もしエウリュステウスの側近にヘラクレス並の化物がいたら 作:名無しのマネモブ
「貴様正気か?これから神々と巨人達の決戦が始まろうとする場所に少年を連れてくるなど何を考えているのだ?貴様は阿呆だが良識はあると思っていたのだが?」
「い、いや、ヘラクレス殿。確かにアキレウス君は少年だが巨人達にも臆する事もなく戦う意思はあるし強さも中々のものでな、周りの支援があればアキレウス君も十分活躍できると思ったのだ」
「なるほど、貴様の言う通りだ。巨人達を前にしても怯えず武者震いするとは並外れた度胸だし、私から見ても彼が強いのは認めよう。今の時点でも並みの勇士など一蹴できるだろうし、戦場では一騎当千の活躍ができるだろうな。この若さでここまで強くなれるとはケイローン殿の指導のお陰もあるだろうが、本人の努力と才能によるものだろう。大したものだ」
「う、うむ」
「だが今の彼はまだ未熟だ。これから始まる巨人達との戦いにはついてこれないだろう。彼を介護しながら戦う余裕などないし、それにここで彼に死なれたら師に申し訳が立たん。わかったらすぐに彼を退避させるんだ。いいな?」
「も、申し訳わけない。いや本当に申し訳ない」
巨人達の決戦が始まろうとする直前、久しぶりに再会したヘラクレスから真顔で詰められたマカリオスはタジタジになりつつ平謝りしていた。
「な、なあヘラクレスさんよ、マカリオスのオッサンをあまり詰らないでくれないか?俺がここにいるのは俺が無理言ってついてきたからであってオッサンは悪くねぇよ」
「君は黙っていろ、君が無理矢理ついてきたのは察しているが軽い気持ちで君を連れてきた阿呆が一番悪いのだから」
見かねたアキレウスが自分が悪いのだと会話に割り込むが、ヘラクレスは連れてきたマカリオスが一番悪いと断言していた。ヘラクレスはアキレウスの意志や強さは認めていたものの、まだ未熟な彼をこの決戦に参加させるのは正気の沙汰ではないと考えどうにかして退避させようとしていた。これから激戦が始まるのに足手まといはいらないという考えであったが、将来有望な少年をこんなところで死なせるわけにはいかないという思いもヘラクレスにはあった。
「う、ううむ、ヘラクレス殿の言う事がその通りすぎてまったく反論できない。どうすればいいのだろうか?」
「んー、そうだね、アキレウス君の事を考えたらこの場から退避させるべきなんだろうけど、たぶん転移させてもすぐ走って戻ってくるだろうねぇ……なら良妻賢母な大魔女の私の傍に置いて護衛を任せるのはどうかな?」
困ったマカリオスを見た大魔女キルケーは折衷案として自分の傍に置いて戦わせるという案を出す事にした。
「私は旦那様を魔術で援護する、そして魔術を行使して隙ができる私をアキレウス君が守ればいい。アキレウス君が護衛になるなら私も安心して魔術を使えるよ。今のアキレウス君の力じゃ巨人達に致命傷を与える事はできないけど、幸いな事に巨人達にも通用する猛毒があるからね。というわけでヘラクレス、君が持っているヒュドラの毒を塗った矢を幾つかアキレウス君に貸してあげられないかなー?」
「まあそういう事ならかまわんが……」
キルケーから要請されたヘラクレスは自分の切り札であるヒュドラの猛毒が塗られた矢をアキレウスに貸し与える。
「おおっ、これがあの十二の難行で討伐したヒュドラの毒矢なのか!ありがとなヘラクレスさん!」
「取り扱いには気をつけろよ。もし間違って自分を傷つけたら即死か死ぬよりも悲惨な事になるぞ」
「そんな無様な真似はしないさ!……ちなみに死ぬより悲惨な事になるってどうなるんだ?」
「ええとね、不死の神々でも不死を捨てて死を願うほどの激痛に蝕まれるよ。普通の人間なら即死するけど旦那様やヘラクレスのような半神だと即死はできず苦しみぬいて悶絶するけどすぐには死ねない悲惨な状態になるよ。ああそうだね、アキレウス君も半神だし即死できず悶え苦しむ事になるだろうねー?」
「うぉ……へッ、上等だ!これがあれば巨人達だって怖くないぜ!」
キルケーの補足を聞いたアキレウスは少し気後れしつつも、これで自分も戦えると意気軒昂な様子を見せる。それを見ていた大神ゼウスは渋々ではあるがアキレウスの参戦を認め、いよいよ巨人達との一大決戦……ギガントマキアが始まるのであった。
「おお、来たぞヘラクレス殿」
「貴様に言われなくても見えてるさ。どいつもこいつも図体がデカいな」
ギガントマキアが始まった。地平線の果てより押し寄せてきた巨人達は巨石や山を持ち上げて一斉に投げつけてきた。
「ううむ?図体の割に持ち上げる山の大きさは大した事ないぞ。手加減しているのだろうか?」
「それはないと思うがな。巨人達から見ても貴様や私のような怪力は珍しいのだろうよ」
投げつけられた巨石や山を危なげなく躱したマカリオスとヘラクレスは図体の割に非力だなぁと呑気に考えていた。その後も巨人達の攻撃が続くが稲妻の如き速さを持つマカリオスと百戦錬磨のヘラクレスには一切当たらず巨人達は苛立ちを募らせていく。
「なぁヘラクレス殿、巨人達は何故か俺達を優先して攻撃してないか?」
「ああ、貴様も気づいていたか。どうも巨人達は私達の事が気に入らないらしい」
