たわけ!ドアホ男子   作:スピリタス3世

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練習番号E ぴりぴりドラムメジャー

  奏視点

 

 私はいつも通り大輝の痴態を防ぐべく、朝練に到着すると………

 

「すずめちゃんにサリーちゃん、今日も早いじゃねえか‼︎まさか俺に気があって………?」

 

 早速防ぐべき痴態が発生した。

 

「アンタのことは1mmも興味無いと思うよ。」

「うるせえ久石‼︎つーかいつもいつも邪魔しやがって!」

「早くから練習することの何が悪いの〜?」

「このメスガキ………っ‼︎」

「ほ〜ら言い返せない。ざぁこ♪」

「うるせえ‼︎」

 

 とりあえず、この子達の風紀を守ることができた。これでよしっ‼︎

 

「おお、いつもの痴話喧嘩ですね〜‼︎眼福眼福〜♪」

「「痴話喧嘩じゃない‼︎」」

 

 でもやり返された‼︎すずめはホントお調子者なんだから‼︎弥生もお調子者だし、石神井君も熱血真面目に私たちがカップルだと勘違いしてるし、佳穂はすぐ笑ってくる。義井さんが低音に居ないのが、本当に残念だ。

 

「コンクール曲の練習に来たんです。全国金、目指してますから〜!」

「さっすがサリー!志が高杉晋作〜♪」

「それもうツッコまないから〜。」

「高杉晋作って誰………?」

「ボケに本物のボケで返された⁉︎奏先輩、この人おバカなんです⁉︎」

「そうだよ。裏口入学だからね。」

「違えよ‼︎俺は頭いいぞ‼︎」

「うわ〜、馬鹿丸出し〜。」

「うるさい‼︎」

 

 そして、大輝は相変わらずバカな模様。確か文系だよね?なんで理系*1の私より知らないの?

 

「お、義井に釜谷じゃないか‼︎おはよう‼︎今日も一緒に頑張ろう‼︎」

「おはよ〜、石神井〜♪」

「お、おはよう……///」

 

 そして、同じく朝練に来ていた石神井君と会う2人。楽器が上手いツートップと期待のホープが朝練に揃い踏みという、凄まじい光景だった。

 

「義井、どうした?あんまり元気ないのか?」

「い、いや、大丈夫!石神井君ありがと!」

「うむ‼︎どういたしまして‼︎」

 

 にしても、今一瞬彼女の目が不安そうになったのは………視線の先にいるのは、石神井君と高坂先輩。一体何かあったのかな?高坂先輩はともかく、もし石神井君ならちょっと気にしておかないと。自分のパートの後輩だし。そう思った。

 

 

 

 その日の練習は、いつも通りマーチングの姿勢練習。今回は体育館じゃなくて校庭で、本番の動きをイメージしながらやる練習だ。

 

「トロンボーンの吉澤さん。腕が下がっています。地面と並行になるのを意識して。」

「はい!」

「サックスの甲元さん。足が上がってません。」

「はい。」

「ホルンの武川さん、また足が合ってない。ズレたら後ろの子が危ない。前にも言った。」

「はい、すみません………」

「一度列から出て。」

「それからユーフォの針谷さんも。動きがぎこちない、歩幅も小さすぎる。集中して。」

「はっ、はい!」

「それじゃあ、もう一回通してやります。」

「「「「はい‼︎」」」」

 

 高坂先輩の指導のせいなのか、それとも他の人の圧力なのか、あるいは一年生の出来が悪いのか………。今年の北宇治は去年とは比べ物にならないほど、張り詰めた雰囲気が流れていた。

 

 

 

 

 数分後、休憩の時間となった。

 

「皆〜、ちゃんと休んで下さいね〜‼︎もしよろしければ、イケメンの俺が入れたジュースもありますよ〜♪」

「誰も欲しくないから、それ。」

 

 だからこそ、大輝が休憩前にちょっとボケることが増えた気がする。

 

「大輝、わざとやってるでしょ。」

「張り詰めっぱなしはかえって質が悪くなるからな。こうした方が、皆のためになるだろ。」

「そういうとこを、普段から見せてくれたらいいのに〜。」

「ん?してるぞ?」

「してないから言ってんの。」

 

 それも狙って。休憩といういいタイミングで、皆の張り詰めた糸を解く。皆をピリッと引き締める、高坂先輩といいペアなのかもしれない。このままあの人が大輝のこと、貰ってくれないかな?そう思った日だった。

 

 

 

 

 

 それから数日後の朝練の日………

 

「ごめん、サリーは先に練習してて!」

「えっ⁉︎」

 

 いつものようにすずめと義井さんが久美子先輩と話してたんだけど、ちょっと様子がおかしかった。

 

「私にこうさ……」

「義井、自分と練習するぞ‼︎クラと音程を合わせてみたくてな‼︎」

「あっ、うん、ごめん、ありがとう……石神井君……」

 

 石神井君もいたけど。本当に大丈夫かなぁ?

