もしエウリュステウスの側近にヘラクレス並の化物がいたら   作:名無しのマネモブ

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続きです。


エウリュステウス王子の部下マカリオスと初陣

マカリオスがエウリュステウスの部下となり2年が経過していた。奴隷から王子の部下となったマカリオスは自分が非常に恵まれている事を自覚しつつ主人の役に立てるよう本人なりに努力していた。

 

2年の間にマカリオスは大きく成長し齢8歳にして小柄な成人男性並みの体格を持っていた。そんなマカリオスは非常に目立っており彼が歩いていると周囲はひそひそと話をしていた。

 

「おい、アイツだ。エウリュステウス様の部下になった奴隷の子供だ」

「いやデカいな。まだ十歳にもならないガキとは思えないぜ」

「なぁ、あの噂本当なのかな?アイツは主神の血を引く半神だって」

「んなわけないだろう。奴隷の癖にゼウスの血を引いてるなんて」

 

周囲の人間達はマカリオスを警戒し遠巻きに眺める事が多かった。奴隷の分際で王子直属の部下になった事、そしてゼウスの血を引いている半神だという噂を受け入れられず嫉妬の視線を向ける者も多かったのだ。

 

「生意気な奴だな、一度痛い目にあわせてやろうかな?」

「やめとけ、それをやった奴が半殺しにされたのを知らないのか?……奴はこの国でも有数の力自慢だったのにあの元奴隷にはまったく歯が立たずやられちまってたよ」

「くそ、化け物め」

 

マカリオスには数多くの嫌がらせを受けていた。最初は暴力に訴えた者が多かったが、それを行った者達が全員返り討ちにされた。その後は陰湿な嫌がらせとなったが呑気なマカリオスは気にする事なくのんびりとしており、それを見た首謀者達は神経を逆なでされ嫌がらせを続けるという悪循環になっていた。

 

「そう言えば聞いたか?アイツは誰にも師事する事なくあそこまで強くなったらしいぞ」

「はぁ?奴隷に教える物好きな勇士なんていないのはわかるがそんな事あり得るのか?」

「だが実際にアイツは恐ろしく強い。俺達が束になっても勝てない程だ。生まれながらの強者なのだろうよ……奴隷生まれの癖にな」

 

マカリオスの強さを知る男達は我流なのに理不尽な強さだと戦慄しつつマカリオスに嫉妬交じりの視線を向け会話を続けていた……マカリオスは持ち前の超人的な身体能力で彼らの会話を聞いていたが特に怒りもせず平然としていた。自分が元奴隷なのは事実だし怒る事でもなかったからだ。

 

「エウリュステウス様も何を考えているのだ?あんな得体の知れない子供を部下にするなんて」

「自分の箔付けの為だろうよ。なにせほら、王子さまは病弱だから貧弱な自分を着飾らないと……ッ!?」

 

だが主君であるエウリュステウスの侮辱を聞いたマカリオスは瞬時に男達に近づくと、主君を侮辱していた男の頭を鷲掴みにする。自分の事は別にいいが主君を侮辱したのなら許すつもりはなく、エウリュステウスからもその場で制裁するように言われていたからだ。

 

「王子様の悪口を言ったな?」

「ち、ちが」

「えいっ」

 

マカリオスは男を軽く平手打ちする。平手打ちされた男は大きく吹き飛んで地面に叩き付けられ痙攣していたがマカリオスは手加減しており命に別状はないので大丈夫だ、問題ない。

 

「ヒッ……!?」

「もう王子様の悪口言ったらダメだよ?」

「は、はぃいっ!?」

 

男達が怯え反省したのを確認したマカリオスは主君がいる宮殿に向かう事にしたのであった。

 

 

 

 

「ふぅん、僕を侮辱した愚か者達を制裁したのか。よくやったぞマカリオス。そう言えばお前は誰にも師事してないが大丈夫か?いやお前が恐ろしく強いのはわかっているが」

「大丈夫ですエウリュステウス様!宮殿に向かう途中で勇士達の鍛錬を遠くから見て学びましたので問題ありません!」

「えっ?武芸とは遠くから眺めるだけで習得できるものなのか?……ま、まぁいい、勉学についてはどうだ?」

「えっと、名前が書けるようになりました!」

「いやそれは当たり前だろうが!なんで武芸は簡単に覚えられるのに勉学はダメダメなのだ!?」

 

相変わらず呑気な様子のマカリオスを見てエウリュステウスは溜息をついていた。元奴隷のマカリオスは素直で忠誠心に厚く類まれな武勇を持っていて信頼できる部下であるが、頭がとても悪いのが欠点だとエウリュステウスは考えていた。

 

「いいか、お前は次期ミュケナイ王の部下として武芸だけでなく立ち振る舞いも求められるのだ!わかったら勉学にも励め!」

「は、はいわかりました!」

「フン!」

 

頭の悪い部下を説教するエウリュステウスは暫く愚痴を続けていたが、その後気を取り直してマカリオスにある物を手渡す事にした。

 

「おいマカリオス、お前への褒美だ。これからはこの衣を着るようにしろ」

「えっ?よろしいのですか?」

「何を驚いている?選ばれし王である僕の部下なら見た目にも気を遣うべきだろうが。さっさと着ろ」

 

突然の贈り物に困惑するマカリオスを見てエウリュステウスは呆れた表情を浮かべていた。

 

「ふぅん、元奴隷でもそれなりの見栄えになるな。何故か渋る職人達を脅した甲斐があったな……よし、僕の好意に感謝してこれからも働き続けるんだぞ」

「ありがとうございますエウリュステウス様!」

 

尊大な態度を取るエウリュステウスに対してマカリオスは無邪気に喜び更なる忠誠を誓うのであった。

 