対立する神々よりも半神の自分達を優先して狙う巨人達にマカリオス達は困惑する……母なる大地ガイアより生まれし巨人達はガイアの加護によりオリュンポスの神々では殺す事はできず、巨人達を殺すには人間の協力が必要不可欠である。そしてその事実は巨人達も把握しており、自分達を殺す事ができる人間のヘラクレスとマカリオスを優先して攻撃するのは当然の事であった。
「まあいい、大神の事前の御指示に従い私達は倒れた巨人達にとどめをさそう」
「おう、ヘラクレス殿の言う通りだな」
巨人達がマカリオスに注意を向けて隙を見せているのを好機と見た神々は攻勢に出る事にした。大神ゼウスが雷霆で巨人達を攻撃し、他の神々も負けじと自分の得物や怪力を使って巨人達を殴りつけていく。いくら神々の攻撃に対して死なないといってもダメージを無視する事はできず、巨人達は次々と倒れていく。
「よし!俺達の出番だな!キルケー!援護を頼む!」
―はいはい任せてね私の旦那様、それっ!―
倒れた巨人達にとどめをさすべく動き出したマカリオスは身体に雷光を纏い一気に飛び出した。そこにキルケーの強化魔術もかかり腕力と足の速さが飛躍的に上がったマカリオスは倒れ伏した巨人の一人に殴り掛かる。
「ふぅん!っと、固いな。そぉい!……ヨシ!」
助走をつけて殴りつけた一撃は巨人の頭蓋を割りつつも殺すまではいかなかったが、二撃目で頭を破裂させて巨人を殺す事に成功していた。
「ヨシ!この調子でいこう!」
「いや待て、一番頑丈な頭蓋を正面から叩き割るな阿呆が。もう少しやりようがあるだろうが、そんなやり方では途中で息切れするぞ」
馬鹿正直に正面から殴り殺したマカリオスを見てヘラクレスは思わず呆れてしまう。そして手本を見せてやろうと近くで倒れていた巨人にとどめをさす事にする。
「
「おおなるほど!確かにそのやり方なら拳も傷つかないな!俺もそうしよう!」
ヘラクレスが洗練された動きで効率的に巨人を殺したのを見て感心したマカリオスは余計な消耗をしないように動く事にする。その後ヘラクレスとマカリオスは二人で協力しながら行動し、巨人の首を引き抜いてから頭を押しつぶしたり、暴れる巨人の両腕を同時に引き抜いた後心臓を抜き取るなど多種多様な殺し方で次々と巨人達にとどめをさしていくのであった。
「うおおお……!スゲエなマカリオスのオッサンとヘラクレスさん!毒矢なんか使わなくても素手で余裕じゃねーか!」
「まあねー、あの二人が協力して戦えば巨人達なんて楽勝だよ。巨人達はね」
半神二人の圧倒的な力を見たアキレウスは二人を尊敬しつつ自分もいつかあんな大勇士になりたいと無邪気に興奮していた。そんなアキレウスを見たキルケーは苦笑しつつも大魔術を行使し夫やヘラクレスをサポートしていく。
「おっと、こちらに向かってくる巨人がいるな。私の魔術が二人を強化してるのに気づいて阻止しようと考えてるみたいだ。頭の悪い巨人としては中々賢い部類だね。アキレウス君頼むよ」
「おう!任せてくれキルケーさん!」
キルケーから任されたアキレウスは自慢の脚を使い迫りくる巨人の攻撃を難なく躱し背後を取る。そしてヘラクレスから貸し与えられた毒矢を巨人の首の後ろに突き刺した。まだ未熟なアキレウスの一撃は巨人に対してかすり傷を与えるだけであったが、そのかすり傷は巨人にとって致命傷であった。
「?……!?!?!?―――――!!!!!?!?!?」
「う、うおっ……」
言葉にならない絶叫をあげて悶え苦しみ大地を転がり回る巨人を見たアキレウスはヒュドラの毒の凄まじさに思わず引いてしまっていた。
「マジかよ、かすり傷つけただけでこうなるのか……ヒュドラの毒ヤバすぎるだろ。そしてこんなヤバい猛毒を持つ怪物ヒュドラを狩ったヘラクレスさんスゴすぎるだろ……!いや本当にスゲエよヘラクレスさんは!」
「うん、そうだね。流石ギリシャ最高の大勇士だよ。認めたくないけど私の旦那様じゃヒュドラの討伐は厳しいだろうねー。旦那様は正面から殴る事しかできないからヒュドラとは相性が悪いんだよね」
恐ろしい猛毒を持つヒュドラを討伐したヘラクレスに対してアキレウスは尊敬の念を一段と高めていたが、キルケーが難しい表情をしているのを見て何か問題があるのかと確認する事にした。
「なぁキルケーさん、何か心配事でもあるのか?マカリオスのオッサンとヘラクレスさんのお陰で巨人達はどんどん数を減らしているし、この調子ならこちらの敗北はあり得ないだろ。キルケーさんは何が心配なんだ?」
「あー、気づいちゃった?ええとね、君の言う通り巨人達はもう勝ち目がないしこのままいけば神々の完全勝利となるだろう。だけど大神やお師匠様が危惧する最悪の可能性があってねー。いやできれば杞憂であってほしいんだけどね?」
冷や汗を流すキルケーを見て巨人達よりも恐ろしい敵がいるのかとアキレウスは緊張を走らせる。
「最悪の可能性?一体何が来るっていうんだ?」
「いや、本来なら来るはずがないんだけどね?でもちょっとこちらが一方的過ぎる展開だからガイアが怒って予定より早く
「
「アキレウス君は知らなくていいよ。というか知ってはいけないから教えられな……えっ、なにっ!?……う、嘘だろ、こ、こんな事が……早すぎるよ……!?」
その時大地がひときわ大きく揺れ動く。激しい大地の揺れを見たキルケーを顔を青褪め、それを見たアキレウスは何か非常にマズイ事が起きている事を察していた。
「おいキルケーさん!
