もしエウリュステウスの側近にヘラクレス並の化物がいたら 作:名無しのマネモブ
「それでね、巨人達については旦那様とヘラクレスが二人で協力しながら仕留めていったのさ。ほらこんな感じにね。巨人達は図体は大きかったけど力は旦那様達に負けてて、いやその立派な筋肉は見掛け倒しかよってツッコミたくなるくらい弱かったなー。いくら大神の血を引いてる半神とはいえ腕力で人間に負ける巨人ってどうなのさ?あの程度の強さでオリュンポスの神々を倒して取って代わろうと考えるだなんて思い上がりも甚だしくて笑っちゃうよねー。王様もそう思うだろう?」
「うむ、そうだな」
「うんうん、王様もやっぱりそう思うよね!巨人達は一大決戦に打って出る前に一心不乱に鍛錬をするべきだったよ。私の素敵な旦那様のようにね。半神の旦那様やヘラクレスが鍛錬の結果怪力を手に入れたんだし、巨人達も鍛錬すればよかったんだよ。母なる大地の女神ガイアから生まれた存在なのだし素質は十分にあったと思うよ?もし巨人達が真面目に鍛えて旦那様並の腕力を全員持っていたら神々も苦戦しただろうに。ああでも遠距離から一方的に攻撃されるだけだね。どの道巨人達に勝ち目はなかったか。そうか!巨人達は頭が悪くて腕っ節の強さ以外に他に取り柄がなかったけど、肝心の腕っ節も怠けてた結果旦那様達に負けてた弱き者達なんだね!可哀想に……」
「うむ、そうだな」
「まあ弱き者達についてはもういいかな。問題はその後出てきた竜の方だよ。不甲斐ない巨人達とは違ってこちらは怪物を超えた怪物でさぁ、旦那様と良妻賢母な大魔女の私とヘラクレスとアキレウス君が力を合わせて頑張ったお陰で何とかなったけど、ヘラクレスが持参していたヒュドラの毒矢がなかったらもうどうしようもなかったなー。もう二度と戦いたくない相手だね。神々に袋叩きにされた後に竜はエトナ火山に厳重に封印されたけど、今後封印が解かれない事を願うよ。まあ神々もあの怪物の危険性は理解してるし、封印が解かれないようしっかり見張るだろうから大丈夫だと思うけどね」
「うむ、そうだな。神々が袋叩きにしても死なない怪物とか怖すぎるし永遠に封印されてほしいものだな」
「でもよく考えたらヒュドラの毒強すぎないかな?神々やあんな怪物にも通用する最強の毒とか恐ろしすぎるでしょ。旦那様の言う通り危険すぎるしヘラクレスが残った毒矢を神々に引き渡したのは悪くない判断だと思うよ。持ってても持て余すだけだし、もうこの世界で使う場面はないだろうし、もし必要になった時はその都度神々から借りればいいだろうからね。しかしそんな危険な毒を持ったヒュドラを倒したヘラクレスはスゴいよね!アキレウス君が尊敬の念を深めるわけだよ!……でもアキレウス君はヘラクレスの事をヘラクレスさんって呼ぶのに、旦那様の事はマカリオスのオッサン呼びなのはなんでなのかなー?これもしかしてナメられてるのかなー?私の旦那様がナメられるなんてムカつくなぁ……殴りたいなぁ……ブッ呪ってやりたいなぁ……」
「う、うむ、そうだな。あの小僧は礼儀がなってないな。でも小僧は親しみを込めてオッサン呼びしてるのだろうし許してやるべきではないか?」
「んー、まあ確かにそうか。アキレウス君が旦那様に懐いているのはわかってるしオッサン呼びに悪意がない事は私も理解してるからね。仕方ない、海よりも広い心を持つ良妻賢母な大魔女として寛大な精神で見逃してあげようじゃないか」
「うむ、そうだな。子供が無知故に無礼を働いたとしても怒らず笑って許してやるのが大人というものだ……それと一つよいか?」
「ん、なんだい?」
「流石に説明が長すぎると思うのだが……夜明け前に叩き起こされてからずっと報告を聞いておるがもうすぐ昼になるぞ?一度休憩を入れるべきではないか?」
「えー、まだまだ話したい事がいっぱいあるんだけどなー?」
ギガントマキアが集結した翌日、世界が落ち着きを取り戻しミュケナイは何時も通りの平穏な時間が流れていたが、ミュケナイの宮殿では大魔女キルケーから怒涛の言葉の洪水を聞かされ続けたエウリュステウス王がぐったりした様子を見せていた。
「ま、まだ話す事があるというのか……!?」
