もしエウリュステウスの側近にヘラクレス並の化物がいたら   作:名無しのマネモブ

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続きです。


迫る決戦の日と旅に出ようとする天才少年

―……そろそろか―

 

オリュンポス十二神のトップとして君臨する大神ゼウスはガイアが産み落とした巨人達……ギガース達が戦の準備を進めているのを天から静かに眺めていた。

 

―来るなら来い、巨人如き我々の敵ではない。我々の代わりにお前達を殺す人間二人も既に用意してある―

 

ギガース達はガイアの加護により神々の手では直接殺す事ができない存在だが、この時の為に用意した半神二人がいれば何も問題はない事をゼウスは確信していた。

 

―本命のヘラクレスと予備のマカリオスがいれば負ける事はありえんが、念の為他の人間も参加させるか?武勇に優れた勇士なら他にも幾らかいるが……だが巨人達との戦いでは役に立たんだろう―

 

大神ゼウスはヘラクレスとマカリオス以外の人間を参加させるつもりはなかった。他の人間達では巨人達との一大決戦で役に立たず逆に足を引っ張るだけだと考えていたからだ。天から人間達を観察していたゼウスはとある少年を見つける。

 

―む、あれはアキレウスか。うむ、真面目に精進しているようだ。あれならきちんと役割を果たしてくれる事だろう。成長すれば巨人達との戦いでも使えるかもしれんな―

 

ミュケナイに滞在しているアキレウスを見つけた大神は、アキレウスが鍛錬に励んでいるのを見て満足気に頷く。

 

―だが決戦の日は近い。未熟な少年を連れて行ったところで役に立つはずもない。それにアキレウスは別の用途で使うつもりだしな―

 

アキレウスには別の機会に働いてもらう事を考えている大神ゼウスは巨人達との一大決戦にアキレウスを参加させるつもりはなく引き続き鍛錬させる事にしたのであった。

 

―それと今のうちに決戦を終えた後の二人の処遇を考えねばならんな。予備の方は魔女に監督させているし本人も大人しいから老衰で死ぬまで放置してもいいかもしれんが……本命の方はどうするべきだろうか?―

 

 

 

 

「……で昨日まで子豚にされていましたがようやく解放されたのが僕……!悪名高い大魔女の息子で天才魔術師のアクイラですよ。そういうわけで王様、僕は旅に出ようと思いますのでどうかお元気で!」

「いきなり何を言っておるのだ貴様は」

 

大神ゼウスが一大決戦に向けて準備をしている頃、ミュケナイの宮殿ではアクイラがエウリュステウス王に旅に出る事を報告していた。

 

「私としてはマカリオスと大魔女が私とミュケナイを守っているのなら貴様が旅に出るのは別にかまわんが……家族の許可は取っておるのか?」

「いえ、優しい父さんはともかくあの異常性愛者な母さんとゴリマッチョな姉さんの許可なんていりませんよ!僕は一人で生きていけますからね!それではお達者で!」

「いやちょっと待たんか」

 

さっさと旅に出ようとするアクイラにエウリュステウス王は思わずツッコミを入れて引き留める。

 

「ええい止めないでください。僕は頭にきてるんです!親切な助言をしただけで子豚にされて尊厳破壊されるだなんて理不尽すぎますよ!子豚になった僕を見て姉さんはゲラゲラ笑うし、アキレウスさんには憐れみの目で見られるし、母さんには散々愛でられて下の世話までされるしで本当に酷い目にあいました!ちょっと家を出て一人で旅に出るくらい許されますよ!というか豚にして愛でるって何なんですか!?他人を愛でるにしたってもっと……こう……あるでしょう!?母さんは優しいし魔術師として尊敬していますが、それはそれとして異常キュケオーン愛者で異常性愛者だと思ってます!それさえなければ自慢の母親なんですけどね!人を豚にして愛でるのは異常性癖だって王様もそう思いますよね!?」

「そうか。貴様も苦労しているのだな」

 

アクイラの怒涛の愚痴を聞いたエウリュステウス王はお喋りな所や性格は母親に似たのだなと思いつつ相槌を打つ。ちなみに母親が異常者ではないかというアクイラの言葉については無視して聞かなかった事にしていた。どんな回答をしても後でロクな目に遭わないと確信していたからだ。

 

「えっ?僕母さんに似てると思われてるんですか?ちょ、ちょっと傷つくんですけど……そんなぁ、僕は父さんに似て善良な性格をしているという自負があったんですが」

「当たり前のように心を読むでない。それと貴様はいい性格をしているとは思っておるぞ」

 

ショックを受けて崩れ落ちるアクイラにツッコミを入れるエウリュステウス王であったが、心を読まれても平然としていた。大魔女との交流によって王は心を読まれる事に耐性ができていたのだ。

