たわけ!ドアホ男子   作:スピリタス3世

48 / 49
 長いので、3分割して投稿します!まずは最初〜あがた祭りらへんまで!お楽しみに!


最終楽章 奏でるセレナーデ
練習番号A どきどきニューカマー


  奏視点

 

 久美子先輩たちも無事卒業し、いよいよ私たちは3年生になってしまった。今日はその初登校日。

 

「3年生のイケメン魔神。顔も良くて頭もいい。こりゃ、後輩たちもメロメロなんだろうな〜♪」

「そんなわけないでしょ。」

 

 そして、いつも通り大輝は恥を晒していた。

 

「お前はいちいちうるせえ!第一お前が居なかったらなぁ⁉︎」

「早々に捕まってたね。」

「そこまでか⁉︎」

「こ〜ら、2人とも!痴話喧嘩しないの!」

「「痴話は余計!」」

「チワワ〜?」

「「違う!」」

 

 ちなみに、クラス分けはこんな感じになった。

 

 

3年1組 大輝 美玲 さつき 求

3年8組 奏 梨々花

 

 

 なんと、普通科の4人が同じクラスという。とんだ奇跡だ。

 

「や〜い、低音で久石だけ仲間はずれ〜!」

「かなぴ〜、可哀想………」

「彼氏と一緒じゃなくて、ね。」

「久石、僕と交換するか?」

「月永君、そんな事しなくていいから。」

「そういや、この間2人はお(そろ)のネックレス付けてたんだよね⁉︎」

「そ〜だよ〜♪」

「「流石カップル。」」

「「あれは先輩方からの贈り物が被っただけ‼︎」

 

 もちろん私は普通科じゃなくて特進科だから、大輝と同じクラスなわけがない。しかも文系理系違うし。というか低音が私以外文系なんだね。1人くらい理系がいても良かったのにと、ちょっと思った。

 

 

 

 6人で雑談しながら歩いていると、

 

「そういや、今年はどんな子が入ってくるのかな?」

 

 さつきが新入生の話題を振った。

 

「俺に一目惚れした可愛い女の子とか‼︎」

「それは2年前に奏が入ってる。」

「違うから!///」

「大輝の冗談はおいといて、初心者は来ないだろうな。」

「全国金を目標に厳しい練習をする、って言ってるしね。」

「多分人数も少ないんじゃないかな〜?」

「少数精鋭、だな‼︎」

 

 今年の1年生は恐らく、上手い子だらけになるだろう。あの目標を言う以上、初心者は入ってきにくい雰囲気になるし。なんなら多くの人が敬遠するかもしれない。もしかしたら、ユーフォは誰も居ないかもね。

 

「ちなみに〜、もう入部届もらってま〜す!」

 

 そんな事を思っていると、梨々花がとんでもないことを言い出した。

 

「「「「えっ⁉︎」」」」

「入学式は明日だよね⁉︎」

「それに、なんで梨々花が部長って分かったんだろう?」

 

 入学前の1年生が入部届を出している事実。しかも部長が誰か知っている。どういうこと?そんなの、梨々花の身内じゃないと知り得ないはず。

 

「そりゃ、私の家族だからね〜。」

 

 そして、梨々花が見せてくれた入部届には、『剣崎小百合(さゆり)』と書かれていた。まさか、梨々花に妹がいたのか………。小百合ちゃんって名前の、2つ歳下の女の子。親友の妹を3年目にして初めて知るという。もしかして、小百合と梨々花は仲が悪いのかな………?

