奏視点
大輝と2人っきりで勉強。そんなの絶対無理。だから………
「奏〜、私居ていいの〜?」
「梨々花、お願い。頼むから一緒に居て。でないと耐えられない。」
「己の無力に、か?」
「無力はアンタでしょ‼︎」
「それじゃあ〜、アイス1個おごりで〜!」
「かたじけない!」
「もう1個追加で‼︎」
「アンタは追加するな!教わる側でしょ‼︎」
梨々花を呼んだ。ゆるふわギャルな彼女は意外にも勉強が得意。なんなら入試の数学は満点と、見た目に反して脳みそつよつよな女だ。
「よしっ、じゃあ私が呼ばれたってことは〜、数学?」
「ぶっちゃけ全教科教えてもらいたいけど………私の方が得意な教科もあるから、梨々花は自分の得意な教科をお願い。」
「りょ〜かい!」
「よろしく頼んます、りりりん先生‼︎まずは数学で!」
「ラジャー!」
「私も一応サポートするから。」
「ありがと〜、奏〜♪」
ということで、大輝の中間テスト対策が幕を開けた。
「えっとまずは〜、テスト範囲ってどこだ?」
そして、早速アホがやらかした。
「最初から52ページまで。話聞いてなかったの?」
「俺が授業を聞くわけないだろ!」
「聞け、アホ‼︎」
「お〜、早速痴話喧嘩ですなぁ〜♪」
「「痴話喧嘩じゃない‼︎」」
なんでテスト範囲すら知らないのに、こんなに堂々としてられるんだよ。少しは焦れよ。分からなくて当然、みたいな顔するな!
「で、この範囲を音読すればいいのか?」
「数学で音読するわけないでしょ!問題を解け!」
「そんな難しい事言われても、出来るわけないだろ?」
「開き直んな!」
「とりあえずぅ〜、教科書の簡単そうなこの問題、解いてみて〜。」
「えっと………次の不等式を変形しろ、か。変形してロボットみたいのを作ればいいのか?」
「数学でそんな事やるかぁ‼︎」
しかも壊滅的に頭が悪すぎる。梨々花に見せる前の問題だ。数学でトランスフォームすると思う?計算だよ、計算。普通に計算しろ‼︎
「くそっ、ここは難しいぜ‼︎後ろのページなら簡単か?」
「そんなわけないでしょ。」
「二次関数………あの空に映る7色のやつか?」
「そっちの虹じゃないから。」
「さっきの不等式の変形出来ないと無理だから〜、とりあえず戻って〜。」
「はいよ‼︎」
「なんで元気なんだよ。」
この調子じゃ、何時間かかるか分かんないんだけど。これを全教科?正気の沙汰じゃない。ぶっちゃけコイツのことは見捨てた方が早いでしょ。そんな気がする。
数時間後………
「はぁ………疲れたぜ………」
「お疲れ〜!」
「梨々花が、ね。」
「俺じゃ………ねえのかよ………」
「授業聞いてなかっただけでしょ。ただの怠慢。」
「うるせえ………タイマンするか……?」
「女の子にそんな事言わないの〜!」
大輝はなんとか数学を終えた。といっても、教科書の例題をざっと教えたレベル。これですら見ての通り、死にかけだ。
「それじゃあ〜、きゅうけ〜い!コンビニゆでたまご〜、た〜べよっ!味ついてて美味しいよ〜。」
「は〜い。」
あまりにも死にかけなので、梨々花が休憩を入れてくれた。本当優しいな〜。私だったら全部詰め込ませてボコボコにするのに。
「おっ、いいな!あれ美味いよな!」
「でしょでしょ〜!」
いや、復活早っ‼︎
「どうだ、久石!お前も食うか?」
「それ梨々花のセリフ。」
「仲良いね〜。」
「「違う!」」
にしても、どうやったらこんな太々しく過ごせるのだろうか。しかも自分の能力が壊滅的なのに。見習いたくはないけど、知りたい気分だ。
しばらく私たちが雑談していると、
「そういや、りりりん?」
「はい、なんでしょ〜?」
「オーボエにみぞれ先輩っているじゃん?あの人を口説こうと思うんだけど、何か好きなものあるかな?」
アホがアホな事言い出した。
「少なくとも大輝以外の人だと思うよ。」
「お前には聞いてねえよ、カス石ィ‼︎」
「それは私も知りたいくらいだよ〜。」
「マジかよ!高嶺の花すぎるだろ………」
確かに無口でよく分からない先輩だけど、少なくとも大輝のことは嫌いなはず。頭も悪い、顔も悪い、おまけにけっこう問題児。近寄りたくはないはずだ………って!
