もしエウリュステウスの側近にヘラクレス並の化物がいたら   作:名無しのマネモブ

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続きです。


マカリオスとアルケイデスの闘い

「ヒィッ!?な、なんだ!?なんなのだこの揺れは!?マカリオス!マカリオスは何処だ!」

 

ミュケナイの支配者であるエウリュステウス王は先程から起きている大きな揺れに怯えていた。何時もの用に政務を終え宮殿にて優雅に寛いでいた所を突如として激しい揺れに襲われたエウリュステウス王は動揺しつつも自分を護衛させる為にマカリオスを呼ぶが、普段と違いすぐに来ない事に焦りを見せる。

 

「ええい何故来ないのだ!?おい貴様!一体何が起こっているのかわかるか!」

「は、はい!先程から宮殿前にてマカリオス様とミュケナイを訪問してきたアルケイデス殿が取っ組み合いをしておりまして!」

「はぁ!?」

 

部下の言葉を聞いたエウリュステウス王はあのアルケイデスがミュケナイに来ている事に驚愕し、しかし何故自分の一番の臣下であるマカリオスと取っ組み合いになっているのか困惑する。

 

「何故マカリオスは止めようとしているのだ?」

「そ、それが、子殺しの気狂いを王に謁見させるわけにはいかないので追い返すとマカリオス様が」

「……おお、うむ、まあ確かにそうか。それは私も追い返すように命じるだろうな、うむ」

 

エウリュステウス王はマカリオスの言い分に思わず納得するが、しかし宮殿を断続的に襲う揺れに苛立ちを覚える。

 

「フン!だからといって宮殿前で暴れるとは!私に迷惑をかけるかもしれないと思い付かんのかあの愚図は!相変わらず頭が悪い奴だ!すぐにやめさせろ!」

「し、しかし…」

「何を躊躇っておるのだ!さっさと行け!……ええい情けない奴等め!このミュケナイの支配者である私の命令に従えないのか!?」

 

何故か怯えた様子を見せる部下達を見てエウリュステウス王はなんと情けない連中だと怒鳴りつける。王の命令を伝えるという子供でもできる事が何故できないと頭を抱えたエウリュステウス王は部下達を処刑するべきかと考えていたが、直後に轟音が鳴り響き大地を揺るがすのを感じて飛び上がってしまう。

 

「ヒィッ!?い、いくらなんでもやり過ぎだ!私に何かあったらどうするつもりなのだ愚か者め!」

 

エウリュステウス王は震えつつもミュケナイで一番強いマカリオスがここまで梃子摺るとはどういう事なのかと困惑し宮殿から二人の戦いを覗く事にした。

 

 

 

 

「うおっ!?おい、大人しくしろこの気狂いがッ!」

 

そこでは普段とは違い必死な表情を浮かべ取り抑えようとするマカリオスと……

 

「■■■■■ーーーッッ!!」

 

血走った目をして狂乱状態となり暴れているアルケイデスがいた。

 

「ヒッ、ヒイィーッ!?」

 

そして狂乱するアルケイデスの鬼気迫る様子を見てしまったエウリュステウス王は心底怯えた表情で宮殿奥に逃げ出し、厳重に警護させた寝室にて小動物のように震えつつマカリオスが勝つようにと必死に祈るのであった。

 

……その後アルケイデスがエウリュステウス王に仕える事になったが、エウリュステウス王は余程の事がなければアルケイデスと対面する事はなく、不嫌嫌ながら会う時は必ずマカリオスを傍に置いていたと伝説には書かれている。

 

 

 

 

 

「よしっ、王は避難されたようだ。兵達には市民を避難させるよう指示したし後はコイツを大人しくさせればいいのだが」

 

王が退避していくのを感じ取ったマカリオスは安堵しつつもアルケイデスと殴り合いを続けていた。

 

「■■■■■ーーーッッ!!」

「しかしこの気狂い本当に強いな、俺より強いかもしれないぞ。これで気狂いじゃなければなぁ……」

 

狂乱したアルケイデスの攻撃を捌きつつマカリオスはどうしてこんな状態になっているのかと考える。

 

「戦い始めた時はこの男も普通だったし会話もできていたのに」

 

戦闘が始まった直後は周囲への被害も考え二人とも全力を出すつもりは一切なかった。軽く腕試しをした二人は相手の強さを把握し互いを称賛する程落ち着いていだのだ。

 

「■■■■■ーーーッッ!!」

「それが急にこうなるとはどういう事だ?頭に血が上ったのか?でもそれにしては様子がおかしい」

 

それが突如としてアルケイデスが発狂し暴走を始め、マカリオスは慌ててアルケイデスを取り抑えようとしていた。アルケイデスが突然発狂した理由がわからずマカリオスは困惑するが、アルケイデスの猛攻を前に考える余裕はまったくなかった。

 

「■■■■■ーーーッッ!!」

「アイダァ!?クソ、いい加減にしろこの気狂いが!」

 

アルケイデスに顔を殴られ口の中が切れたマカリオスは怒りながら反撃する。お返しとばかりに雷光を纏わせた拳をアルケイデスの顔面に叩きつけるが、アルケイデスは大きく怯みつつも堪えた様子はなく狂乱していた。

 

「おぉ、タフだなぁ。俺より頑丈なんじゃないか?」

 

自分より頑丈かもしれないとマカリオスは驚きつつも引き続きアルケイデスの相手をする事にした。

 

「だがここで戦うのはよくないな。王がおられる宮殿から離れなければ……いくら気狂いでも時間が経てば落ち着くだろう」

 