 

「おっ、ちょうど正門で待っててくれてる〜!」

 

 どうやら妹は正門にいるらしい。果たして、どんな子なんだろう?梨々花に似てるのかな?それとも、全然似てなかったりして………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おばあちゃ〜ん♪」

「「「「えっ⁉︎」」」」

 

 なんと驚愕の新入生は、梨々花のおばあちゃんだった。

 

「お〜、梨々花じゃのぅ〜!」

「来てくれてありがと〜!」

「おっとこれはこれは……先輩方に挨拶せんといかんのぅ〜。剣崎です〜。あと〜、小百合です〜。よろしく頼むのぅ〜。」

「「「「お、お願いします!」」」」

 

 綺麗な白髪に、どことなく梨々花に似ている、優しい雰囲気の顔。そこに刻まれた優しいシワの数々は、これぞまさに梨々花のおばあちゃんといった感じだった

 

「みんな〜、びっくりしすぎでしょ〜!」

「いや、するでしょ!2つ下の妹が出てくるのかと思ったら、60こくらい上のおばあちゃんが出てきたんだよ⁉︎」

「大丈夫じゃ。干支は他の1年生と同じ、(みずのえ)の午年だからのぅ〜。」

「1回り違うんですわ‼︎」

「2002年生まれかと思ったら、1942年生まれですか………」

「75歳*1………」

「ちなみに、フルート担当じゃのぅ〜。」

「わ〜い!梨々花の隣〜♪」

「梨々花が完全に孫の顔してる………」

 

 昭和17年、戦前生まれのおばあちゃん。そんな人が、明日からは制服を着て北宇治の吹部に所属する。なんとも珍しい光景だ。久美子先輩たちが見たらびっくりするんだろうな。

 

 ただ、びっくりだけで済ませちゃいけない。私は北宇治の副部長。方針に納得できない新入生の入部は断らなければいけない。梨々花のおばあちゃんだから知ってると思うけど、身内贔屓を無くすためにも、身内じゃない私から言わないと。

 

「あの、水を差すようで申し訳ないんですけど………」

「どうしたのじゃ?」

「ここ北宇治の吹奏楽部は、全国金賞を目指して活動しています。お孫さんから聞いてるとは思いますが、とても厳しい練習になると思います。それでも入部しますか?」

「もちろんじゃ。」

 

 そう返す小百合さんの眼は優しくも真剣なもので、75年の人生経験を物語らせるほどに説得力のあるものだった。これなら大丈夫だろう。私はそう判断し、

 

「そうですか。では、よろしくお願いします。」

「こちらこそ、よろしくお願いするのぅ〜。」

「ありがとね〜、奏〜♪」

「いえいえ〜、こちらこそ〜。」

 

 孫の梨々花に代わって、彼女の入部を受け入れた。

 

 

 

 

 

 その後、私は大輝と帰っていた。

 

「いや〜、まさかりりりんのおばあちゃんが入ってくるとはな!」

「私もびっくりだよ。」

 

 ちなみに梨々花は小百合さんと帰宅。そのため悲しいことに、大輝と2人きりになってしまったのだ。

 

「確か、元々フルートやってたんだっけ?」

「そうみたい。」

「表現力はピカイチなんだろうな。ただ、フルートは肺活量がかなり必要だから………」

「あの歳だと、そこが心配だね。」

 

 そして、小百合さんの実力。圧倒的な人生経験からくる表現には期待したいところ。反面年齢による衰えは気になるところだ。そして大輝も目標がある以上、75歳のおばあちゃんにも全力指導する様子。そこは安心だ。

 

 

 

 そんな事を思っていると…………

 

「おい杏奈ァ‼︎喧嘩で全国制覇するんじゃなかったのかァ⁉︎」

「何勝手に北宇治行ってんだァ、テメェ⁉︎」

「うるせえな‼︎私の勝手だろ‼︎」

 

 鴨川の河川敷でヤンキーたちが喧嘩してるのが見えた。うわぁ、ああいうの京都でもあるんだ………。つーか1人は北宇治って………。うち、そんなヤンキー高校じゃないんだけど。

 

「あの子たち、もしかして俺を取り合ってるのか?」

「大輝、喧嘩に混ざってきていいよ。」

「うるせえ久石‼︎俺が勝てるとでも思っているのか⁉︎」

「負けるのかよ。」

 

