もしエウリュステウスの側近にヘラクレス並の化物がいたら   作:名無しのマネモブ

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続きです。


ヘラクレスから見たマカリオスと未来の大勇士

「マカリオスの事を教えてほしい?」

「うむ、ミュケナイの守護者殿と交流があった君から聞いてみたくてね」

 

アルゴー号がイオルコスを出航し大冒険が始まった。そんな中航海の途中で船長のイアソンからマカリオスについて問われたヘラクレスは少し考え込む素振りを見せていた。

 

「マカリオス殿は十二の難行を成し遂げた大勇士の君に比肩するというが、ミュケナイの守護者はどれ程の男なのか君の口から聞いてみたいのだ」

「まあそれは別にかまわないが……貴様らもそんなに気になるのか?」

 

船長だけでなく、船員や他の勇士達も作業の手を止めて自分を見つめているのに気付いたヘラクレスは苦笑しつつイアソンの疑問に答える事にした。

 

「そうだな、奴は強い、強いのだが……筋金入りの阿呆だな」

「そ、そうか。バッサリ言うなぁ」

「いや、阿呆としか言いようがないぞ?初対面の怪しい女から麦粥を勧められて疑う事なく食すのは擁護できんだろう。幼子でももう少し警戒すると思うが?」

「う、うむ、まあ確かにそうなのだが」

 

真顔でマカリオスの事を阿呆というヘラクレスにイアソンは否定できず何とも言えない顔を浮かべていた。

 

「だが阿呆だが気のいい奴ではあるぞ。私が十二の難行を成し遂げた時は我が事の様に喜んでいたしな。裏表のない阿呆だからこそ王から重用されミュケナイの市民達にも受け入れられているのだろう。私と違ってな」

「ふぅむ、なるほどな」

 

苦笑するヘラクレスの様子を見たイアソン達はミュケナイの守護者は噂通り阿呆だが悪い奴ではないのだなと理解する。そして一番気になっていたマカリオスの強さについて尋ねる事にした。

 

「ではマカリオス殿の強さはどれ程のものなのだ?」

「単純だが厄介極まりない強さだぞ。私は勝てるがここにいる他の勇士達では奴には勝てないだろうな」

「ッ」

 

ヘラクレスの言葉を聞いた勇士達はプライドをひどく傷つけられた様子だったが、ヘラクレスは気にせず言葉を続ける。

 

「奴は私以上の腕力と脚の速さを持っている。正面から闘うのであれば私も全力を出す必要があるし、他の勇士達ではなす術なく叩き潰されるだけだろうな」

「なるほど、格下ではフィジカルの差で圧倒されてどうしようもないわけだ。正面からやり合うには君くらいの力がないと無理なのだな」

「そうだな、奴に勝ちたいのであれば小細工はやめて正面から打倒するのが確実だろうな」

「いやそれができるのは君だけじゃないか?」

 

イアソンはマカリオスを正面から打倒できるのはヘラクレスだけだろうと真顔でツッコミを入れてしまう。大山を持ち上げ稲妻の如き速さで駆ける事ができる男に対抗できる勇士などヘラクレスしかいないと確信していたのだ。

 

「と、とにかく。マカリオス殿に勝てるのは君くらいだというのはわかったよ。仮にまた闘う事になれば君は勝てるのか?」

「ああ、問題ない。奴は付け入る隙も多いし素手で闘う事しかできない。他人の介入がなければ正面からの殴り合いでも私が安定して勝てるさ」

「おぉ、スゴい自信だな。さすが十二の難行を達成したヘラクレスだ」

 

また闘う事になっても自分が勝つと断言するヘラクレスにイアソンは流石はギリシャ最強の大勇士だなぁと素直に感心する。だが直後にヘラクレスが零した言葉を聞いて困惑する事になる。

 

「……まぁ問題は奴と決闘という形ではなく、本気で闘う事になれば確実にあの女が参戦してくるわけだが」

「あ、あの女?ってまさか」

「ああそうだ、あの阿呆の妻の大魔女だ」

 

ヘラクレスはマカリオスと本気で闘うのであれば大魔女キルケーがマカリオスを援護してくると確信していた。

 

