たわけ!ドアホ男子   作:スピリタス3世

47 / 47
 分かりやすいようにセリフで歌詞を入れてますが、実際はその箇所を楽器で吹いています。


練習番号I ふたりのコンチェルト

  奏視点

 

 いよいよ始まる、大輝と私のソリ。まずは明るく爽快感のある前奏を皆が吹く。その音はとても爽快で、そして明るかった。その前奏が終わると、いよいよAメロが始まった。まずは大輝のソロから!

 

「お別れしたのはもっと、前のことだったような〜♪悲しい光は封じ込めて、踵すり減らした〜んだ、Wow〜♪」

 

 普段の言動からは考えられないような、圧倒的な色気と表現力に、聴いている人の表情が一気に変わった。そうだよね、そうなるよね!だって大輝の音は凄いんだから!

 

 さてと、大輝のターンが終わると、今度は私のターン!

 

「君といた時は見えた、今は見えなくなった♪透明な彗星をぼんやりと、でもそれだけ探してる♪」

 

 大輝と同じメロディーを、私なりに吹く!大輝の後だからか、すごく伸び伸びと吹ける。練習で感じた通り、まるで自分が自分じゃないみたいだ!

 

 その次はBメロ、大輝との掛け合い!

 

「しょっちゅう唄を歌ったよ♪」

 

 大輝が歌い、

 

「その時だけのメロディーを♪」

 

 それに私が応える。

 

「寂しなくなんかなかったよ♪」

 

 もう一度大輝が吹いて盛り上げて、

 

「「ちゃんと寂しくなれたから、Yeah♪」」

 

 サビ前で私がハモり…………最高潮のままサビへと突入だ!

 

「「いつまでどこまでなんて〜♪正常か異常かなんて〜♪」」

 

 サビは大輝とユニゾン*1!2人の奏でる音が絡み合って、1つの音楽になる‼︎

 

「「考える暇もないほど、歩くのは大変だ〜♪」」

 

 そして途中からは私がハモる!ホント合わせやすい!吹きやすい!楽しい!

 

「「楽しい方がずっといいよ〜♪誤魔化して笑っていくよ〜♪大丈夫だ、あの痛みは〜♪忘れたって、消えやしない〜♪」」

 

 そんなサビをもう一度繰り返して、終わり………じゃないんだよね〜。続いては2番。今度は私が最初に吹く番。

 

「理想で作った道を、現実が塗り替えていくよ♪思い出はその軌跡の上で、輝きになって残っている、Wow〜♪」

 

 サビとのコントラストを意識して、ここで音量を下げる。まずは静かに落ち着いて、大輝に繋げる!

 

「お別れしたのはなんで、何のためだったんだろうな〜♪悲しい光が僕の影を、前に長く伸ばしている♪」

 

 そしてもう一度のAメロ、今度は大輝のソロ。先に私が吹いたからか、全部私の表現に合わせて吹いてくれた。ホント凄いなぁ‼︎そのままBメロいっちゃえ!

 

「時々熱が出るよ〜♪」

 

 まずは私、

 

「時間がある時眠るよ♪」

 

 その次大輝!

 

「夢だと分かるその中で♪」

 

 もう一度私で、

 

「「君と会ってからまた行こう、Yeah♪」」

 

 最後に2人のハーモニー!さらっとユーフォの音域に合わせている大輝がハンパない!チューバにとっては相当高い音域のはずなのに、それを感じさせない余裕。その事に心を躍らせながら、2度目のサビだ!

 

「「晴天とは程遠い〜♪終わらない暗闇にも〜♪星を思い浮かべたなら、すぐ銀河の中だ〜♪あんまり泣かなくなっても〜♪靴を新しくしても〜♪大丈夫だ、あの痛みは、忘れたって消えやしない♪」」

 

 2度目のサビはさっきよりも盛り上げて、そして上手くハモって‼︎伴奏の盛り上がりもあり、一気に最高潮にもっていく‼︎1度ならずとも、2度吹いて!さぁ、まだまだ行くよ!勢いそのままCメロへ。

 

「「伝えたかったことが、きっとあったんだろうな〜♪恐らくありきたりなんだろうけど、こんなにも〜♪」」

 

 ここで1番や2番に無かった旋律を、大輝と一緒に吹く。ちょっとアンニュイな感じで、聴いている人を飽きさせないような表現をする。色を一気に変えてきた大輝に釣られて、私も違った自分を見せる。これで聴いている人を惹きつけるんだ!

 

 その後は間奏へ。皆が奏でる音楽を聴きながら、再度来るBメロに向けてテンションを上げていく!そして、それからのBメロ!またもや掛け合い………

 

「「お別れした事は〜♪出会った事と繋がってる♪」」

 

 ではなくユニゾン!

