たわけ!ドアホ男子   作:スピリタス3世

40 / 40
 お気づきな方はいるかもしれませんが、奏のナルシスト風な発言(私可愛いでしょ、的な)が本作では殆どありません。理由は奏が大輝みたいになりたくないからです。


練習番号B はじまるリベンジ

  奏視点

 

 初の幹部会をした翌日の練習にて、私たちは久美子先輩の司会のもと、1・2年生の前で幹部になったことを報告することになった。私たちが前に立つと、沢山の期待の眼差しで見られた。その視線のためか、自分の心音がいつもより大きく感じた。

 

「それでは、次の幹部を発表します。まずは部長、剣崎梨々花さん!」

「部長になりました〜!剣崎です!あと、梨々花です!これから1年頑張りますので〜、よろしくお願いしま〜す!」

「続いては副部長、久石奏さん!」

「副部長になりました。久石奏です。よろしくお願いします。」

「最後に副部長の旦那………」

「「違います!」」

「じゃなかった、ドラムメジャーの荒川大輝君。」

「ど〜も、ドラムメジャーになったイケメン魔神・荒川大輝で〜す!カッコいいと思った方は、今週末デートを!」

「誰も居ないから。」

 

 そして、いよいよ私たちに幹部がバトンタッチする時となった。

 

「それでは、これからの司会は新部長にお願いします。」

「お願いされました〜。」

 

 梨々花のゆるふわな挨拶に、場の空気が和む。久美子先輩以上の癒し系部長を、皆が歓迎しているようだった。だが、彼女にはここで空気を変えてもらおう!

 

「さて〜、北宇治では、毎年目標を立ててやってま〜す!しか〜し!それは去年も今年もコンクールの間だけでした〜!ですが来年は〜、違います!この時期から、もう決めちゃいましょ〜!」

 

 周りがざわつき始める。そりゃそうだ。例年4月にやってた目標決定を、コンクールが終わったばかりの今決めるのだから。ちなみに滝先生の許可も貰い済。なんなら今この場に来てもらっているし。

 

「具体的には〜、来年の吹奏楽コンクールで全国金を目指すか、それとも音楽の楽しさに重点を置いてやるか〜、を選ぶことになりま〜す!目を瞑って、よ〜く考えてから手を挙げて下さいね〜。」

 

 任命早々例年に無いことをやる。その事実に不安を覚えながらも、私は皆を見守ることにした。

 

「すいません!」

「はい、平沼さん!」

「来年の1年生はどうするんですか?」

「新歓の時に、この目標を言いながら活動しま〜す!そして、これに納得した人だけを入部させるつもりで〜す!」

「なるほど…………ありがとうございます。」

 

 そして、当然の質問が出る。これも昨日やった通り。目標を話した上で、それに納得してついていく気力のある子だけを入れる。この方針を踏まえた上で、皆は納得してくれるか………

 

「では〜、全国大会金賞を目指す人〜!」

 

 そして、目の前に広がったのは…………ほぼ全員がすぐに手を挙げるという景色だった。やはり、今年の結果を受けて、リベンジしたかったのだろう。それが分かっただけでも、大きな収穫だった。

 

「は〜い!賛成大多数でしたので〜、来年の北宇治は全国大会金賞を目指しましょ〜!それでは滝先生!」

「はい。私は皆さんの自主性を重んじる指導をしています。今回はこの時期からコンクールで全国金賞を目指すと理解しました。大変ですが、1年間頑張りましょう。」

「「「はい!」」」

 

 この日、私たちはコンクールへのリベンジを誓ったのだった。

 

 

 

 

 

 目標決めが終わると、

 

「それでは〜、ドラムメジャー!お話お願いしま〜す!」

「はいよ!」

 

 梨々花から大輝にバトンタッチとなった。

 

「改めまして、イケメンです‼︎」

「余計なこと言ってないで、さっさと話して。」

「怖い副部長はさておき………コンクールを目指すといっても、いきなり課題曲と自由曲をやるわけじゃありません‼︎皆には例年みたいなコンサート、いや、例年以上のコンサートをやってもらおうと計画中です!今回はその賛成をいただきたく!メリットはこの3つ!まずは………」

