奏視点
楽器を片付けてたら、去年の部長副部長コンビがやってきた。
「優子先輩、夏紀先輩……っ!」
「お〜、黄前部長!随分部員増えたんだって〜?流石敏腕!」
「あっ、いや………」
「しかし懐かしいね〜。こんな匂いしてたんだ〜。」
当然の来訪に、久美子先輩は完全にテンパっていた。そりゃそうだ。ちなみに1年生も、知らない人が現れてびっくりしてる。
「先輩方、お久しぶりです!どうですか、俺の匂いは⁉︎」
「おやおや、久石ちゃんと同じシャンプーの匂い………」
「「違います!適当な事言わないでください‼︎///」」
「ぷっw」
「「佳穂〜⁉︎///」」
そして大輝のせいでまた恥をかく。本当にいい加減にしてくれないかなぁ〜⁉︎あと夏紀先輩、変な事言うな‼︎私たちはカップルじゃない‼︎
「あっ、ヘアピン………」
ちなみにその2人はお揃いのヘアピンをしていた。自分たちの方がよっぽどカップルじゃん。
「
「はぁ?先に買ったの私なんですけど。そんなに真似したい?」
「はぁ⁉︎ばっかじゃないのばっかじゃないのばっかじゃないの⁉︎///」
「おぉ〜、ノンブレス。」
「うるさい‼︎///」
ほらやっぱり。私と大輝はそんな事してないから。お揃いのアクセサリーなんて買わないし。それと、そろそろ1年生が可哀想だから静かになってもらおう。
「少し抑えてもらっていいですか?1年生ドン引きなんで。」
「あっ、いっ、一年の針谷佳穂です!ユーフォ吹かささせてもらってま〜す!」
そして、佳穂がテンパって自己紹介を始めた。本当に、私たちのことで爆笑する以外はとても可愛らしい子だ。
「おぉ〜、ユーフォ!」
「佳穂ちゃん、この人がユーフォOGの夏紀先輩!お隣がその若女将、トランペットで前部長の優子先輩!」
「若女将じゃないから、若旦那さん!」
「それは違います!///」
「ぷっw」
「おっ、結構面白い子なんだね〜!」
「あ、ありがとうございます!」
にしても、なんでこんなに私たちへのおちょくりで笑うの?意味分かんない。腹立つから、夏紀先輩をイジろっと。
「既に夏紀先輩より上手いです。」
「おお!それは良かった!」
なんでこの人は大人な対応するかな!つまんないの‼︎
「ごめんなさい、夏紀先輩‼︎コイツを矯正出来ませんでした!」
「自分だって、後藤先輩が来たら同じ態度取るくせに!」
そして大輝はガキの対応するかな‼︎もっとつまんないの‼︎
「あっ、ちなみに今からビデオ通話繋げるんだけど〜。」
「じゃじゃん、これがライブ映像だよ!」
そんな事を思ってたら、仲良し川の2人がビデオ通話を始めた。まさか傘木先輩や鎧塚先輩と繋げるつもりなんだろうか?
『皆、久しぶり〜!長瀬梨子だよ〜!今日は行けなくてごめんね!弟がお世話になってます!』
『久しぶりだな、皆。元気か?』
なるほど、後藤夫妻か‼︎確かに低音相手なら、そうなるよね。にしても相変わらず仲良いな、この2人は。なんなら一個の携帯に2人写ってるし、背景は同じ部屋で………
「なっ、なんで2人が同じ家に⁉︎」
「そりゃこの2人、同棲を始めたからね!」
『うん♪』
『まあ、そうだな………///』
って、同棲してるの⁉︎大学進学と同時に引っ越したからって⁉︎超ラブラブじゃん。そして、この光景を見せられた大輝なら、間違いなく発狂するだろう。
「はぁぁぁぁぁぁあ○+=¥々$%⁉︎ご、後藤先輩が、梨子先輩と、同棲ぃぃぃぃ○÷*→〒°¥々・⁉︎」
発狂どころか壊れた。それはもう、人の形をした何かだった。
『だ、大丈夫か、大輝………?』
『荒川君が壊れちゃった……。どうしよう………?』
「そりゃ、久石ちゃんが何とかするでしょ!」
「夏紀先輩、そのゴミをベランダから捨てといて下さい。」
「ダメだよ、久石ちゃん。ゴミは家に持って帰らなきゃ。」
「せめてゴミ箱に捨てる、でよくないですか?」
「部長命令を伝達します。」
「おっ、じゃあ前部長命令も伝達します!」
「「奏ちゃん(久石)は大輝君(荒川)を家に連れて帰ること!」」
「部長2代でシンクロしないで下さい!」
ということで、私はゴミと化した大輝を廊下に放り捨て、先輩からの差し入れアイスを貰ったのだった。
仲良し川先輩が突撃してから数日後、私たちはお盆3日間という束の間の夏休みをもらった。まずは1日目、大学の説明会だ。このイベントには色んな大学が来ていて、それぞれのブースで説明してくれる仕組みになっている。
「奏ちゃんたちは別行動か〜。」
「この子ら、特進クラスのエリート様ですから!」
「普通科の大輝をそっちにあげますよ。」
「俺も望んで行きますよ!」
「「それはダメ!」」