 

「照葉………お前まさか俺に黙って、俺より先に彼女を………っ⁉︎」

 

 しまった。もっと不安材料が隣にいたんだった。

 

「別に作ってもいいでしょ。アンタのこと待ってたら、人生が先に終わっちゃうよ。」

「誰が生涯待ち人来ず、だって⁉︎」

「来てるでしょ、奏ちゃんが。」

「「違います!」」

「先輩方、自分と義井はただ練習するだけですので、ご安心を‼︎」

「それなら安心だな!」

 

 にしても、義井さんは何を言いかけたんだろう?石神井君のかき消すような大声で、その中身は分からなかった。

 

「あっ、そうだ!大輝先輩〜!」

 

 そして、そのことを考えているうちに、すずめが大輝に話しかけた。

 

「どうした、すずめ?まさか俺に告白か⁉︎」

「奏先輩じゃないんで、そんなことしません‼︎」

「私もしないから。」

 

 珍しいな。一体何を言うつもりなんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドラムメジャー、やってみたらどうです⁉︎」

 

 いや、凄いこと言ってきたな⁉︎部長の前でぶっ込みすぎでしょ⁉︎しかも音楽室の中に高坂先輩いるんだよ⁉︎

 

「すずめちゃん、何言ってるの⁉︎」

「でも大輝先輩、教えるの上手いですよね⁉︎楽器も上手いですよね⁉︎実績もあるし、怖くないし………いいことずくめじゃないですか⁉︎」

「すずめ、落ち着いて!」

「釜谷、はやとちり過ぎだ‼︎」

 

 確かに理由は分かるけど、高坂先輩のメンツがあるでしょ‼︎指導が下手ならともかく、やるべきことはちゃんとやってるし、全国金目指すならあれくらい普通。だから別に高坂先輩でもいいと思うけど……

 

「すずめちゃん、先輩方が引退したら俺やるから!よろしくな!」

「いや、まだ決まってないでしょ。」

「え〜、今がいいです〜!」

「言うこと聞かないと、つばめ先輩をナンパするぞ〜?」

「分かりました‼︎静かにしておきます‼︎」

「それでよし、だね!」

 

 大輝がちょけてなんとかこの場は収まったけど………。今後が心配だな。いつかとんでもないことになったりして…………

 

 

 

 

 

 私の悪い予感は、数日後に当たった。

 

「事件です、事件ですよ!なんと低音の1年生が全員休みなんです‼︎」

「さっちゃん、それ本当⁉︎何があったの⁉︎」

「葉月先輩………」

「りりりんも、どうしたの⁉︎」

「あの〜、今日サリーちゃんが休んでるらしくて………」

「じゃあ、あの5人全員ってこと………?」

「クラの子が言うには、風邪をひいたってことらしいんですけど〜。もしかしたらこのまま辞めちゃうかもって〜。」

「そんな、どうして〜?」

「えっと、なんとなくそんな感じだったって………」

 

 なんと低音が石神井君も含め4人とも休み。更には義井さんまで。一応理由は体調不良ってことになってるけど…………。連日の不安もあって、梨々花の嫌な不安に賛同せざるを得ない。

 

「一応住所貰ってきたんですけど〜、1年生係として、話聞きに行った方が………」

「わかった。私も行く!」

「うぇっ⁉︎久美子も⁉︎」

「万が一ってこともあるし。ごめん緑ちゃん*2、あとお願いできる?」

「分かりました!」

 

 とりあえず、1年生係2人に部長が揃って様子を見に行くらしい。大丈夫かなぁ?あの熱血真面目な石神井君まで休むのが、本当に意外すぎるし。何もないといいけど………

 

「えっと………そんなに大袈裟にすることかな?部活辞めるって、普通にあることでしょ?そんなにしなくても………」

 

 そう思ってたら、危険人物黒江先輩が爆弾を投下したのだった。

*1
梨々花と同じクラスのため。梨々花は数学学年一位なので、理系だと推定。

*2
原作だと奏だけど、低音でまとめて練習するので、残っている緑に変更してます。

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