 

「そ、それはともかく、僕はこれから旅に出ますのでどうか僕を止めないでください!」

「うむ、そうか。好きにすればよい。私は貴様を止めるつもりはないぞ。私はな」

「本当ですか!?やっほう!さすが王様は話が分かりますねぇ!父さんが絶対の忠誠を誓うわけですよ!では王様、僕の家族に一年くらい旅に出ると伝えてください!それでは!」

「王である私に伝言を頼むとは図々しい奴め。まあすぐに戻ってくるだろうがな」

 

エウリュステウス王の許可を得たアクイラは嬉々とした様子で宮殿を飛び出すのであった。

 

 

 

 

 

「ブーブー!」

「いやーごめんねー王様、私の息子が迷惑かけたみたいで申し訳ない」

「本当にすぐ戻ってきたなぁ」

 

アクイラが宮殿を出た直後に入れ替わりで入ってきた大魔女キルケーを見たエウリュステウス王は、大魔女に抱えられている子豚を憐れみの目で見ていた。

 

「何時から見ていたのだ?」

「そりゃあアクイラが家を出てからずっと見張っていたのさ。透明化と気配遮断の呪文に分身まで作って自分の居場所を誤魔化す念の入れようは中々見事だったよ。良妻賢母な大魔女である私じゃなかったら見抜けなかっただろうね。この歳でここまでやれるだなんて流石私の息子だ。イェラじゃここまで器用な事はまだできないな。あの子は真面目だけど不器用だからねー、後十五年くらい修行に励めばいけるかな?息子が将来有望すぎて私も鼻が高いよ」

 

「ブー!」

「こらこら暴れないの、確かに今のアクイラなら一人旅しても問題ないだろうけど、私から見ればまだまだ未熟だよ。後五年程修行したら安心して送り出せるから、今はまだ私の下でしっかり腕を磨きなよー?じゃあ家に戻ろうか、豚になった姿を笑った事についてイェラは謝りたいと言ってたからね……それと私の事を異常キュケオーン愛者だとか異常性愛者だとか好き勝手な事を言ってたけどどうゆうことかなー?言いたい事があるのなら私に直接言っていいんだよー?家に帰ったらじっくりお話しようかー?」

「ブウッ!?」

「……憐れな奴だ」

 

笑顔で額に青筋を浮かべる大魔女に抱えられガタガタ震えている子豚を見たエウリュステウス王は、子豚を本気で憐れみつつも自分にできる事は何もないと子豚の必死に助けを求める視線を無視して静かに見送る事にした。その後マカリオス邸で行われた家族会議では色々ありつつも、最終的にイェラはアクイラに謝罪し、母親の下で姉弟仲良く修行に励むのであった。

 

そして五年後、アクイラは大魔女キルケーから一人前と認められ無事独り立ちする。各地を放浪したアクイラは行く先々で人を助けたり、気に入らない奴を豚にして遊んだ後は元に戻したり、暇つぶしに父や姉を模した石像や魔術礼装を作ったりするなど様々な逸話を残す。大魔女キルケーに師事した弟子の中でも飛び抜けて優秀と評されたアクイラは天才魔術師兼大魔女として後世に名を残す事になるのであった。

 

 

 

 

 

「いやー、色々ありましたねー。異常性愛母さんから独立してから自由気ままに旅してますが、世の中面白い事ばかりで全然飽きませんよ」

「まぁ……!先生って本当にスゴイ御方なんですね!」

「フフン、そうですよ!僕は天才魔術師で大魔女ですからね!君を性転換させて女性にする事なんて余裕なんですよ!」

 

遠い未来、ローマ帝国の首都ローマにある宮殿にて時のローマ皇帝から尊敬の目で見られているアクイラは昔を思い返してしみじみとした表情を浮かべていた。アクイラはローマ帝国が誕生した後も放浪を続けており、今は気まぐれでとあるローマ皇帝に仕えていた。

 

「私もっと先生の話を聞きたいです!あ、そうだ!先生はネロ帝とも面識があったそうですが、どうして先生はネロ帝からすごく嫌われてたんですか?名指しでローマ帝国の敵扱いされるって余程の事ですよ?」

「あー、それはですねー、不幸な行き違いといいますか……」

 

女性になったローマ皇帝から皇帝ネロとの因縁について聞かれたアクイラは苦笑しつつ当時の事を話し始めた。

 

「いやね?僕としてはよかれと思ってやったんですよ?ローマ皇帝になった彼女は自分が女性だとバレないよう男装してたんですが、それがまた随分と舐め腐った男装でしてねぇ……あの乳と尻を隠さず男装は無理があるでしょ。見てられなくなった私は善意で手伝ってあげたんですよ。彼女が下手くそな男装をしなくてもいいようにね」