 

 

 

「……………ああ暑い暑い暑い!マカリオス!水だ!」

「はい!」

 

そしてマカリオスは12歳となり健やかに成長していた。平均的な成人男性をも凌駕する体格を持ったマカリオスはミュケナイでも有名になりつつあった。ステネロス王と共に戦場にやってきたエウリュステウスは文句を言いつつマカリオスをこき使い、マカリオスも嫌な顔をせず仕えていた。

 

「ああもう!何故次期ミュケナイ王である私がわざわざ戦場に行く必要があるんだ!たかが隣国の小競り合いに付き合わせるなど父上は一体何を考えておられるのだ!?」

「わ、わかりません」

「フン!まあそうだろうな!強いだけで愚かなお前じゃ父上のお考えなどわかるわけないだろうな!」

 

マカリオスに八つ当たりしつつエウリュステウスは一刻も早く快適な宮殿に帰りたいと考えていた。病弱な身体で生まれ宮殿で何不自由なく暮らしていたエウリュステウスは戦場での不便な生活に耐えられなかったのだ。

 

「おいマカリオス!お前アレが見えるか!」

「敵の本陣ですね」

「今からあそこに行って敵将の首を持ってこい!私はさっさと宮殿に帰りたいのだ!わかったら早く終わらせろ!」

「はいわかりましたエウリュステウス様!」

 

普通に考えたら死ねと言っているも同然の命令であったがマカリオスは一切不満を覚えず笑顔で従う。そして全身に雷光を纏ったマカリオスは両手と片膝をつけて力を溜め、一気に飛び出したのであった。

 

……ちなみに現代で使われているクラウチングスタートはマカリオスが発明したという伝説があるが真実は不明である。

 

 

 

 

「おい、あれはなんだ!?」

 

マカリオスに襲撃された敵軍は激しく動揺するも瞬時に立て直し状況を把握しようとしていた。

 

「な、何が…何が起きたッ!?」

「おい敵だ!敵が来たぞ!?た、大変だあっ!将軍が…将軍が首を引っこ抜かれて殺されたあっ!」

「クソ!よくもやりやがったな!生きて帰れると思うなよ!」

 

自分達の中で一番強いはずの将軍があっさり殺された事に呆然とするが、すぐに将軍の敵討ちをしようと怒りに燃えていた。突然の事態にも即座に対応できる彼らは歴戦の戦士達であったが……今回ばかりは相手が悪かった。

 

「は、はや」

 

雷光を纏った謎の少年は恐ろしい程に強かったのだ。少年が残像が見える程凄まじい速さで腕を振るえば戦士達の首や手足が跳ね飛ばされ、足で蹴れば戦士達の鍛え上げられた肉体を鎧ごと簡単に両断していた。まさに雷鳴一閃というべき強さであった。

 

「ダメだ!?攻撃が当たらない!?」

 

しかも戦士達の攻撃は殆ど当たらず躱され、僅かに掠った槍も少年が纏う雷光によって消し飛び戦士は感電死していた。攻撃が一切通らず凄まじい速さで死体が量産されていく光景に歴戦の戦士達も恐怖の表情を浮かべ始める。

 

「だ、ダメだ逃げろぉッ!?」

 

遂に戦士の一人が悲鳴を上げて逃げ出し、それにつられて周囲の戦士達も我先にと逃走を始める。そして襲撃から10分後敵軍は完全に崩壊し敗走したのであった。

 

「戻りましたエウリュステウス様!」

「遅い!もっと早く終わらせろよ愚図が!」

「も、申し訳ありません!」

 

敵将の首を持って帰還したマカリオスにエウリュステウスは少しイラつきつつも敵将を討ち取ったのだしこれで大手を振って宮殿に帰れると無邪気に喜ぶのであった。

 

「フン!まあいい、よくやったぞマカリオス。流石は次期ミュケナイ王である私の部下だな。これで私が帰っても父上は怒らないだろう。さっさと宮殿に戻るぞ!」

「わかりました!あ、でもこの首はどうしましょうか?」

「うわそんな物見せるな、食欲がなくなるだろうが!……まぁ父上に渡しておけばいいんじゃないか?お前は私を守る義務があるからその首は他の兵士に渡しておけ」

「はい!」

 

 

 

 

「……まさか、これほどとは」

 

たった一人の少年に蹂躙され敗走している敵軍を見たステネロス王はあの元奴隷の子が主神の血を引いている事を確信しつつ、半神の元奴隷が自分の息子に仕えている幸運を喜び安堵していた。

 

「し、信じられません、あの敵将は名立たる勇士だったのに、あんなにあっさり殺されるなんて」

「うむ、彼とは私も何度か戦った事があるが敵ながら優秀だった。そんな男が何もできずにやられるとはな」

「まさか本当に主神の血を引いてるなんて……!」

 

王の側近たちもマカリオスの強さに戦慄しつつ話し合っていた。そんな彼らを横目で見つつステネロス王は息子の、ミュケナイの未来は明るいと確信する。

 

「エウリュステウスがミュケナイの王になる事に少し不安があったがこれなら大丈夫だな。息子にはゼウスの血を引く半神が仕えているのだ……喜べお前達、この国の未来は明るいぞ」

 

ステネロス王は最高神からの贈り物に深く感謝しつつ、ミュケナイが今後更に反映する未来を想像し思わず笑みを浮かべるのであった。




FGOでエウリュステウス王が何もいい事なく退場したので書きました。とある掲示板で建てたスレをもっと書きたかったのですがパートスレにするのも嫌なので、折角だし二次小説として書く事にしました。

ちなみにこのオリ主の実力はは0.9ヘラクレスを想定しています。本気になった時の足の速さは0.9アキレウスです。



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