「いや、梨々花も知らないの?」
「それな。」
「そうなんだよ〜。」
梨々花からまさかの回答。なんと同じ楽器なのに、知らないという。オーボエって2人しかいないし、ダブルリードでみても4人しか居ないから、もっと親密になれると思うけど………
「あんまり仲良くやれてない感じか?」
「多分………。話しかけても、あんまり返事してくれないし〜。話出来ても、あんまり興味持ってくれてない感じで〜。もしかしちゃって、私〜、嫌われちゃってたりするのかな〜、って。」
「側から見てる分には、そんな事無いと思うけどな。」
「それに、りりりんはそんなに嫌がられるタイプじゃないと思うけど。」
「隣のアホと違ってね。」
「おい久石!りりりんにアホは酷いだろ!」
「アンタだよ‼︎」
人には好き嫌いがあるけれども、梨々花がそう簡単に嫌われるとも思えない。もっと言えば、梨々花は意外に小賢しいから、嫌われるような立ち回りをしない。ただ、鎧塚先輩がどういう人なのかは、よく分かんないんだよな。声すらほとんど聞かないし。
「まだ明日はテスト期間じゃないよな?」
「明後日からだね。」
「よしっ、じゃあ一緒に話しかけてみるか!」
「私も一緒に行くよ。」
「マジ〜!ありがと〜!」
とりあえず、どんな人か分からないから埒があかない。ならどんな人か分かりに行こう。ということで、私と大輝は明日、梨々花と一緒に鎧塚先輩に話しかけてみる事にした。
翌朝、私たちは早速やってきた鎧塚先輩に話しかける事にした。
「みぞ先輩、俺とデートしてくれませんか⁉︎」
そして、隣のバカが早速やらかした。
「えっ………?」
ほら、混乱するじゃん‼︎喋ったことない1年の男子から話しかけられたらさ‼︎しかもよりにもよってキモいアホ‼︎本当にごめんなさいね‼︎
「申し訳ございません、鎧塚先輩。このアホの戯言は聞かなかったことにしてください。」
「あっ、うん………」
「おいコラ久石、俺の告白を台無しにしやがって‼︎」
「みぞせんぱ〜い、騒がしくてすいませ〜ん!こちら、低音1年の奏と荒川君ですぅ〜。」
「う、うん、そうなんだ………」
最悪‼︎第一印象ボロクソじゃん‼︎絶対困ってるって‼︎どうしようか………
「それはさておき………」
「おくんだ………」
「リズ鳥ってむずいっすよね〜!ソロとかやっぱ大変ですか⁉︎」
とりあえず自分の不始末は自分でつけてくれたけど………
「大丈夫………だと思う………」
「マジっすか〜!流石っすね〜!」
「そりゃ〜、我々のみぞ先輩ですから〜!」
「梨々花は何目線よ。」
「なんか、こだわってるとことかあるんですか⁉︎」
「………無い。」
「そうですか〜‼︎えっと………」
でも!話が全然繋がらない!大輝固まっちゃったし!珍しく!
「おっ、なになに〜?みぞれが珍しい人たちと話してるね〜!」
「希美………っ!」
と思ったら、通りすがりの傘木先輩に助けられた。この人いなかったら絶対無言になってたな。
「俺がデートに誘いまして………」
「でっ、デート⁉︎えっ、うっ、嘘でしょ⁉︎みぞれが………この子と⁉︎」
「えっと………」
って、助かってない‼︎何頭おかしい事言ってんだよ‼︎傘木先輩混乱してんじゃん‼︎鎧塚先輩も混乱しちゃって否定できてないから、勘違いされてるし‼︎
「彼、頭おかしいので気にしないでください。今までのは嘘です。まともに言葉を受け取ると損しますよ。」
「そうなんだ〜。良かった〜♪」
「良かったってなんですか⁉︎」
よしっ、なんとか誤解を解けた。これじゃあただ揶揄って終わっただけじゃん‼︎梨々花ごめんね………
「大丈夫ですよ〜。付き合ってるのはこの2人なんで〜。」
「「それは違う‼︎」」
「お〜、お似合いだね〜♪」
「うん…………そう思う………」
「みぞ先輩⁉︎」
「鎧塚先輩⁉︎」
じゃない‼︎何勘違いさせるような事言ってるの⁉︎いきなり先輩2人に勘違いされたし‼︎ホント最悪なんだけど⁉︎しかも次の日からテスト期間で部活が休止になったため、誤解が解けるまでに2週間かかってしまったのだった。
僕の推しキャラはりりりんです!マジエンジェル‼︎可愛いですよね!