「そうだねー、大神の雷を纏って竜に殴りかかる旦那様の勇姿とか、旦那様が私の事をどれだけ想っているのかがわかる愛の言葉とか、屋敷に帰って子供達と一緒にキュケオーンパーティーした事とかねー。ああそれと昨日の夜に旦那様と激しく愛し合った事については映像つきでじっくりねっとり説明しようと思ってたんだけどなー」
「いやマカリオスの事ばかりではないか。貴様が夫をどれだけ愛してるのかはもうわかっているから説明しなくてもよいぞ。そんな事より夫の傍にいてやるべきだと思うがな。奴はまだ完治していないのだろう?貴様が傍にいて看病してやるべきだ」
「あ、そうだった。もうすぐお昼ご飯の時間だし王様の言う通り妻として旦那様を支えてあげないとね。じゃあ続きは明日にするよ。またね王様」
「うむ、それがいい。私よりもマカリオスの事を優先するべきだぞ。ではな」
王の言葉に従い屋敷に帰る大魔女を見送ったエウリュステウス王は肩の力を抜いてリラックスする事にしたのであった。
「つ、疲れた……余計な事を考えたら制裁されるから無心になって聞き続けたが、夜明けから昼前までずっと話を聞かされるのは流石に疲れたぞ……できればあの化け物は死んでほしかったが、まあ私のマカリオスが後遺症もなく無事に戻ってきたしよしとするか」
「父上お帰りなさい!」
「うむ、私が留守の間家をしっかり守ったようだな。偉いぞヒュロス」
「うん!エヘヘ」
家族の元に帰還したヘラクレスは大事な家族が無事でいた事に安堵する。自分の帰りを喜び笑顔で抱きついてくる息子の頭を撫でながらヘラクレスは穏やかな笑みを浮かべていた。
「あれ?父上、父上が持ってたスゴい弓矢がないよ?なくしちゃったの?」
「ほぅ、目敏いなヒュロスよ。ヒュドラの毒矢は神々に引き渡したからもうないのだ」
「えー!そんなぁ、僕が大きくなって一人前の勇士になったらあの弓矢を触らせてもらう約束だったのに!」
ヒュドラの毒矢が失われた事を知ったヒュロスは残念そうにしていたのでヘラクレスは苦笑しながら息子を宥める事にした。
「すまない、そういえばそんな約束をしてたな。あの毒矢はあまりにも危険すぎるから神々に渡した方がいいと考えたのだ。じゃあ代わりにネメアの獅子の毛皮とマルミアドワーズを触らせてやるから機嫌を直してくれ」
「え、あの剣を触らせてくれるの!?やったぁ!あ、そうだ父上!父上は今回の戦いで巨人達を蹴散らしたって聞いたんだけど、その時のお話を聞かせてよ!」
「おおそうか、あの戦いの事を聞きたいか。いいだろう、ヒュロスだけでなく皆に聞かせてあげるとしよう」
機嫌を直した息子からギガントマキアの話を聞かせてほしいと言われたヘラクレスは、家族を集めた上でギガントマキアでの戦いについて話す事にした。マカリオスと一緒に巨人達を殲滅した事や、その後出てきた強大な竜を退治した経緯を詳しく話した結果、流石ギリシャで一番の大勇士だとヒュロス達から尊敬の眼差しで見られるのであった。
「父上!僕は父上みたいな偉大な勇士になる!父上が持っているあのスゴい剣や獅子の毛皮は大勇士になった僕が引き継ぐから他の人にはあげないでね!約束だよ!」
「フフ、そうか。わかったよ、私のマルミアドワーズやネメアの獅子の毛皮はお前が一人前の勇士になったら譲るとしよう」
「よくぞ戻ってきましたアキレウスよ」
「は、はい」
ヘラクレスが家族と穏やかな時間を過ごしている頃、アキレウスは大魔女キルケーによって自分の師である大賢者ケイローンの下に転移していた。ケイローンはにこやかに微笑んで弟子を出迎えたが、アキレウスは何故か冷や汗を流し緊張した表情を浮かべていた。
「アキレウス、貴方の活躍についてはキルケー殿から映像つきで説明してもらいました……見事でしたね。巨人達の攻撃からキルケー殿を守り、その後現れた恐ろしい竜にも臆する事なく立ち向かい竜に致命的な一撃を入れ、神々の勝利の立役者になるとは本当に見事です。大神ゼウスも貴方の事を褒めておられましたし、この功績は未来永劫語り継がれる事でしょう。私から見ても貴方はもう立派な大勇士ですよ」
「そ、そうですか!?ヘヘッ、先生にそんな風に褒められるなんて嬉しいです!」
