もしエウリュステウスの側近にヘラクレス並の化物がいたら   作:名無しのマネモブ

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続きです。今日から仕事が忙しくなるので以降の投稿が遅くなるかもしれませんがご了承ください。


家族団欒を楽しむヘラクレスと決戦の始まり

「私がミュケナイの王になるべきだと?」

「うん!」

 

アルゴー号の冒険を終えてギリシャ中を旅しているヘラクレスは、放浪の中で再婚し新しい家族に囲まれていた。そして生まれ故郷のテーバイに帰還し滞在していた時に、嫡男であるヒュロスから自分がミュケナイの王になるべきだと言われてヘラクレスは困惑する。

 

「いきなりそんな事を言うなんてどうしたのだ?」

「御婆様が言ってたんだ!父上は本当ならミュケナイの王の地位が約束されていたって!ミュケナイの正当な王は父上なんだって!ねえ父上!父上はどうしてミュケナイの王様にならないの!?」

「ああ、そういう事か。私の母から聞いたのだな」

 

祖母のアルクメネから聞いたとキラキラした目で問いかける幼いヒュロスを見たヘラクレスは苦笑しつつも、自分はミュケナイの王になるつもりはないと説明する。

 

「私はミュケナイの王になるつもりはないさ。ミュケナイはエウリュステウス王の物だ。大神ゼウスから認められたあの男は統治者として有能だしミュケナイを大いに繫栄させている実績がある。ミュケナイの市民達はエウリュステウス王を支持しているし、私は昔ミュケナイの王都で暴れた一件もあるから私がミュケナイの王になっても市民達は怖がって受け入れられないだろうな」

「えー!そんな事ないよ!父上はすごく強いしとても優しい人だって僕は知ってるもん!父上ならカッコよくて皆に好かれるいい王様になれるよ!」

「そうか。嬉しい事を言ってくれるじゃないか」

 

純粋な目で父親なら最高の王になれると信じる息子の言葉を嬉しく思ったヘラクレスはヒュロスの頭を撫でつつ言葉を続ける。

 

「お前が私を信じてくれるのは嬉しく思うが、私は王には向いてないよ。今でこそ落ち着いているが私は頭に血が上りやすい性格でな、カッとなって人を殺したことは一度や二度ではない。そんな性格の男が王になったところで暴君にしかなれないさ。こうしてヒュロスや家族に囲まれて静かに暮らすのが性に合っているよ」

「むぅ」

「それにエウリュステウス王にはマカリオスがいる。あの阿呆は強敵だし簡単に倒せる男ではない。そしてマカリオスの隣には大魔女キルケーがいるからな。あの二人を倒すのは私でも非常に難しいだろう。十二の難行以上の試練になるかもしれん……まあそもそも私はミュケナイの王になるつもりはないし向こうと戦うつもりもないがな」

 

父親が王になる気が一切ない事を悟ったヒュロスは不満げな表情を浮かべつつも、本人が乗り気じゃないのなら仕方ないかと諦める。

 

「あーあ、もったいないなあ。あ、そうだ父上、さっき言ってた十二の難行のお話聞かせてよ!なんかすごく強かった怪物のお話!」

「おぉそうか、私の話を聞きたいか。十二の難行で戦った怪物の話……どれの事を聞きたいのだ?」

「えっとね、この前言っていたすごく怖い毒を持った蛇の話!」

「ああヒュドラの事か。いいだろう」

 

そしてヘラクレスからヒュドラ討伐の経緯を聞いたヒュロスは、そんな恐ろしい怪物を討伐するなんてすごいと尊敬の眼差しで父親を見つつ、自分もいつか父親のような立派な大勇士になりたいと話す。

 

「すごい!すごいや!父上はギリシャ最強の大勇士なんだ!僕父上みたいな大勇士になりたい!僕もなれるかな!?」

「ああ、なれるさ。私の息子であるお前ならきっとなれるとも」

「やったぁ!」

 

無邪気に喜ぶ息子をヘラクレスは微笑ましい気持ちで見守っていたが、直後に大地が激しく揺れ動き咄嗟にヒュロスを庇う。

 

