マエストロに目をつけられた。   作:アルカンテナ

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解釈派最高?のドーセント:リナウ

………今なら逃げられる気もした。

傑作が何か知るより、正直逃げたいと言う感情の方が大きかった。

…しかし、唐突に扉から出てきたエンラスにその行動は打ち砕かれた

 

「………来ないのかい?ユート君?」

「君なら知的好奇心を抑えきれずにすぐ入ってきそうなものだと…」

エンラスが扉の後ろからなんかしらの怪物がこちらを値踏みしているかのように頭を出していた。

さては、この人結構めんどくさいな……

 

「来て欲しいなら最初から呼んでくださいよ……」

僕は呆れながら答え、立ち止まった。

この状況ではどちらにせよ逃げられない、向かった方が身のためだ

なんとなく身体もそう判断していたのか

いつの間にか足は開いた部屋の入り口を跨いでいた

 

「………ふっ、ようこそ。ユート君。」

エンラスは静かながらに脳に響くような重みのある声で言う。

ここが僕の命の終着点になるんじゃないかとすら思った。

オーケストラが響き渡るような…そんな感覚。

 

「ここが我が傑作のみを集めた展示室……名前は………」

「思いつかないな…!はは」

ただ名前が考え付かなかっただけだったらしい。

何が面白いのだろうか、エンラスの笑いのツボはよくわからない。

 

「まあ口は開かなくて結構だ。語りたい事など幾らでもあるからな。」

エンラスは身体を反らせ悪役が見下すように言う。

 

「ここにあるのは……人の温もりを得られるベッドであったり……私が狩った化け物の剥製であったり……。」

「……………………ゔあっ…」

エンラスの翡翠色の目が曇り、身体中に毒が回ったかのように呻き、頭を抱えた。 触れてはいけない、何かがあったのか、僕にはわからない。

 

「大丈夫ですか…?」

僕は単なる心配からそう声を掛けた。

…エンラスが怪物になりゆくように見えて、何か未曾有の恐怖に包まれる。

 

「…大丈夫だ…ただ、近づくな。……君には……何も…………すまないのだが……少し、外に出ていてくれるかい……?」

………息を乱し明らかに動揺し、今にも目の前の僕を捕食しそうな鋭い眼をしたエンラスが居た。

見たこともない姿に恐怖を覚え、僕は部屋から去り、すぐに扉を閉めた。

そして耳を澄ませると、何かが聞こえる。

「違…………彼……………」

悩んでいると思わしきエンラスの声。

「………エ……………大丈…だか…………安………」

そして、初めて聞く女性の声。

エンラスとどんな関係なんだろう?

開けたら無事ではすまない

それでも、その死の恐怖ですら衝動を抑えられはしなかった

その正体をこの目で確かめたかった…

"君なら知的好奇心を抑えきれず…"

さっきのエンラスの言葉通りになるのは少し不愉快だったけど。

それでも、開けようとしてしまった。

扉に手を掛け、力を入れようとした瞬間

 

「おやおや!覗きですか?貴方も中々ワルなようですね?」

後ろから、聞き慣れない声がし、ばっと振り向き扉を背にすると

そこには道化師とおぼしき見知らぬ誰かがいた

赤い付け鼻をつけ、白い化粧をしているというのにスーツ…という異色の組み合わせをした男。エンラス程ではないが、形容し難い威圧感を放っていた。

その男は観客に見せつけるように腕を広げていた。

 

「驚かせるつもりはなかったのですが!……ああでも…後ろから見知らぬ人に話しかけられれば誰でも驚くものでしょうか……」

「いやあすみませんねぇ。自己紹介から入りましょうか!わたくしの名前はリナウ。エンラス様直属の部下にして解釈派最高のドーセント。これから何卒宜しくお願い致します」

 

そう言うとリナウは、作品の鑑賞者に向けての感謝のように深くお辞儀した。

変な人が増えた………

 

「ああ、貴方に自己紹介は不要です。」

「"元から"貴方の話はエンラス様から聞いていましたし」

「アトリエに来ていることも、報告を受けていましたから。」

「大丈夫です。少なくとも我々が貴方に危害を加えることはありませんよ!」

そう言いながらリナウは僕の手を優しく、両手で握る。

そこには邪な思惑も、悪意も何も感じられなかった。

安心と共に生理的な、無意識の嫌悪感はあったけれど。

 

「貴方のことを歓迎します。ようこそ、薬指へ!」

……エンラスよりうるさい分めんどくさいかも………

「さて………歓迎の挨拶も済んだことですし。」

「貴方がやろうとしていた覗きの危険性についてお話ししましょうか!」

「他の場所はどんどん覗くというか、入ってもらって構わないのですがね?」

「エンラス様の部屋に限っては、覗きが危険となり得るのです。」

「まず、エンラス様には同居人が居るのです!ちなみに最愛の人って奴です…いやあ、良いですよぉ…あのぶっきらぼうなエンラス様が最愛の人の前では口元緩ーくなるんですからねぇ……」

「おっと、すみませんね。まあ、してはいけない理由とは、エンラス様の最愛の人との時間であるが故、邪魔すると碌な事がない、と言ったところです。」

……リナウの忠告は、大半に歪んだエンラス愛と変な解釈を含んでいたような気がしてならないけど…

 

もういいや、めんどくさい。真面目に考えてたら疲れてしまう。

 

「まあわたくしが貴方ならば人生最期の景色がエンラス様の照れ顔ならば本望ですし、余裕で覗きますけどね!!ひひひ!!」

「わたくしは用事があるのでさようなら。それでは、また後で会いましょう!」

そう言い終えると、質問も許さず語るだけ語って去ってしまった。

……なんなんだあの人……

脳裏に浮かぶエンラスは気怠げで無愛想に見えるめんどくさい人だったけど……

リナウは……それよりもっとめんどくさいかも…………

 

「む?わたくしのことめんどくさい人だとか思いました今?」

リナウの唐突な発言に心が読まれたのではないか、と驚いた。

「ちょっとショックです……貴方ならばわたくしの良き友人になってくれそうだとか期待していた節があったので」

「まあ仕方ありませんね…ふん!エンラス様の良さなど、わたくしが理解していれば充分でありますから!!!」

そう言うと、リナウはアトリエの扉を強く閉じた。




単刀直入に言うわ。どうしたら俺っちは継続投稿のモチベを保てるんや?

ならば変態星。一度筆を取れ。
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