「よ、よーし!じゃあ逃げるかぁ!」
「はぁ!?アンタ一体何を言って」
「うんちょっと黙っててくれないかなー!?大丈夫!お師匠様の予言では最終的に神々が勝利するはずだから今逃げ出してもこれは敗北じゃないからね!よーし転移術式の準備完了だ!今から私と旦那様をアイアイエー島に転移させるよ!ちょっと予定より早いけどアイアイエー島でラブラブ生活開始だーーーっ!…………あ、はい、大神ゼウスよ、はい、お見苦しい姿を見せてしまい申し訳ありません、誓いは守ります。はい、はい、私は旦那様を全力で手助けします、はい」
慌てて逃げ出そうとしていたキルケーが突如冷や汗をダラダラ流しながら頭を下げ続けるのを見てアキレウスは何が何だかわからず困惑するも、とりあえず説明してほしいと頼む。
「あー、キルケーさん?落ち着いてくれてよかったけど、これから何が来るのか教えてくれないか?」
「うん、わかったよ。大神から君に話していいと許可をもらったからね……これから来る物はギリシャ最強の怪物。
「ッ……………ハッ、面白れぇじゃねえか!アレを倒せれば後世で永遠に称えられるだろうなぁ!」
「お、おぉ、アレを見てそんな啖呵が切れるとはすごいなぁ……実力はともかく精神だけなら君はもう一人前の大勇士だよ」
キルケーの言葉に息を呑んだアキレウスは大地の割れ目から何かが出てくるのを見て絶句する。巨人達よりも遥かに恐ろしい敵だと理解したアキレウスは思わず震えるも心が折れる事はなく闘志を燃やし、それを見たキルケーは大したものだと素直に感心するのであった。
「おいヘラクレス殿、新手の敵みたいだ……おかしいな?巨人というよりは竜に見えるのだが?」
「貴様の言う通りだな。あれは巨人ではないな。巨人達とは比べ物にならない程危険な敵だ。十二の難行で戦った怪物達よりも遥かに危険な奴だ」
「ううむ、ヘラクレス殿の言う通り巨人達よりもずっと恐ろしい敵だな。でも我が王に激励された以上、しっぽを巻いて逃げ出すような真似はできない。戦うか」
「ああ、そうだな。神々が見ているし無様な真似はできん。やるしかあるまいよ。幸いにヒュドラの毒矢は温存してあるし、今こそ使うべきだ」
「なるほど、確かに神々にも効くというヒュドラの毒なら何とかなるかもしれない。でもあの竜が素直に毒矢をくらうとは思えないがどうする?」
「確かにそのままだと当たらんだろうが、なら当たるように工夫すればいい。おいマカリオス、耳を貸せ。それとキルケー、アキレウス君も聞こえてるか?なら一緒に聞いてくれ。本当ならアキレウス君は避難させたいが、あの怪物を倒す為にも念には念を入れたいからな」
一体誰フォンなんだ……ギガントマキアはもうちょっとだけ続きます。ちなみに無理矢理叩き起こされたので誰フォンは本調子ではありません。
FGOでエウリュステウス王が何もいい事なく退場したので書きました。とある掲示板で建てたスレをもっと書きたかったのですがパートスレにするのも嫌なので、折角だし二次小説として書く事にしました。
ちなみにこのオリ主の実力はは0.9ヘラクレスを想定しています。本気になった時の足の速さは0.9アキレウスです。
正面からの殴り合いならアルケイデス相手でも僅かな優位がありますが、でも強いだけのバカで知力デバフが大きいので搦め手を使われると全然ダメな程度の強さです。
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