青春に現れる異物たち   作:無幻館

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今回は三人称視点です。


報復の方法

便利屋68内の空気は少し軽くなっていた。それは陣本人が気にしていないことだったが素の反応を見せたことによりムツキ、カヨコ、ハルカの警戒心が下がっていた。ほとんど、表情を変えず薄ら笑いをしてをしていた者が困惑している反応をみせたのだから、四人にはそう見えた。そんな、陣は依頼の報酬の支払いが遅れていることを聞いてアルにアドバイスを送った後、少し険しい表情になりながら目を閉じきながら呟いていた。

 

 

「…あれを使うか?…いや、それをしたら…だがなめられてばかりでは…」

 

 

そんなことを呟く陣に四人は声がかけられず、困っていた。それは陣の雰囲気がいかにも考えているので話しかけるなというのもあるが、その容姿も要因になっていた。陣の容姿は整っていて美麗である。銀の長髪と黒い和服は驚くほど似合っていた。そんな容姿の陣が目を閉じて呟く様子はどこか神秘的で人のようには見えず、かといって作り物のようにも見えない。そんな矛盾を抱えた容姿を持っているので声をかけずらいのだ。

 

 

「(実際に聞くか)。…アル社長、あなたはどうしたい?」

「なっ、何かしら?(急に話しかけられて驚いたけ何の話かしら?)」

「報酬の回収だ。このまま遅れ続けられて有耶無耶にされたら、便利屋68が他の依頼主から舐められるかもしれない。それは嫌だろう?」

「勿論よ!」

「そうか、良かった。なら聞きたいんだが報酬を支払ってもらうのはそうなんだがその会社は潰すか?」

「もちろ…へ?(潰す。会社を潰すって言った!?あの会社そこそこ大きかったはずなんだけど事もなさげに潰す。ってなんてアウトローなのかしら。でも、そんなことできるのかしら?)」

「待って。あんた分かっているの?あの会社の規模。」

「勿論だ。ここに来た時に全て調べた。だいぶ黒いうわさもあったから内部情報を抜き取ってクロノススクールに売りつけようとも考えていたんだがな。これが見事に当たってグレーどころかがっつりブラックで呆れてしまったよ。」

「へぇー。陣おばあちゃんって、だいぶ悪い大人なんだね。」

「(悪い大人…か。)確かにそうだな。だが悪いことをしている者たち、それも悪いことだと認識してやっているんだ。そんな者たちがずっと得し続けられるなんてこと許せるわけないよな。そんな相手の情報を売って悪いやつらと称されても何も感じない。確かにこれは悪い大人かもな。」

 

 

ムツキがからかいながら聞いたことに対して少し悪い表情をしながら陣はそう答えた。カヨコはその光景をみて溜息をつきながらも少し考える。一理あると思っているからだ。会話には参加してないハルカはアルの報酬を払わない依頼主に対して許さないと先ほどからショットガンを握りしめている。アルは陣の発言にアウトローを感じているのか目を輝かせている。

 

 

「(割と皆乗り気だな。非常に元気で良いものだ。)それで、報復する方法なんだが少し迷っていてな。物理的にに潰すか、自滅させるかでだ。勿論、報酬を支払ってもらってからだがな。」

「自滅…ですか?」

「(やはり、自分たちの手で潰したいのか?)そうだ。自分達の手で潰したのならそれで良いが。」

「いえ、あの自滅っていうのはどうやってやるのか気になって。すみませんすみません私なんかが質問して…」

「(良い質問だな。)いや、私の説明不足だ。前職で巫女をやっていたのは話したよな。そこでの仕事で悪霊を祓ったり祟りから相手を守っていたりもしていたんだがいつしか逆の事も出来るようになったんだ。そこで、今回私は会社全体を祟ろうと思っている。それが、自滅のやり方だ。」

「それって、そんな簡単に出来るものなの?祟りって神様が行うものなんでしょ。」

「安心しろ。祟り神であるとある神から直接教えてもらったからな。」

「なっなななんですってー。(神様に直接教えてもらったってどういうことよ!?)」

「別に特別なことはしていない。私は巫女だったんだ。人と神の橋渡し役でもあるんだらかそこまで驚かなくても…。(そもそも、神と普通に宴会とかしてたし、何なら戦ったこともあると知ったら驚くだろうな。そういえばあの三界の神とかこっちに干渉してこないよな。友人のあの神霊の復讐にも手伝っていたし、部下とも遊んでいたんだからある程度こっちの事情も聞いてほしいだが…。こっちのお土産を今度渡しておくか。)」

「陣の事を疑いたくないんだけど、私達は神様を見たことないのよ。」

「ねぇねぇ、何か神様っぽいことって出来ないの。」

「ちょっと、ムツキ。あんまり無理を言ったら…」

「出来るぞ。」

「出来るの!?」

「あぁ、今日の天気は晴れだったよな。」

 