 

「「あの透明な彗星は♪透明だから無くならない♪♪」」

 

 2人で一緒にメロディーを奏で、盛り上げて、盛り上げて、盛り上げたところで………っ!一旦静かになって、サビを迎える。サビは伴奏が全員休みになり、大輝がソロ、そして私が伴奏に。

 

「○×△どれかなんて〜♪皆と比べてどうかなんて〜♪」

 

 完全な2人だけの時間だ。なんて幸せなのだろうか。大好きな音と2人きり。この時間が一生続けばいいのに。だがそうも言ってられない。

 

「確かめる間も無いほど♪」

 

 後半はソロと伴奏の役割を入れ替え、

 

「「生きるのは最高だ〜♪」」

 

 最後はユニゾンに‼︎そして皆の伴奏も復活し、

 

「「あんまり泣かなくなっても〜♪誤魔化して笑ってくよ〜♪大丈夫だ、あの痛みは、忘れたって消えやしない〜♪」」

 

 もう一度のサビを、2人で吹く!自分の全力と、大輝の全力を合わせて!フィナーレへ向けて全力疾走!

 

「「大丈夫だ、この光の〜♪始まりには〜、君がいる〜♪」」

 

 この楽しい時間の始まりには、大輝がいるのだから‼︎

 

 その後、アウトロで余韻に浸りながら、私と大輝のソリは終了したのだった。演奏後に大輝と目が合う。彼の太陽のように眩しい笑顔に、私も思わず胸が高鳴ってしまう。本当に、音楽だけは最高な男だ‼︎

 

 

 

 さてとさてと、MCに戻らないと!

 

「「如何だったでしょうか?」」

 

 私たちがそう言うと、盛大な拍手が私たちを包んでくれた。本当に最高の瞬間だった。

 

「2人とも〜、よかったよ〜♪」

「最高のコンビネーションだね!」

「もう付き合っちまえよ‼︎」

「差し支えなければ、そのまま結婚してみては如何でしょう?」

 

 周りから飛んでくるヤジも、今はあまり気にならなかった。その後の時間はあまり覚えていない。あまりにも気分が高揚していて、気がついたらパレードが終わっていたからだ。

 

 

 

 

 片付けやその他諸々が終わった後、私はパーク内に佇む1つのベンチに座っていた。そこから見る景色は最高で、打ち上がる花火が夜の沖縄を彩っていた。広がる海には光の筋が反射し、そこに白銀のシャワーが降り注ぐ。そんなロマンチックな光景に………

 

「良かったな、久石。」

 

 似合わない男と、私は一緒に談笑していた。

 

「そうだね、大輝。本当によかった。今までで一番楽しかったよ。」

「だな。」

 

 顔もタイプじゃない、性格も合わない、おまけに頭も悪い。だけども音楽だけは、何故か合う。そんな不思議な彼と、沖縄という素晴らしい場所で、一緒にソリを吹くことができた。その事が、まるで夢みたいだった。

 

 

 

 そんな事を思っていると………

 

「あっ、奏ちゃんいた!」

「待って久美子!大輝君とイチャイチャしてる!」

「これはまずいね、葉月ちゃん!後にしようか!」

 

 久美子先輩が加藤先輩を連れて私たちのところに近づこうとした………のだが遠ざかろうとした。これはマズい‼︎ちゃんと邪魔してもらわないと!

 

「先輩方、聞こえてますよ。早く助けて下さい。」

「あっ、葉月先輩に久美子先輩⁉︎これはもしや、俺への告白か⁉︎」

「なわけないでしょ。で、どうしたんです?」

 

 ということで、私は先輩方を呼び止めた。

 

「実は渡したいものがあって………」

「俺へのラブレターですか⁉︎」

「大輝はちょっと黙ってて。」

「黙っていられるか‼︎愛しの先輩からの贈り物だぞ‼︎」

 

 相変わらずやかましい大輝はさておき、2人は何を渡すつもりなんだろうか?気になる………

 

「まず奏ちゃんには私から。じゃじゃん!」

「久美子先輩、これは………?」

「スカイブルーのネックレスだよ!」

 

 そして、久美子先輩から貰ったものは………スカイブルーの石がトップについたネックレスだった。丸みを帯びた石は、とろみのある柔らかな色合いをしている。本当に素敵なプレゼントだ。

 

「ありがとうございます♪久美子先輩の私に対する想いが伝わりましたよ♪」

「奏ちゃん。ちょっとナルシストなところ、大輝君に似てきた?」

「それは違います‼︎」

 

 ただ、酷いことを言われてしまった。やっぱり調子に乗るもんじゃないね。

 

「それで、葉月先輩………俺のは?」

「大輝君のはね………これ!」

 

 そして、大輝は何を渡されるんだろう?まさか加藤先輩のサインとか………?

