奏視点
いよいよ始まる、大輝と私のソリ。まずは明るく爽快感のある前奏を皆が吹く。その音はとても爽快で、そして明るかった。その前奏が終わると、いよいよAメロが始まった。まずは大輝のソロから!
「お別れしたのはもっと、前のことだったような〜♪悲しい光は封じ込めて、踵すり減らした〜んだ、Wow〜♪」
普段の言動からは考えられないような、圧倒的な色気と表現力に、聴いている人の表情が一気に変わった。そうだよね、そうなるよね!だって大輝の音は凄いんだから!
さてと、大輝のターンが終わると、今度は私のターン!
「君といた時は見えた、今は見えなくなった♪透明な彗星をぼんやりと、でもそれだけ探してる♪」
大輝と同じメロディーを、私なりに吹く!大輝の後だからか、すごく伸び伸びと吹ける。練習で感じた通り、まるで自分が自分じゃないみたいだ!
その次はBメロ、大輝との掛け合い!
「しょっちゅう唄を歌ったよ♪」
大輝が歌い、
「その時だけのメロディーを♪」
それに私が応える。
「寂しなくなんかなかったよ♪」
もう一度大輝が吹いて盛り上げて、
「「ちゃんと寂しくなれたから、Yeah♪」」
サビ前で私がハモり…………最高潮のままサビへと突入だ!
「「いつまでどこまでなんて〜♪正常か異常かなんて〜♪」」
サビは大輝とユニゾン*1!2人の奏でる音が絡み合って、1つの音楽になる‼︎
「「考える暇もないほど、歩くのは大変だ〜♪」」
そして途中からは私がハモる!ホント合わせやすい!吹きやすい!楽しい!
「「楽しい方がずっといいよ〜♪誤魔化して笑っていくよ〜♪大丈夫だ、あの痛みは〜♪忘れたって、消えやしない〜♪」」
そんなサビをもう一度繰り返して、終わり………じゃないんだよね〜。続いては2番。今度は私が最初に吹く番。
「理想で作った道を、現実が塗り替えていくよ♪思い出はその軌跡の上で、輝きになって残っている、Wow〜♪」
サビとのコントラストを意識して、ここで音量を下げる。まずは静かに落ち着いて、大輝に繋げる!
「お別れしたのはなんで、何のためだったんだろうな〜♪悲しい光が僕の影を、前に長く伸ばしている♪」
そしてもう一度のAメロ、今度は大輝のソロ。先に私が吹いたからか、全部私の表現に合わせて吹いてくれた。ホント凄いなぁ‼︎そのままBメロいっちゃえ!
「時々熱が出るよ〜♪」
まずは私、
「時間がある時眠るよ♪」
その次大輝!
「夢だと分かるその中で♪」
もう一度私で、
「「君と会ってからまた行こう、Yeah♪」」
最後に2人のハーモニー!さらっとユーフォの音域に合わせている大輝がハンパない!チューバにとっては相当高い音域のはずなのに、それを感じさせない余裕。その事に心を躍らせながら、2度目のサビだ!
「「晴天とは程遠い〜♪終わらない暗闇にも〜♪星を思い浮かべたなら、すぐ銀河の中だ〜♪あんまり泣かなくなっても〜♪靴を新しくしても〜♪大丈夫だ、あの痛みは、忘れたって消えやしない♪」」
2度目のサビはさっきよりも盛り上げて、そして上手くハモって‼︎伴奏の盛り上がりもあり、一気に最高潮にもっていく‼︎1度ならずとも、2度吹いて!さぁ、まだまだ行くよ!勢いそのままCメロへ。
「「伝えたかったことが、きっとあったんだろうな〜♪恐らくありきたりなんだろうけど、こんなにも〜♪」」
ここで1番や2番に無かった旋律を、大輝と一緒に吹く。ちょっとアンニュイな感じで、聴いている人を飽きさせないような表現をする。色を一気に変えてきた大輝に釣られて、私も違った自分を見せる。これで聴いている人を惹きつけるんだ!
その後は間奏へ。皆が奏でる音楽を聴きながら、再度来るBメロに向けてテンションを上げていく!そして、それからのBメロ!またもや掛け合い………
「「お別れした事は〜♪出会った事と繋がってる♪」」
ではなくユニゾン!
「「あの透明な彗星は♪透明だから無くならない♪♪」」
2人で一緒にメロディーを奏で、盛り上げて、盛り上げて、盛り上げたところで………っ!一旦静かになって、サビを迎える。サビは伴奏が全員休みになり、大輝がソロ、そして私が伴奏に。
「○×△どれかなんて〜♪皆と比べてどうかなんて〜♪」
完全な2人だけの時間だ。なんて幸せなのだろうか。大好きな音と2人きり。この時間が一生続けばいいのに。だがそうも言ってられない。
「確かめる間も無いほど♪」
後半はソロと伴奏の役割を入れ替え、
「「生きるのは最高だ〜♪」」
最後はユニゾンに‼︎そして皆の伴奏も復活し、
「「あんまり泣かなくなっても〜♪誤魔化して笑ってくよ〜♪大丈夫だ、あの痛みは、忘れたって消えやしない〜♪」」
もう一度のサビを、2人で吹く!自分の全力と、大輝の全力を合わせて!フィナーレへ向けて全力疾走!