 

 そして大輝は、昨日話した話を皆にした。皆もそれを聞いて納得したらしく、大輝の意見に賛成してくれた。ここまでトントン拍子で進んだので、ちょっと拍子抜けしてしまった。それが正直な感想だった。

 

 

 

 

 

 その日の練習後、私たちは美玲に話しかけられた。

 

「ねえ、3人とも。」

「ど〜したの〜、みっちゃ〜ん?」

「まさか俺に告白………?」

「告発の間違いじゃない?」

「ちょっと疑問に思うところがあって………」

 

 何か落ち度でもあったかな?全体の方針に関わることなら……いや、美玲ならちゃんとその場で言ってくれるか。なら、別のことだろう。果たして一体………?

 

「なんで私がパートリーダーなの?大輝だと思ったけど………」

 

 それか。それは………

 

「コイツに音楽以外のことが出来ると思う?」

「出来るに決まってるだろ‼︎」

「出来てないから言ってるの‼︎」

 

 大輝じゃ音楽以外は役に立たないから………じゃないんだよね。

 

「久石の戯言は置いといて、俺はドラムメジャーだから全体の音楽を指導しなきゃいけない。」

「でも、今年は高坂先輩がパートリーダーも兼務してたよね?」

「それはそうなんだが、来年はちょっと違ってな。俺が時々他パートの練習に行って指導しようと思っているんだ。だからちょくちょくパート練の時間に居なくなる。」

「それで私に白羽の矢が立ったと。」

「まあ、そんな感じだな!」

 

 来年は大輝が他のパート練習にも顔を出す。自分の耳で聴いて指導をしたいんだと。合奏の色んなパートしか混ざってない中で聴くのは難しいし。

 

「分かった。その代わり音楽以外もビシバシ指導するよ。例えば赤点で練習に来られない人の対策とか。」

「いや、それはやらなくていいんじゃないか………?」

「美玲、お願い。このバカは私だけじゃ面倒見きれない。」

「うるせえ久石‼︎誰がバカだ⁉︎」

「分かってる。大輝は受験のことも意識させなきゃね。音大志望でも他の教科はあるし。」

「やめろぉぉぉぉ!やめてくれぇぇぇぇぇ!助けてりりりぃぃぃぃん!」

「嫌で〜す♪」

 

 それに、美玲がビシッと言ってくれれば大輝も変わるでしょう。というか変わってくれ。コイツが最上級生として暴れられたら、本当に面倒だから。後藤先輩や川島先輩みたいに、ビシッと言ってくれる人ももう居ないんだし。

 

「それじゃあ〜、みっちゃん!梨々花と一緒にか〜えろ♪」

「オッケー、梨々花。」

「私も一緒に帰るよ。」

「奏は大輝君とでしょ〜?」

「奏が居なくなったら、誰が大輝の車椅子を押すの?」

「別に1人で帰ればよくない?」

「介護要員の交代を希望する‼︎頼む‼︎」

「私からもお願い。」

「「ダメ!」」

「「なんで⁉︎」」

 

 にしても、いつまで私は大輝の面倒を見ればいいのか。全治2ヶ月だから、だいたい12月の半ばまで。本当に長い。まあ車椅子だから、あっちこっち行ってナンパしないのだけは助かるけど。そんな事を思いながら、私は大輝の車椅子を押したのだった。

 

 

 

 

 それからしばらくは、各種コンサートに向けて練習が始まった。コンクールシーズンとは打って変わって、楽しい曲のオンパレード。特に有名なアイドルの曲をやる時は、部活の中の雰囲気がいつも以上に明るかった。

 

 そして練習後のこと。

 

「よしっ、この曲のダンスは俺だな!なんせアイドル級の顔だし!」

「絶対ダメ。お客さんがしらける。あと車椅子でしょ。」

「うるせえ‼︎治ったら踊るんだ!」

「一生骨折してて。」

「理不尽過ぎるだろ‼︎」

 

 大輝がいつも通り頭悪い事を言ってると………

 

「りりりん部長!ちょっと相談が………」

「どうしたの〜?」

 

 1年生が梨々花に相談しにきた。

 