 

「スカイブルーのネックレス‼︎」

 

 なんとまさかの同じ物⁉︎絶対揶揄うためじゃん‼︎久美子先輩からの贈り物だから、付けないわけにもいかないし‼︎全く、なんでこうなるの⁉︎

 

「おお……って、久石と同じじゃないですか⁉︎」

「「そうだよ?」」

「「そうだよ、じゃないです‼︎」」

「久石、これは俺がつける。だからお前はつけるな。」

「嫌だよ、私がつけるよ。だから大輝はつけないで。」

「それじゃああとは若いお2人で‼︎」

「楽しんでね!」

「「待って下さい‼︎」」

 

 そして、先輩方は嵐のように去っていった。

 

 

 

 

 残された私たちは、とりあえず先輩方からのプレゼントのネックレスをつけることに。

 

「久石とペアルックとか、最悪なんだが……」

「それはこっちのセリフ。」

 

 こうしてつけてみると、大輝は意外に似合うな。それがまた腹立つんだけど。頼むから、先に外して欲しい。私と久美子先輩の絆のためにも。

 

「くそっ!こうなったら、彼女を作ってくるしかない‼︎」

「それはダメ。女の子が可哀想でしょ。」

「なんでだよ⁉︎じゃあお前も彼氏作るなし‼︎」

「別にいいけど。私恋愛とか興味無いから。」

「クソっ、ノーダメージか‼︎」

「うん♪」

 

 あと、私は大輝とは違い、彼氏は作るつもりはない。何故なら、今は音楽に夢中だから。今はある目標のために、がむしゃらに走りたいから。私の全てを注ぎ込んでまで、欲しいものがあるから。

 

「ねえ、大輝。」

「なんだ、久石。」

「全国金、獲ろうね。」

「ああ。」

 

 そして、最後の曲が始まったのだった。

*1
同じ音で吹くこと




 これで第四楽章は終わりです!沖縄編を中心とした物語は如何だったでしょうか?

 そして、次回からは遂に最終楽章です!奏3年生編になります!題して、「奏でるセレナーデ」、お楽しみに‼︎
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ダブルリードの苦労人(作者:桜紅月音)(原作:響け!ユーフォニアム)

北宇治高校吹奏楽部に所属する彼こと鈴木拓哉は苦労人である。▼部長である小笠原晴香や同じダブルリードのパートリーダーである喜多村来南、同級生の吉川優子を始めとした吹奏楽部のメンバーに苦労している。▼更には、部活の雰囲気も変わって更に苦労が…▼分岐ルートは、原作、アニメが混ざっております。▼ご視聴の際はご注意願います。▼*投稿済みの話を順次進行形で修正中▼久美子…


総合評価:387/評価:7.93/連載:126話/更新日時:2026年06月16日(火) 00:00 小説情報

カリスマチート転生者先輩 in 北宇治(作者:山田太郎)(原作:響け!ユーフォニアム)

カリスマチート転生者先輩を小笠原世代に生やして、早いうちに吹奏楽部を改革します。▼ガールズラブタグは超保険です。必須タグなので入れましたが、殆ど0です。そこを期待している方はすみません。▼テンポ優先のため、アニメで描かれた部分は必要な部分だけ書きます。未視聴の方はアニメを観ましょう。▼原作2年目で完結しました。3年目はあまり書けるパートがなさそうなので、思い…


総合評価:1838/評価:8.54/完結:8話/更新日時:2026年02月20日(金) 20:00 小説情報

いつか途切れた、音の続きを(作者:いつかの音色)(原作:響け!ユーフォニアム)

 中学二年生のあの時、私は間違えた。私の行動一つで部が崩壊してしまうと、あの時の私は知らなかった。そして、私は逃げてしまった。▼ 周囲への気配りが足りなかった。みんなが何を考えているか、なんて全然考えていなかった。何より、心が弱かった。▼ もう二度と、同じ過ちは繰り返さない。私はもう絶対に、逃げたりしない。▼ ▼△▼ 南中出身、音楽チートの主人公を黄前世代に…


総合評価:3746/評価:9.06/連載:23話/更新日時:2026年07月11日(土) 22:30 小説情報

響け!元野球部のクラリネットパート!!(作者:桜紅月音)(原作:響け!ユーフォニアム)

中学では野球部だった主人公の工藤浩輔。▼北宇治に入学し、野球部に行くつもりが、気づいたら吹奏楽部に入っていた。▼知識はあるものの、吹部自体は初心者である彼は、無事に吹奏楽部でやっていけるのか▼不定期更新▼*小説タイトル変更有り▼


総合評価:27/評価:-.--/連載:4話/更新日時:2026年06月16日(火) 00:00 小説情報

想いを音色に乗せて(作者:猫柳/nekoyanagi)(原作:響け!ユーフォニアム)

▼ 両親を早くに亡くし、バイトと勉学、音楽の両立に四苦八苦しながら北宇治高校吹奏楽部で己の理想の音色をトランペットで表現しようと頑張る男の子の物語。▼ 原作終了後、大学以降の物語も書きたいなぁと思っております。▼ クロスオーバーは迷っているので念の為です。原作の間に出すことは恐らくないです。▼ キャラタグ一旦消去させていただきます。▼ 青のオーケストラ要素ち…


総合評価:1845/評価:8.96/連載:18話/更新日時:2026年03月09日(月) 19:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>