仮面ライダーカブト 太陽の輝きの真実   作:桂ヒナギク

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Episode 3

 男はある女と話している。

「我々の仲間がゼクトに操られているだと?」

「ああ。十中八九間違いない」

「一体どういうことだ?」

「奴らはこれを使って全人類をネイティブ化しようと目論んでいる」

 男は懐から緑色の石を取り出した。

「こんな技術があるんだ。ワームを洗脳して操ることも造作ないんじゃないか」

「やっかいなことになったな」

「それより、お前の擬態している間宮(まみや) 麗奈(れな)とか言う人物はすでに殺されていたのか?」

「ああ。私が見つけた時にはすでにすり替わられていた」

「犯人のネイティブは?」

「暗殺させてもらった」

「今後はどう動く?」

「そうだな。ゼクトに所属しないライダーを取り込む。組織に属していないのは風間という男だけだな」

「ドレイクか。落とされた仲間はどうする?」

「洗脳されたら戻せない。叩いて解放させてやるしかないな」

 ところで、と続ける麗奈。

「近々、ゼクトによるカブト捕獲作戦が始まる」

「なに。大したことはない。何せ俺は天の道を往き、総てを司る男だからな」

 男はそう言うと歩き始める。

「用心しろ」

「ふんっ」

 

 

 真夜中の街。

 青く輝くネオンの前でゼクトルーパーがワームを銃撃している。

 ワームは脱皮をすると、クロックアップで戦闘員を薙ぎ倒して逃走を図った。

「うわ!」

 パトロール中の男性警察官がワームに殺害される。

(ネイティブめ。警察にも紛れ込んでいたか)

 ワームは警察官に擬態する。

「きゃああああ!」

 悲鳴が聞こえる。

 振り返ると、一部始終を目撃した玉井(たまい) ユキという女性が恐怖に怯えて逃げ出した。

 警察官はユキの後を追う。

 階段を駆け下りたところで、後ろを振り返る。

 うまく撒けたのだろうか、背後には誰もいない。

 安堵のため息を吐いたユキは前を向き直る。

 すると、追ってきていた警察官が立っていた。

 警察官はユキに姿を変えた。

「どういうこと?」

 君は警察に疑われるから保護したい、そう口にしようとしたもう一人のユキだったが、駆けつけたパトカーのサイレンに阻まれ、揉み合いになった末にユキに逃げられてしまう。

「待って!」

 もう一人のユキが追いかけようとするが、警察官に囲まれてしまう。

「違う! 私じゃない!」

「確保!」

 警察官がもう一人のユキを取り押さえる。

「犯人はもう一人の私なの!」

 

 

 翌朝のビストロ・ラ・サル。

 加賀美が頬を押さえながら呟く。

「俺にはゼクトは務まらない、か」

 そこにひよりがサバ味噌を用意した。

「サバ味噌!」

「食べたかったんだろう?」

「うん。でもなんで?」

「別に。いらないならいい」

 ひよりはサバ味噌を片付けようとするが、加賀美が引き止める。

「いるいる! いるよいる!」

 加賀美はひよりからサバ味噌を受け取り、テーブルに置く。

「やっと俺も食べられるのか」

 加賀美は厨房の方を向く。

「ひより! お礼にサバの一番いいのをプレゼントするからな」

「だったら松輪サバの丸得だな」

 その言葉に振り返ると、入り口の前で天道が壁に寄りかかっていた。

「天道……」

「黄金のサバとも呼ばれる一級品だ」

 天道は近くの椅子を取り、テーブルの前に置いて座る。

「俺にもプレゼントしてもらおう」

「なんで俺が?」

 天道がひよりを見る。

「ひより! サバ味噌追加だ!」

「なんでボクが?」

「もう一度世界一のサバ味噌を食べたいんだ」

「……むかつく」

 加賀美が天道に詰め寄る。

「天道、お前のせいで俺がどういう目にあったかわかってるのか?」

「ここでゼクトの話をするのか?」

 加賀美が厨房の方を警戒すると、その隙に天道がサバ味噌を食し初めていた。

「ああ!」

 残念そうに浅ましい声を出す。

「浅ましい声を出すな。すぐにもう一つできる」

 天道は噛み砕いたサバ味噌を飲み込んで再度口を開いた。

「喜べ。俺もお前の仲間とやらに協力することにした」

 加賀美が笑みを浮かべる。

「本当か?」

「その代わり、色々と聞きたいことがある」

 厨房でひよりが言う。

「ダメだ。サバが切れてた」

「ええ!?」

 加賀美はひよりの方を見て、天道に向き直るとその間にサバ味噌は完食されていた。

 天道は満足そうにお茶を(すす)る。

 加賀美はショックを受けつつも、天道を荒廃した渋谷付近に連れ出した。

 加賀美によると、7年前に突然落下した渋谷隕石は、街を破壊したということだった。

 だがそれは、人類の危機の始まりにすぎなかった。

「宇宙からの落とし物は、隕石だけじゃなかったってことだな」

「ああ——。それがワームだ。奴らは人間を殺し、その人間そっくりに擬態する」

(いや、加賀美の情報は間違いだらけだ。ワームは人間を殺してるんじゃない。ネイティブ勢力を封じてるんだ)