 

四人はスマホで天気を調べる。ミレニアムサイエンススクールとクロノススクールが共同して作成した天気予報アプリは今日が晴れだと示していた。

 

 

「これから雨を降らせる。窓の外を見ていてくれ。」

 

 

陣は上をじっと見つめ続ける。数十秒と経たずして便利屋の上空を中心として雨雲が集まり雨が降り始めた。ぽつりぽつりと最初降り始めた雨は次第に強まっていきまた雨雲も大きくなっていった。そうして、数分も経てば雷が鳴り雷雨となった。天気予報アプリはエラーを起こし、この雨はクロノススクールによってニュースに取り上げ始めた。

 

 

「そろそろ潮時だな。」

 

 

陣はそう呟くとその場で拍手した。すると、雨は急激に弱まり雨雲も霧散していった。天気は晴れ、空には美しい虹がかかった。その虹は便利屋事務所の窓からとても綺麗に見えて四人はこの夢のような光景を驚きながらも陣の言っていることを信じた。この奇跡を起こした本人は信用が獲得できて満足していた。雨を降らしただけで納得してくれて安心した。祟りをしなくて良かったからだ。

 

 

「(雨を降らすなら他にも方法があるから、たまに突っ込まれるんだが助かった。それにしても、俺が神の御業を為すか。それも神秘がある世界で他人が見ているところで、もしかしたら信仰を得れるかもしれないが、いや得られれるな。しっかり加護を与えてておこう。)信じてくれたようだな。」

 

 

四人は静かに頷く。この時、四人からしっかり信仰が得られているのを確認し陣は加護を与えた。陣には信仰は必要ないが信仰してくれるものには加護を与えている。神ではないからこそ、これを大切にしている。この加護は今後の四人の人生を大きく変えることになるがそれはまだ先の話だ。

 

 

「祟りについて勘違いしているかもしれないがほとんどは無知ゆえに起こることだ。」

「無知って。」

「そうだ。といってもここではそういうことが起こって無さそうだから知らなくてもい仕方ないが、祟りと呪いの差はそれだ。祟りはそこまで理不尽じゃない。祟りは大体被害者がルールつまりは約束を破るから起こるんだ。だからこそ、私も祟られた相手の事は100%助けることは出来ない。神の言い分も分かるからだ。そしてこの祟りを相手に使うにはどうしたら良いか?分かるかい?カヨコ課長。」

「そういうことか。会社に約束を破らせるんだね。」

「その通りだ。」

「ちょっと、二人だけで納得しないで、ムツキちゃんたちにも分かるようにしてよ。」

「(説明が不足したか。)そうだな。私が神様のようなことが出来ることが分かったんなら祟りも出来ると少しは思っているはずだ。」

「陣は会社と約束をして破らせようとしてるんでしょ。」

「(名前を呼んでくれるのか。)そうだ。元々、依頼の報酬をあの手この手で遅らせるような会社だ。そんな会社がただの一個人がする約束を守ると思うか?守らないだろうな。それを利用するつもりだ。」

「おそらく祟りって約束を守っていれば起こらないんでしょ。相手が約束を破れば起こるから自滅って性格悪すぎない?」

「(そこまでか。)約束さえ守れば大丈夫なら理不尽じゃないだろ。(もっと理不尽なの知っているし。)」

 

 

遺憾であるというのを表に出しながら陣はカヨコに返答した。四人と陣の距離は少し縮まっていた。縮まっている内容が報復行動ということに目を瞑れば陣は着実に馴染み始めている。

 

 

「(警戒心が下がっている。良いことだが不安だな。少し気にしすぎか。)それでアル社長あなたはどうしたい?物理的か自滅かどちらが良いか?他の代案があればそれでも良い。社長はあなたで決定権もあなたにあるからな。」

「そうね。(陣がこんなにも考えてくれたんだし)自滅を選ぶわ。」

「(俺の方をみたな。気を使わせすぎたか?)そうか、分かった。完璧に実行しよう。」

 

 

こうして、陣を含む便利屋68の作戦が実行されることになった。それとは別にあの雨によりミレニアムの開発者に問い合わせが殺到されているがそれを知るのは少し後である。

 

 




クロスオーバー要素についてですがもっと出した方が良いでしょうか?あんまり出しすぎるとブルアカ味が薄くなるか不安でしたが今回の陣の行動はブルアカっぽくないし少し不安です。あと、異物についてですがそれはタイトル通りです。便利屋68と仲良くなっている陣ですがこれは計算してやっているかやっていないかは後々明かすかもしれませんし、ある程度一区切りついたらキャラ設定でも作ってそこで説明するかもしれません。全然話が進んでいないと感じている方もいるかもしれませんが陣がメインストーリーに関わるものもあれば無いものもあるからです。次は報復に行く前の準備になるかも?


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