所属していてここまで反応が分かれているのは良いことだ。関係的に見てリーダーの意見に対して注意するものもいればそれを聞き入れるタイプなリーダーがいる組織は長く続く。そうでなかったとしてもそうなれるだろうこの組織は。ずいぶん魅力的で興味がそそられる組織と関われたものだ。俺自身は運がそこまでないと思っていたが人の巡り合わせは良い方かもしれんな。そうでなければ、あいつらに出会うことも今の俺が形成されることもなかった筈なのだから。そう過去を振り返っていると白い髪を片側に結んでいる少女が口を開いた。
「はいはーい。じゃあ、ムツキちゃんから質問なんだけどどうしてキヴォトスに来たの?」
「(この子が一番警戒しているな。おそらくアルと最も関係が長い。)知人にキヴォトスの者がいてな。その子からキヴォトスの事を聞いて面白そうだったから来ただけだ。(他にもヘイローについて詳しく調査したいなど理由があるが別に説明しなくてよいだろう。)」
「ふーん。でも、ヘイローが無いのに大丈夫なの?私達と違って銃弾に当たったら危ないんでしょ。」
「(ヘイロー…か。本当にどういうものなんだろうか?天使についてるものに銃弾の威力を減少させるとういうのは聞いたことが無い。現代兵器と神秘、これらは対極に位置するものだと思うのだが、とりあえず答えるか。)そこはアルにも言ったように対策しているから大丈夫だ。銃弾ぐらいは見切れるしな。(ただ、これは銃弾や爆弾が普通のものに限る話なんだがな。ヘイロー関係で何か別のエネルギーが働いていることを考慮すると傷つく可能性もあるが、スケバン達が放つ銃弾にも何らかのエネルギーが含まれていたがあれぐらいだったら対処可能だった。まぁ、これが基準だと考えるのは危険だが、最悪ショットガンの引き金を今にも引きそうな紫髪の子の放つ銃弾を観察すればいいか。)」
物騒な子だがそれほどまでにこの場所が何にも代えがたい大切ない場所なんだろう。ならばそうなるのは当然だ。大切な場所に俺という存在が現れたんだ。この子が攻撃しても責められることでは無いだろう。調べているとこの子はいじめられているようだったしな。つまらんことをするのはどこも同じか。まさかSNSにいじめていたことが分かるような内容を載せるなんて。弱いものをいじめて何が楽しんだろうか?その存在が明確に敵意を持っているなら心をへし折るのは分かるが発信者の内容として言うことの聞く駒が欲しかっただけだろう。そんなに駒が欲しいならば上の立場になろうとすればよいのに。まぁ、部外者の俺がこの問題に突っ込んではいけないな。俺に関わってきたときに不良たちよりもきつく懲らしめればよいか。物騒かもしれないが火の粉を払いのけるだけだし問題ないだろう。前髪が黒髪の白髪の子の赤い瞳が少しきつくなった。
「銃弾を見切れるって、外では何していたの?」
「(ふむ、どれを答えようか?前の場所でやっていた職業でいいか。)巫女だよ。」
「巫女?巫女が何で銃弾を見切れるの?」
「?何でと言われても必要だったからだが?(少なくともそれぐらいの動体視力が無いとあそこの巫女なんて務まらないだろう。まぁ、銃なんて必要でなかったが。)」
「はぁ。外の巫女が銃弾を見切れることが必要だなんて冗談信じれるわけないでしょう。」
「それは君の常識内の話だ。私だってここの事を知るまで銃を持たないことの方が珍しいなんて考えはなかった。場所が違うだけで常識が異なるなんて学園間でもあるだろう?つまりはそういうことだ。(むしろ、個々の場合銃弾を見切る巫女の方がおかしくないと思うのだが、銃を避ける必要性が耐久が高いせいでないのか?耐久にも限界があると思うんだが、非合理だな。)」
あまり納得している顔をしてないがある程度は納得したか。まぁ、疑うのも当然だろう。俺自身も見切れると言っただけで対策については何も話していないしな。さて、後は質問してないのは紫髪の子とアルだが先ほどから警戒の色が解けていないな。優秀だな。しかし、疑問をあまり抱いていないのはなぜだ。あぁ、そうか。アル達の言うことならなんでも従うのか。何も疑問を持たずに行動するのは悪癖になりそうだが、それを改善させようと周りは働きかけてそうだな。なら問題はないだろう。彼女はまだ一年だ。これから成長すれば良いだろう。
