黒執事のアッシュに成り代わった彼の話   作:アルトリア・ブラック(Main)

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第8話

[chapter:悪趣味な天使]

 

「マスター、エール二つとキドニーパイ一つ」

 

「ちょっとオセロ」

 

「ん?」

 

オセロは皿を持ち、席に座る。

 

場末のバフにてグレルとオセロはいた。

 

「なんでファントムハイヴ家から逃げ帰って来たかって話?」

 

「葬儀屋を捕まえるチャンスだったのに」

 

ため息をつき席に座る。

 

「無理無理。あんなに人間が沢山いたら」

 

ガタと椅子に座る。

 

「グレルチャンと悪魔とアイツに天使がバトルしたら被害がシャレにならないし、それこそ、今度こそ始末書と謹慎じゃ済まなくなっちゃうよ」

 

オセロはバクバクとパイを食べ始める。

 

「死神に天使に悪魔…物凄いことになってない?あの家」

 

グレルの言葉に「ほんとだよねぇ〜」と言う。

 

「とは言っても、天使は白髪チャンと共闘関係ではないみたいだからほっといても良いと思うよ」

 

「…え?なんでわかんのヨ、というか、ファントムハイヴ家に仕えてる時点で共闘関係じゃないの?」

 

「あの天使はファントムハイヴ家の行く末に関心があるんであって、多分、あの双子の兄の生存とか、肉人形のこととか割とどうでもいーいんじゃない?本気でなんとかしたいなら、白髪チャンが出る必要なく完全な状態で蘇生してただろうし」

 

「……確かに」

 

葬儀屋が手間暇かけて肉人形を作る必要がなくなるのだ。

 

あの天使『アッシュ』は魂を完全な状態で蘇生出来る。

 

「肉体さえあればっていう条件なんだろうけど、欠損してたって繋ぎ合わせて蘇生させたり出来ただろうし、あの天使が肩入れしてるのはヴィンセント・ファントムハイヴだけなんじゃない?」

 

「そのヴィンセント・ファントムハイヴの寿命に関してもまだ放置?だいぶ長生きしすぎてない?必要以上の生存は流石に上も黙ってないんじゃないの?」

 

「それに関してはお上も恐ろしいぐらい黙秘してるんだよね〜見つけたら回収するように、程度の指示はもらったけど」

 

「もらったんじゃない」

 

「あの天使がそう簡単に渡すとは思えないんだよねぇ〜それに、あの二人に関してはしばらくは放置してても始末書は増えないって言ってたし」

 

「…随分な放置ね」

 

オセロは食べ終わった皿を退かし

 

「バッドエンドが大好きな、悪趣味な天使なんて放っておいて白髪チャンがしでかしたことの話しよっか」

 

 

 

 

 

 

「……またこの格好する時が来るとは…」

 

一人、メイド服を着てため息をつくアッシュ…アンジェラは潜入するためとはいえメイド服を着るのは本当に慣れなかった。

 

しかし、伊達に人外はやってない(?)完全に姿を変え、誤魔化すのも慣れてる。

 

ヒースフィールド男爵家でのメイドの生活はひっっどいぐらい暇だった。

 

色ボケ男爵からの誘いのアレが来た瞬間は思いっきり燃やしてやろうかと思ったが、まだ我慢我慢と事の成り行きを見ていると、あっという間にメイリンが地下を割り出した報告を聞き「早いなぁ」と感じる。

 

「シリウスの血液はだいぶ運んだけれど、他は良いのかしら?」

 

ジェーンからの言葉に『必要最低限のシリウスは残しておいて、大体は破棄にしましょう』と返す

 

今更なのだが、ジェーンはこちら側の人間だ。

 

原作見ていて思ったのだが、ジェーンってすっっごい怪しい発言しかしていない。

 

メイリンが地下に行ったのを確認すると、ジェーンが準備を始める。

 

「私は行って来るけれど、貴女はこのまま立ち去るのかしら?」

 

ジェーンの愉快そうな顔に微笑む

 

「まさか、ちゃんと見届けるわよ」

 

