もしエウリュステウスの側近にヘラクレス並の化物がいたら   作:名無しのマネモブ

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続きです。


マカリオスの新婚生活(3年目)

ミュケナイの守護者と呼ばれるマカリオスの朝は早い。

 

「……ん、もう朝か」

 

夜が明ける前に目が覚めたマカリオスはゆっくりと身体を起こし、何時もの鍛錬に行こうと動き始める。

 

「スゥ……スゥ……」

「うん、俺の妻は何時見ても可愛くて最高だなぁ。こんな素晴らしい嫁がいるなんて俺は間違いなく幸せ者だ」

 

自分の妻の可愛い寝顔を見たマカリオスは自分は本当に恵まれていると満足そうに頷きつつ、毎日行われている夜の鍛錬()で疲れているであろうキルケーを起こさないように慎重に動く事にした。

 

「……フフッ」

 

マカリオスが寝床から出て行った後、夫の独り言をバッチリ聞いていたキルケーは思わずニマニマしていたのであった。

 

 

 

 

「やあやあおはよう私の旦那様!もう少ししたらキュケオーンができるから一緒に食べようじゃないか!」

「ああ、おはようキルケー。何時も俺の為に麦粥を作ってくれてありがとう」

 

寝室から出た直後、ハイテンションなキルケーが厨房にてキュケオーンを作っているのを見たマカリオスは特に驚く事もなくキュケオーンができるのを大人しく待っていた。

 

「しかしキルケーはついさっきまで寝ていたはずなのに、部屋を出たら料理をしているがどういう事なんだ?」

「私は大魔女だからね!愛する君の為なら瞬時に起きて朝食の準備だってできるのさ!」

「ふーん、それはスゴいなぁ。そんな君に愛されているなんて俺はとても幸せな男だな」

「フフン、そうだろうそうだろう!……よし、特製キュケオーンの出来上がりだ。さあさあ遠慮なくお食べ」

 

キルケーの言葉を聞いたマカリオスは素直に感心し、出来上がった特製キュケオーンをいただく事にした。

 

「この特製キュケオーンはとても美味しいな。何かうっすら血のような匂いがするが一体何が入っているんだろう?」

「おぉ、鋭いなぁ。これは私の特別な血が入った旦那様の為の滋養強壮と愛情がたっぷりな特製キュケオーンなのさ!君以外には絶対食べさせるつもりはないから安心したまえ!」

「よくわからないがわざわざ俺の為に作ってくれたんだな。ありがとうキルケー、また作ってほしいな」

「ウフフ、どういたしまして。君の為なら毎月作ってあげるよ」

 

 

 

 

「……ッシ、これで日課の鍛錬は終わりだ」

「お疲れ私の旦那様、はいお水」

「うん、ありがとう」

 

日課である山の持ち上げと走り込みを終えたマカリオスは一息つく。キルケーはマカリオスの傍でニコニコしながら見守っており、旦那が鍛錬に励む姿を見て満足そうにしていた。

 

「でもキルケーは俺の鍛錬を毎日眺めているが飽きないのか?」

「いやいや、君が頑張る姿を見て飽きるわけがないじゃないか。むしろ君の真剣な表情をじっくり見れて惚れ直しているんだよ!」

「なるほど、確かに俺も君の寝顔を毎日見ているがとても可愛くて愛おしいと何度も思ってしまうし似たようなものか」

「……も、もぉ~、嬉しい事言ってくれるなぁ〜。このーこのー!」

 

夫の本心からの言葉を聞いたキルケーは思わず顔を赤らめ照れ隠しでマカリオスを杖で小突いていた……照れ隠しといっても普通の人間だと即座に豚になる呪いが少々込められていたが、マカリオスにはまったく効いてないので大丈夫だ、問題ない。二人にとってはただのじゃれ合いにすぎないのだろう。

 

「うーむ、最近持ち上げる山を軽く感じるようになってきたな。もっと負荷を上げるべきだろうか?」

「いやもう十分じゃないかなぁ?私の見立てだと今の君ならアトラスの代わりに天空を支える事ができるくらいには強いよ。私の完璧なサポートがあったとはいえここまで身体能力が上がるなんて私も驚いてるよ」

「でもアルケイデス殿に勝つ為にはもっと鍛えておきたいのだ。俺は頭が悪いから身体を鍛え上げる事しかできないからな」

「そっか、君は真面目だねぇ……うんうん、真面目に頑張る旦那様はとてもカッコいいよ!」

 

エウリュステウス王に命じられたアルケイデスを超えろという難題に愚直に取り組むマカリオスを見てキルケーは再度惚れ直していた。

 

 

 

 

「そういう事で妻によれば私は天空を支えられるくらいには強くなれたそうです」

「うむそうか。あの大魔女がそう言うのであれば本当に天空を支えられるのだろうな。よくやったぞ私のマカリオスよ」

「ありがとうございます。アルケイデス殿に勝てるよう今後も鍛錬に励む事を誓います」

「うむ、励めよ。そこまで鍛えたらあの化け物にも勝てるとは思うが……いやでも化け物だしなぁ……奴もその気になれば天空を支えられるかもしれん」

「妻によればアルケイデス殿も身体を更に鍛えればできるようになるだろうと言っておりました」

「そ、そうか……わかってはいたがやはり奴は化け物だな」

 

鍛錬を終えたマカリオスは汗だくになった身体を清めた後、宮殿にて自分の主君であるエウリュステウス王へ報告を行っていた。

 

「そういえばマカリオスよ、あの大魔女とは上手くやっているか?いや貴様なら浮気もしないし問題ないとはわかっているがな」

「キルケーは素晴らしい妻です。私の為に何時も美味しい麦粥を作ってくれますし、頭の悪い私を文句を言わず支えてくれています。私は何時も助けられてばかりです」

「ふぅん、そうか。夫婦仲がいいのはよい事だ」

 