「あのアイアイエー島の大魔女はかなり厄介だぞ。所業はろくでもないし性格はひん曲がっているし、できる事なら関わりたくない女だ。あの女と夫婦をやれるマカリオスは阿呆だが男としてはスゴい奴だと私は本気で思っているよ」

「お、おう……君がそこまで言う程か」

 

渋い顔で大魔女を酷評するヘラクレスにイアソン達は本当にろくでもない女なのだなと察する……ちなみにヘラクレスの話を聞いていたとある女狩人は無言で頷いて同意していた。

 

「だが大魔女は夫の事を真剣に愛しているのは確かだ。もしマカリオスと闘う事になれば大魔女は夫を全力で援護するだろう。大魔女の妨害を受けつつあの阿呆を倒すのは至難の技だ。私でもかなり梃子摺るだろうし、十二の難行に匹敵する過酷な試練となるだろうな」

「君でも確実に勝てるとは言えないか」

「うむ、まあマカリオスを簡単に打倒できる秘策はあるが私はあの二人と闘うつもりはないし、向こうも私と闘うつもりはないだろうな。話はこれで終わりだ」

 

ヘラクレスはそう言って話を終えて沈黙するのであった。

 

(あの難行で手に入れたヒュドラの毒なら阿呆にも通用するだろうが、そうなれば怒り狂う大魔女に報復されるだろう。そうなれば私も死ぬより悲惨な事になるな……ヒュドラの毒は強力だが危険すぎる。大魔女の警告を信じて今まで使う事は殆どなかった、今後どうなるかはわからん。これを必要とする時が来なければいいのだが)

 

 

 

 

「ムカつくなぁ……呪いたいなぁ……ブッ呪ってやりたいなぁ……」

「な、何を怒っているのだ貴様は?」

 

一方その頃、ミュケナイの宮殿では大魔女キルケーが額に青筋を浮かばせており、それを見ていたエウリュステウス王は怯えつつも何に怒っているのか確認しようとする。

 

「ああ怯えなくていいよ王様、王様が悪いわけじゃないからね。ヘラクレスの奴が私の悪口を言ってたのさ。夫を助けて子供達を優しく見守るこの良妻賢母な大魔女である私の事をろくでなしだとか、性格はひん曲がっているとか、できる事なら関わりたくない厄介者だとか根拠のない誹謗中傷を言っててさぁ、大神から釘をさされてなかったらヘラクレスとアルゴー号にいる連中全員に口に入った食べ物が全てキュケオーンになる呪いをかけてたよ。まったく酷いと思うよね?こんな素晴らしい大魔女をボロクソに貶すだなんてヘラクレスは見る目がないと王様も思わないかい?」

「うむ、そうだな!あの化け物は酷い奴だな!貴様は良妻賢母ないい女だと私は思うぞ!」

「うんうんそうだよね、王様もわかってきたじゃないか」

 

キルケーの問いかけにエウリュステウス王は即座に肯定する。この時のエウリュステウス王は雑念を持たず大魔女の言葉を無条件で肯定していた。余計な事を考えたら思考を読まれて制裁されると学んだ王は無我の境地でキルケーを肯定する一流の太鼓持ちとなっていたのだ。大魔女と交流するにはこれくらいの処世術ができないと無理なのだろう。

 

「それに私と旦那様の絶対無敵夫婦に勝てると思っているとか思い上がりも激しいよね。私がそんな事許すわけないだろうに……確かにヒュドラの毒は旦那様にも通用するし大魔女の私をもってしても解毒には時間がかかるだろう。恐らくアイアイエー島に引き籠もって半年程治療に専念しないと完治は難しいだろうね。ああでもお師匠様の助力があれば一ヶ月でいけるかな?」

「ああ、ヒュドラとは化け物が難行で倒していた怪物の事か。貴様のキュケオーンを食べても平然としているマカリオスにも通用するとは恐ろしい。他の者がその毒を受けたら即死だろうな」

「神々にも通用する毒だからね。普通の人間なら即死だよ。ヘラクレスや旦那様なら死にはしないけど地獄の苦しみを味わい続けるし、不死身の神々であっても不死を捨てて死を願うくらい苦しむ羽目になるよ」