「そう、ならいいわ」

 

そう言ってジェーン立ち去ったのを見届け…

 

(……だいぶキツイな女口調…)

 

違和感しかない話し方をしてむず痒くなる。

 

案の定、数分足らずで現れたメイド達を階段上から眺める。

 

フルボッコにされる男爵に精々しながら、時計を確認する。

 

目線を感じ下を見ると、ジェーンが見つめていた。

 

あの様子を見ればアンジェラに関しては何も言っていないのたろう。

 

(…ほんと賢いよなぁ)

 

ジェーンがメイリン達を誘導し、外に出て行ったのを見計らい階段を降りる。

 

(…爪が甘いというか、優しいというか…)

 

蝋燭を手に取り、フルボッコにしている彼らを見て笑う

 

「使えなくなった物は処分するまで」

 

アンジェラを中心に炎が円を描く

 

容赦なく人間達を飲み込む

[newpage]

 

アンジェラから姿をアッシュに戻し、何食わぬ顔で屋敷から出る。

 

「…ゴミ処理係になったつもりはないのですが」

 

手に沢山血液の入った瓶を持ったポラリスに言う。

 

「……」

 

不満そうなポラリスに対し、ため息をつく

 

「シリウスとポラリスは限りなく持って来ましたよ、というか、あそこが潰れる前に手を打てて良かったではありませんか」

 

「それで良いものか!これほど少なくてはシリウス様に捧げるきらめきが足りなくなってしまう!!」

 

怒鳴るように言うポラリスにため息をつく

 

しかし、何を言い返すこともなくひとしきり騒ぎ立て終わったのを見て

 

「こういう手腕で集めると言ったのは葬儀屋で、私はあくまでそのサポートを担っているだけですが、そもそも、私が全部してしまったら意味ないでしょう」

 

ポラリスの横を通る

 

アッシュが動きすぎると抑止力が発生しそうで嫌なのだ。

 

シネマティックレコードを好き勝手に変えれることだって正直出来るし、下手したら死神派遣協会の図書館にだって行ける。

 

(まぁ、何の因果なのか、アンジェラの姿じゃないといけないけど…)

 

アニメにそこらへんは引っ張られているのか、強制的に姿がアンジェラになるのだが

 

「それと、癇癪を起こすのなら一人だけの時にしなさい」

 

そう言って姿を消すと、ポラリスがギィと歯を鳴らす。

 

 

 

 

 

 

ーミッドフォード家ー

 

フランシスはアッシュからの書類を無言で見つめていた。

 

シエルが帰還してからアッシュはミッドフォード家の執事からファントムハイヴの人間として戻ったようだった。

 

「……」

 

「お母様」

 

エドワードが入ってくる

 

アッシュからもらった書類を置く

 

「なんですか」

 

そう言うとエドワードが対面に座る。

 

「…アッシュが執事をやめたのは本当ですか?」

 

エドワードの暗い表情にフランシスは頷く

 

「…アッシュがミッドフォード家の執事として仕え始めたのは、あの襲撃事件以降ですが…正式な話はお兄様から事前に知らされていました」

 

「…!ヴィンセント叔父様からですか?!」

 

エドワードは大きい声を出して、慌てたのか『すみません』と言って座り直す。

 

「…アッシュは『来るべき時』までミッドフォード家の執事としてあることです」

 

兄とアッシュの関係性は、あの子とセバスチャンと似ているものだった。

 

しかし、セバスチャン達と違うのは、アッシュも兄も何か他にも計画していることがあるように見てとれた。

 

「来るべき時…?」

 

「…それが今回のスフィアの事件のことなのか、シエルのことなのかわかりませんが…アッシュは全てを知っていた上でリジーに全てを話さなかったのでしょう。アッシュは私の質問には必ず答えますが…」

 

フランシスは窓の方を見る

 

アッシュは明らかに『ファントムハイヴ家』の人間いや、ヴィンセントの意向のみを汲んでいるように見えた。

 

フランシスのことは『ファントムハイヴ』と認識している故なのか、危険に陥りそうならば優先して助けていたのだ。

 