 

 

「■■■■■ーーーッッ!!」

「お前もういい加減にしろよ……」

 

マカリオスとアルケイデスが闘いを始めて3日が経過していたが、アルケイデスは元気に狂乱したままでマカリオスは疲れた顔をしていた。

 

「狂ってる癖に攻撃は正確無比なのはなんなんだ?何度も命の危険を感じたが、そこまで俺の事を殺したいのか?侮辱した事については謝るし落ち着いてほしいんだが……あ、でも気狂いなのは事実だし王には決して会わせないからな」

「■■■■■ーーーッッ!!」

「ダメだ狂ったままか。ええいどうすればいいんだ」

 

話が通じないとマカリオスは渋い顔をして頭を悩ませていた……マカリオスは知らなかったがアルケイデスが発狂したのは侮辱されたからではなくとある女神から狂気を吹き込まれたからである。

 

不義の子達が闘うのを見たとある女神は、これは絶好の機会だとアルケイデスに再び狂気を吹き込み本気で殺し合いをさせていた。女神としては仮に片方だけが死んでもいいし、共倒れになれば最高だと考えていたのだ。

 

だが女神の予想に反して二人は死ぬ事なく闘い続けており、3日経過しても両者が健在なのを見て不機嫌になっていた。だがマカリオスが徐々に押されているのを見て引き続きアルケイデスを闘わせようとしていたのだが……自分の夫が動いたのを見た女神は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべアルケイデスに狂気を吹き込むのを中断するのであった。

 

 

 

 

―そこまでだ、争いをやめよ―

 

ミュケナイの王都から離れた平原にて続いていた二人の闘いはマカリオスが押され始めている状況であったが、それを見ていた最高神ゼウスが止めに入った事で終わりとなった。

 

天から平原を照らす光と最高神の声にマカリオスは驚愕しつつも即座に跪き、アルケイデスも先程までの狂乱状態が嘘のように落ち着き同じく跪いていた。

 

―貴様等の闘いを見ていた。見事であったぞ。この世界を見回しても貴様等二人に対抗できる人間など存在しないだろう―

 

ゼウスは上機嫌な声で二人の事を称賛していた。この二人ならば来たるべき巨人達の戦いでも必ず役に立つだろうと確信できたからだ。

 

ゼウスはマカリオスについて最初はまったく期待してはいなかった。ただの奴隷の少女から生まれた子など大した事はできないと考えていたのだ。だがマカリオスが成長するにつれて見せる強大な力はゼウスを期待させる。そしてアルケイデスと戦わせた結果これなら生かしておいた方がいいと判断し仲裁に入ったのであった。

 

二人にはこんな所で死んでは困ると考えたゼウスは言葉を続ける。

 

―アルケイデスよ、アポロンの宣託に従いエウリュステウス王と会え。そして十の難行をこなせ―

「はい」

「えっ」

 

ゼウスの命にアルケイデスは素直に従う……隣のマカリオスは少し微妙な表情を浮かべていたが、最高神の命は絶対なので何も言えなかった。

 

―マカリオスよ、貴様は引き続きエウリュステウス王に仕えよ。我が認めたアルゴスの支配者を支えるのだ―

「はっ!」

 

―うむ、ではさらばだ―

 

ゼウスは二人を見て満足気に頷くと天から降りていた光は輝きを失い、その後平原は沈黙に包まれたのであった。

 

 

 

 

「すまない、随分と迷惑をかけてしまったようだ」

「落ち着いてくれたのはよかった。あのまま続いていたら俺は押し切られていただろうな」

 

狂気から解放されたアルケイデスは申し訳なかったと謝罪し、マカリオスもとりあえず落ち着いてくれたのはよかったとホッとしていた。

 

「しかしお前ほどの男が我が王に仕えてくれるのは嬉し……嬉……ううん、やっぱり不安だ。いやお前がとても強いのはわかったのだが」

「やはり信用できないか」

 

何とも言えない表情をしたマカリオスにアルケイデスは信用できないのも無理もないと納得する。自分が逆の立場なら絶対に信用しないと確信していたからだ。

 

「最高神様からの御命令だしお前が我が王の臣下になるのは確定として、まずは我が王に謁見……は難しいだろうなぁ。お前の狂乱した姿を見て酷く怯えておられたからな」

「ぬぅ」

「まあここで考えても仕方ない。一度王都に戻ろう。3日もお前と取っ組み合いをして疲れたし王都に戻りゆっくり休んでから考えよう」

「うむ、そうだな。私も少し疲れた」

 

マカリオス一度ミュケナイに戻り休む事を提案しアルケイデスも賛成したので二人は雑談しつつミュケナイへ帰還する。そしてこれが二人の奇妙な縁の始まりであった。

 

 

 

 

「そういえばお前の武芸は非常に洗練されていたな。狂乱してても見事な業前だった。誰に師事していたんだ?」

「大賢者ケイローン殿だ。マカリオスは誰に習ったのだ?」

「俺に師はいないぞ。元奴隷に指導してくれる物好きなどいるわけないだろう?見様見真似で今まで何とかなってきたし問題ないぞ」

「そ、そうか……………勿体ないな

 




FGOでエウリュステウス王が何もいい事なく退場したので書きました。とある掲示板で建てたスレをもっと書きたかったのですがパートスレにするのも嫌なので、折角だし二次小説として書く事にしました。

ちなみにこのオリ主の実力はは0.9ヘラクレスを想定しています。本気になった時の足の速さは0.9アキレウスです。



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