「奴らがなんの目的でどんな基準で犠牲者を選んでいるかはわからない。だが、既に人類に浸透し、日常を営んでいる」

「今ここで話しているお前だって、実はワームかもしれ——」

「よしてくれ!」

 と、加賀美は天道の言葉を遮る。

「俺はいつか必ず、全てのワームを倒す。……倒してやる。俺はそのためにゼクトに入ったんだ」

 加賀美の脳裏に、炎に包まれる野球ボールのイメージが浮かぶ。

「ワームに恨みでもあるのか?」

「……そんなんじゃない」

「ゼクトとはどういう組織なんだ?」

「以前、お前が言ってた通りだよ。ワームを殲滅するためにできた秘密組織ということ以外は俺にもよくわからない。だが、ワームになすすべがなかった警視庁はゼクトと協力関係を結んだ」

「なるほどなあ!」

 天道は加賀美の肩に手を置く。

「勉強になったよ」

 肩から手を離して歩き出す天道。

「おい! 待てよ」

 加賀美が天道を引き止める。

「仲間のところに案内する」

「遠慮しておくよ」

「なに? 協力するって言っただろ」

「十分協力してるだろ。既に卵一パック分はワームを倒しているんだからな」

「騙したな? だったらお前のことを組織に報告するぞ!」

「お前にはできないよ」

 追いかけようとする加賀美の携帯が鳴り電話に応答する。

 電話の相手は田所で、ワームに擬態された恐れのある玉井 ユキを探し出せとの指示だった。

 一方で留置場で囚われてるユキを調べるため、岬はなんらかの方法で留置場に潜入した。

「ねえ! 私は犯人じゃないの! 本当の犯人は私なの! その私は私じゃない……。変な化け物が、私と同じ顔になったの!」

 ユキは必死に無実を訴えていた。

「静かにしなさい!」

 と、警察官が言う。

「ねえ、今日は大事なデートがあるの! ITセレブになれるチャンスなの! お願いだから出してよ!」

 だが、ユキは岬と共に取り残される。

「どうして私の言うこと信じてくれないの?」

「信じるよ」

 と、岬。

「だから話してくれない? あなたの身に起こったことを」

 その頃、もう一人のユキが自宅の前にやってくるのを、加賀美は待ち伏せていた。

 しかし、自宅の前では警察官が聞き込みをしており、ユキは入るわけにはいかず、その場を離れることにした。

 加賀美はユキを追跡する。

 人混みに紛れ、尾行に気づいたユキは振り返り、加賀美を見つめる。

 加賀美はユキに近づいた。

「玉井 ユキさんですね?」

 ユキは走り出した。

「待て!」

 加賀美は追いかける。

 しかし、すれ違いざまに行方不明になった弟にそっくりな男性を見る。

「亮?」

 その間にユキを見失ってしまった。

「こっちがワームだったのか」

 加賀美の肩に何者かが背後から手を置く。

 振り返ると天道が立っている。

「お前か」

「サバはまだか? 妹のささやかな願いを叶えるのが、お前および全人類の義務だろ」

「そんなことより大変なんだ」

 事情を聞いた天道は、警視庁の芝公園南警察署へ足を運ぶ。

 中に入り留置場を目指す。

「おい、待てよ! こっちのは岬さんが張ってるんだぞ!」

「二人を見張る必要はない。泳がせておけば、どちらかがもう一人を消そうとするはず。それがワームだ」

「そんな無茶な」

 しかし加賀美は考える。

「でも待てよ。確かにそうだ」

 その間も天道はどんどん進んでいく。

「おい!」

 後を追う加賀美。

「まずいって。上に話を通すとかしないと」

「そんな時間はない。それともお前のミスを上に報告するのか?」

 留置場の前に着く。

 天道は扉を開けて入り、見張り前の机から鍵を取り上げる。

 見張りは抵抗するが、天道の一撃でノックアウト。

 天道は鍵を開け、ユキを連れ出す。

 警察署を抜けるまで一手間あったが、無事に外へ連れ出すことができた。

「後のことは気にするな。好きにしろ」

 ユキは頭を下げると、踵を返して走り出した。

「天道!」

 加賀美が警察署から出てくる。

「お前のせいでめちゃくちゃだぞ。女は?」

 天道は走り去るユキを指す。

 加賀美は追いかけ様に言う。

「何やってんだ? 早く来い」

「しょうがないか。うまいサバを妹に食べさせてやるためだ」

 天道もユキを追いかけた。

 