「うわっ!?」

「大丈夫か?これは……ただの地震ではないようだな」

 

遥か彼方の地平線から敵意を持った巨大な気配が大勢向かってきている事を感じ取ったヘラクレスは、ギリシャを揺るがす非常事態が起こっているのを理解する。

 

―ヘラクレスよ、聞こえているか?―

「はい大神ゼウスよ」

―ガイアの子である巨人達が我等に戦いを挑んできた。ヘラクレスよ、お前はマカリオスと共に巨人達を討ち取るのだ―

「承知いたしました」

 

大神ゼウスから戦争に参加するよう求められたヘラクレスは急いで戦の準備を行う。十二の難行を経て手に入れた数々の得物を手早く身に纏ったヘラクレスは最後にヒュロスに話しかける。

 

「ヒュロスよ、大神の声は聞こえていたな?私はこれから神々と巨人達の戦いに参戦するがその間は家を頼む」

「うんわかった!気をつけてね父上!」

「ああ、今回の戦は十二の難行に匹敵する試練となるだろう。ひょっとすれば私も死ぬかもしれない。その時は私の代わりにお前が母さんや祖母を守るんだぞ」

「大丈夫!父上ならどんな怪物だってやっつけられると僕は信じてるもん!」

「フッ、そうか。ならお前の期待を裏切らないよう頑張るとしよう」

 

自分なら必ず巨人達に勝てると無邪気に信じる息子の言葉を嬉しく思いつつヘラクレスは大神の案内によって戦場となる地へ一瞬で移動するのであった。

 

 

 

 

「ヒ、ヒィ、大地が揺れておる……お、おい大魔女よ!本当に大丈夫なのだな!?巨人達はここミュケナイにまで来ないのだな!?」

―大丈夫だってばー、本当に王様は臆病者だなー。巨人達は神々に戦いを挑んできただけで人間の事なんて興味はない事は何度も説明しただろう?―

 

同じ頃、ミュケナイではエウリュステウス王が宮殿の宝物庫の最奥で震えつつ大魔女キルケーにここは安全なのか確認していた。

 

―そこはミュケナイで一番安全な場所だ。ミュケナイの王と私しか入れないからね。イェラとアクイラは宝物庫の前で待機させてるし安心していいとも。それに王様が考えてるような最悪の展開は訪れないよ。オリュンポスの神々と良妻賢母な大魔女な私と素敵な旦那様、それにヘラクレスまでいるんだよ?これで巨人達に負ける事なんてありえないからね―

「ぬ、ぬぅ、確かにそうなのだが……貴様とマカリオスにあの化け物までいるのなら負ける事はありえんだろうな、うむ」

 

大魔女の言葉を聞いたエウリュステウス王は少しだけ安心し緊張を解く。

 

「よ、よしわかった、貴様の言葉を信じよう。私はここで貴様等が勝てるよう祈る事にする。マカリオス、マカリオスはおるか?」

―はい我が王よ―

「貴様は阿呆だが強さは本物だ。私は貴様の強さを疑った事はない……貴様の妻と協力して巨人達と戦い、あの化け物よりも活躍するのだぞ!よいな!」

―はい!―

 

最後に臣下のマカリオスを激励したエウリュステウス王は引き続き宝物庫の最奥に引きこもりつつ神々が勝利するよう祈る事にした。

 

 

 

 

「よし、王様も落ち着いてくれたようだね。まったく世話がかかるなー」

「我が王から激励された事だし俺達も頑張らなくてはな。だが俺一人だとヘラクレス殿や神々の足を引っ張っていただろう……キルケー、君が妻になってくれて本当によかった。君と一緒に戦えるのなら巨人達だって怖くないよ」

「うんうん、嬉しい事を言ってくれるなぁ旦那様は。私も素敵な旦那様と結婚出来て本当によかったよ。いつか必ず豚にして愛でてあげるからね。では旦那様と私の熱愛っぷりを巨人達に見せつけてあげようじゃないか!」

 

エウリュステウス王と通信を終えたマカリオスとキルケーはいちゃつきつつも決戦の場に瞬間移動しようとする。

 