二人が上手くいっていると確認できたエウリュステウス王は一安心しつつ、少し気になっていた事を尋ねる事にした。

 

「だが貴様は毎日麦粥ばかり食べているそうだが大丈夫なのか?」

「?……素晴らしい麦粥が何時でも食べられて私は幸福ですが」

「そ、そうか、毎食麦粥でも飽きないとは大したものだな……まあ貴様がいいのであれば私からは言う事は何もない」

 

毎日ずっと麦粥だけを食べていると聞いてエウリュステウス王は少し引いてしまうが、本人達が幸せなのなら部外者が口出しする事もないかと思い直す。

 

「あ、それとだな。何度でも言うが浮気は絶対にするなよ」

「わかっております、私はキルケー以外の女性を抱くつもりはありませんし神々にも誓います」

「甘い!貴様の方から手を出さなくても相手から襲ってくるかもしれんのだ。もし貴様が過ちを犯せば大魔女は怒り狂い、私やミュケナイも巻き込まれるのだぞ!いいか、絶対に付け入る隙を与えぬようにするのだぞ!」

「わ、わかりました我が王よ」

 

真剣な表情で言葉を続けるエウリュステウス王にマカリオスは思わず気圧されていた……その後マカリオスはミュケナイにある神殿にて浮気をしないという誓いを守り続けられるよう女神ヘラに祈り、ヘラは形容し難い表情を浮かべつつも真摯な祈りを断る事は女神の沽券に関わると祈りを受け入れていたのであった。

 

 

 

 

「お帰りなさいマカリオス君!お風呂にする?キュケオーンにする?それともわ・た・し?」

「ぬぅ、もちろんキルケーを選びたいが……汚れを落としてから君をじっくり味わいたいな」

「お風呂だね!わかったとも!」

 

ミュケナイの見回りを終え屋敷に帰宅したマカリオスをキルケーはウキウキで迎えていた。結婚3年目にして未だイチャついている二人であったが屋敷には二人しかいないため何も問題はなかった。

 

「何時もすまないな、屋敷の管理を任せてしまって申し訳ない」

「ああ気にしなくていいよ、大魔女の私なら管理なんて余裕だし苦に思った事は一度もないからね」

「そうか、キルケーはスゴいなぁ」

「フフン、もっと褒めていいんだよ」

 

二人で住むには広い屋敷をたった一人で管理するキルケーにマカリオスは流石は大魔女だと素直に感心していた……以前は使用人達がいたのだがキルケーによる脅迫、もとい説得を受けて全員屋敷から出て行ったのだ。ちなみに彼等の今後を心配したマカリオスはエウリュステウス王に相談した結果、使用人達は現在宮殿で働いている。

 

「む、この麦粥は何時ものキュケオーンだが少しだけ違う味がする。調味料を変えたのか?」

「よくわかったねぇ!流石私の旦那様だ、今回のキュケオーンは趣向を変えてみたのさ。まず最初に……」

 

キルケーが今回の自信作であるキュケオーンを嬉々として解説するのを見たマカリオスは、キルケーの長々とした説明についてはよくわからなかったものの妻が嬉しそうに話しているのを見て自分も嬉しく感じていた。

 

「うん、とりあえずスゴいのはわかった。俺は幸せ者だな、こんなに俺の事を思ってくれる妻がいて本当に嬉しいよ」

「ウフフ、私もだよマカリオス君。君のような素敵な旦那様と結婚できて本当によかったよ」

 

そんな感じで二人はイチャつきつつも夕飯の麦粥を食べた後、寝室に行き何時のように夜の鍛錬()をしてから眠りにつく事にした。

 

……マカリオスはその後の人生でも妻のキルケーを深く愛し続け、女神ヘラのお陰なのか生涯一度たりとも浮気する事なく死ぬ。そしてマカリオスとキルケーの二人は後世でギリシャ神話のおしどり夫婦と呼ばれる事になるのであった。

 

 

 

 

二人の様子を眺めていた大神ゼウスは自分の息子とは思えぬくらい素朴で純情なマカリオスを不思議に思いつつも、マカリオスの仕上がりが上々でありキルケーとも上手くいっている事に満足していた。

 

大神ゼウスは来たるべき巨人達との決戦の為にマカリオスに期待していた。強さに関しては十分使い物になると判断するも、同時にゼウスはマカリオスの頭の悪さに不安を覚えていた。強いだけの阿呆では神々やアルケイデスの脚を引っ張るのではないかと。

 

だがキルケーがマカリオスに惚れ込み求婚したのを見て思わぬ解決策を見出し考え込む。傑出した大魔女であるキルケーが補佐するようになればマカリオスの使い勝手はかなり良くなるだろうと考えた大神ゼウスは、キルケーに巨人達との戦争への参加を誓わせた上で二人の結婚を認めたのだ。

 

そして二人の様子を見た結果これなら問題ないと確信する。キルケーを一心に愛すマカリオスと、夫に甲斐甲斐しく尽くすキルケーは円満な夫婦関係を築いており安心した大神ゼウスは引き続き巨人達との決戦に向けて準備を進めるのであった。




マカリオスの容姿は父親似です。

FGOでエウリュステウス王が何もいい事なく退場したので書きました。とある掲示板で建てたスレをもっと書きたかったのですがパートスレにするのも嫌なので、折角だし二次小説として書く事にしました。

ちなみにこのオリ主の実力はは0.9ヘラクレスを想定しています。本気になった時の足の速さは0.9アキレウスです。
正面からの殴り合いならアルケイデス相手でも僅かな優位がありますが、でも強いだけのバカで知力デバフが大きいので搦め手を使われると全然ダメな程度の強さです。



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