「そういえば、陣ってここに来たのはいつなの?」
「?今日だが、それがどうしたんだ?」
「えっ、ていうことはあなたどうやって夜を過ごすの?お金もないんでしょう?」
「(そこを問うのか。)あぁ、それなら問題ない。金なら不良たちから巻き上げたからな。」
「あなたそんなことをしてたの!?」
「(なんだか勢いが凄いな。)あちら側から襲ってきたから返り討ちにしただけだ。それにマガジンを1個もらっただけで生活に困るほどは取ってない。(何で高揚してるんだ?)」
「あなた...なんてアウトローなの!」
「(アウトロー?)まぁ、そうかしれないが別に私は」
「ねぇ、どうやったらあなたのようなアウトローになれるかしら?」
「え!?」
「私はキヴォトス一番のアウトローになりたいの。教えてくれないかしら?」
「(すごい目が輝いているな。本心なんだろうが、なりたくて成るものでもないような。うん?同情と興味、そして視線が無くなった?ここまで視線が変わるとは影響力が凄いな。それにしても『教えて』か。無意識的に断りづらいものを選んだ訳では無さそうだし、好意的なものは本当に断りづらい。)良いが。明確な答えはないぞ。」
「えっ、なぜかしら。」
「(そんなにショックを受けなくても)そうだな。私が思うにアウトローとは自分の意志を最後まで突き通すことだと考えるからだ。(真剣に聞いているし、アルの将来に影響を与えることだしな。慎重に答えなければ。)」
「自分の意志を突き通す…」
「そうだ。例え周りが否定しても自分がそれが正しいと思ったらそれがどれほど厳しくとも自分の意志を決して曲げない。そういう人を周りはアウトローな人だ。というのではないのだろうか?」
「なななっ、なんですってぇー。」
「(ここまでしっかり反応してくれると話してて気分が良いな。)そういうことだ。しかし、アル。君はその道を歩んでいると私は思うぞ。」
「えっ。」
「私が思うにこの三人が君に付いて行くのは君のアウトローへの道を共にに歩む覚悟があるということだ。アル?君はその三人分の覚悟を背負う責任は取れるか?」
「…勿論よ。私たち便利屋68はキヴォトスで一番アウトローな会社になるのだから。社長が責任を取るのは当然よ。(どうしよう。勢いで言っちゃったわ。ムツキ達のためにも頑張るのは当然だけど、まだ何も相談してないわ。)」
「(これは期待以上だな。本当に良い光だ。焦ってはいるがしっかりやり遂げようとしているし、呆れ、楽しみ、尊敬と感情はそれぞれ違うが三人ともしっかり信頼している。ここまでの星に会うのはいつぶりだろうか。)本当に良い関係だな。輝く一等星を支える星もまた綺麗なものだ。」
思わず笑みがこぼれる。あぁ、四人とも驚いているな。俺は別に感情が無いわけではないんだがな。ここまでくると欲が出るな。もっと星を眺めていたい。観測したい。記録したい。どんな風に輝き、終わりを迎えるんだろうか。本当に楽しみだ。
「ねぇ、あなた行く当てが決まっていないなら便利屋に入らない?」
「!(それは渡りに船だが、この俺を?なぜ、メリットよりもデメリットの方が大きいのでは?いや、そんなことアルは気にしていないか。)良いのか?」
「えぇ、勿論よ。それに陣には私がキヴォトス一番のアウトローになるのを見てもらいたいのよ。アウトローのことを教えてもらったわけだしね。」
「(純粋な子だ。本当にあの子たちを思い出す。)分かった。これからよろしく頼む。アル社長。」
「えぇ、よろしくね。陣。」
計画は大幅に変更だな。予想外のことが起きすぎている。面白い。本当に面白い。良い居場所がこう手に入るだなんて。予想外だが、ここからが本領発揮するところだよな。
陣のテンションが上がっています。基本的に陣は誰かの目の前で笑うことはありません。次も便利屋との会話かも?
面白いところや違和感に思ったところなどがあれば感想お願いします。
出来るだけ感想には返答するのでよろしくお願いします。