七年前のことだ。
宇宙がちっぽけな落とし物をし、
隕石は渋谷一帯を壊滅させ、瓦礫の山となり、ひよりの心にもちっぽけな穴が開いたのである。
しかし、宇宙の落とし物はそれだけでは終わらず、ワームという地球外生命体をも運んできていたのだ。
そのワームの一体が、少年に擬態しているネイティブを襲う。
少年はネイティブの本性を現すと、ワームに反撃するが、かわされて命を落とした。
とある倉庫内。
巡回のために警備員が入ってくる。
何も異常がないことを確認し、「よし」と戻ろうとする。
背後から不審な音が聞こえ、振り返るとさっきまで整頓されていた段ボール箱が散乱していた。
驚いた警備員は段ボール箱の前に駆け寄る。
恐怖を感じて逃げようとした警備員は、素っ裸のもう一人の自分と遭遇。
もう一人の自分はワームに姿を変え、SOSボタンを押した警備員を殺害する。
通報を受けたZECTの車両が現場へと急行する。
「ワームです。場所は?」
と、マイクに向かって言う岬。
通信機の向こうから三島の声が聞こえる。
「港湾エリア。ゼクトルーパーも出動した」
「私たちも急行します」
複数の車両が港湾エリアに向かって走り抜けていく。
停車した車両から戦闘員たちが降りてきて、一斉に配置につく。
戦闘員のカメラから、映像が飛んでくる。
倉庫に潜入する戦闘員。
A小隊を3時方向に設置。
フォーメーションアルファ。
生命反応なし。
C小隊が中へ突入。
ポイント2まで進む。
視界クリア。
D小隊がE小隊を援護。
フォーメーションベーター。
戦闘員の一人が警備員の遺体に気づく。
「警備員の死亡確認」
「A小隊、囲め」
田所の指令で、A小隊の戦闘員が部屋を囲む。
天井が崩落し、ワームが飛び込んできた。
戦闘員数人がワームに倒される。
「C小隊、攻撃体制に入れ」
戦闘員がワームにマシンガンを打ち込む。
その時、
「遅いわよ、加賀美くん!」
と、岬は言う。
加賀美はすぐさま準備をして戦場へと急ぐ。
戦場は戦闘員がワームに次々と薙ぎ倒されていた。
加賀美はその様子をカメラに捉える。
反撃を受けたワームを助けるように、複数のワームが現れ、戦闘員を襲う。
一体のワームが脱皮をし、成虫へと姿を変える。
すると、もう一体も脱皮をした。
戦闘員が銃撃をするが、二体の成虫はクロックアップをして目にも留まらぬ速さで戦闘員を薙ぎ倒す。
戦闘員は田所の指示で撤退をした。
翌朝のことだ。
元気のない加賀美は、住宅街をバイクを押して歩いていた。
刹那、ひったくり犯が加賀美の財布を盗み、走り去る。
「待て!」
盗られたことに気づいた加賀美はバイクを止めて追いかけた。
つまづいて転ぶひったくり犯。
開き直ったひったくり犯が、ナイフを取り出して威嚇する。
「お、落ち着け!」
ひったくり犯はナイフを振り回しながら走る。
その向こうにはこちらに向かって歩いている若い男性の姿が。
「危ない! 逃げろ!」
ひったくり犯の振り回したナイフが男性の首の前をかすめる。
加賀美は隙をついてひったくり犯を取り押さえた。
「危ないだろ! なぜ逃げない!?」
加賀美の問いに歩く男性は。
「俺は誰からの指図も受けない。俺の通る道は俺が決める」
豆腐を持ったその男は、もう片方の手で天を指差す。
「そしてもう一つ。下手にかわせば、せっかくの豆腐が崩れる」
「運良く助かったからいいものの、下手すれば刺されてたかもしれないぞ!」
「運良くという言葉は俺にはない。第一、そんな
加賀美の拘束を振り払ったひったくり犯が男の方へ駆け出す。
「忘れ物だ」
横を駆け抜けていくひったくり犯に対して男は、足元の財布を蹴り上げて逃げるひったくり犯の後頭部にぶつけて倒す。
「それは俺の財布!」
男は跳ね返ってきた財布を掴み、後ろの加賀美へ放り投げた。
「なんなんだお前?」
男は空を見上げ、天を指差す。
「おばあちゃんはこう言ってた……。天の道を往き、総てを司る男。俺の名は、
天道の家。
朝食の準備をする天道と、階段を駆け降りる妹の
「お兄ちゃん、おはよう!」
「おはよう」
樹花が食卓に着く。
「おにいちゃん、今日の朝ごはんもグッド!」
「そのセリフ、食べてから言ってもらいたいね」
「いただきます」
と、味噌汁を飲む樹花。
「おいしい。お出汁、変えたんだね」
驚いて振り返る天道。
