奏視点
それから数日が経ち、サンフェスを無事終えた私たちは、コンクール曲を発表されていた。
「今年のコンクールは、課題曲が『マーチ・スカイブルー・ドリーム』、自由曲が『リズと青い鳥』でいきます。」
それを経て、私たちはパートで自由曲の解釈について、話していた。
「この曲は、リズと青い鳥という童話を元にして作曲されました。」
「1人で寂しく暮らしているリズの元に、青い鳥が女の子の姿になって現れる。」
「せっかく仲良しになれたのに……」
「結局、リズの方からお別れを言うんだよね。」
「どういうこと⁉︎何の教訓が入ってるの⁉︎」
「緑は好きですけどね。こういう切ない系の話。」
「難しそうだな〜。」
「俺はなんか分かる気がするんです。何度も失恋してるんで!」
「確かに。ナンパの成功率0%だもんね〜。」
「やかましいわ‼︎」
「自分で言ったんじゃん。」
アホは放っておいて、どうやらこの曲はよく分かんない、といった印象だ。実際ただ楽譜通りに吹くならそこまで難しくないけど、それだと本当に味気ない無機質な演奏になってしまう。とはいえ表現するにしても、何をどう表現すればいいのか分からない。
「誰か、やったことある人っているの?」
「僕あります。一応、中学の時に。」
「どう、難しかった?」
「龍聖には荷が重かった。本番でも収拾つかなかったし。」
「北宇治だったら?」
「さぁ、分からないですけど………今の顧問だったら、大丈夫じゃないですか?」
「ふ〜ん。」
月永も適当な返事。投げやり感はあるけど、分からないというのが正直な感想だ。
「求君!先輩にそんな言い方したらダメですよ〜!」
投げやりすぎて川島先輩に注意されてるし………
「もっ、申し訳ありません、緑先輩‼︎中川先輩、大変失礼致しました‼︎」
「えっ……?いや、全然気にしてないけど……」
えっ⁉︎なにそのハキハキした声⁉︎態度違すぎない⁉︎中川先輩も困ってるじゃん‼︎
「じゃあ、練習しようか。」
「はい!」
いやいや待て待て‼︎川島先輩の舎弟か何か⁉︎何があった⁉︎嘘でしょ⁉︎
「何あれ。」
「弟子入りしたらしいぜ、アイツ。」
「弟子ってものかなぁ………?」
弟子入り⁉︎そんな事になってたの、あの2人⁉︎日頃大輝がやかましいから気がつかなかった‼︎
「くそっ‼︎あんな可愛い先輩と2人っきりで……っ‼︎けしからん‼︎邪魔してやりたいが、練習だし…………」
「練習は邪魔しないんだね。偉い偉い!」
「もちろんですとも………って、そうだ‼︎」
大輝が目に見えて嫉妬してる。本当に小物だなぁ。そんなんだからモテないんだよ、って言ってやりたい。
「俺も葉月先輩に弟子入りしていいですか⁉︎」
って、コイツは何を言い出すの⁉︎
「おっ、いいぜ〜、後輩!いっぱい教えてくれ!」
「はい!」
「どっちが師匠だよ………」
ただの下心じゃん‼︎長瀬先輩が彼氏持ちだからって、加藤先輩の方にいっただけだし‼︎
「いいな〜、荒川君!私も葉月先輩に弟子入りしたいです!」
「さっちゃん、いいよ〜!」
「わ、私も………///」
「「「みっちゃん!」」」
「やっ、やっぱ今の無しで‼︎///」
「おっ、じゃあ私も弟子入りしようかな〜?」
「梨子先輩、いいですよ〜!」
「逆だろ………」
さつきどころか美玲までちゃっかり馴染んでるし‼︎何照れてるの⁉︎あと長瀬先輩!あなたの方が先輩でしょ!後藤先輩の言う通り!
まあいいや!私もやってみようかな!
「私も黄前先輩に弟子入りしようかな〜?」
「えっ⁉︎」
「って言ったらどうします?」
「さぁ〜、どうだろ〜?」
「ちえっ。」
と思ったらはぐらかされちゃった。つまんないの。
「パート分けどうする?」
しかも中川先輩が邪魔してきた。もっとつまんないの。
「えっと………じゃあ、私が上で!」
「オッケー。私と久石ちゃんが下かな?いい?」
「はい。」
しかもしれっと私と黄前先輩を分断させるという。私が黄前先輩と仲良くなろうとしてたのに‼︎
「中々策士ですね。」
「何が?」
「いいえ、すいません。昔から気にしすぎてしまう性分で。」
「嘘つけ、久石。お前は人の嫌がる事を、何の躊躇いもなく言う性格だろ?」
「大輝には言われたくない。」
なんなら大輝まで乱入してきた。私が人のこと気にしない性格だと思ってるの⁉︎気を遣わないのは大輝相手だけだよ‼︎
「夏紀先輩、コイツ本当に生意気なんで!すんません!」
「へっ?いや、全然気にしてないよ〜。」
「自分だって後藤先輩には生意気なくせに〜。すいませんね、後藤先輩。」
「お、おう………」
「そりゃ彼女持ちだからな‼︎」
「堂々と言うことじゃないでしょ。」
ちなみに大輝は相変わらず後藤先輩には嫉妬丸出し。本当にみっともないなぁ。後藤先輩自身は大人な対応してるのに*1。
その日の練習が終わった後………
「そういや皆、テストは大丈夫なのか?」
後藤先輩がテストの話題を振った。そういやそろそろ中間テストだっけ。私は勉強そこそこ得意だし、そんな困らないけど………
「大輝〜、大丈夫なの〜?」
「練習に支障が出ないなら大丈夫です!」
「どういう意味?」
「別に0点取ろうが、部活には影響無いですよね?」
「再試で放課後潰れるぞ。」
「なん………だとっ⁉︎」
大輝は違う。コイツは生粋のアホ。IQ自体はそんなに低くないと思うのに、興味がない&やる気がでないから勉強しない。おかげでいつも余裕で赤点。そんなんでも中学は義務教育だから卒業できたけど、高校は無理だよね。
「そんな‼︎俺、勉強なんて出来るわけないじゃないですか⁉︎」
「開き直んな!」
「分かる〜!私も勉強苦手〜!」
「さつき、同調してる場合じゃないでしょ。」
「再試で練習を休む事にならないよう、各自ちゃんと勉強しておくように。」
「「「は〜い。」」」
「美玲、頼む‼︎俺に勉強を教えてくれ‼︎」
「ごめん、私はさつきに教えるから無理。代わりに………」
とりあえず、大輝には頑張ってもらうしかないか………
「奏、よろしく。」
ってぇぇぇぇぇぇ‼︎私が教えるの⁉︎
「なんで私⁉︎」
「かなぴー、頭いいもんね!ついでにイチャイチャしちゃおう!」
「嫌だよ、コイツの面倒見るの!」
「すまん、チェンジで。」
「荒川はチェンジできる立場じゃないでしょ。」
「久石、頼む。大輝に勉強を教えてやってくれ。」
「よろしくね、久石ちゃん!」
「先輩方まで⁉︎」
「くそっ、仕方ねえな。教わってやるよ、お前に。」
「アンタはなんでそんなに偉そうなの⁉︎」
最悪だ………。部活以外でも顔を合わせなきゃいけないなんて………。とんだ憂鬱の始まりだった。
リズ鳥の難易度は聞いただけなので、実際に楽譜見ないと分からないませんが、多分このくらいの印象かと。一部の楽器(トランペットなど)は難しいですが。