「じゃあ行こうか……と言いたいところだけど、そこにいるアキレウス君?隠れてないで出ておいでー」

「チェッ、バレてたかぁ」

 

転移魔術を使う直前にキルケーは近くの草むらに笑顔を向けると、草むらからアキレウスが渋々といった様子で出てきた。

 

「フフン、良妻賢母な大魔女の私を出し抜こうだなんて千年早いよ。それで?一応聞いておくけど君はどうしたいのかな?」

「俺も連れていってくれ!神々と巨人達との一大決戦に一人の勇士として参加したいんだ!頼む!」

「うーん、意気込みは立派だね。迫りくる巨人達を恐れず武者震いして戦いに参加したいだなんて勇士の鑑だよアキレウス君は。でもまだ若い君じゃ足手まといにしかならないよー?」

「そんな事はない!確かに俺はまだ未熟だが、俺だってこの足の速さがある!マカリオスのオッサンと競走でいい勝負ができるこの足があればきっと役に立てるはずだ!」

 

必死に自分を連れて行ってくれと頼むアキレウスにキルケーは苦笑しつつもアキレウスを連れていくつもりはなく静かにさせようとする。

 

「ごめんねー、大神ゼウスからも言われてるし君を連れて行く事はできないんだ。今回は諦めてね。じゃあちょっとの間眠ってもらおうか」

「……キルケー、そんな事言わずアキレウス君も連れて行ったらどうだ?」

「えっ?」

 

夫の提案を聞いたキルケーが困惑するもマカリオスは言葉を続ける。

 

「アキレウス君は腕力はともかく速さは大したものだ。キルケーが支援してやれば十分に活躍してくれると思うが」

「い、いやー、でも巨人達との決戦に連れてくのはまずいんじゃないかなー?」

「だが彼はもう一人前の勇士だ。勇士の願いを無下にするのはよくないだろう。それにここに置いて行っても自力で戦場に走って行って参戦しそうだぞ」

「そうだ!キルケーさんが俺を連れて行ってくれないなら俺は自分の足を使って戦場に向かうぞ!キルケーさんはそれでいいのか!?」

「え、ええー……?何その斬新な脅しは?いや、ううん、確かにアキレウス君の足の速さなら戦場まで走って行っても間に合いそうだけどさ。なら呪いで足を縛って……でもアキレウス君は呪いに耐性があるからすぐに解除されそうだしなぁ」

 

少し考え込みぶつぶつ独り言を唱えていたキルケーだったが、最終的に諦めてアキレウスを連れて行く事にした。

 

「はぁ、まあいいか。いざとなれば私の魔術で脱出させればいいよね……じゃあアキレウス君、一緒に空間転移するからこっちにおいで」

「おおっ!?あ、ありがとうなキルケーさん、それにマカリオスのオッサン!俺を連れて行った事を後悔させないぜ!」

「うむ、よろしく頼むアキレウス君、共に戦おう」

 

自分の願いが聞き入れられたアキレウスは喜色満面の笑みを浮かべてマカリオス夫妻と共に戦場へ転移した。そして戦場となる地でマカリオスはヘラクレスと久々に再会したのだが……

 

 

 

 

「久しぶりだなマカリオス。そして相変わらず阿呆だな貴様は。何を考えて少年を連れてきたのだこの阿呆が」

「す、すまない」

 

ヘラクレスからお前何を考えてるんだと真顔で詰められたマカリオスは低身平頭して平謝りする事になるのであった。




というわけでギガントマキア開幕です。



FGOでエウリュステウス王が何もいい事なく退場したので書きました。とある掲示板で建てたスレをもっと書きたかったのですがパートスレにするのも嫌なので、折角だし二次小説として書く事にしました。

ちなみにこのオリ主の実力はは0.9ヘラクレスを想定しています。本気になった時の足の速さは0.9アキレウスです。
正面からの殴り合いならアルケイデス相手でも僅かな優位がありますが、でも強いだけのバカで知力デバフが大きいので搦め手を使われると全然ダメな程度の強さです。



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