「よくわかったな! 味噌汁は具によって出汁を変えるのがポイントだ!」
「でもさ、こうして食事を作ってくれるのはありがたいんだけど、いい加減、学校に行くなり、働くなりしたら?」
天道は笑いながら、「俺は準備に忙しいからな」と、答えた。
「またそれ? 大体、なんの準備なの?」
「それは俺にもよくわからない。だから、こうして待ってる」
天道が観葉植物に霧吹きの水をかける。
「でも……、必ずその時が来る。それだけは間違いないんだ」
「なんだかわからないけど、まあいっか。お兄ちゃんの言うことに、間違ってことは一度もないもんね」
天道は微笑む。
駅のホームに立っている加賀美。
鳴り響く携帯に応答する。
「はい、もしもーし!」
加賀美の背後でバッグがすり替えられる。
「もう済んだ。帰っていいぞ」
バッグをすり替えたのは、なんと電話の相手だった。
「ああ?」
加賀美は辺りを見渡すが異常は見当たらない。
加賀美はカバンを手に田所たちの元へ戻る。
「つけられてないわよね?」
と、岬。
「もちろん確認しました」
岬は加賀美から受け取ったバッグを置く。
「それなんなんですか?」
「あなたはまだ知らなくていい」
「ひどいな。俺だって一応、ゼクトのメンバーですよ」
その言葉に田所が反応した。
「いいだろう。見せてやれ」
岬がカバンを開ける。
「私たちがワームに対抗する秘密兵器第一号よ」
中にはライダーベルトが入っている。
「じゃあ、ついに完成したんですね? マスクドライダーシステムが」
カバンを置く岬。
加賀美は田所に向かって言った。
「田所さん、俺にやらせてください。お願いします」
「親の七光でわがままが通るほどゼクトは甘くない」
そういうのは岬だ。
「親父は関係ないです」
「ライダーベルトをすべき資格者は、直に本部から送られてくる」
住宅街でワームが警察官を襲っている現場を目撃したひよりは慌てて逃げ出した。
しかし、先回りをされ、行手を阻まれる。
ひよりは自転車を放置して逃げ出す。
その後を追うワーム。
階段を駆け上がるひより。
そこへゼクトが駆けつけた。
戦闘員の銃撃がひよりもろともワームを襲う。
その様子を見た加賀美は動揺を隠せない。
「ひより?」
加賀美は攻撃を止めに入る。
「やめてください! 人を巻き込むつもりですか!?」
だが戦闘員の攻撃は止められなかった。
ワームが脱皮をし、戦闘員を迎え撃つ。
「田所さん、マスクドライダーシステム、俺に使わせてください!」
「ダメだ。本部の許可がない」
「だけど、このままじゃ!」
加賀美はベルトを取りに車に戻る。
ベルトを取り出そうとする加賀美を岬が止める。
「加賀美! 本部には俺から話す。ライダーベルトを、お前に託そう」
加賀美はベルトを巻くと、階段を駆け上がった。
階段には倒れた戦闘員たちが転がっている。
「俺は貴様らを
加賀美は飛来したカブトゼクターを掴もうとするが、ゼクターは加賀美の手をかわして天道の手におさまった。
「選ばれし者は、俺だ!」
「お前は……」
「今。俺はこの手で未来を掴んだ。俺はこの時を待っていた。いや、この一瞬のために生きてきた」
天道がゼクターをバックルに装着する。
「やめろ! それは俺の!」
「変身!」
天道は仮面ライダーカブト・マスクドーフォームに変身する。
(こいつはひよりを襲った……)
ワームはカブトに襲いかかる。
カブトは攻撃をいなし、カウンターを叩き込む。
ワームは吹っ飛ばされるが、すぐに立て直してクロックアップでカブトを翻弄する。
瓦礫へと突っ込むカブト。
カブトは鏡の存在に気づく。
「やっぱりおばあちゃんの言ってた通りだ。俺が望みさえすれば、運命は絶えず俺に味方する」
カブトはカブトクナイガンで鏡を銃撃してバラバラにすると、舞い散った破片にサーチライトを照射する。
屈折した赤い光が、高速で動き回るワームのシルエットを浮かばせる。
「は!」
カブトは立ち上がり、迫り来るワームの腹部にカブトクナイガンの刃先を叩き込んだ。
「ぐっ!」
爆裂霧散するワーム。
近くで見ていた加賀美が爆風で壁に叩きつけられて気を失った。
そこへ田所と戦闘員がやってくる。
「やったな、加賀美」
だが、田所は加賀美を見つけて、カブトが別人であることに気づく。
「お前、加賀美じゃないな?」
カブトは田所を無視すると、姿を消してしまうのだった。