「恋愛相談か⁉︎なら俺が彼氏になってやろう!」

「えっ………?」

 

 そして大輝が恥を晒した。

 

「ごめん、大輝は始末しておくから。梨々花、あとよろしく。」

「は〜い!」

「くそっ、久石‼︎ふざけるな‼︎俺のリア充チャンスがぁぁぁぁぁ‼︎」

「自己中メンズは黙ってて。」

 

 にしても、これが幹部か。本当に恥ずかしい。あとで美玲に怒ってもらおう。そんな事を思いながら、私は大輝を引き剥がしたのだった。

 

 ちなみに後日梨々花から相談内容を聞いたところ、本当に恋愛相談だったらしい。幹部になるとこんな事もしなきゃいけないのか。去年の久美子先輩は、本当に大変だったんだなぁ。そんな事を思ったのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ダブルリードの苦労人(作者:桜紅月音)(原作:響け!ユーフォニアム)

北宇治高校吹奏楽部に所属する彼こと鈴木拓哉は苦労人である。▼部長である小笠原晴香や同じダブルリードのパートリーダーである喜多村来南、同級生の吉川優子を始めとした吹奏楽部のメンバーに苦労している。▼更には、部活の雰囲気も変わって更に苦労が…▼分岐ルートは、原作、アニメが混ざっております。▼ご視聴の際はご注意願います。▼*投稿済みの話を順次進行形で修正中▼久美子…


総合評価:386/評価:7.93/連載:126話/更新日時:2026年06月16日(火) 00:00 小説情報

カリスマチート転生者先輩 in 北宇治(作者:山田太郎)(原作:響け!ユーフォニアム)

カリスマチート転生者先輩を小笠原世代に生やして、早いうちに吹奏楽部を改革します。▼ガールズラブタグは超保険です。必須タグなので入れましたが、殆ど0です。そこを期待している方はすみません。▼テンポ優先のため、アニメで描かれた部分は必要な部分だけ書きます。未視聴の方はアニメを観ましょう。▼原作2年目で完結しました。3年目はあまり書けるパートがなさそうなので、思い…


総合評価:1837/評価:8.54/完結:8話/更新日時:2026年02月20日(金) 20:00 小説情報

いつか途切れた、音の続きを(作者:いつかの音色)(原作:響け!ユーフォニアム)

 中学二年生のあの時、私は間違えた。私の行動一つで部が崩壊してしまうと、あの時の私は知らなかった。そして、私は逃げてしまった。▼ 周囲への気配りが足りなかった。みんなが何を考えているか、なんて全然考えていなかった。何より、心が弱かった。▼ もう二度と、同じ過ちは繰り返さない。私はもう絶対に、逃げたりしない。▼ ▼△▼ 南中出身、音楽チートの主人公を黄前世代に…


総合評価:3602/評価:9.01/連載:22話/更新日時:2026年06月21日(日) 20:00 小説情報

響け!元野球部のクラリネットパート!!(作者:桜紅月音)(原作:響け!ユーフォニアム)

中学では野球部だった主人公の工藤浩輔。▼北宇治に入学し、野球部に行くつもりが、気づいたら吹奏楽部に入っていた。▼知識はあるものの、吹部自体は初心者である彼は、無事に吹奏楽部でやっていけるのか▼不定期更新▼*小説タイトル変更有り▼


総合評価:26/評価:-.--/連載:4話/更新日時:2026年06月16日(火) 00:00 小説情報

想いを音色に乗せて(作者:猫柳/nekoyanagi)(原作:響け!ユーフォニアム)

▼ 両親を早くに亡くし、バイトと勉学、音楽の両立に四苦八苦しながら北宇治高校吹奏楽部で己の理想の音色をトランペットで表現しようと頑張る男の子の物語。▼ 原作終了後、大学以降の物語も書きたいなぁと思っております。▼ クロスオーバーは迷っているので念の為です。原作の間に出すことは恐らくないです。▼ キャラタグ一旦消去させていただきます。▼ 青のオーケストラ要素ち…


総合評価:1842/評価:8.96/連載:18話/更新日時:2026年03月09日(月) 19:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>