「まぁ、なるほど。それってもしかして私のように性転換を?」

 

「えぇ!そうです!彼女が眠っている間によかれと思ってやってあげたんですよ。性別を変えるのはもちろん華奢な体格から改良し父さんやヘラクレスさんのような男らしく筋骨隆々なムキムキマッチョにね!そして国のトップとして威厳が求められるローマ皇帝に必要な威厳に満ちた重厚な声が出せる声帯も立派な髭もオマケにつけてあげましたよ!ほら見てくださいこの威風堂々としたネロ君の姿を!これなら誰が見ても女だとは思わないでしょう!いやーいい仕事しましたよ!」

「わぁ!確かにこれは理想のローマ皇帝ですわ!」

 

ヘラクレスやマカリオスのような偉丈夫になったネロ帝の魔術映像を見たローマ皇帝は確かにこれは皇帝に相応しい姿だと納得し感嘆していた。

 

「でも何故かネロ君は気に入らなかったようで、朝起きて鏡を見たネロ君は絶叫して気絶するし、様子を見に来たネロ君のお母さんは泡を吹いて気絶しますし、僕は極悪人として指名手配されてしまいました。最終的にネロ君を元の姿に戻す事になりましたが本当に勿体ない事をしたと思いますよ。ネロ君は一体何が気に入らなかったんですかねぇ……ヘラクレスさんそっくりに整形してあげたコンモドゥス君の時は涙を流して感謝されたのになぁ」

「それは残念でしたね」

 

残念そうに溜息をつくアクイラを見たローマ皇帝は同情しつつも、意見のすり合わせは大事なのだなと考えていた。

 

「まあ過去の話はここまでにしておきましょうか。ヘリオガバルス君、今の身体はどうですか?何か問題があるのならすぐに報告してください」

「最高です!ちょっと大柄で筋肉質なのは気になりますが先生には本当に感謝しておりますわ!」

「うんうん、それはよかったです。そこまで喜んでくれるだなんて僕も嬉しいですよ」

 

ローマ皇帝……ヘリオガバルスに感謝されたアクイラはいい事をすると気持ちがいいなぁと満足気な表情を浮かべるのであった。

 

「では皇帝としてのお仕事頑張りましょうか。君が信仰する神様から頼まれた時は困惑しましたが、こうして国政に口出しする事になるとは思いませんでしたよ」

「はい!先生にお任せしますので私は何も心配しておりません!私はこれから先生を遣わしてくれた神に感謝の祈りを捧げてまいります!」

「いや仮にもローマ皇帝として仕事の丸投げは流石にダメだと思うのですが……あ、行っちゃいましたね。うーん、神官としては本当に真面目で好感が持てますし、あの神様が目にかけて可愛がる気持ちはわかりますけど、ローマ帝国の皇帝には絶望的に向いてないですよねぇ……なんで皇帝になれちゃったんですかねぇ……まあ一番悪いのは即位を認めた周囲と元老院ですよね。ヘリオガバルス君に仕事を丸投げされましたが臣下として頑張りますか」

 

 

 

 

……その後ローマ帝国唯一の女性皇帝となったヘリオガバルスは堅実な統治を続けローマ帝国を過不足なく治め、数年後次の皇帝にあっさり帝位を譲った後行方不明となる。ヘリオガバルス帝は元老院や軍人達から反発されていたものの民衆からは優しくて美しい統治者だと評価されており、後世でも賢帝とはいかないが堅実な皇帝だったとして評価される事になる。

 

現代では女性皇帝として有名になったヘリオガバルス帝だが、不思議な事に美しい少年の肖像と身長が高くて筋肉質な美女の肖像が残されており、ヘリオガバルス帝は実は両性具有だったとか、トランスジェンダーだったのではないかという推測が立てられているが真偽は不明である。




ネロちゃまはトラウマになった模様。
アクイラが整形したコンモドゥスの強さは0.2ヘラクレスです。所詮見た目だけ似せただけの見かけ倒しです。多勢に無勢だいっけぇ!すれば勝てる程度の強さです。ちなみにこの世界のコンモドゥスの死因は老衰です。



FGOでエウリュステウス王が何もいい事なく退場したので書きました。とある掲示板で建てたスレをもっと書きたかったのですがパートスレにするのも嫌なので、折角だし二次小説として書く事にしました。

ちなみにこのオリ主の実力はは0.9ヘラクレスを想定しています。本気になった時の足の速さは0.9アキレウスです。
正面からの殴り合いならアルケイデス相手でも僅かな優位がありますが、でも強いだけのバカで知力デバフが大きいので搦め手を使われると全然ダメな程度の強さです。



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