 そして、そんなヤンキーすらも守備範囲の大輝。いっそのこと、ボコボコに殴られたらいいのに………と、思ってしまった。

 

 

 

 

 そんな事を思っていたら、次の日に…………

 

「すいません………。あの、吹奏楽部って、ここですか?」

 

 なんとそのヤンキーの子が来たのだった。長い金髪に鋭い目つき。そして耳につけた銀のピアス。北宇治の制服を着ているとはいえ、どこか人を殺しそうな雰囲気が漂っていた。現に彼女の恐ろしいオーラを見た他の部員や1年生は、彼女から自然と距離を取っていた。

 

「こここ、ここだぜ‼︎」

 

 そして、明らかに大輝がビビっていた。昨日は可愛いとか言ってたくせに。近くに来たら怖いってか?つーか、3年男子が1年女子にビビんなよ。

 

「ありがとうございます。」

「ちちち、ちなみに!ここって全国金を目指してガチ練してるから、だいぶ厳しい練習になると思うけど……っ!だだだ、大丈夫か⁉︎」

「大丈夫です。よろしくお願いします。」

 

 ビビりながらもちゃんと聞く大輝。そして、ヤンキーちゃんはどうやらやる気があるみたいだった。

 

「わ、分かった!ちなみに楽器は………?」

「チューバです………」

「ちゅ、チューバ‼︎俺もだ、よろしく‼︎」

「私はユーフォ3年で副部長の久石奏。こっちはチューバ3年でドラムメジャーの荒川大輝。コイツすぐセクハラするから、なんかあったら言ってね。」

「そそそ、そんなことしねえよ‼︎」

「あ、あの荒川先輩………よろしくお願いします………」

「も、もしかして俺のこと知ってた?」

「はい………。一昨年ソロコンで全国金を取られてたので………。本当にすごいです………」

「あああ、ありがとな!」

 

 そして、楽器はチューバ。まさかのパートの後輩かつ名前を覚えられていた事実に?大輝が更にビビり散らかす。上手いんだから堂々としてなよ。

 

「えっ⁉︎チューバなの⁉︎やった〜♪私チューバ3年の鈴木さつき!よろしくね!」

「1年の湊杏奈(みなとあんな)です。よろしくお願いします。」

「もしかして、経験者⁉︎」

「はい。中学の時やってました。」

「おお!これは頼もしいね‼︎」

「ありがとうございます……///」

 

 そんな大輝とは裏腹に、はしゃぎながら湊さんに近づくさつき。このコミュ力の高さを見ると、1年生係にして良かったと心の底から思った。あと、湊さんは案外礼儀正しいな。ヤンキーだから、上下関係は絶対とか?

 

 

 

 そんな事を思っていると………

 

「あの〜、ユーフォって席あります〜?」

 

 なんともまあ、ものすごく見覚えのある顔と声に、ものすごく見覚えのあるデカリボンをした女の子がやってきた。どう見ても一昨年の部長の妹だ。しかもユーフォ担当という。もしかしたら、夏紀先輩と吉川先輩の隠し子かもしれない。

 

「えっ、優子先輩⁉︎」

「ちょっと‼︎クソ姉貴の名前、出さないでもらえます⁉︎」

「やっぱ妹なんだ。そっくりだね。」

「ぜっんぜん似てないですから‼︎私は元南中のユーフォ奏者・吉川華子(はなこ)です‼︎今後姉貴の名前出したら、ぶん殴りますからね!」

「ごめんな!よろしくね、華子ちゃん!」

「よろしく、吉川さん。」

 

 そして、姉に似てとても気が強い。そんな人が同じ楽器の1年生で入ってきた。これはこれは、大変な1年になりそうだ。そう確信した日だった。

*1
作中は2018年




 低音は湊杏奈(チューバ)と吉川華子(ユーフォ)の2人だけです!よろしくお願いします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。