「「大丈夫だ、この光の〜♪始まりには〜、君がいる〜♪」」
この楽しい時間の始まりには、大輝がいるのだから‼︎
その後、アウトロで余韻に浸りながら、私と大輝のソリは終了したのだった。演奏後に大輝と目が合う。彼の太陽のように眩しい笑顔に、私も思わず胸が高鳴ってしまう。本当に、音楽だけは最高な男だ‼︎
さてとさてと、MCに戻らないと!
「「如何だったでしょうか?」」
私たちがそう言うと、盛大な拍手が私たちを包んでくれた。本当に最高の瞬間だった。
「2人とも〜、よかったよ〜♪」
「最高のコンビネーションだね!」
「もう付き合っちまえよ‼︎」
「差し支えなければ、そのまま結婚してみては如何でしょう?」
周りから飛んでくるヤジも、今はあまり気にならなかった。その後の時間はあまり覚えていない。あまりにも気分が高揚していて、気がついたらパレードが終わっていたからだ。
片付けやその他諸々が終わった後、私はパーク内に佇む1つのベンチに座っていた。そこから見る景色は最高で、打ち上がる花火が夜の沖縄を彩っていた。広がる海には光の筋が反射し、そこに白銀のシャワーが降り注ぐ。そんなロマンチックな光景に………
「良かったな、久石。」
似合わない男と、私は一緒に談笑していた。
「そうだね、大輝。本当によかった。今までで一番楽しかったよ。」
「だな。」
顔もタイプじゃない、性格も合わない、おまけに頭も悪い。だけども音楽だけは、何故か合う。そんな不思議な彼と、沖縄という素晴らしい場所で、一緒にソリを吹くことができた。その事が、まるで夢みたいだった。
そんな事を思っていると………
「あっ、奏ちゃんいた!」
「待って久美子!大輝君とイチャイチャしてる!」
「これはまずいね、葉月ちゃん!後にしようか!」
久美子先輩が加藤先輩を連れて私たちのところに近づこうとした………のだが遠ざかろうとした。これはマズい‼︎ちゃんと邪魔してもらわないと!
「先輩方、聞こえてますよ。早く助けて下さい。」
「あっ、葉月先輩に久美子先輩⁉︎これはもしや、俺への告白か⁉︎」
「なわけないでしょ。で、どうしたんです?」
ということで、私は先輩方を呼び止めた。
「実は渡したいものがあって………」
「俺へのラブレターですか⁉︎」
「大輝はちょっと黙ってて。」
「黙っていられるか‼︎愛しの先輩からの贈り物だぞ‼︎」
相変わらずやかましい大輝はさておき、2人は何を渡すつもりなんだろうか?気になる………
「まず奏ちゃんには私から。じゃじゃん!」
「久美子先輩、これは………?」
「スカイブルーのネックレスだよ!」
そして、久美子先輩から貰ったものは………スカイブルーの石がトップについたネックレスだった。丸みを帯びた石は、とろみのある柔らかな色合いをしている。本当に素敵なプレゼントだ。
「ありがとうございます♪久美子先輩の私に対する想いが伝わりましたよ♪」
「奏ちゃん。ちょっとナルシストなところ、大輝君に似てきた?」
「それは違います‼︎」
ただ、酷いことを言われてしまった。やっぱり調子に乗るもんじゃないね。
「それで、葉月先輩………俺のは?」
「大輝君のはね………これ!」
そして、大輝は何を渡されるんだろう?まさか加藤先輩のサインとか………?
「スカイブルーのネックレス‼︎」
なんとまさかの同じ物⁉︎絶対揶揄うためじゃん‼︎久美子先輩からの贈り物だから、付けないわけにもいかないし‼︎全く、なんでこうなるの⁉︎
「おお……って、久石と同じじゃないですか⁉︎」
「「そうだよ?」」
「「そうだよ、じゃないです‼︎」」
「久石、これは俺がつける。だからお前はつけるな。」
「嫌だよ、私がつけるよ。だから大輝はつけないで。」
「それじゃああとは若いお2人で‼︎」
「楽しんでね!」
「「待って下さい‼︎」」
そして、先輩方は嵐のように去っていった。
残された私たちは、とりあえず先輩方からのプレゼントのネックレスをつけることに。
「久石とペアルックとか、最悪なんだが……」
「それはこっちのセリフ。」
こうしてつけてみると、大輝は意外に似合うな。それがまた腹立つんだけど。頼むから、先に外して欲しい。私と久美子先輩の絆のためにも。
「くそっ!こうなったら、彼女を作ってくるしかない‼︎」
「それはダメ。女の子が可哀想でしょ。」
「なんでだよ⁉︎じゃあお前も彼氏作るなし‼︎」
「別にいいけど。私恋愛とか興味無いから。」
「クソっ、ノーダメージか‼︎」
「うん♪」
あと、私は大輝とは違い、彼氏は作るつもりはない。何故なら、今は音楽に夢中だから。今はある目標のために、がむしゃらに走りたいから。私の全てを注ぎ込んでまで、欲しいものがあるから。
「ねえ、大輝。」
「なんだ、久石。」
「全国金、獲ろうね。」
「ああ。」
そして、最後の曲が始まったのだった。
これで第四楽章は終わりです!沖縄編を中心とした物語は如何だったでしょうか?
そして、次回からは遂に最終楽章です!奏3年生編になります!題して、「奏でるセレナーデ」、お楽しみに‼︎