「ええ、貴方が成し遂げた偉業については本当に素晴らしい事ですし師として褒める事に躊躇いはありません。貴方は私の誇りです……ですがアキレウス、私はこれから貴方を叱らなければなりません。理由はわかりますね?」
「あ、はい」
尊敬する師から称賛されアキレウスは目をが輝かせて喜ぶが、その後に続いた大賢者の言葉を聞いて反射的に正座し説教を聞く姿勢を取る。大賢者がにこやかな笑顔を浮かべつつも少し怒っている事をアキレウスは察していた。
「貴方が一大決戦に参加した経緯についてはキルケー殿から聞きました。何をやっているのですか?勇士として決戦に参加したい気持ちは理解できますが、神々と巨人達の戦いにまだ未熟な貴方が参加するなど命知らずにも程がありますよ?」
「はい……」
「駄々をこねる貴方を見かねたマカリオス殿のご厚意で戦場に連れて行ってもらったそうですが、本来なら殴り飛ばされたり拘束されても文句は言えないのですよ?ヘラクレスが貴方を帰らせようとしていたのは当然の事です。最終的に貴方は一大決戦に参加し神々の勝利に貢献しましたが、それはそれ、これはこれです。幼児のように駄々をこね相手の厚意を利用するのは勇士として恥ずべき行為です。それは理解できますね?」
「すみませんでした……」
その後もケイローンの説教は続いたが、自分が悪いと理解しているアキレウスは文句を言う事なく尊敬する師の説教を黙って聞いていた。そして最終的にケイローンからよくぞ生きて帰ってきたと抱きしめられたアキレウスは本当に申し訳なかったと心から謝罪し、今のままで満足せず勇士として更なる研鑽を積み成長する事を誓うのであった。
「はい旦那様、あーん♡」
「うん、ありがとうキルケー。君の作った特製キュケオーンはとても美味しいよ」
ミュケナイの宮殿から屋敷に戻ったキルケーは甲斐甲斐しく夫マカリオスの看病を行っていた。マカリオスの怪我は既に殆ど治っていて看病の必要などなかったのだが、マカリオスはキルケーの看病を受け入れており、こんなに甲斐甲斐しく尽くされるなんて自分は本当に幸せ者だなぁと呑気に考えていた。
「お父さんとお母さんって本当に仲睦まじいわねぇ……でもお母さんのあの特製キュケオーンを食べて平気なお父さんってスゴいわよね」
「いや本当にスゴいですよね、僕達姉弟が食べたら問答無用で豚になって解呪にすごく時間がかかるだろう呪物を超えた呪物ですよあれは。それに何がスゴいって特製キュケオーンに入ってる特別な血の正体を知っても父さんは笑って受け入れそうなところですよね。うーん父さんの器がデカすぎる……いや器の底に穴が空いてるのかもしれませんね。父さんの事は尊敬してますが底抜けの阿呆なのは否定できませんし」
「聞こえてるよアクイラ、私の旦那様を愚弄するなんていい度胸だねー?ちょっと子豚になろうか」
「ヒエッ」
「今のはアクイラが悪いわね。諦めなさい」
きゃあきゃあと騒ぐ妻と子供達を見たマカリオスはこの平穏な生活を守る事ができて本当によかったと心から思い、この生活が今後も続くように神々に祈る事にした。
……その後マカリオスは何時も通りミュケナイにて平穏な生活を過ごす事になる。ミュケナイの守護者として敬愛する主君を守りつつ家族と穏やかな時間を過ごすマカリオスだが、マカリオスが何よりも好きな平穏な生活は遠い未来にてトロイア戦争が勃発した事で破られるのであった。
この後は番外編をいくつか書いて第三章もとい最終章となる予定です。
FGOでエウリュステウス王が何もいい事なく退場したので書きました。とある掲示板で建てたスレをもっと書きたかったのですがパートスレにするのも嫌なので、折角だし二次小説として書く事にしました。
ちなみにこのオリ主の実力はは0.9ヘラクレスを想定しています。本気になった時の足の速さは0.9アキレウスです。
正面からの殴り合いならアルケイデス相手でも僅かな優位がありますが、でも強いだけのバカで知力デバフが大きいので搦め手を使われると全然ダメな程度の強さです。
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