「ちぇっ。」
「しょうがねえ。りりりんとデートするか……」
「それはダメ〜!奏を必ずつけるのです!」
「要らねえ‼︎」
「それはこっちのセリフ。」
ちなみに久美子先輩と加藤先輩も来ていたが、完全に別行動になった。まあ2年生と3年生、進路への焦りも違うからね。私は梨々花+ゴミと一緒に過ごさせてもらおう。
ということで、私はいつものメンバーと一緒に回ることにした。
「お前ら、どうせ理系の難関大行くだろ?」
「そりゃ数学学年一位ですから〜。奏は〜?」
「私はそんなに頭良くないから、中堅の大学にしようかな?」
「おい久石、それはどこの大学にも引っかからねえ俺への当てつけか?」
「恨むなら勉強しなよ。」
「嫌だね!」
にしても、大輝はなんで来たのだろう?とても大学に受かるような頭をしてないし。なんなら卒業すら危ういかもしれない。一応赤点は回避してるけど。
「一応音大とかもあるみたいだよ〜。」
「まあ、俺はそれ目当てだな。」
「なるほどね。」
まあ、大輝ならそうなるか。音楽だけはトップクラスだし。なんなら今後の実績次第では、推薦とかも貰えそう。彼なら普通の大学行くよりもよっぽど入りやすく、そしてよっぽど充実した人生を送れるだろう。
「あとはナンパだな‼︎色んなとこからJKが来るし‼︎」
「よしっ、通報しよう。」
「やめろ久石、俺の華やかキャンパスライフを邪魔するな‼︎」
まあ、刑務所で絶望の人生を送るかもしれないけどね。
「それじゃあ、各自行きたい大学を探して〜、解散!」
「「はいよ!」」
ということで、私は梨々花や大輝と別れて、大学の資料を集めることにした。
その後、私は色んな大学の説明を聞いた。中堅の大学といっても全国津々浦々に存在するため、相当な数がある。そして、色んな大学の特徴を聞いたけれど、ぶっちゃけあんまり差を感じなかった。
「う〜ん、どれにしよう………」
あと理系で難しいのは学科選び。正直大学より重要かもしれない。どの分野を専門とするかで、将来の職業が決まるとか言われたっけ。正直よく分かんないよ。色んな分野があって。
「さてと、次はどの子をナンパしようかな〜?」
そんな事を思っていると、邪な馬鹿が現れた。
「大輝、こんなところで何してんの。」
「くそっ、久石かよ‼︎俺のナンパを邪魔しやがって!」
「当たり前でしょ。」
こんなとこまで来て何してんだか。やっぱあの時通報しとけばよかったと、ちょっと後悔した。
「で、ちゃんと考えたの?」
「たりめえよ!俺は東京のシティーボーイになろうと思っている!可愛い女捕まえ放題だぜ!」
そして、話を聞いてもっと後悔した。
「それじゃあ、進学先は留置所だね。」
「なんで俺が捕まるんだよ⁉︎」
「当たり前でしょ。」
「俺はただ、この藝術大学に行こうとしてるのに……」
「なるほど………って、えっ?」
全く、この下心野郎が………。そう思っていたところに、とんでもない事を言われた。日本の芸術系の大学で、旧字体の藝を使うところなんて1つしかない。
「あの超難しいところ行くの?」
「そうだぞ。」
「ヤバっ。」
芸術系の大学で日本一難しい、あの大学だ。そんなところに行こうと決めるなんて。しかも下心で。そしてコイツは、そこに行くことが可能と思わせるだけの実力がある。
「で、お前は決まったか?」
「東京の風紀を守るために、東京の大学に進学することにしたよ。」
「お前、俺のナンパライフを邪魔すんなよぉぉぉぉ⁉︎」
本当にコイツは、とんでもない化け物だ。
ちなみに後で梨々花と合流したが、
「梨々花、どこか決まった?」
「決まったよ〜!東京の工業大学にするよ〜。」
「まさか理系で3番目に難しいところじゃないよね?」
「そのまさかだよ〜。模試でも判定良さげだし、そこにする〜。ちなみに工学部かな〜。専門は大学2年で決めるっぽい〜。」
「2人とも、化け物過ぎて辛い………」
「彼氏さ〜ん、彼女さんが落ち込んでますよ〜。」
「そのまま捨てとけ。」
「こらこら〜、そんな酷いこと言わないの〜!」
彼女もまた化け物だった。そのせいで、東京にある大学に行こうとは思ったものの、具体的にどこの大学に行くのか、何を専門にするのかを決めきることができなかった。
ちなみにモデルになった志望校はこちらです。
・大輝→東京藝術大学
音大を含む芸術系の大学で、入学難易度が最難関の大学。現役で受かる人はほぼ居ない。大輝はもちろんチューバ専攻を受験予定。
・梨々花→東京科学大学(作中の2017年当時:東京工業大学)
理系の大学で東大、京大に次ぐ3番目に難しい大学。梨々花は2017年当時の工学院を受験予定。