「な、なんだその危険すぎる毒は……?神々に通用するとか恐ろしすぎるぞ。神々もそんな危険物は化け物から取り上げた方がいいと思うのだが」

 

自分の想像以上に恐ろしいヒュドラの毒にドン引きしたエウリュステウス王は先程から気になっていた事を確認する事にした。

 

「まあそれはともかく、貴様とマカリオスがいればあの化け物にも勝てるのだな?」

「うん、安心したまえ。旦那様がヘラクレスを足止めしてくれれば私がヘラクレスに呪いをかけて試合終了だとも。豚にするのは難しいだろうが発狂させるくらいなら簡単だし、それ以外にも多種多様な嫌がらせを予定してあるからね。フフフ、この良妻賢母な大魔女キルケーを出し抜くなどヘラクレスには不可能さ……多分ね」

「おおそうか!それはよい事を聞いた!ならば私は貴様とマカリオスを信じて任せるとしよう」

 

キルケーの自信に満ちた発言を聞いたエウリュステウス王は一安心した様子を見せていた。

 

「そうそう、私と旦那様の二人がいれば王様は絶対に安全だし死ぬ事はまずないから安心しなよ。ヘラクレスくらい強くないとそもそも対抗すらできないし、ヘラクレス並に強い勇士なんて旦那様以外にいるわけないからね」

「まあそうだろうな、あの化け物並に強い勇士など私のマカリオス以外では聞いた事がないからな……………だが、うむ」

 

 

 

 

 

「く、くっそぉ!また負けたぁ!先生の言ってた通りアンタ本当に速いなぁスゲーよ!」

「おお、ありがとう。でも君もかなり速いな、その若さでそれだけ速いのだから成長すれば確実に俺より速くなれるだろうさ」

「そ、そうか!?そうかぁ!ヘヘッ、大勇士のアンタに認められるのは嬉しいぜ!よぉし、俺ももっと鍛えないとな!」

 

 

 

 

 

「私のマカリオスと競走でいい勝負しているあの小僧は一体なんなのだ?まさか第二の化け物なのか!?」

「落ち着きなよ王様、アキレウス君はまだ子供だし王様の敵にはならないさ。いい歳した大人が子供を怖がるのは傍から見てスゴく情けないよ?」

「いや怖いにきまってるだろう!?マカリオスと競走できる小僧とか末恐ろしすぎるぞ!?」

 

遠くでマカリオスと無邪気に競走をする少年……アキレウスを見たエウリュステウス王は第二の化け物がいたと思わずドン引きしてしまうのであった。

 

「ひょっとして私が思う以上に世界には化け物並の強い大勇士がゴロゴロいるのか……?」

「いやそんな事はないよ?ヘラクレスと旦那様に匹敵する大勇士なんてギリシャには他にいないさ。あのアキレウス君はかなりいい線いってるけど二人には到底及ばないよ。まあ仕方ないよね、神々と巨人達の決戦の為に用意された二人と、勇士達の時代を幕引きさせる為に用意されたアキレウス君じゃあ用途が違うからね」

「えっ?あっ、あ……………あーーー!ああっ!あああーーーっ!わ、私は何も聞いてない!聞いてないったら聞いてない!本当です!本当に何も聞いておりません大神ゼウスよ!どうか信じてください!」

「あ、ゴメンね。王様に聞かせていい内容じゃなかったよ。さっきの発言については王様の記憶を消しておくから安心してね」




この世界ではヒュドラ毒の矢はまだ一度も使われていません。使わなくてもヘラクレスなら何とかなるでしょう。



FGOでエウリュステウス王が何もいい事なく退場したので書きました。とある掲示板で建てたスレをもっと書きたかったのですがパートスレにするのも嫌なので、折角だし二次小説として書く事にしました。

ちなみにこのオリ主の実力はは0.9ヘラクレスを想定しています。本気になった時の足の速さは0.9アキレウスです。
正面からの殴り合いならアルケイデス相手でも僅かな優位がありますが、でも強いだけのバカで知力デバフが大きいので搦め手を使われると全然ダメな程度の強さです。



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