エドワードや夫よりも最優先に

[newpage]

[chapter:観客]

 

ヴィンセントは屋敷に帰ってきたアッシュと共にチェスをしながら、シエルと坊ちゃんの攻防についての話を聞いていた。

 

「シエルの方が一枚上手だね」

 

「そのようですね」

 

ヴィンセントがアッシュの駒を取る

 

「あの子は地道に潰してるようだけど、使用人の優しさには変えられないんだね、アッシュがあの子に少し加担してあげたから、あの子が有利になったかな?」

 

ヒースフィールド男爵邸はあれで終幕したが、問題はまだある。

 

血液を集めていた機械を壊しただけで、ナースや医師はほとんど触れていない。

 

アッシュがあの場で数人看護師を殺したおかげで有利になっただろう。

 

「シエル様は不快感を露わにするでしょうね」

 

ヴィンセントの駒を取るとんーと悩む表情を見せる。

 

「シエルは誰よりもあの子を愛しているからねぇ、親よりも地位よりも」

 

シエルの異常性はヴィンセントが一番理解している。

 

だからこそ、爵位も何もかも返還するという考えがあったのも、シエル双子のためでもあるのだ。

 

「誰よりも坊ちゃんに似ていますね」

 

幼き頃のヴィンセントのことを思い出して笑うと、ヴィンセントが不貞腐れつつも苦笑いし

 

「あの頃は子供だったんだよ、周りを見る余裕がなかった分、笑顔なんで作れないさ」

 

ヴィンセントがアッシュに勝つ

 

「参りました。流石は坊ちゃん」

 

「やっと一勝だよ、今まで勝ててたのはアッシュがチェスを大して理解してなかったからだよ」

 

笑うヴィンセントに『チェスはやったことがなかったので、勝つには無理やりでも勝ったという事象を押しつけないといけなかったので』という。

 

「相当反則だよねぇ、天使の能力って…」

 

あの頃頼めば良かったかなと言うヴィンセントに「はて?」となる。

 

「ほら、アレだよ、走馬灯だったっけ?人間の記憶を書き換える能力」

 

死の走馬灯を書き換えることだって出来る能力なんて正直持っていても対して意味なかったし、使い所なんてなかった。

 

「あぁ、アレは変えられるとは言いましても、病死を焼死に変えるのは無理ですよ」

 

死因を変えるにも大幅な変化は無理だった。

 

焼死するという未来が決まっているなら、その過程を少しだけ変えることは可能なのだ。

 

例えばバラバラにされて焼死とか

 

そういうのは可能だが、元から病死するのが約束されている人に対して、バラバラにされて殺されるという未来は押し付けられない。

 

「それに、死の走馬灯を見て、どこを変えるか違和感のないようにするのは本当に面倒なので、やれるとは言わなかったのですよ」

 

そう言うアッシュにヴィンセントは不貞腐れながら「聞けば良かった」と呟く

 

アッシュは時計を確認し

 

「坊ちゃん、そろそろ就寝時間ですよ」

 

「あぁ、もうそんな時間?じゃあ、寝ようかなそろそろ」

 

「はい」

 

ベットに座り直したヴィンセントに「おやすみなさい」と返し、部屋を立ち去る。





ヴィンセント・ファントムハイヴ
《陣営・???》
シエル双子のことを応援してる。
どちらが勝つかアッシュと一緒に見るのが楽しい(少しサイコっぽい)
アニメ女王の立場がヴィンセントになっており、死神派遣協会へ『世界に影響を及ぼす人物』扱いされている。
しかし、本来の死ぬ年からだいぶ長く生きている為、死神に見つかれば即狩られる

アッシュ・ランダース
《陣営・???》
ヴィンセントとシエル双子の物語を見るのが楽しみ。
結構、チートな立ち位置にいるが本人は気づいていない
しかも能力が結構えげつないせいもあってか、死神派遣協会から『殺すに殺せない存在』
アニメのように大勢の人間殺そうとしたら抹消されるけど、数十人単位殺しても見逃される
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