 

 ユキは上村の待つ遊園地へとやってくる。

「上村さん、お待たせ」

 そこにもう一人のユキも現れる。

「上村さん、お待たせ」

 驚いて戸惑う上村。

「なんなのよあなた?」

「なんなのよあなた?」

 上村は二人を交互に見ながら言う。

「君たちこそなんなんだ? 君たち、双子だったの?」

「違う! 私がユキよ!」

「私よ! 私が本物よ!」

 本物のユキが、留置場から出てきたユキに襲いかかる。

「あなた、消えなさいよ!」

 二人のユキが揉み合いになる。

 加賀美は本物のユキの前に立つと銃口を向けた。

「やっぱりお前がワームだったんだな」

 加賀美の背後で留置場のユキがワームに変態した。

 天道は加賀美を体当たりで突き飛ばした。

 振り返り、天道とワームが対峙しているのを見る。

「あ!」

「なんだ。留置場の方だったのか」

「こいつ……!」

 加賀美はワームを銃撃する。

 遊びに来ていた客たちは騒ぎ知って逃げ出した。

「思った通りだったな。ワームの正体を探るには、これが一番手っ取り早い」

 カブトゼクターが飛来。

 天道はカブトに変身した。

 カブトはワームの攻撃をガードしながら反撃のチャンスを窺う。

「ぐっ!」

 ワームの攻撃がカブトを地面に倒す。

 カブトは迫り来るワームに銃撃を浴びせ、立ち上がってカブトクナイガンを連射する。

 怯みながら後退するワームだったが、咄嗟にクロックアップでカブトを翻弄する。

 投げ飛ばされたカブトが地面に倒れる。

「クロックアップだ!」

 カブトは立ち上がり、ライダーフォームへキャストオフをする。

 クロックアップでワームを追い、ジェットコースターをステージに格闘を始める。

 ワームの攻撃をいなし、拳を乱打する。

(しまった!)

 強力な一撃を受けたカブトは吹っ飛ばされ、コースターの車体の上に落下し、連結部分を破損させ、落下した車体から客を救出すると、メリーゴーランドの木馬に座らせる。

 そこへワームが襲いかかる。

 カブトは攻撃をかわしつつカウンター攻撃を浴びせ、ワームを追い詰めていく。

「は!」

 カブトの攻撃がワームを吹っ飛ばし、その体が観覧車のカゴにぶつかり、ガラスにヒビが入る。

 クロックアップが解ける。

 カブトは瓦礫に埋もれるワームの前に移動する。

 そこへ加賀美がやってくるが、再びクロックアップで高速戦闘を開始。

「またクロックアップだ」

 カブトは目にも留まらぬ速度でワームを追い詰め、必殺のライダーキックを叩き込む。

 刹那、クロックアップを超えた速度で何かが通り抜け、成虫ワームとネイティブが入れ替わる。

 ライダーキックがネイティブに決まり、爆裂霧散した。

 戦いを終えた天道は加賀美と川の前を歩いている。

「ワームはお前が倒したことにしろ」

「なんでだ?」

「最後のチャンスだったんだろ?」

「お前まさか俺に同情して言ってんのか?」

「お前は貴重な情報源だ。ゼクトを首にされると、俺が困る」

「なるほどね。全く、お前はいつだって自分中心だな」

「いや、俺が世界の中心なんだよ」

 天道は天を指差す。

「おばあちゃんが言ってた。世界は自分を中心に回っている。そう思った方が楽しいってな」

 加賀美は、はいはい、と思いながら頷くと、遠くに亮の姿を発見した。

「亮!」

 突然、走り出す加賀美。

 取り残された天道の背後にワームが迫る。

「人気者は辛いな。飯を食ってる暇もない」

 天道はカブトに変身。カブトクナイガンの刃を振り返り様に叩き込むと同時に、ワームは脱皮して飛び去っていく。

 カブトは変身を解こうとしたが、飛び去る行為はフェイントで、背後からワームが奇襲を仕掛けてくる。

 攻撃をかわし、銃撃で応戦する。

 カブトは攻撃の隙を与えず、ワームに弾丸を連射する。

 ワームは戦線を離脱することにした。

(あいつ、洗脳されてるのか?)

 

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